カンテフラメンコ奥の細道 on WEB no.61
- 1 日前
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(jueves, 11 de junio 2026)
文/エンリケ坂井
Texto por Enrique Sakai

Malagueña de El Canario ③
エル・カナリオの生涯 ~続き
マドリード、そしてアンダルシアのカフェ・カンタンテや劇場で持って生まれた美声(だったらしい)でマラゲーニャを歌い、成功を収めたカナリオには多くの追随者が現われ絶頂期を迎えた。
その中にラ・ルビア・デ・マラガと呼ばれた当時のカフェで活躍したカンタオーラがいたのですが、この二人がセビージャのカフェ「エル・ブレーロ」が夏の間にトリアーナ橋の横に出す支店「ネベリーア・デル・チナ」(中国の氷屋)という涼しそうな名前のカフェに出演していました。
何が原因か本当の所はよく解らないのですが(一説にはルビアがカナリオの歌を真似して歌い、カナリオがそれを嫌ったとも)、二人は言い争いを始めそれがエスカレート。ルビアはその事を父親に話したら今度は父親が怒り出して、ついにその父親がカナリオをナイフで刺し殺してしまったのです。1985年8月13日の未明の事でした。
この大事件は新聞やラジオなどマスコミによって世に知られ、さらに歌になり、作品として劇場で上演されるうちに誤ったイメージを世間に伝え、フラメンコの評判を落とす事になってしまったのです。
ともあれカナリオは27才という若さで亡くなってしまいましたが、そのマラゲーニャは多くの後継者によって歌われ、録音されて永久に残る事になりました。
エル・カナリオ③の歌詞
【Letra】
(no sé por qué … )
Dicen que me andas quitando
la honra, y (yo) no sé por qué
tú andas enturbiando el agua
que luego has de beber,
〈puiéndola〉beber clara.
*( )は実際には歌われていない
*〈puiéndola〉⇒pudiéndola
【訳】
なぜなんだ?お前は
私の誇りを奪っていく、
あとで自分が飲む水を
自分で濁していく、
きれいな水を飲む事ができるのに。
この曲の原盤は120年位前のパテー社の最古のレコードの1枚で、歌っているのは古いカンテを探す時はいつもこの人に頼る、という"カンテの百科事典" エル・モチュエロ。
このパテー盤(PATHÉ. 12212)は特殊で、普通の蓄音機では聴く事ができない縦振動盤であるうえに回転数も77回転より速く、針も縦振動用の特殊なもの、そして何と!盤の内側から外側に向けてヘッドが動いていくという超が付く珍品ですが、レコード盤にはちゃんとマラゲーニャ・デ・カナリオと彫り込まれています。
ともあれモチュエロがこの貴重なスタイルを残してくれた事に感謝!


【筆者プロフィール】
エンリケ坂井(ギタリスト/カンタオール)
1948年生まれ。1972年スペインに渡り多くの著名カンタオールと共演。帰国後カンテとパルマの会を主宰。チョコラーテらを招聘。著書『フラメンコを歌おう!』、CD『フラメンコの深い炎』、『グラン・クロニカ・デル・カンテ』vol.1~37(以下続刊)。2025年1月Círculo Flamenco de Madridから招かれ、ヘスス・メンデスと共演。
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