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スペインNews 4月号・2024

(miércoles, 3 de abril 2024)

 

文・写真/志風恭子

Texto y fotos por Kyoko Shikaze

 

ヘレスのフェスティバルが盛況のうち幕を閉じたかと思うと今度は聖週間。キリストがエルサレムに入った「枝の祝日」となる日曜日から、受難、そして復活までを記念するもので、もともとカトリック国で、現在もカトリック信者が圧倒的に多いスペインにとっては重要なイベントの一つです。セビージャやマラガなどアンダルシアの聖週間の行列は世界的にも有名で、市内の各教会からキリスト像、聖母像が大勢の信者や楽団を従えてカテドラルに行ってまた地元に帰ってきます。その聖像に歌いかけられるサエタはフラメンコファンにはお馴染みですね。その起源からいって無伴奏で歌われる、いわゆる“歌のための歌”なのですが、今年のヘレスのフェスティバルでは、サラ・バラスやホアキン・グリロの公演で使われていました。


セマナサンタ聖母像 志風恭子連載
街を行く聖母像 ©︎ Kyoko Shikaze

【ヘレスのフェスティバル各賞発表】

 ヘレスのフェスティバルの各賞が発表になりました。観客のWEB投票による観客賞はアルフォンソ・ロサとパトリシア・ゲレーロの『アルテル・エゴ』でした。この作品はジャーナリストらによる批評家賞も同時受賞しました。観客にも専門家にも高い評価を得たこの作品、昨秋マドリードのカナル劇場で初演されたものですが、この4月25日から3日間、サンタ・アナ広場に面したテアトロ・エスパニョルでも上演されます(https://www.teatroespanol.es/espectaculo/alter-ego)

 

 

また新人賞はヘレスの隣町、トレブヘーナ出身の舞踊家フアン・トマス・デ・ラ・モリア、


ギタリストを対象にした“ギターラ・コン・アルマ”賞は、ホセ・マルドナードとカレン・ルゴとの作品『トレス・ピエサ』に出演したチクエロ、


 オリジナル作曲賞は前述『アルテル・エゴ』に出演したマラガ出身のギタリスト、フランシスコ・ビヌエサでした。

 

【ロルカ賞】

 アンダルシアの舞台芸術アカデミーによる第10回ロルカ賞の授賞式が3月20日、セビージャのセントラル劇場で行われました。フラメンコ舞踊ではマリア・モレノとマヌエル・リニャンがそれぞれフラメンコ舞踊家賞女性、男性部門、フラメンコ作品部門(二作品同時受賞)を受賞。リニャンはこれに加えてフラメンコ振付賞も受賞。また舞踊部門ではダニエル・ドーニャのパートナーでともに志摩スペイン村のフラメンコショーの新しい振り付けを手がけたクリスティアン・マルティンの『アクト1。ルガル・デ・エンクエントロ(出会いの場所)』が作品賞と男性舞踊家賞の二賞を受賞しています。女性舞踊家賞を受賞したニエベス・ロサレスもスペイン舞踊も踊ります。やはりアンダルシアではフラメンコ/スペイン舞踊が強いのですね。

ロルカ賞 志風恭子連載

 

【グラナダのフェスティバル】

 スペインで最も歴史の長いフェスティバル、グラナダのフェスティバルが今年も開催されます。夜のアルハンブラやサン・ヘロニモ修道院など市内各所で行われる公演など、グラナダならではのもの。この時期グラナダを訪れるならぜひ見ておきたいものです。

グラナダのフェスティバル 志風恭子連載

 

◇第73回グラナダ・フェスティバル

(国際音楽舞踊祭)

6/7(金)~7/14(日)

※フラメンコ関連公演のみ


6/8(土)22時30分『ヘネラシオネス』

[出]〈b〉スペイン国立バレエ団

[場]グラナダ アランブラ内ヘネラリフェ劇場

6/18(火)21時30分

[出]〈b〉イスラエル・ガルバン、ベンハミン・アラルド

[場]グラナダ オスピタル・レアル内パティオ・デ・ロス・イノセンテス

6/20(木)22時30分『ウニベルソ・カディス』

[出]〈c〉ダビ・パロマール、〈g〉ルベン・ララ

[場]グラナダ パラシオ・デ・コルドバ

6/21(金)21時『ノスタルヒア・アニャディダ』

[出]〈c〉モンセ・コルテス、〈g〉マヌエル・ペラルタ

[場]グラナダ 市立音楽堂チュンベーラ

6/25(火)22時30分『ブエラ』

[出]〈b〉サラ・バラス舞踊団

[場]グラナダ アランブラ内ヘネラリフェ劇場

6/27(木)21時30分『カイダ・デル・シエロ』

[出]〈b〉ロシオ・モリーナ、〈g〉オスカル・ラゴ、〈c〉キコ・ペーニャ、〈perc〉オルーコ、パブロ・マルティン・ジョーンズ

[場]グラナダ イサベル・ラ・カトリカ劇場

6/28(金)21時『プロ・イ・サルバヘ』

[出]〈c〉エル・ペレ・〈〈g〉〉ニーニョ・セベ

[場]グラナダ 市立音楽堂チュンベーラ

6/28(金)22時30分『血の婚礼』『フラメンコ組曲』

[出]〈b〉アントニオ・ガデス舞踊団

[場]グラナダ アランブラ内ヘネラリフェ劇場

7/3(木)22時30分

[出]〈c〉エスペランサ・フェルナンデス、〈piano〉チャノ・ドミンゲス、〈perc〉ミゲル・フェルナンデス

[場]グラナダ パラシオ・デ・コルドバ

7/5(金)21時

[出]〈c〉キキ・モレンテ、〈g〉カルロス・デ・ハコバ

[場]グラナダ 市立音楽堂ラ・チュンベーラ

7/12(金)21時

[出]〈c,g〉クリスティアン・デ・モレ

[場]グラナダ 市立音楽堂ラ・チュンベーラ


ヘネラリフェ野外劇場 志風恭子連載

ヘネラリフェ野外劇場 ©︎ Festival de Granada Fermin Rodríguez

 

 なお、7月下旬から8月にはこの野外劇場で、パトリシア・ゲレーロ新監督率いるアンダルシア舞踊団の公演が行われる予定です。こちらもお楽しみに。


 

【筆者プロフィール】

志風恭子(Kyoko Shikaze)/1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。

 

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