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- 宮野ひろみ舞踊40周年記念公演 《絆 Los Lazos》
(lunes, 8 de septiembre 2025) 2024年11月2日(土) 千代田区立内幸町ホール(東京) 写真/近藤佳奈 Fotos por Kana Kondo 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko 9歳からフラメンコ舞踊を始めて19歳で教室を立ち上げ、以来30年以上にわたり舞踊・教授活動を続けている宮野ひろみの活動40周年を記念する劇場公演が行われた。 公演は2部制で、1部は生徒たちが出演する教室発表会が行われ、後半の第2部で今作品が上演された。 フルートのメロディが流れる中、日本歌謡の「この道」を歌う宮野の歌声が場内に広がる。歌が終わり幕が上がると、青のグラデーションが鮮やかなドレス姿の宮野が登場。ギターとフルートで奏でるベネズエラの伝承曲に身を委ね、しなやかでな芯のある踊りをみせる。曲がファルーカに変わると力強くキレのある足技を聞かせ、美しさと勇ましさのギャップに圧倒される。音楽はアストゥリアスからカーニャへと続き、舞踊団員による群舞はフォーメーションなども工夫され、ソロとは違う楽しさが加わる。 有田のカンテソロのマラゲーニャ。歌い終えて立ち去る有田と絡むように踊るシーンでは恋人との別れを表現。男が座っていた椅子がスポットライトで照らされ、そこに想いを寄せるように踊る演出はまるでドラマのワンシーンのよう。 日本の有名な歌曲「浜辺の歌」の独唱に続いて、アレグリアスの華やかな群舞が舞台を彩り、そしてハバネラでは黒のマントを羽織った宮野が登場。マントを脱ぐと黒のパンツスタイルで、凛々しい闘牛士のような出で立ち。 ブレリア・デ・カイでは群舞とともに、フォーメーションなどショーアップした演出が楽しい。 カンテソロやフルートのソロを聴かせ、最後の曲はグアヒーラ。後ろの裾を少し長くフリルのボリュームを出して仕立てたサーモンピンクのドレスは、キューバ由来のこの曲にぴったり。アバニコやマントンを巧みに使いながら、明るい笑顔とともに華やかな踊りで締めくくった。 出演者挨拶では、舞台中にも披露した「Tea for two」のフルート演奏の中で行われ、そんな優しい雰囲気での演出にも彼女の人柄が感じられる。 最後の挨拶で宮野は、この公演が実は2か月前の9月に亡くなった最愛の母の米寿を祝う予定のものであったことを打ち明けた。音楽好きだった母のために、様々なジャンルの曲を選曲に取り入れたという。そして、ギタリストを4人も迎えカンテもフルートも縁のあるアーティストたちを迎えたこと、恩師である田中美穂氏らへの感謝と、これまで舞踊活動を通して関わった日本人やスペイン人のアーティストたち、そして家族や生徒たちと、全ての人への感謝の気持ちを伝えたいと語った。 バイタリティが溢れるような踊りからは想像もつかなかったが、もともと身体が弱かったという彼女が舞踊活動を続けていく過程では、きっと様々な困難を乗り越えてきた事だろう。舞踊活動40年というここまでの長い道のりと、その間に築き上げられてきた「絆」の大切さに、しみじみと想いを馳せるような公演だった。 [プログラム] Ⅰ 人生 祈りと共に Ⅱ 女 愛とは Ⅲ 仲間 尊きもの Ⅳ 夢 憧れ Ⅴ フィナーレ [出演] 宮野ひろみ Lucero Flamenco 舞踊団(稲田起子 川嶋沙瑛子 今野明日香 永島孝子 中山智代 中村玲奈 三浦好子 山口彩子) 柴田杏里(ギター) 鈴木英夫(ギター) 斎藤誠(ギター) 稲津清一(ギター) 有田圭輔(カンテ) ダニエル・リコ(カンテ) 天辰直彦(フルート) ======
- スペインNews 9月号・2025
(sábado, 6 de septiembre 2025) 文・写真/志風恭子 Texto y fotos por Kyoko Shikaze 《INDEX》 ・ カンテ・デ・ラス・ミーナス ・ フラメンコ・オン・ファイア ・ 訃報(ペリーコ・デル・ルナール二世、ディエゴ・デ・モロン) セビージャは今年も最高気温が公式で44度、街頭の温度計は50度という、熱波襲来。ひと昔、ふた昔前までは8月のスペインは海辺以外の街中は人も車もいなくなり、フラメンコのクラスも全休。みんなバカシオネス、バケーションでいなくなるのでペーニャも劇場公演もお休み、フラメンコといえば夜遅く始まり朝方まで続く村のフェスティバルだけ、という感じだったのですが、スタジオがエアコン完備となり、マドリードやヘレスでは夏季集中クラスも毎年いくつか開講されています。それでもとにかく暑いこの季節、外に出て動けるのは午前中か夜21時以降という感じなので、観光にも短期留学にもお勧めしません。どうしてもこの期間しか休めないというのなら、マドリードのクルシージョで夜タブラオ、ヘレスのクルシージョで金曜のフラメンコ公演などを観て、午後か週末にはサンルーカルやカディスなどの海に足を伸ばすということもできるので、どうしても夏しか休みが取れないフラメンコ練習生は夏の超短期留学を兼ねた夏休みも不可能ではありません。マドリードでもヘレスでも週に1度くらいはタブラオ以外のフラメンコ公演も行われているようですが、もし観る聴く専門で行くならフェスティバルに行くというのもいい方法です。8月に行われる中規模のフラメンコ・フェスティバルを二つご紹介しましょう。 【カンテ・デ・ラス・ミーナス】 スペインで最も有名なフラメンコ・コンクール、カンテ・デ・ラス・ミーナス国際フェスティバルは。毎年8月の初めに、スペイン南東部、ムルシア州の小さな町、ラ・ウニオンで開催される歴史のあるフェスティバルです。前半は第一線で活躍するアーティストたちによるガラ公演、後半がコンクールという構成。 このフェスティバルに昔からスペイン各地のペーニャ、フラメンコ愛好会の人たちが集まってくるのは、10日間ほどと短期間なことと、夏休み期間で仕事を休みやすいのがその理由ではないかと考えられます。セビージャからだとカルタヘナまでバスで9時間、マドリードからだとバスで5時間、そしてカルタヘナからバスで20分。どこからでもそこそこ遠いこの町は海こそ近いものの、これといった観光名所があるわけではないので、普段は静かな町ですが、フェスティバルの時はそれなりに賑やかになるのです。遠い道のりをものともせず出かけた私は、ここでだけ毎年顔を合わせるおじさんたちに今年もご挨拶。 ヘレスのフェスティバルやセビージャのビエナルと違って、このフェスティバルではこれまでも参加者とその関係者以外ほとんど日本の人を見かけることはないのですが、去年の萩原淳子が優勝した影響もあったのでしょうか、日本人のフラメンコファンも何人かお見かけしました。ヘレスやセビージャとは一味違うフェスティバルを楽しんで頂けたなら、90年代から時々やってきている者としてもうれしいです。 第64回となる今年のフェスティバルは、7月30日から8月9日まで開催されました。30日の前夜祭では、地元の楽団や合唱団に続き、地元ラ・ウニオンが誇る歌い手、エンカルナシオン・フェルナンデスがマラゲーニャやカンティーニャ、ムルシアーナ、ミネーラ、ガロティンなどを歌い継ぎ、地元の舞踊教室生徒によるファルーカ、バタ・デ・コーラにマントンでのカラコーレスと続きました。 ビデオはこちら https://www.youtube.com/live/Hedt7VH3MBY?si=1EC81A78du-srvCA&t=3353 初日は、スペインの人気ドラマシリーズに主演していたベテラン俳優イマノル・アリアスが、友人の、フラメンコの詞も書いていた作家の思い出から彼が書いた詩をモチーフにしたフラメンコがテーマの舞台作品の一部を地元のギタリスト、アントニオ・ヌニェスのギターとラウル・ヒメネスのカンテとともに朗読するという形で行いました。 その後は優勝者ガラ。まずはトロボという即興で歌のように語る、ラップの元祖みたいなコンクールの覇者が登場。続いて、今年3月に開催された2007年から2011年に生まれた人(14〜18歳)対象の舞踊コンクールで優勝したマティアス・カンポスがソレアを。これはもう本選に出場しても優勝できるだけの実力者で、若さに似合わぬ落ち着きのあるマルカヘには重みもありすでに風格すら感じられ、力強い怒涛のサパテアードといい対比をみせています。