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スペインNews 9月号・2025

  • norique
  • 9月6日
  • 読了時間: 14分

(sábado, 6 de septiembre 2025)

 

文・写真/志風恭子

Texto y fotos por Kyoko Shikaze

 

《INDEX》

 

セビージャは今年も最高気温が公式で44度、街頭の温度計は50度という、熱波襲来。ひと昔、ふた昔前までは8月のスペインは海辺以外の街中は人も車もいなくなり、フラメンコのクラスも全休。みんなバカシオネス、バケーションでいなくなるのでペーニャも劇場公演もお休み、フラメンコといえば夜遅く始まり朝方まで続く村のフェスティバルだけ、という感じだったのですが、スタジオがエアコン完備となり、マドリードやヘレスでは夏季集中クラスも毎年いくつか開講されています。それでもとにかく暑いこの季節、外に出て動けるのは午前中か夜21時以降という感じなので、観光にも短期留学にもお勧めしません。どうしてもこの期間しか休めないというのなら、マドリードのクルシージョで夜タブラオ、ヘレスのクルシージョで金曜のフラメンコ公演などを観て、午後か週末にはサンルーカルやカディスなどの海に足を伸ばすということもできるので、どうしても夏しか休みが取れないフラメンコ練習生は夏の超短期留学を兼ねた夏休みも不可能ではありません。マドリードでもヘレスでも週に1度くらいはタブラオ以外のフラメンコ公演も行われているようですが、もし観る聴く専門で行くならフェスティバルに行くというのもいい方法です。8月に行われる中規模のフラメンコ・フェスティバルを二つご紹介しましょう。

 


【カンテ・デ・ラス・ミーナス】

 スペインで最も有名なフラメンコ・コンクール、カンテ・デ・ラス・ミーナス国際フェスティバルは。毎年8月の初めに、スペイン南東部、ムルシア州の小さな町、ラ・ウニオンで開催される歴史のあるフェスティバルです。前半は第一線で活躍するアーティストたちによるガラ公演、後半がコンクールという構成。

 

このフェスティバルに昔からスペイン各地のペーニャ、フラメンコ愛好会の人たちが集まってくるのは、10日間ほどと短期間なことと、夏休み期間で仕事を休みやすいのがその理由ではないかと考えられます。セビージャからだとカルタヘナまでバスで9時間、マドリードからだとバスで5時間、そしてカルタヘナからバスで20分。どこからでもそこそこ遠いこの町は海こそ近いものの、これといった観光名所があるわけではないので、普段は静かな町ですが、フェスティバルの時はそれなりに賑やかになるのです。遠い道のりをものともせず出かけた私は、ここでだけ毎年顔を合わせるおじさんたちに今年もご挨拶。

 

ヘレスのフェスティバルやセビージャのビエナルと違って、このフェスティバルではこれまでも参加者とその関係者以外ほとんど日本の人を見かけることはないのですが、去年の萩原淳子が優勝した影響もあったのでしょうか、日本人のフラメンコファンも何人かお見かけしました。ヘレスやセビージャとは一味違うフェスティバルを楽しんで頂けたなら、90年代から時々やってきている者としてもうれしいです。

 

第64回となる今年のフェスティバルは、7月30日から8月9日まで開催されました。30日の前夜祭では、地元の楽団や合唱団に続き、地元ラ・ウニオンが誇る歌い手、エンカルナシオン・フェルナンデスがマラゲーニャやカンティーニャ、ムルシアーナ、ミネーラ、ガロティンなどを歌い継ぎ、地元の舞踊教室生徒によるファルーカ、バタ・デ・コーラにマントンでのカラコーレスと続きました。


ビデオはこちら


初日は、スペインの人気ドラマシリーズに主演していたベテラン俳優イマノル・アリアスが、友人の、フラメンコの詞も書いていた作家の思い出から彼が書いた詩をモチーフにしたフラメンコがテーマの舞台作品の一部を地元のギタリスト、アントニオ・ヌニェスのギターとラウル・ヒメネスのカンテとともに朗読するという形で行いました。


