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台湾公演《美麗谎言 MENTIRA FORMOSA -美しい嘘-》

  • norique
  • 5 時間前
  • 読了時間: 4分

主催者リポート


(martes, 4 de noviembre 2025)

 

スペインの伝統芸術であるフラメンコは、海を越えて世界各地でも親しまれています。

私たちの日本が属するアジアでも、様々な国や地域でフラメンコの公演を企画・招聘して普及に積極的に取り組んでいる人々がいます。

今回は、今年5月に台湾で行われた公演《美麗谎言 MENTIRA FORMOSA -美しい嘘-》を企画・主催した現在シンガポール在住の中根信由さんにお話を伺いました。


A_0503台湾公演_集合©Takeshita Tomoya
日本チームと台湾チームが力を合わせ奇跡的な化学反応が生まれた ©Takeshita Tomoya

【公演開催への動機】

2023年に台湾でスタジオを運営する友達に「タブラオを行わないか?」と言っていただいたことが最初のきっかけです。ただタブラオは頻繁にスペイン人が来てやっているので、日本と台湾ならではの何か共通のものがないか?と思っていた時に、『日本人にも台湾人にもなりすました詐欺師、サルマナザール』の存在を知りました。この魅力的な人物によってインスパイアされて、この作品のコンセプトができました。


【キャスティング】

出演者の人選は、今までシンガポールに来たことのある人に声をかけました。(徳永康次郎さん以外)

佐藤浩希さんも森田志保さんもシンガポールでワークショップしていただいたことがあります。シンガポールに来たことのある今回のメンバーは、アジアでのフラメンコに何か興味を持ってくれると思いました。


B_0503台湾公演_佐藤©Takeshita Tomoya
©Takeshita Tomoya

【公演の概要】

飢えの時代においては飢餓状態にあった事実を、フラメンコで快楽状態という嘘で塗り変えていき、それが新しい真実となった。この自分につく昇華性のある嘘を「美しい嘘」と名付けよう。フラメンコの境地にたどり着くために美しい嘘をつき続ける男。はたまた嘘を排除し、自身のルーツさえも排除しながら真っすぐに真実に求め続ける女。

フラメンコの真実と嘘に向かえば向かうほど、「カンテ」「日本のルーツ」「台湾のルーツ」が浮き彫りになっていった。フラメンコの何かに成ろうとするポテンシャルは、台湾人になりきったサルマナザールの熱量と重なる。

台湾アボリジニの古謡が聞こえてくる。この歌声はスペインのギターも包み込み、日本も台湾もない、より原始的な風景を見せる。嘘をつき続ける男と真実を求め続ける女は綯い交ぜとなり、一つになって消えていく――。


日本人と台湾人が深い意味での国際交流を行い産まれた作品となりました。


C_0503台湾公演_森田©呉玉慈
©呉玉慈

【観客の反応】

2024年7月にタブラオ公演を行った時と同様に、台湾のお客様の反応は本当に温かかったです。その温かいリアクションから即興のフラメンコも多く生まれました。


【公演を振り返って】

台湾の限られたリハーサルの時間の中で、演出の佐藤浩希さんのもと、奇跡的な化学反応が起こっていきました。これは日本チームも台湾チームも一人一人ちゃんと準備して積み上げて来たからだと思います。


D_0503台湾公演_群舞©Takeshita Tomoya
©Takeshita Tomoya

【大変だったこと】

集客です。海外で公演を行うことの難しさを改めて痛感しました。集客不足は色々なところに問題が派生してしまいました。

それでも現地制作の方は最後まで努力してくださり本当にありがたかったです。


【今後への思い】

出演者のみなさん、台湾のお客様、たまたま通りかかった舞踊評論家の方まで!たくさんの方から「再演を!」と声をかけていただきました!

集客の課題をはじめ、たくさんの反省点をちゃんと乗り越えられるように見据えながら頑張っていきます。


* * * * *


E_0503台湾公演フライヤー

【公演情報】

《美麗谎言 MENTIRA FORMOSA》

[日程]2025年5月3日(土)・4日(日)

[会場]CASA LOLA/10491 Taipei Zhongshan SongJiang Rd. 2號B1

[出演]佐藤浩希・森田志保・権弓美・柏麻美子・Lu Lee・山﨑嬉星・中根信由・Lin Keng・中里眞央・Po Yin・徳永康次郎・Sergio Muñoz・小西みと



【主催団体プロフィール】

MANOFLAMENCO国際交流実行委員会

2023年、シンガポールのフラメンコフェスティバルにおいて 『REALM crossing time-』という作品を上演。フラメンコの死生観と世界中が経験したコロナ後の境界が引かれて分断された世界をテーマに、脚本、演出、主演をこなし好評を博す。

2024年1月には、大阪堺市のアーツカウンシルの協力のもと、『フラメンコ で世界とつながろう』という国際交流フラメンコイベントを開催。シンガポール、韓国、東京からフラメンコ愛好家が集結した。同年7月には、台湾でフラメンコのタブラオ公演やワークショップを開催した。

2025年5月にアーツカウンシル東京の助成のもと行った『MENTIRA FORMOSA 美麗謊言』は、台湾と日本に関する偽書を出版したペテン師からインスピレーションを得た、嘘は真実より真なりというフラメンコの根底のテーマに迫る作品となった。



F_中根信由_プロフィール写真©呉玉慈
©呉玉慈

【筆者プロフィール】

中根信由(Nobuyoshi Nakane)/2001年にフラメンコを始める。岡野裕子、アドリアン・ガリア、奥濱春彦、森田志保の各氏に師事。その後、鍵田真由美・佐藤浩希両氏に師事し、以降アルテイソレラのさまざまな公演に参加する。2013年よりシンガポールに渡り、NPO法人フラメンコシンフロンテーラスのさまざまな公演に参加する。2023年10月には脚本・演出を手掛けた【REALM-CROSSING TIME】をシンガポールで上演する。2024年1月には大阪・堺で【フラメンコで世界とつながろう】を企画。2025年5月には【MENTIRA FORMOSA-美しい嘘-】を台湾で企画し、好評を博した。


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