2022年に13歳でテレビ番組『ゴット・タレント』出演、翌年にはカナルスールの同様の番組で優勝、アントニオ・カナーレスとも劇場公演で共演しています。まだマラガの舞踊専門学院在学中とのことですが、すでにプロとしてソロでフェスティバルやタブラオでも踊るなど活躍しています。マリオ・マジャやグイトなど先達のエッセンスを感じさせる若き才能。これからの展開も楽しみです。 続いて、昨年の楽器部門優勝、チェロ奏者のホセ“エル・マルケス”はオリジナルのガロティンとアレグリアスを独奏。チェロという楽器ならではの演奏によるフラメンコ。メロディや調整だけでなく、しっかりコンパスをキープしているのは、これまでにラファエラ・カラスコなど数多くのフラメンコアーティストと共演してきたからでありましょう。 最後は、ジョニ・ヒメネスとの共演でグラナイーナ。 そして舞踊部門で優勝した萩原淳子のタラント。抑えた色調のシンプルな衣装は、シリアスな曲のタラントにも、カンテを尊重したドラマチックな彼女の振付にもよくあっています。 スカート下が赤いのは感情を抑えた中にある秘めた熱情、なのかもしれませんね。 再びギター部門優勝のジョニ・ヒメネス登場。この人のソロは去年のコンクールで初めて聴いたのですが、聴くたびに泣かされます。一つ一つの音に重みがあり、間合いが絶妙なのです。時折挟む、パコ・デ・ルシアのフレーズを誰よりもしっかり再現しているのもうれしい。マドリード出身で、歌伴奏、舞踊伴奏、ソロとオールマイティーに活躍中です。 最後はヘスス・コルバチョ、エル・マルケスとグアヒーラ。メロディアスな曲が絶品のヘススだけにこれまた最高。 同じ年に優勝したということで、各地で共演を重ねることで親密さが増して、こんな共演が生まれるのは本当にうれしいことですね。 再び萩原でアレグリアス。バタ・デ・コーラにマントンの王道アレグリアスを華やかに。技術をしっかり身につけているので安心して見ていられるのは言うまでもありません。 最後はヘスス・コルバチョ。客席から登場してプレゴン、舞台に上がってミネーラ、ソレア、カンティーニャ… と歌い継いで夜は更けていくのでありました。 ビデオはこちら。マティアス君の踊りのとこからにしてます。その前のも見ることができますよ。 https://www.youtube.com/live/FE8pn2XO3zs?si=iB8s77_JhiBrrKkg&t=3852 その後、2日目はギタリスト、アントニオ・レイのリサイタル、 ©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas 3日目はサラ・バラスによる、パコ・デ・ルシアへのオマージュ『ブエラ』 ©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas 4日目はヘスス・カルモナの新作『ウニードス』初演。2012年舞踊部門で優勝のヘスス。2016年準決勝で素晴らしいパフォーマンスを見せたルシア・カンピージョ、この公私共にパートナーである二人のパレハでのタラントも素晴らしすぎましたが、とにかくヘススがすごい。身体能力、体幹が人間離れしてるというか、フラメンコ界でも1、2、を争うのでは? 形の美しさ、強さ、そしてフラメンコ性。私的には、文句なく、今年のガラ公演の中でのナンバーワンでありました。ホセ・バレンシアとフアン・レケーナがゲストに回ってしまい、前半の伴唱伴奏の若手がちょっと物足りないのが玉に瑕、といったところでしょうか。ヘレスかどっかでまた見ることができるといいな。 ©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas 5日目はヘレスのエセキエル・ベニテスとマイテ・マルティンのカンテリサイタル、 ©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas ©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas そしてガラ最終日は、アンダルシア舞踊団のフラメンコ組曲『ティエラ・ベンディータ』でした。 8月6日は6、7月にスペイン各地で行われた予選を勝ち抜いたコンクール準決勝が3日間。その最終日、金曜深夜に決勝進出者が発表され9日に決勝が行われました。 結果は以下の通り。 大賞/ランパラ・ミネーラ グレゴリオ・モジャ 昨年は決勝に進んだものの賞には手が届かなかった彼は今回、参加したすべての部門で優勝、伴奏したパコ・コルテスも伴奏者が対象の審査員特別賞を受賞と、6冠の帝王。1984年ラ・マンチャ地方、アルガマシージャ・デ・アルバという街の出身。エンリケ・モレンテの影響を大きく受けています。10代から各地のコンクールに出場し、ペーニャやフェスティバルで活躍しているそう。今後、活躍の幅がより広がることでしょう。 ©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas 楽器部門 優勝 ホセ・カルロス・アンサ/ピアノ トマティートの妹の息子、つまり甥っ子だそうです。タランタも良いけどブレリアが最高! 他のピアニストの誰にも似ていないのもいいな。 ©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas 準優勝 オスタリンダ/フルート 1980年、エストレマドゥーラはサフラ生まれ。ヨーロッパで初めてフルート専攻で音楽学校で大卒相当の資格を取ったヒターナだそう。抜群のリズム感が魅力。 ©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas 舞踊部門 優勝 サロメ・ラミレス 日本でもお馴染み、ヘレス出身のサロメ。90年生まれというから35歳。新進気鋭の若手というイメージがあったけど、いつの間にか中堅ですね。歌に敬意を払ってしっかり踊るフラメンカ。 ©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas 準優勝 ホセ・ビーニャス カディス県出身だけど、マドリード在住で主にタブラオで活躍中とか。 ©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas ギター部門 優勝 該当者なし 準優勝 トニ・アベジャン バルセロナ近郊マタロー出身で各地のコンクール入賞しているそう。 マリアノ・コンデ特別賞 (16歳から25歳のギタリストが対象) サムエル・デ・エンカルニ (左利きのギタリスト。決勝には進めませんでしたが、伴奏も含めた若手ギタリストの中から選ばれ、マリアノ・コンデのセカンドラインのギターが贈られました) カンテ部門III ・低アンダルシアのカンテ トナ、シギリージャ。ソレアレス、カーニャ、ポロ、リビアーナ、セラーナス 該当者なし ・低アンダルシアのカンテ ブレリア、カンティーニャス、タンゴス、ティエントス、ペテネーラ、ファルーカ、ファンダンゴ・ペルソナレスなど グレゴリオ・モジャ(マリアーナ) カンテ部門II マラガ、グラナダ、コルドバ、ウエルバの歌、アンダルシアのファンダンゴ由来の他の歌。 ・マラゲーニャ、グラナイーナ・イ・メディア・グラナイーナ、グラナダ、ウエルバ、ルセーナのファンダンゴ、ベルディアーレス、ロンデーニャス、ハベーラ、ハベゴーテ、そのほかのフラメンコの要素のある、地方ファンダンゴ。 グレゴリオ・モジャ(マラゲーニャ) カンテ部門I ・ムルシアーナとその他のカンテス・ミネーロス(タラント、レバンティーカ、ファンダンゴ・ミネーロ、カンテス・デ・マドゥルガーなど ホセ・デル・カジ(レバンティーカ) コルドバ出身、マドリード在住でタブラオを中心に活躍中。 ©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas ・タランタス フランシスコ・エレディア 昨年もタランタ部門で受賞している、ハエン出身の歌い手です。 ©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas ・カルタヘネーラス グレゴリオ・モジャ ・ミネーラス グレゴリオ・モジャ 審査員特別賞 パコ・コルテス/グレゴリオ・モジャの伴奏 受賞者のみなさん、おめでとうございます。 ©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas なお、旧公設市場で行われるメインのガラ公演、コンクールの他にも、夜中には市内のレストランやバーなどで無料で見ることができるフラメンコ公演があったり、フラメンコの功労者への表彰があったり、1日だけの舞踊マスタークラス(去年はルベン・オルモ、今年はエドゥアルド・ゲレロが講師)が開講されたり、フラメンコ関係の書籍やCDなどのプレゼンテーションがあったりと、いろんなイベントがあります。 【フラメンコ・オン・ファイア】 8月29日マカニータはマヌエル・バレンシアの伴奏で ©︎ Flamenco on Fire 8月末に牛追い祭りで有名な北スペイン、ナバラ地方のパンプローナで開催されるのがフラメンコ・オン・ファイア。こちらは今年でまだ12回目と、50年以上の歴史を誇る夏のフェスティバルも多いので、フラメンコ祭の中では新しい方に入ります。実は私もまだ行ったことがないのですが、こちらもパンプローナ市内での公演に限れば開催期間はほぼ1週間と短く、同じ日に時間をずらしていくつもの公演があり、フラメンコを集中して楽しみたい人には良いかもしれません。大劇場公演もあれば、中劇場やライブハウス、ホテルでの深夜23時半の公演もあり、と会場もバラエティに富んでいます。 このフェスティバルで有名なのはバルコン、バルコニーから広場に向かって歌ったり演奏したりの無料のライブ。無料ということもあって、いつも大勢の観客が詰めかけているようです。 8月30日にはトマティートもバルコニーから演奏 ©︎ Flamenco on Fire なお、フラメンコとは縁遠いと思われがちな北スペインですが、ここパンプローナはフラメンコ・ギターの歴史上の重要な存在、サビーカスの生まれ故郷ということもあって、当初から、その他のフラメンコ祭に比べても、ギター公演の重要性が高いように思われます。 中でも、2025年で3回目となった『アルサプア』と題された劇場公演では、普段は見られないギタリストたちの共演で注目されています。今年はヘラルド・ヌニェス、マノロ・フランコ、ラファエル・リケーニ、ホセ・アントニオ・ロドリゲスという同世代の4人のギタリストと、やはり同世代のアントニオ・カナーレスが共演したそうです。 8月27日『アルサプアIII』 ©︎ Flamenco on Fire 他にも、この作品に出演したホセ・アントニオ・ロドリゲスやダビ・セレドゥエラ、アルフレド・ラゴスらのギターソロ公演や、イスマエル・デ・ロサ“ボラ”やマヌエル・デ・トマサ、エスメラルダ・ランカピーノら若手のカンテリサイタルがあったり、と充実したプログラムだったようです。 8月30日エスメラルダ・ランカピーノはノノ・レジェスの伴奏で、牛追い祭りのシンボルでもある赤いチーフを巻いています ©︎ Flamenco on Fire なお、フラメンコ・オン・ファイアというフェスティバルの名前も、サビーカスのアルバムの名前からついているそうですよ。 もちろん、ギターだけでなくカンテのリサイタルや舞踊公演も。今年はアントニオ・ナハーロ舞踊団が公演しました。 8月28日アントニオ・ナハーロ舞踊団 ©︎ Flamenco on Fire また夜公演ではアルバ・エレディアも出演しました。 ©︎ Flamenco on Fire 【訃報】 そのフェスティバル開催中に悲しいニュースが二つ。 ペリーコ・デル・ルナールとディエゴ・デ・モロンの訃報です。 8月30日、ペリーコ・デル・ルナール(イーホ、二世)が亡くなったと知ったのは、Facebookへのカルメン・リナーレスの投稿からでした。 亡くなったのは8月27日。85歳でした。本名ペドロ・デル・バジェ・カストロは1940年マドリード生まれ。ペリーコのアンソロジーとして知られる『アントロヒア・デ・カンテ・フラメンコ』で知られる同名の父の薫陶を受け、若い頃からタブラオ、サンブラで、ペリコンやラファエル・ロメロらベテランたちを多く伴奏。こちらのスペイン国営放送の番組(登録するだけで無料で見ることができます)でもラファエルを伴奏していますね。 https://www.rtve.es/play/videos/musica-en-el-archivo-de-rtve/rito-geografia-del-cante-rafael-romero/5328278/ 1988年にはラファエル・ロメロと来日、古風で味わい深い太い音で観客を魅了しました。その後もエンリケ坂井の招きで何度か来日しています。写真は2002年、友繁健人さんプロデュースのCD『アントロヒア・フラメンカ』の記者会見の時のペリーコ。歌っているのはヘスス・エレディアです。 そして翌日31日にはディエゴ・デ・モロンの訃報が。これもまたFacebookで、長らくモロンに住んでいた(今はヘレス)、ニューヨーク出身の元歌い手のフラメンコ研究家エステラ・サタニアの投稿からでした。 2018年ヘレスのフェスティバルで ©︎Javier Fergo Festival de Jerez 1947年4月18日生まれというから78歳。本名ディエゴ・トーレス・アマジャ。父は歌い手ホセレーロ、母はディエゴ・デル・ガストールの妹、つまりディエゴの甥、日本でもお馴染みの踊り手ペペ・トーレスの伯父にあたります。父の伴奏でプロとなり、1975年に父の伴奏2枚、ソロ2枚を録音。その後もう1枚も録音。伯父ディエゴ・デル・ガストールの演奏スタイルを引き継ぎながらも、独特の鬼気迫る演奏は一度聴いたら忘れられないことでしょう。1994年、日本フラメンコ協会の招きで来日。その模様を収録したライブ盤が98年に発売されました。 https://youtu.be/K6qjXsNQWJQ?si=2nwfuXF9eYlcArq2 二人の、今風ではない、個性的な伝統を受け継いできたギタリストが続けて世を去ってしまい、とても寂しく思います。 【筆者プロフィール】 志風恭子(Kyoko Shikaze) /1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。 =====
- 【news】ダニエル・トーレス&ハコブ・ゲレーロを招き昼・夜2公演
(miércoles, 3 de septiembre 2025) 浜松や東京を中心に舞踊・教授活動を行うフラメンコダンサー、小池朱美さんがカディスを拠点に活躍する舞踊家ダニエル・トーレスとハコブ・ゲレーロの両氏を特別ゲストに招いて、10月に創作公演を行います。 昼と夜の2公演で作品のコンセプトも共演メンバーも異なり、それぞれに違う魅力の舞台が楽しめます。 2作品でも1作品のみでも、オリジナリティあふれる刺激的なフラメンコが体験できそうです。 日程 2025年10月18日(土) 場所 ShowレストランGARLOCHÍ(東京・新宿) 料金 (各回)SS席12,500円 S席10,500円 A席9,000円 (ワンプレート、ワンドリンク付き) ※昼・夜2公演同時にご予約に限り、合計1,000円引き ※料理のメニューは、昼・夜2公演で異なります 《昼公演》 『“Uno, Dos y Tres!” vol.II 〜きらめきの刹那 II〜』 open 12:00/start 13:00 バイレ ダニエル・トーレス、ハコブ・ゲレーロ(スペシャルゲスト) 小池朱美、川﨑裕子、塩川朋子 ギター ミゲル・イグレシアス カンテ マヌエル・デ・ラ・マレーナ、川島桂子 (小池朱美さんコメント) 昼公演は、すべての根源、そしてフラメンコのコンパスにも通じる「1, 2, 3」がテーマ。 長年一緒に切磋琢磨してきた仲間たちと、力強い信頼と尊敬で結ばれたアーティスト陣でお送りします。 《夜公演》 『“CARMENCITA. COM”〜カルメンシータ・ドット・コム〜』 open18:15/start 19:15 バイレ ダニエル・トーレス、ハコブ・ゲレーロ(スペシャルゲスト) 小池朱美、林由美子、山本秀子 ギター ミゲル・イグレシアス カンテ パコ・プラテアオ バイオリン 三木重人 (小池朱美さんコメント) 昨年、素晴らしい内容で大好評だった、ダニエル&ハコブ2人のコラボレーションで開催した、カルメン振付クラスの有志メンバーが集結します! これまでになかった角度から、こだわりのオリジナル音楽と共に、様々なカルメンの表情を描きます。 [予約/問]事務局(カサ・アケミータ) E-mail live@aquemita.com Tel. 080-5179-0253 Messenger OK =====
