カンテフラメンコ奥の細道 on WEB no.57
- norique
- 10 時間前
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(miércoles, 11 de febrero 2026)
文/エンリケ坂井
Texto por Enrique Sakai

Malagueña de Chacón ⑤
続、チャコンの生い立ち
アンダルシアのカフェ・カンタンテで売れっ子になったチャコンは行く先々でカンテ研究を続け学ぶと共に自身の個性をより生かせる分野で多くの創作をしました。
具体的にはマラゲーニャ、グラナイーナ、タランタ、カルタヘネーラ、そしてカンティーニャ類のカラコレス、ミラブラーなどです。
特にマラゲーニャは当時ファン・ブレバなどの名手達がいましたが、彼らの多くがリズムを伴う民謡調だったのとは全く異なる、内なるリズムによる自由で叙情性に富んだものを次々と創りあげたのです。これにはメジーソの影響があった事が容易に想像できますが、それにしてもこれだけ多くのスタイルを、それも100年以上経っても色褪せない完成度の高いものを創り上げたのは偉大な才能だと言えるでしょう。これ程多くのマラゲーニャを作ったのは歴史上チャコンだけで、人々が彼の名前にドンの敬称をつけたのも自然な事だと頷けるのです。
さあそれではチャコンのマラゲーニャその⑤です。これも良く歌われ有名な歌詞を取り上げます。音源は1928年にラモン・モントジャの伴奏でグラモフォンに録音されたSPレコードです。
【Letra】
Corte…,
¡Viva Madrid que es la Corte!
¡viva Málaga la bella!
y para puerto bonito
Barcelona y Cartagena,
¡viva Madrid que es la Corte!
【訳】
王宮の…
王宮のマドリード万歳、
麗しのマラガ万歳、
そして美しい港町の
バルセロナとカルタヘーナも、
王宮のマドリード万歳!
首都のあるマドリード、その中でも王宮の佇まいにチャコンは威厳を感じ、マラゲーニャの地のマラガ、「鉱山の歌」の本場であるカルタヘネーラといった、かつて訪れ創作活動を行った土地への愛着を歌ったのでしょう。マドリードはチャコンが長年活動し、晩年を過ごし亡くなった所で愛着もひとしおですから、歌詞の最初と最後に歌って強調されています。

ラモンの伴奏の間(ま)が素晴らしくて思わずギターのメロディーも書いてしまいました。この歌も細かくデリケートな節回しが多く複雑なので多少は解りやすく直しております。
※の部分は本来ソの音で止まる所をチャコンはわざとラ音まで行っていますが、和音はちゃんとG7を弾いて進行をはっきり示すのが伴奏ギターの役目なのです。

【筆者プロフィール】
エンリケ坂井(ギタリスト/カンタオール)
1948年生まれ。1972年スペインに渡り多くの著名カンタオールと共演。帰国後カンテとパルマの会を主宰。チョコラーテらを招聘。著書『フラメンコを歌おう!』、CD『フラメンコの深い炎』、『グラン・クロニカ・デル・カンテ』vol.1~37(以下続刊)。2025年1月Círculo Flamenco de Madridから招かれ、ヘスス・メンデスと共演。
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