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カンテフラメンコ奥の細道 on WEB no.59

  • 14 分前
  • 読了時間: 3分

(sábado, 11 de abril 2026)

 

文/エンリケ坂井

Texto por Enrique Sakai


2604_カンテフラメンコ奥の細道 on WEB 59_マラゲーニャ

Malagueña de El Canario


 これまでメジーソ、トゥリニ、チャコンのマラゲーニャを取り上げてきましたが、この他にも多くの(40種類以上)個人の名前を付けられたスタイルが存在し、その中で現在も良く歌われるものにエル・カナリオのスタイルがあります。

 カナリオとは鳥のカナリアのことで、庶民の間でもカナリアなどの鳥を飼ってそのさえずる鳴き声を楽しむ習慣が古くからあり、ちょっとした都市には鳥の市があります。

 私が住んでいたマドリードのフライ・セフェリーノ通りはそういう市のたつ所で、日曜日の朝は市に集まる人々のざわめきと鳥の鳴き声に目覚めた事を懐かしく想い出します。

 カナリオは又素晴らしい歌声を聴かせてくれるカンタオール達に付けられたニックネーム、そして芸名ですが、最も有名な歌い手としてはエル・カナリオとエル・カナリオ・チコ(小さい方のカナリオ)の二人がいて、ここで取り上げるのはエル・カナリオ、本名Juan de la Cruz Reyes Osuna(ファン・デ・ラ・クルス・レージェス・オスーナ)の方で、1857年6月30日にマラガ県のアロラ町出身、時たま名前をマヌエルと記した資料がありますがこれはカナリオ・チコ(Manuel Reina マヌエル・レイナ、カディス県ビジャマルティン出身)と混同したのではないかと言われていますが、二人は友人で一緒に撮った写真が残っています。


 

El Canarioのマラゲーニャ①


 エル・カナリオ自身は1885年、30歳にならぬうちに有名な事件で亡くなりましたから録音は残していませんが、彼のスタイルを受け継いだ歌い手達がレコードを残しました。

 今回はセバスティアン・エル・ペーナ(息子のペーナも著名なカンタオールなのでペーナ・パードレと呼ばれる事が多い)が1907年に残したゾノフォンの録音(グラン・クロニカ・デル・カンテVol.8に収録)から。

  

【Letra】

espía...

Vengo de poner espía

por ver si mi amante viene

al pie de Torre García; ay,

¡ no sé para mí qué tiene

el camino de Almería !

 

【訳】

見張りを…

恋人が来るのか見張る為に

ガルシアの塔の下に

見張りを置いて来たよ、

ああアルメリアに続く道よ

お前は私にとって何なんだ!

 

※espía ⇒スパイ、見張り

※Torre Garcíaはアルメリア市とガタ岬の間にある礼拝堂。

アルメリアに続く道に見張りまで置いて愛する人が来るのを待ちわびる男の歌。

 

 

 楽譜を見て下さい。他のマラゲーニャにはあまり見られないDm(ディーマイナー)の和音が出てきますね。

 G7(ジーセブン)かD7(ディーセブン)でも代用できますがDmを使うとこのマラゲーニャ独特のメロディーを引き立て、この歌の抒情的で深い味わいを表現できるのです。

 昔はこれをB♭(ビーフラット)で弾く人もいましたが、これはやや違和感があり現在ではDmを使うのがスタンダードになっていると言えるでしょう。


 

共通ロゴ_エンリケ坂井

【筆者プロフィール】

エンリケ坂井(ギタリスト/カンタオール)

1948年生まれ。1972年スペインに渡り多くの著名カンタオールと共演。帰国後カンテとパルマの会を主宰。チョコラーテらを招聘。著書『フラメンコを歌おう!』、CD『フラメンコの深い炎』、『グラン・クロニカ・デル・カンテ』vol.1~37(以下続刊)。2025年1月Círculo Flamenco de Madridから招かれ、ヘスス・メンデスと共演。

 

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