- 新・フラメンコのあした vol.31
(lunes, 1 de septiembre 2025) 20年以上にわたりスペインで活動するジャーナリスト東敬子が、今気になるスペインフラメンコのあれこれを毎月お届けします。 前回と今回の2回にかけて、筆者が読者の皆さんにぜひ知ってもらいたいという、今最も注目している二人のギタリストを紹介します。 あしたのギタリストは〜(2) 「ダビス・デ・アナ」 Los guitarristas para mañana (2) David de Ana 文:東 敬子 インタビュー:ハビエル・プリモ 画像:東 敬子/ 宣伝素材 Texto por Keiko Higashi Entrevista por Javier Primo Fotos: Keiko Higashi / de Instagram @davideana_ 彼を初めて生で観たのはついこの間、2025年6月3日、バイラオール、 フリオ・ルイスの『ラ・ファミリア』公演 でのことでした。白いドレスを身に纏ったフリオが「白鳥の舞」を繰り広げるというアバンギャルドな演出の場面で登場した若いギタリスト、それが今回私がぜひ皆さんにご紹介したい期待の新人、ダビス・デ・アナです。 誰もいない発光するステージに、自ら椅子を持って登場したピンクのスーツを着た彼は、トボトボという感じでステージ中央まで歩き座りました。しかし弾き出すやいなや、彼のギターから出る音は、大きなきらめきを放ったのです。 (写真左から)Julio Ruiz、David de Ana/ (c) Keiko Higashi 2004年生まれ、21歳のダビスは、フリオ・ルイスが「彼は12歳」と冗談を言うぐらい、実年齢よりもさらに若く見える。でも、音には確固とした自分があり、クラシックな風合いでありながらも現代を生き抜く極上のテクニックが冴えわたる。そしてフラメンコの強さ、匂い、重さ、そんな、習得するのが難しいものも、当たり前のように持っている。今回の公演ではフリオの踊りに合わせて「白鳥の湖」をフラメンコ風にアレンジした部分もあったりして、そこでも抜群のセンスを感じました。「才能」なんて、説明の仕様がない曖昧なものですが、「それ」は誰の耳にも明らかでした。 そして彼のインスタグラムのアカウント( https://www.instagram.com/davideana_?igsh=Z2xrOXJrb3o5Z2p4 )をチェックすると、それは確信に変わりました。うわー、出るわ出るわ、その宝石のような音たちが! 青田刈りどころではない、もうすぐにでも皆んなに彼のことを知ってほしいと思いました。 とは言え、まだまだ未確認領域の彼。記事を書くにあたり、ネット上では彼の資料は全く出てこず、もうこの際だから本人に聞くのが一番早いと、今回は私のパートナーに電話でのインタビューを決行してもらいました。 その印象は一言で言えば、地に足がついた人。ギターに対する真摯な姿勢と古風とも言える考え方に、何かとても新鮮な風を感じました。こんな謙遜気味で生真面目な子から、あの煌びやかな音が出るのだと思うと、不思議な気さえします。このインタビューを通して彼の人柄に少しでも触れてもらえれば嬉しいです。 ダビス・デ・アナってこんな人 ――君はマラガ出身だよね。 そう、アルチドナ(Archidona)っていう村の出身だよ。今もそこに住んでる。 ――芸名のアナって言うのは、バイラオーラであるお母さんのアナ・パストラーナから取ったんだよね。 そう、そう。お母さんさ(はにかみ笑い)。 ――フリオのステージで初めて観て素晴らしいギタリストだと思って、インスタグラムもチェックしたけど、君の将来性はすごいと思う。 (笑)まあ、まだ道は長いさ。頑張ってるよ。 ――お母さんが踊り手だから、小さい頃からフラメンコに親しんで来たんだろうね? そう、あと従兄弟たちや家族とのフィエスタなんかでね。 ――どうしてギターを選んだの? 実は、最初は踊りからスタートしたんだ。 ――素晴らしい師匠が家にいるんだから、当然かもね。 もちろんさ。恵まれてたよね(照れ)。でも7歳の時にセビージャのホセ・アントニオ・エル・ラジョのギターを聴いて、やってみたいなと思って。お母さんの知り合いだったんで、習いに行ったんだ。彼が僕の最初の師匠。その後はパコ・モヤ、フランシスコ・ビヌエサ、カルロス・アロ…、色んな人に学んでどんどん好きになっていったよ。 コロナ禍の前2019年にマドリードで奨学金をもらった時は、カマロン・デ・ピティータに師事したよ。彼はもう本当のおじさんみたいな存在さ。今はコルドバのコンサーバトリーで学んでいるよ。 ――目指しているギタリストなんている? まあ、誰もが憧れるのはパコ・デ・ルシアだよね。ビセンテ・アミーゴ、ラファエル・リケーニ、トマティート…。色んなスタイルがあるよね。でも僕はまずは伝統的なスタイルを追求したい。それを自分の中で確立してから、自分自身のスタイルを探して行きたいと思ってる。 ――今タブラオでお母さんのバイレ伴奏もしているけど、ソロで弾きたいという気持ちはない? 自分はまず、伴奏を確立したいと思ってる。完全なギタリストになるには必要なことだと信じてるんだ。バイレを観て、カンテを聴いて、そして自分の曲を作って…。 ――もう作曲は進んでいるの? いくつかあるけど、まだまだだよ(笑)。少しずつね。まだ道の途中さ。 ――フリオ・ルイスとの共演はどんなきっかけだったの? グラナダのタブラオで共演することがあって、意気投合した感じかな。今回の出演は4ヶ月前に出てくれって連絡が来て、急に決まったんだ。 ――他にもイスラエル・フェルナンデスのカンテ伴奏とか、もうすでに色んな人と共演してるけど、タブラオはこれからも出演する? もちろん。これからもタブラオを離れることはないと思うよ。僕のスタート地点だからね。とにかく今は何よりも、日々の精進を続けて行きたいんだ。 【筆者プロフィール】 東 敬子 (ひがし けいこ) /フラメンコ及びスペインカルチャーのジャーナリストとして、1999年よりマドリード(スペイン)に在住し執筆活動を続ける。スペインに特化したサイト thespanishwhiskers.com を主宰。 =====
- 【特集】プリメラ《フラメンコ魂》バイレの一曲入魂
プリメラ フラメンコフェスティバル2025【1日目】 (domingo, 31 de agosto 2025) 2025年6月19日(木) こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京・新宿) 写真/川島浩之 Fotos por Hiroyuki Kawashima 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko 毎年さまざまな趣向やテーマで開催される、プリメラギター社主催によるフラメンコの祭典『プリメラフラメンコフェスティバル2025』。 第1夜は、8人の踊り手による『バイレ・ソロの一曲入魂』。若手からベテランまで魅力あふれる舞踊家やダンサーが集結。それぞれ異なるギタリストとの組み合わせで、まさに《一曲入魂》のタイトルにふさわしい一夜限りの渾身の舞台を披露した。 ===== 脇川 愛 /Siguiriya (ギター長谷川暖 カンテ有田圭輔 パルマ伊集院史朗) 歌やギターに合わせて丁寧に曲を表現。抑揚あるメリハリの利いた踊りで、パリージョの音色も美しい ===== 飯塚真紀 /Alegrías (ギター山内裕之 カンテLA MOECO パルマ伊集院史朗) 着物のフォルムを取り入れた衣装と、歌は日本語カンテのアレグリアス。確かな足技と楽しそうに踊る姿が印象的 ===== 有田ゆうき /Soleá (ギター逸見豪 カンテ有田圭輔 パルマ三枝雄輔) 熱いカンテの歌声に対し渾身の踊りを魅せたソレア。気迫みなぎる佇まいと思い切りの良さに引き込まれる ===== タマラ /Caña (ギター尾藤大介 カンテ有田圭輔 パルマ伊集院史朗) 陰影とともに姿勢の美しさが魅力的。曲の世界に入り込んだ内面の充実ぶりが踊りに表れていた ===== 森山みえ /Soleá por Bulerías (ギター德永康次郎 カンテ三枝雄輔 パルマ伊集院史朗) ミディアムテンポで重みのあるカンテを、柔らかい身体使いとバタとマントンでダイナミックに表現 ===== 篠崎麻由美 /Soleá (ギター山﨑まさし カンテ永潟三貴生 パルマ伊集院史朗) 深い溜めと力強さを感じるソレア。心の痛みが伝わるような表情がいい。高い集中力と気迫が全身から伝わる ===== 鈴木敬子 /Alegrías (ギター北岸麻生 カンテ有田圭輔 パルマ伊集院史朗) 優美で貫禄のあるアレグリアス。細部まで丁寧に踊る姿が美しい。バタデコーラの表現も多彩 ===== 北原志穂 /Soleá por Bulerías (ギター ペペ・マジャ カンテ小松美保) シンプルでオーソドックスな曲調のソレアポルブレリア。キレ良く緩急の利いた踊りで観客を魅了する * 【特集】プリメラ《フラメンコ魂》ギターの一曲入魂 の記事はこちらから * 【特集】プリメラの仲間たち2025 の記事はこちらから =====