A_2509スペインNews_カンテデラスミナス


その後は優勝者ガラ。まずはトロボという即興で歌のように語る、ラップの元祖みたいなコンクールの覇者が登場。続いて、今年3月に開催された2007年から2011年に生まれた人(14〜18歳)対象の舞踊コンクールで優勝したマティアス・カンポスがソレアを。これはもう本選に出場しても優勝できるだけの実力者で、若さに似合わぬ落ち着きのあるマルカヘには重みもありすでに風格すら感じられ、力強い怒涛のサパテアードといい対比をみせています。2022年に13歳でテレビ番組『ゴット・タレント』出演、翌年にはカナルスールの同様の番組で優勝、アントニオ・カナーレスとも劇場公演で共演しています。まだマラガの舞踊専門学院在学中とのことですが、すでにプロとしてソロでフェスティバルやタブラオでも踊るなど活躍しています。マリオ・マジャやグイトなど先達のエッセンスを感じさせる若き才能。これからの展開も楽しみです。


B_2509スペインNews_マティアス・カンポス


続いて、昨年の楽器部門優勝、チェロ奏者のホセ“エル・マルケス”はオリジナルのガロティンとアレグリアスを独奏。チェロという楽器ならではの演奏によるフラメンコ。メロディや調整だけでなく、しっかりコンパスをキープしているのは、これまでにラファエラ・カラスコなど数多くのフラメンコアーティストと共演してきたからでありましょう。


C_2509スペインNews_ホセ・エル・マルケス


最後は、ジョニ・ヒメネスとの共演でグラナイーナ。


D_2509スペインNews_ホセ・エル・マルケス_ジョニ・ヒメネス


そして舞踊部門で優勝した萩原淳子のタラント。抑えた色調のシンプルな衣装は、シリアスな曲のタラントにも、カンテを尊重したドラマチックな彼女の振付にもよくあっています。


E_2509スペインNews_萩原淳子


スカート下が赤いのは感情を抑えた中にある秘めた熱情、なのかもしれませんね。


F_2509スペインNews_萩原淳子2


再びギター部門優勝のジョニ・ヒメネス登場。この人のソロは去年のコンクールで初めて聴いたのですが、聴くたびに泣かされます。一つ一つの音に重みがあり、間合いが絶妙なのです。時折挟む、パコ・デ・ルシアのフレーズを誰よりもしっかり再現しているのもうれしい。マドリード出身で、歌伴奏、舞踊伴奏、ソロとオールマイティーに活躍中です。


2509スペインNews_ジョニ・ヒメネス


最後はヘスス・コルバチョ、エル・マルケスとグアヒーラ。メロディアスな曲が絶品のヘススだけにこれまた最高。


2509スペインNews_ヘスス・コルバチョ

同じ年に優勝したということで、各地で共演を重ねることで親密さが増して、こんな共演が生まれるのは本当にうれしいことですね。

 

再び萩原でアレグリアス。バタ・デ・コーラにマントンの王道アレグリアスを華やかに。技術をしっかり身につけているので安心して見ていられるのは言うまでもありません。


2509スペインNews_萩原淳子アレグリアス

2509スペインNews_萩原淳子アレグリアス2


最後はヘスス・コルバチョ。客席から登場してプレゴン、舞台に上がってミネーラ、ソレア、カンティーニャ…


2509スペインNews_ヘスス・コルバチョ

と歌い継いで夜は更けていくのでありました。

 