- 【news】ロルカフェスティバル 2025-2027
(martes, 2 de septiembre 2025) フラメンコの普及と振興のために数々の企画や舞台を手掛ける野村眞里子さんが代表を務める一般財団法人エルスール財団が、今年から3年間に渡り日本とスペイン両国で、20世紀のスペインを代表する詩人フェデリコ・ガルシア・ロルカをテーマとしたフェスティバルを開催します。 来年2026年はロルカの没後90年の節目にあたることから、このフェスティバルでは詩人でありながらも劇作家・音楽家・画家・プロデューサーとしても活躍し、しかし市民戦争のなかで非業の死を遂げた彼の生涯を、さまざまなジャンルの専門家と共に考察を交えつつその足跡をたどります。 開幕1年目の今年は『ロルカフェスティバル2025』と題し、9月から翌2026年1月まで全5回にわたり、ロルカのさまざまな活動について紹介する連続トーク&ライブがエルスール財団記念館で開催されます。 第2回目の「ロルカとフラメンコ」の回はすでに満席となりましたが、他の回でもフラメンコと大きな関わりのあるロルカの興味深い一面に触れることのできる、貴重な機会となります。 なお、2026年3月13日にはロルカの故郷グラナダのフェデリコ・ガルシア・ロルカセンターの劇場で、シンポジウム&ライブを開催。そして同年8月29日、30日にはロルカをテーマにしたフラメンコ公演を、東京・天王洲銀河劇場で開催する予定です。 3年目の2027年にはシンポジウム、朗読会、ダンス公演などを開催、さらにフェスティバル関連の書籍も刊行する予定とのことです。 ◆『ロルカフェスティバル 2025 ~ロルカ、その愛と芸術~』 日程:2025年9月~2026年1月 会場:東京、羽根木、エルスール財団記念館 ~詩とダンスのミュージアム~ (井の頭線「新代田」徒歩3分、小田急線「世田谷代田」徒歩8分、京王線「代田橋」徒歩10分) 第1回「ロルカ、ブニュエル、ダリ」 2025年9月13日(土)16:00~18:00 鈴木雅雄(解説)、野村喜和夫(聞き手) 黒須育海(ダンス) 第2回「ロルカとフラメンコ」 *満席 2025年10月11日(土)16:00~18:00 濱田吾愛(解説)、野村眞里子(聞き手) 大沼由紀(フラメンコ舞踊)、下島万乃(チェロ)、三枝雄輔(パルマ) 第3回「ロルカの三大悲劇」 2025年11月8日(土)16:00~18:00 森直香(解説) 【PAP・でらしね】プロジェクト 朗読パフォーマンス Lorca、la muerte en Granada 『ロルカ、グラナダの死』 榊原忠美(朗読)、熊⾕祥⼦(ヴァイオリン)、深澤伸友(演出) 第4回「ロルカの詩を踊る」 2025年12月13日(土)16:00~18:00 La significación de la danza y el baile en la poesía de Federico García Lorca (ガルシア・ロルカの詩作品における舞踏の意味作用) 小阪知弘(解説) TRANSFORMACIÓN:野口杏梨(ピアノ)+徳永康次郎(ギター) 伊藤笑苗(フラメンコ舞踊) 第5回「ロルカと市民戦争」 2026年1月10日(土)16:00~18:00 荻内勝之(解説)、野村眞里子(聞き手) マーシー&マギ(アルゼンチンタンゴ) 【入場料】 5,000円(一般/1回)、4,700円(学生/1回)、4,500円(賛助会員/1回) *未就学児入場不可 ◆『ロルカフェスティバル2026 inグラナダ ~ロルカ、フラメンコ、そして日本~』 日程:2026年3月13日(金)18:00 会場:スペイン、グラナダ、フェデリコ・ガルシア・ロルカセンター劇場 <第1部> ●シンポジウム「ロルカ、フラメンコ、そして日本」 ホセ・ルイス・オルティス・ヌエボ、森直香、志風恭子 <第2部> ●朗読とギター演奏 野村喜和夫、アントニオ・エレディア“エル・チョニーコ” ●フラメンコライブ ラ・モネータとそのグループ、伊藤笑苗、山本海 ◆今後の予定 2026年―8月(フラメンコ公演、東京、天王洲銀河劇場を予定) 2027年―3月(シンポジウム、東京)、7月(朗読&ライブ、東京)、10月(出版記念会、東京) [問]一般財団法人 エルスール財団 Tel. 03-3325-5668 info@elsurfoundation.com https://www.elsurfoundation.com =====
- 【特集】プリメラの仲間たち 2025
プリメラ フラメンコフェスティバル2025 (domingo, 31 de agosto 2025) 2025年6月21日(土)・22日(日) こくみん共済coopホール/スペース・ゼロ(東京・新宿) 編集/金子功子 Edición por Noriko Kaneko プロのアーティストらが出演する「フラメンコ魂」とともに開催される「プリメラの仲間たち」。 こちらは各地のフラメンコ教室の生徒たちや愛好家の皆さんが自由に参加できるイベントで、週末の2日間にわたり行われます。 広いステージを舞台に、バイレ・ソロや群舞はもちろん、カンテやギターもソロやグループで、各々の努力の成果を披露します。 開演は両日ともお昼ごろから始まり、終演は夜の8時過ぎ。 プログラム曲数は、なんと合計130曲! いろんな教室やグループ、個人が集う「プリメラの仲間たち」は、フラメンコが好きな人たちの「参加型フェスティバル」なのです。 今回の出演者の中から何組か、コメントをご紹介します。 【コメントの内容】 ①今回は何回目のご出演ですか。 ②出演を決めた理由やきっかけは何ですか。 ③本番はどういうプログラム(踊り、歌、演奏、構成など)にしようと思いましたか。 ④本番が終わった後の感想を教えてください。 ⑤その他、読者のみなさんに伝えたいことがありましたら。 ===== 遠藤郷子カンテクラス (カンテ) ①2回目 ②生徒さんのモチベーションを上げるため、発表の場としてこの上ない機会だと思い。 ③ソロ4名、グループ10名が出演しましたが、グループでも個々にソロの場を設け、各々が責任を持ち曲に向き合い、舞台のクオリティを上げられるよう全員に個別レッスンもしました。バイレの方が多いのでグループは歌いながら自然に踊ることも目指し、構成も見ている方が飽きないよう工夫しました。 ④レッスンではかなり細かい所まで求めるので、本番直前まで厳しく追い込みますが、その分舞台ではこれまでの努力の結果を発揮し、客席に向かい堂々と歌い舞台を楽しんでいる様子を見てウルッとしました。 舞台を終え「めちゃくちゃ楽しかった〜!!」「終わっちゃって寂しい〜」と高揚し、キラキラ充実した顔を見て、私も本当に嬉しく、この素敵な時間を共有することができて本当に良かったです。 ⑤生徒さんのリクエストにより、スペインからオンラインレッスンすることになり、帰国後ギリギリ間に合いそうなので来年も参加を予定しています。是非見に来てください。 (写真)前列一番右が遠藤郷子さん ===== 小谷野宏司フラメンコ教室 ラ・カラバーナ (バイレ) ①今回がはじめてとなります。 ②今年1月より小谷野宏司フラメンコ教室ラ・カラバーナが開講いたしました。教室としてのヌメロはまだ出来上がっていませんが、今まで個人レッスン・グループレッスンで頑張ってくれた生徒の皆さんに発表する場があればと思い参加させていただきました。 ③無理のない程度に挑戦出来るよう、振り付けやフォーメーションをメンバーによって構成いたしました。何よりも参加する皆さんが楽しかった!と思える事を一番に念頭に置きました。 ④各々の課題はあると思われますが、フラメンコって楽しい!このメンバーで、仲間に恵まれて良かった!と出演した事が良い思い出になったようでこちらも嬉しくなりました。 ⑤コンクールや発表会と違って、気軽に劇場でフラメンコが出来る、挑戦出来ることがプリメラの仲間たちだと思います。個人やグループでのエントリーも可能のようですので、ご興味ありましたら是非参加していただければと思います。 ===== 市川幸子フラメンコ教室 Zarcillo (バイレ) ①2回目 ②生徒の希望。発表会等で一度踊った曲をもう一度踊りたいというのが主な理由のようです。 ③バイレは8分以内とコンパクトなので各曲の良さを引き出せるようアレンジしました。 ④他のお教室のフラメンコも見られるし、教室発表会より緊張しなくて和気あいあいとしていて楽しかった(生徒談) ⑤一曲を何度も踊るっていいですね!そんな機会を作ってくださったプリメラ吉田さんに感謝です。 教室インスタページです↓ @zarcillo_flamenco https://www.instagram.com/zarcillo_flamenco/ スタジオ Zarcillo https://sachikoichikawa.org/ (写真)前列中央が市川幸子さん ===== タマラ (カンテ) 今回「仲間たち」への出演は2回目でした。まさかのカンテソロ(笑)。フラメンコにおけるカンテの大切さを痛感しながらも、踊りの練習で精一杯という時間が長く続いた私。踊りの指導の為に習い始めたカンテ。人前で歌うことは想定外でしたが、その過程を経験したらどんな世界が見えるのだろうという好奇心が芽生えてしまいました。 決断後は、半年前に歌詞を暗記し、3日は空けずに練習。踊りと同じでやればやるほど次の課題が見えてきます。郷子先生のレッスンは、踊りとの共通点を発見したり、カンテの難しさを痛感したり、歌い手さんへの尊敬の念を新たにしたり、とても有意義でした。 冒頭に、今回は2回目の出演と書きましたが、1回目は20年程前、まだ教室の発表会でソロを踊ることが出来なかった時、ソロが踊りたくて個人でエントリーしました。そんな個人も受け入れてくれる「プリメラの仲間たち」は、誰にでも開かれた新しい世界への扉だと思います。 ===== 土合幸江フラメンコ教室 (バイレ) ①4回目です。 ②コロナ禍後、生徒さん達に踊る機会をと思い参加しましたが、舞台、照明、音響、撮影、内外の受付スタッフの方々など全てが想像を超えて素晴らしく感動しました。 それ以来、プリメラの仲間たちに出演することを目標にして今に至ります。 ③最後にフィンデフィエスタでブレリアを1人ずつ踊ることを大切にしているので、そこに向けて盛り上がるような曲順にしました。 ④生徒さんたちのキラキラした達成感ある笑顔を見て心から嬉しくなります。先生冥利に尽きる瞬間です。 ⑤しっかり管理された大きな舞台で踊ることのできる貴重な場です。 楽屋を他のお教室の方々と共有させていただくことで周りを気遣ったり応援しあったりと学びがたくさんあります。 舞台でのリハーサルは出来ませんが、その分集中して強い気持ちで臨めます。 この素晴らしい機会を下さるチコさんには心から感謝しています。 これからもプリメラの仲間たちに出演していきます! (写真)前列左から2番目が土合幸江さん ===== 田村陽子フラメンコ教室 Estudio LA FUENTE (バイレ) ①教室として5回目の出演となります。 ②普段なかなか踊る事の出来ない劇場という空間でしか感じられない事がたくさんあるからです。一回踊ってみるとまた挑戦したい!という生徒さんが多くて嬉しく思っています。 ③大きなステージの特性を活かした空間の使い方に工夫を凝らして、今回は初めてクアドロ形式で皆で支え合いました。 ④踊りはもちろんの事、パルマやハレオをしながらその瞬間を分かち合う喜びを学ぶ事が出来ました。タブラオと違って真っ暗な客席に目の眩むような照明。上手くいかず悔しい思いをした生徒さんもいましたが、非日常の空気を楽しむ事を目指してまた一緒に頑張りましょう! 劇場公演を開催するのはとても難しい事なので、毎年この様な機会を用意してくださるプリメーラにとても感謝しております。この場をお借りして御礼申し上げます。 (写真)後列中央が田村陽子さん ===== 栗原武啓 (ギター) ①今回はグアヒーラの三重奏で、生徒さんとの出演は初めてになります。 踊りの伴奏では何度も出演させていただいております。 ②出演を決めたのは生徒さんで、本来生徒さんだけで弾くものなんですが、自信がないので一緒に弾いてほしいとのことで弾くことになりました。 ③本番は、三重奏のアンサンブルを意識して、生徒さんのレベルに合わせて曲を考えました。 ④生徒さん達は本番前はかなり緊張しておりましたが、終わった後は安堵感に包まれていましたね。また来年も出てみたいと言っておりました。 ⑤フラメンコギター自体やる人がとても少なくなってきているのが悲しいのですが、これからもフラメンコギターの魅力を皆さんに伝えつつ、後進の育成も頑張っていきたいと思います。 (写真)一番右が栗原武啓さん [追記]当日配布のプログラムには来年の日程も公表され、2026年の「プリメラの仲間たち」は7月11日(土)・12日(日)に決定したとのことです。 * 【特集】プリメラ《フラメンコ魂》バイレの一曲入魂 の記事はこちらから * 【特集】プリメラ《フラメンコ魂》ギターの一曲入魂 の記事はこちらから =====
- 【特集】プリメラ《フラメンコ魂》ギターの一曲入魂
プリメラ フラメンコフェスティバル2025【2日目】 (domingo, 31 de agosto 2025) 2025年6月20日(金) こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京・新宿) 写真/川島浩之 Fotos por Hiroyuki Kawashima 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko 集合写真から伝わってくる雰囲気が温かい ステージには1脚の椅子、そして1本のマイクのみ。 そこが、今日の主役たちの檜舞台だ。 毎年さまざまな趣向やテーマのもとで開催される、プリメラギター社主催によるフラメンコの祭典『プリメラフラメンコフェスティバル2025』。 第2夜は、総勢27名のフラメンコギタリストがそれぞれの腕前を披露する『ギターの一曲入魂』。 3年ぶりのギター企画となる今回は、純粋に演奏を楽しむアマチュアから世界的な舞台で活躍するプロ奏者までが一堂に会し、師から受け継いだ曲やオリジナル曲など各々が大切に温め続けてきた珠玉の一曲を、時に熱く時にやさしく、個性あふれる演奏で渾身の音色を響かせた。 同社の代表、チコさんこと吉田正俊さんは開演前のあいさつで「ギターというのは年齢を重ねて音に味わいが出るものです。フラメンコが大好きな人、そして年を重ねた人もそれぞれの『一曲入魂』の音をぜひ聴いてください」と語り、その言葉にフラメンコギターへの愛情を滲ませていた。 プロもアマも観客も関係なく、その場にいるすべての人が等しくギターの魅力とおもしろさを存分に堪能した3時間。ぜいたくな至福のひと時だった。 江戸裕/Soleá 徳永健太郎/Taranta [出演] *全27名(50音順) 稲津清一 飯野志葉子 上遠野忍 宇田川卓俊 江戸裕 小倉誠司 岸元輝哉 北岸麻生 木南利夫 後藤晃 犀川大輔 斉藤元紀 坂本敬 島田武 菅沼聖隆 Quinta(鈴木一義) 田中敏郎 田中竜太 徳永健太郎 徳永康次郎 福島知子 前田雅俊 盛植俊介 山田陽一郎 山本智英 凜-Rin- 若林雅人 * 【特集】プリメラ《フラメンコ魂》バイレの一曲入魂 の記事はこちらから * 【特集】プリメラの仲間たち2025 の記事はこちらから =====
- 【news】「能楽×フラメンコ」コンサートに沖仁が出演