ビデオはこちら。マティアス君の踊りのとこからにしてます。その前のも見ることができますよ。


その後、2日目はギタリスト、アントニオ・レイのリサイタル、


2509スペインNews_アントニオ・レイ
©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas

3日目はサラ・バラスによる、パコ・デ・ルシアへのオマージュ『ブエラ』


2509スペインNews_サラ・バラス
©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas

4日目はヘスス・カルモナの新作『ウニードス』初演。2012年舞踊部門で優勝のヘスス。2016年準決勝で素晴らしいパフォーマンスを見せたルシア・カンピージョ、この公私共にパートナーである二人のパレハでのタラントも素晴らしすぎましたが、とにかくヘススがすごい。身体能力、体幹が人間離れしてるというか、フラメンコ界でも1、2、を争うのでは? 形の美しさ、強さ、そしてフラメンコ性。私的には、文句なく、今年のガラ公演の中でのナンバーワンでありました。ホセ・バレンシアとフアン・レケーナがゲストに回ってしまい、前半の伴唱伴奏の若手がちょっと物足りないのが玉に瑕、といったところでしょうか。ヘレスかどっかでまた見ることができるといいな。


2509スペインNews_ヘスス・カルモナ

2509スペインNews_ルシア・カンピージョ
©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas

5日目はヘレスのエセキエル・ベニテスとマイテ・マルティンのカンテリサイタル、


2509スペインNews_エセキエル・ベニテス
©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas

2509スペインNews_マイテ・マルティン
©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas

そしてガラ最終日は、アンダルシア舞踊団のフラメンコ組曲『ティエラ・ベンディータ』でした。


2509スペインNews_アンダルシア舞踊団

8月6日は6、7月にスペイン各地で行われた予選を勝ち抜いたコンクール準決勝が3日間。その最終日、金曜深夜に決勝進出者が発表され9日に決勝が行われました。

 

結果は以下の通り。


大賞/ランパラ・ミネーラ

グレゴリオ・モジャ


昨年は決勝に進んだものの賞には手が届かなかった彼は今回、参加したすべての部門で優勝、伴奏したパコ・コルテスも伴奏者が対象の審査員特別賞を受賞と、6冠の帝王。1984年ラ・マンチャ地方、アルガマシージャ・デ・アルバという街の出身。エンリケ・モレンテの影響を大きく受けています。10代から各地のコンクールに出場し、ペーニャやフェスティバルで活躍しているそう。今後、活躍の幅がより広がることでしょう。


S_2509スペインNews_グレゴリオ・モジャ
©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas

 

楽器部門 

優勝 ホセ・カルロス・アンサ/ピアノ


トマティートの妹の息子、つまり甥っ子だそうです。タランタも良いけどブレリアが最高! 他のピアニストの誰にも似ていないのもいいな。


2509スペインNews_ホセ・カルロス・アンサ
©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas

準優勝 オスタリンダ/フルート


1980年、エストレマドゥーラはサフラ生まれ。ヨーロッパで初めてフルート専攻で音楽学校で大卒相当の資格を取ったヒターナだそう。抜群のリズム感が魅力。


2509スペインNews_オスタリンダ
©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas

舞踊部門

優勝 サロメ・ラミレス


日本でもお馴染み、ヘレス出身のサロメ。90年生まれというから35歳。新進気鋭の若手というイメージがあったけど、いつの間にか中堅ですね。歌に敬意を払ってしっかり踊るフラメンカ。


2509スペインNews_サロメ・ラミレス
©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas

 

準優勝 ホセ・ビーニャス


カディス県出身だけど、マドリード在住で主にタブラオで活躍中とか。


2509スペインNews_ホセ・ビーニャス
©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas

 

ギター部門

優勝 該当者なし

     

準優勝 トニ・アベジャン


バルセロナ近郊マタロー出身で各地のコンクール入賞しているそう。


2509スペインNews_トニ・アベジャン


マリアノ・コンデ特別賞(16歳から25歳のギタリストが対象)

サムエル・デ・エンカルニ


(左利きのギタリスト。決勝には進めませんでしたが、伴奏も含めた若手ギタリストの中から選ばれ、マリアノ・コンデのセカンドラインのギターが贈られました)


2509スペインNews_サムエル・デ・エンカルニ

カンテ部門III

・低アンダルシアのカンテ トナ、シギリージャ。ソレアレス、カーニャ、ポロ、リビアーナ、セラーナス

該当者なし


・低アンダルシアのカンテ ブレリア、カンティーニャス、タンゴス、ティエントス、ペテネーラ、ファルーカ、ファンダンゴ・ペルソナレスなど

グレゴリオ・モジャ(マリアーナ)