(martes, 26 de agosto 2025) (写真左から)福田亮、一噌幸弘、沖仁 自身のソロ活動や様々なジャンルのミュージシャンとの共演などで活躍するフラメンコギタリスト、沖仁さんと能楽師一噌流笛方の一噌 (いっそう、*「噌」はくちへんに曾) 幸弘さんとの共演コンサートが、10月に東京・矢来能楽堂で開催されます。 今回の公演は、安土桃山時代からの伝統を受け継ぐ能楽師笛方として活躍する一噌さんからのオファーによるもの。「高校生の時にパコ・デ・ルシアらのスーパーギタートリオの演奏を実際に聴いて衝撃を受け、フラメンコに興味を持ちました。そして沖さんの存在を知り、いつか共演したいとずっと思っていたんです」 共演にはインドの打楽器タブラ奏者の吉見征樹さんとベーシスト福田亮さんを迎え、プログラムは互いのソロ演奏の他に、日本の古典やスペインの名曲、現代音楽など、地域や時代の枠を越えて選ばれた魅力的な楽曲をラインナップ。 これまで様々な音楽ジャンルとの共演を重ねてきた沖さんは、「昔はそれぞれの音楽に壁はないと思って活動してきたけど、長年いろんなジャンルとの共演を重ねるうちに、逆に壁は厚いと改めて感じるようになった。でもそれは、みな自分の音楽に真剣であるからこそ。だから互いの違いを認めて敬意を払うことで、より良い形で協演できるのではないかと感じています。それぞれ違うところから来ていることを前提にすれば、無限に遊べるし繋がれる。そういう瞬間をきっと楽しんでもらえると思います」と意気込みを語りました。 一噌さんが演奏するのはメインの能管をはじめ、散楽 (さんがく) を再現するために自ら開発した田楽笛、西洋楽器のリコーダーや角笛など、様々な笛の音色で古典芸能の幽玄な世界観を表現します。 「本来芸術とは、何かと何かの融合で出来ているもの。世阿弥や観阿弥も当時のフュージョンだった。何かをコラボするとき、それぞれの良さが薄まってしまうことがありますが、そうではなく互いの魅力が濃くなるような、意味のある融合を目指したい。当日は即興パートもあります」 エレキベースの福田さんは、能楽とフラメンコギターをうまくつなぐ“接着剤”のような役割を果たしたいと言います。「どちらも伝統があり強い個性を持つ独特な文化なので、適度に距離をとって伝統に取り込まれないようにしたいですね」 国の『登録有形文化財(建造物)』にも指定される能楽堂を舞台に、個性あふれる4人のミュージシャンによる「異種格闘音楽」とも言うべきステージをお楽しみください。 【能楽師一噌流笛方 一噌幸弘×フラメンコギタリスト 沖仁】 [日時]2025年10月11日(土) ① 14:00開演(13:30開場) ② 17:00開演(16:30開場) ※同一プログラム、各回80分休憩無し [場所]矢来能楽堂 (東京メトロ東西線「神楽坂駅」より徒歩2分) [出演] 一噌幸弘(能管、篠笛、田楽笛ほか) 沖仁(フラメンコギター) 吉見征樹(タブラ) 福田亮(ベース) [プログラム] 能楽古典:『三番叟』 アルベニス:アストゥリアス アル・ディ・メオラ&パコ・デ・ルシア:地中海の舞踏/広い河 ロドリーゴ(沖仁編曲):アランフェス協奏曲第二楽章アダージョ 一噌幸弘編曲:『道成寺』より乱拍子、急ノ舞 ジスモンティ(マクラフリン&パコ・デ・ルシア編曲):フレヴォ 沖仁:ファンタスマⅤ 一噌幸弘:空乱12拍子 [チケット料金]*全席指定・税込 S席 6,500円 学生3,000円 ※学生券はムジカキアラでのみ取扱い(対象:小学生~25歳以下) ※未就学児の入場はご遠慮ください [チケット取扱い] ・イープラス ・チケットぴあ(Pコード:300-413) ・ムジカキアラ [予約・問]ムジカキアラ Tel. 03-6431-8186(平日10~18時) Email info@musicachiara.com [主催]一般社団法人 伝統文化交流協会 (撮影クレジット) 一噌幸弘 ⒸJunko Kaisato 沖仁 ⒸKohta Nunokawa =====
- わが心のスペイン vol.21
(martes, 26 de agosto 2025) 南房総と南スペインで田舎暮らしを楽しむ、石井崇が描くスペインの情景。 『風車の昔に』 スペインの中央部、ドンキホーテが跋扈していたラマンチャ地方は川が少なく、 小麦を粉にするには風車が必要です。 やはりスペインを代表するシンボルになっていますね。 ( 写真はフェレイローラ村 ) 【プロフィール】 石井崇(Takashi Ishii) /画家。1942年東京・京橋生まれ。東京芸術大学卒業後、1975年単身スペインに渡り、村祭りを回るテキヤ業などでしのぐ。セビリア郊外アルカラ・デ・グアダイラに居住。1989年よりグラナダ・アルプハーラ(Alpujarra)地方にあるフェレイローラ村(Ferreirola)にアトリエを構え、今はフェレイローラ村と南房総館山をふたつの故郷とし、田舎暮らしを楽しんでいる。著作は「おれたちがジプシーだったとき」、「詩画集プラテーロとわたし」、「スペイン四季暦」、「南スペイン、白い村の陽だまりから」、画集「イシイタカシの世界」など。2004年「館山親善ふるさと大使」に任命、全国大学フラメンコ大会を企画。 ホームページ「イシイタカシの世界」 http://www.oliva2004.net/index.html ======
- アーティスト名鑑 vol.26
(jueves, 21 de agosto 2025) スペイン在住30年以上、多数の一流フラメンコ・アーティストらとも親交のあるフラメンコ・ジャーナリスト志風恭子が、歌・踊り・ギターそれぞれの代表的アーティストらのプロフィールをピックアップ。過去の取材で撮影した写真や、チェックしておきたい動画などもご紹介します。 文/志風恭子 Texto por Kyoko Shikaze フアン・ホセ・アマドール(カンテ) マリア・パヘス(バイレ) ヘラルド・ヌニェス(ギター) *名鑑登場アーティスト一覧は こちらから Juan José Amador Amador “Juan José Amador” Sevilla, 1960 フアン・ホセ・アマドール 本名 フアン・ホセ・アマドール・アマドール 1960年 セビージャ生まれ 舞踊伴唱の名手として真っ先に名が上がるだろう一人。声がよく音程コンパスはもちろんのこと、さらに芝居っけもあり、あらすじがあるような作品でのパフォーマンスも素晴らしい。子供の頃からプロとして歌い1975年にソロでシングルをリリース、従兄弟にあたるパタ・ネグラのアルバム『ロック・ヒターノ』(1982年)などにも参加。マリオ・マジャ、マヌエラ・カラスコ、マティルデ・コラル、ファルーコ、クリスティーナ・オヨス、イスラエル・ガルバンら、フラメンコの歴史に名を残す超一流の舞踊家たちを数多く伴唱。ソロアルバム録音はないが、ラファエル・リケーニのアルバム「スイテ・セビージャ」などに参加。同姓同名の息子、フアン・ホセ・アマドール、“ペッレ”も歌い手でありスペイン国立バレエ団などで活躍中。 2011年トリアーナにて©︎ Kyoko Shikaze 【動画】 1998年、フラメンコ番組でのタンゴ。伴奏はパコ・ハラーナ。 https://youtu.be/FkHLwz8cNiA?si=QY4t4pAOpONG95p0 2005年放映のイスラエル・ガルバンの舞踊伴唱をエンリケ・エル・エストレメーニョと。ギターはヘラルド・ヌニェス。 https://youtu.be/UMf2uJ4ORZU?si=k_SmNqxWE91wme_A 2022年ビエナルでの公演。イスラエル・ガルバン作品でもお馴染みのピアニスト、アレハンドロ・ロハス・マルコスとラッパー、フアニナッカとの共演。 https://youtu.be/EQq8h_3kzZ0?si=q_AGx5II1s9bqVEa 2024年セビージャ県パロマーレスにて、右はモイ・デ・モロン ©︎ Kyoko Shikaze María Jesús Pagés Madrigal “María Pagés” Sevilla, 1963 マリア・パヘス 本名 マリア・ヘスス・パヘス・マドリガル 1963年セビージャ生まれ 長身、長い手足を柔らかに体に巻きつくかのように自在に操る独特の舞踊スタイル、スタイリッシュな作品作りでスペインを代表するフラメンコ舞踊家の一人。4歳から踊り、マティルデ・コラルやマノロ・マリンに師事。マリア・ロサ、ラファエル・アギラール、アントニオ・ガデス舞踊団を経て独立。96年にはアンダルシア舞踊団監督として『アンダルシアの犬』を公演。フラメンコ以外の音楽をフラメンコのテクニックで踊った作品は新鮮で話題をよんだ。