2509スペインNews_グレゴリオ・モジャ

 

カンテ部門II

マラガ、グラナダ、コルドバ、ウエルバの歌、アンダルシアのファンダンゴ由来の他の歌。


・マラゲーニャ、グラナイーナ・イ・メディア・グラナイーナ、グラナダ、ウエルバ、ルセーナのファンダンゴ、ベルディアーレス、ロンデーニャス、ハベーラ、ハベゴーテ、そのほかのフラメンコの要素のある、地方ファンダンゴ。

グレゴリオ・モジャ(マラゲーニャ)

 

カンテ部門I

・ムルシアーナとその他のカンテス・ミネーロス(タラント、レバンティーカ、ファンダンゴ・ミネーロ、カンテス・デ・マドゥルガーなど

ホセ・デル・カジ(レバンティーカ)


コルドバ出身、マドリード在住でタブラオを中心に活躍中。


2509スペインNews_ホセ・デル・カジ
©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas

 ・タランタス

フランシスコ・エレディア


昨年もタランタ部門で受賞している、ハエン出身の歌い手です。


2509スペインNews_フランシスコ・エレディア
©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas

 ・カルタヘネーラス

グレゴリオ・モジャ


・ミネーラス

グレゴリオ・モジャ

 

審査員特別賞

パコ・コルテス/グレゴリオ・モジャの伴奏

 

受賞者のみなさん、おめでとうございます。


2509スペインNews_カンテ・デ・ラス・ミーナス授賞式
©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas

なお、旧公設市場で行われるメインのガラ公演、コンクールの他にも、夜中には市内のレストランやバーなどで無料で見ることができるフラメンコ公演があったり、フラメンコの功労者への表彰があったり、1日だけの舞踊マスタークラス(去年はルベン・オルモ、今年はエドゥアルド・ゲレロが講師)が開講されたり、フラメンコ関係の書籍やCDなどのプレゼンテーションがあったりと、いろんなイベントがあります。

 


【フラメンコ・オン・ファイア】


2509スペインNews_マカニータ
8月29日マカニータはマヌエル・バレンシアの伴奏で ©︎ Flamenco on Fire

 

8月末に牛追い祭りで有名な北スペイン、ナバラ地方のパンプローナで開催されるのがフラメンコ・オン・ファイア。こちらは今年でまだ12回目と、50年以上の歴史を誇る夏のフェスティバルも多いので、フラメンコ祭の中では新しい方に入ります。実は私もまだ行ったことがないのですが、こちらもパンプローナ市内での公演に限れば開催期間はほぼ1週間と短く、同じ日に時間をずらしていくつもの公演があり、フラメンコを集中して楽しみたい人には良いかもしれません。大劇場公演もあれば、中劇場やライブハウス、ホテルでの深夜23時半の公演もあり、と会場もバラエティに富んでいます。

 

このフェスティバルで有名なのはバルコン、バルコニーから広場に向かって歌ったり演奏したりの無料のライブ。無料ということもあって、いつも大勢の観客が詰めかけているようです。


2509スペインNews_トマティート
8月30日にはトマティートもバルコニーから演奏 ©︎ Flamenco on Fire

なお、フラメンコとは縁遠いと思われがちな北スペインですが、ここパンプローナはフラメンコ・ギターの歴史上の重要な存在、サビーカスの生まれ故郷ということもあって、当初から、その他のフラメンコ祭に比べても、ギター公演の重要性が高いように思われます。

中でも、2025年で3回目となった『アルサプア』と題された劇場公演では、普段は見られないギタリストたちの共演で注目されています。今年はヘラルド・ヌニェス、マノロ・フランコ、ラファエル・リケーニ、ホセ・アントニオ・ロドリゲスという同世代の4人のギタリストと、やはり同世代のアントニオ・カナーレスが共演したそうです。


2509スペインNews_「アルサプアⅢ」
8月27日『アルサプアIII』 ©︎ Flamenco on Fire

他にも、この作品に出演したホセ・アントニオ・ロドリゲスやダビ・セレドゥエラ、アルフレド・ラゴスらのギターソロ公演や、イスマエル・デ・ロサ“ボラ”やマヌエル・デ・トマサ、エスメラルダ・ランカピーノら若手のカンテリサイタルがあったり、と充実したプログラムだったようです。


2509スペインNews_エスメラルダ・ランカピーノ

8月30日エスメラルダ・ランカピーノはノノ・レジェスの伴奏で、牛追い祭りのシンボルでもある赤いチーフを巻いています ©︎ Flamenco on Fire

 

なお、フラメンコ・オン・ファイアというフェスティバルの名前も、サビーカスのアルバムの名前からついているそうですよ。


2509スペインNews_サビーカス

 

もちろん、ギターだけでなくカンテのリサイタルや舞踊公演も。今年はアントニオ・ナハーロ舞踊団が公演しました。


2509スペインNews_アントニオ・ナハーロ舞踊団
8月28日アントニオ・ナハーロ舞踊団 ©︎ Flamenco on Fire

また夜公演ではアルバ・エレディアも出演しました。


2509スペインNews_アルバ・エレディア
©︎ Flamenco on Fire

【訃報】

そのフェスティバル開催中に悲しいニュースが二つ。

ペリーコ・デル・ルナールとディエゴ・デ・モロンの訃報です。

8月30日、ペリーコ・デル・ルナール(イーホ、二世)が亡くなったと知ったのは、Facebookへのカルメン・リナーレスの投稿からでした。

 

亡くなったのは8月27日。85歳でした。本名ペドロ・デル・バジェ・カストロは1940年マドリード生まれ。ペリーコのアンソロジーとして知られる『アントロヒア・デ・カンテ・フラメンコ』で知られる同名の父の薫陶を受け、若い頃からタブラオ、サンブラで、ペリコンやラファエル・ロメロらベテランたちを多く伴奏。こちらのスペイン国営放送の番組(登録するだけで無料で見ることができます)でもラファエルを伴奏していますね。



1988年にはラファエル・ロメロと来日、古風で味わい深い太い音で観客を魅了しました。その後もエンリケ坂井の招きで何度か来日しています。写真は2002年、友繁健人さんプロデュースのCD『アントロヒア・フラメンカ』の記者会見の時のペリーコ。歌っているのはヘスス・エレディアです。

 

2509スペインNews_ペリーコ・デル・ルナール二世

 

そして翌日31日にはディエゴ・デ・モロンの訃報が。これもまたFacebookで、長らくモロンに住んでいた(今はヘレス)、ニューヨーク出身の元歌い手のフラメンコ研究家エステラ・サタニアの投稿からでした。


2509スペインNews_ディエゴ・デ・モロン
2018年ヘレスのフェスティバルで ©︎Javier Fergo Festival de Jerez

1947年4月18日生まれというから78歳。本名ディエゴ・トーレス・アマジャ。父は歌い手ホセレーロ、母はディエゴ・デル・ガストールの妹、つまりディエゴの甥、日本でもお馴染みの踊り手ペペ・トーレスの伯父にあたります。父の伴奏でプロとなり、1975年に父の伴奏2枚、ソロ2枚を録音。その後もう1枚も録音。伯父ディエゴ・デル・ガストールの演奏スタイルを引き継ぎながらも、独特の鬼気迫る演奏は一度聴いたら忘れられないことでしょう。1994年、日本フラメンコ協会の招きで来日。その模様を収録したライブ盤が98年に発売されました。


2509スペインNews_ディエゴ・デ・モロン


二人の、今風ではない、個性的な伝統を受け継いできたギタリストが続けて世を去ってしまい、とても寂しく思います。

 

【筆者プロフィール】

志風恭子(Kyoko Shikaze)/1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。

 

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