以後、自らの舞踊団で『ラ・ティラナ』『セビージャ』『ジョ、カルメン』など数々の作品を上演。マントンやアバニコ、カスタネット、バストンなど伝統的な小道具使いやユーモアを交えたりなどの工夫で効果的に見せる。来日公演も多い。 2018年 セビージャにて ©︎ Kyoko Shikaze 【動画】 1990年のタラント。1988年のビエナルでの若手コンクールで優勝こそ逃したものの、多くの人に強い印象を残した彼女の代表曲と言われたのがタラント。オーソドックスな形。 https://youtu.be/TKxTsoxceo0?si=jAsrNVBMd_25Dupu 2005年、同じくタラントだが構成も違う進化形。衣装も映画『カルロス・サウラのフラメンコ』のペテネーラで着ていたようなシンプルなもの。 https://youtu.be/AfGwNMnWQ9o?si=_dmuTUOTbeOWKPoF 2006年『セビージャ』は東京初演で初演には日本のダンサーも参加した。 https://youtu.be/3cybupfR49g?si=hAYkApTWUodr2ex- 2009年作品『ドゥーナス』はコンテンポラリーのシディ・ラルビ・シャンカウイと共演したこの上もなく美しい作品。 https://youtu.be/9wHXXCWosC0?si=z1gWHcTXiaolrA8Q 2022年作品『デ・シェエラサーデ』からマリアのソロと群舞など。 https://youtu.be/xCiCBRrFXgY?si=ZgrrWbPyTmR3pBSa 2014年 ©︎ Antonio Acedo Bienal de Flamenco Gerardo Núñez Díaz “Gerardo Núñez” Jerez de la Frontera(Cádiz),29-6- 1961 ヘラルド・ヌニェス 本名 ヘラルド・ヌニェス・ディアス 1961年6月29日カディス県ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ生まれ 無音も含めた音のコントロール、間合いの良さ。フラメンコの故郷ヘレス生まれながらジャズとの共演も多く、独自のフラメンコ世界を築き上げたヘラルドはヘレスのギター名教授ラファエル・デ・アギラ門下。10代からエル・ボリーコら名だたる歌い手たちを伴奏。1981年パコ・セペーロ、ランカピーノとの日本ツアーに参加。帰国後マリオ・マジャ舞踊団へ『アイ、ホンド』に出演。退団後はパートナーである踊り手カルメン・コルテスとのグループやジャズ・ミュージシャンとの共演などで活躍。87年ソロアルバム『エル・ガジョ・アスル』をリリース。カルメンの作品『サロメ』やジャズとの共演作など10枚以上のアルバムをリリース。また別宅を持つサンルーカル・デ・バラメーダで1990年から毎年7月にクルシージョも行っている。 2004年 【動画】 2004年フラメンコ番組で、セピージョ、パブロ・マルティンとの黄金トリオでの演奏『セビージャ』。間合いの良さが最高。 https://youtu.be/7WLgio_JugQ?si=6rbQlh1fmZ_dt4F4 2010年 ブレリア。カホンはセピージョ https://youtu.be/wGu4mhfbY9E?si=JkEBYESh4DZNVh5S 2024年パンプローナのフェスティバル、バルコニーでの演奏。 https://youtu.be/BaJ2Bm8XGIY?si=-9Zwp5Y21t8s9bfJ 2007年ラ・ウニオン。踊りはカルメン・コルテス、歌はヘスス・メンデス 2010年サンルーカルにて ©︎ Kyoko Shikaze 【筆者プロフィール】 志風恭子(Kyoko Shikaze) /1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。 =====
- Dr.ファロのフラメンコ・クリニック vol.5
(miércoles, 20 de agosto 2025) 大阪を拠点に活動し、劇場公演からタブラオライブまで日本各地で大活躍中の若手フラメンコダンサー、ファロリート(Farolito)こと出水宏輝さんが、フラメンコを愛する皆様の様々なお悩みに、親切&丁寧にアドバイス。 その処方箋は、もしかしたらあなたの役にも立つかもしれません。 尚こちらのクリニックは、2か月毎に診察いたします。 文/出水宏輝 Texto por Kouki Demizu ©萩森琴美 Q1. パルマがなかなか上手くなりません。 特にシギリージャのマチョの時は速くて付いていけません。 また、裏拍に入れるのも難しいです。 速く打てるようになったり、裏拍に綺麗に入れるための練習法などパルマ上達のためにやるべきことやがあればぜひ教えて欲しいです。 よろしくお願いします。 (ペンネーム:雪国のゆきちゃん さん) ▶︎僕もなかなか上手くなりません。難しいです。 そんななか僕が心がけていることは「相手を思いやる」ということです。 例えば踊り手がどのように踊りたそうにしているか、ギターリストがどうファルセータを弾こうとしたいか、歌い手がどのように歌を歌っているか。 そこを意識すれば少しでも華やかに添えられるのかな?と思います。 シギリージャのマチョなどテンポが速い時こそ、力みすぎないことが必要かと思います。力むと目一杯叩こうとして変に力が入ってしまい、遅れたり早くなる要因にもなります。 僕は少しでもパルマが上手く叩けるように、いろいろなフラメンコ音楽を聞いて、耳を鍛えようと努力しています。音楽のなかにあるcorteがアクセントと違うところにあったらどう叩こうと思えるか。さまざまなやり方を耳に聞き入れておくことが大事なのかなと思います。 ===== Q2. フラメンコ独特のペソのある動きに憧れます。内面から染み出る事の他、技術的にどんな事を意識したら良いでしょうか? 重心、可動域を出した方が良い箇所、安定させた方がいい箇所など、アドバイスありましたらお願いします。 (ペンネーム:ayay さん) ▶︎ ペソのある動き、僕も憧れます。どんなことを意識すればできるようになるのか、僕も模索中ではあります。 意識していることは足の裏へ重心を満遍なく巡らせて立つ、マルカールする、エスコビージャをする。そうすることで少しは重さが出るのかな?と思います。 上半身を引き上げる意識がある方がたくさんいらっしゃいますが、その対(つい)で下半身も床に吸い付かせる意識を持つとより一層重みが出ると思います。 腰を安定させて尾骶骨 (びていこつ) から上に引き上げて立つ。 そう意識することで身体から重みが表現できるかと思います。 あとはよく食べて、よく寝ることですかね?(笑) 【アナタのお悩み募集中!】 フラメンコについて何かお悩みはありませんか?ソロや群舞の踊りの事はもちろん、パルマやコンパス、練習方法や留学のことまで、ファロさんがナイスな!?アドバイスを処方してくれます。 ご質問を採用させていただいた方には、500円のギフトカードをプレゼント☆ 練習生・プロ・セミプロ問わず、ファロさんにお悩み事を診察してほしい方は、質問内容・お名前(&ペンネーム)・電話番号をご記入の上、 info@flamencofan.net までご質問お待ちしています!(編集部) ©Shigeto Imura 【プロフィール】 出水宏輝(Kouki Demizu) /10歳の時に石川敬子フラメンコ教室にてフラメンコを始め、田中光夫氏にギター・カンテを、舞踊・パルマを棚原美和氏に師事。14歳のときにタブラオ ロス・ヒターノスで男性舞踊手としてプロデビュー。2014年、官民協働海外留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」の1期生として1年間スペイン留学。2018年第1回全日本フラメンココンクールで努力賞、2019年日本フラメンコ協会第28回フラメンコ・ルネサンス21「新人公演」で奨励賞、2021年第10回エルスール財団新人賞(フラメンコ部門)を受賞。 また、2018年摂南大学入学宣誓式にて、在学生300名以上とフラメンコのフラッシュモブを大阪城ホールにて実施。 現在、大阪を拠点としながら全国各地で精力的に活動している。 ☆活動情報はこちらから。 https://lit.link/farolitoflamenco =====











