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アルテの泉 ~La Fuente del Arte~Ⅳ

(viernes, 29 de septiembre 2023)


フラメンコダンサーとして様々な舞台で活躍し、また舞踊作品の振付や演出、さらには教室を主宰するなど多才な活動を行っている田村陽子さんの連載を、毎月1回半年間にわたりお届けします。

第4回目となる今月は、奇数月のテーマ「バイレの現場から」について、公演準備のために滞在中のスペインからのリポートをご紹介します。


文・写真/田村陽子

Texto y foto por Yoko Tamura

アルテの泉 ~La Fuente del Arte~Ⅳ

Side B:バイレの現場から

「フラメンコの醍醐味」


 公演の準備の為にスペインに来ています。

 旅はいつだって楽しみがいっぱい。しかし、今はスペインが遠い。イベリアの直行便が無くなったので、必ずどこかで乗り継ぎが入ります。しかもロシア上空が通れないので何かと遠まわりしなくてはいけないので、フライト時間が長いこと…。

 出来る限り歩いたりしながら身体を動かしましたが、なかなか厳しい旅でした。

 こんな長旅を経て時差がある中で、演技を披露してくれるアーティスト達への尊敬の念がまた一つ増しました。

 身体を動かしている時間が長い踊り手にとっては、ジッとしている時間はとても苦痛なもの。乗り継ぎの空港で歩いた時には幸せを感じました。


 長旅を経て着いたセビージャはもう外国ではなくて、「Hola!! ただいま〜」と第二の故郷の様に感じます。着いて荷物を解いたら早速タブラオへ。すると偶然そこで、今回の公演に出演してくれるラモン・アマドールが弾いていました。やった♪やっぱり良いなぁ〜力強く美しいメロディはもちろんの事、踊りへの寄り添い方が最高です。歌い手はインマ・リベロとファン・カンタローテ。迫力のパルマに息ピッタリのハーモニーに蕩けます。このミュージシャン達だったら踊り手が乗らない訳がありません。それは素晴らしいショーでした。いきなりフラメンコのパワーを浴びました。


 それから日本在住の歌い手、エル・プラテアオ企画のステージへ。若手の日本舞踊手達が地元の観客の前で踊ります。私もスペインでは機会をいただき踊った事が何度かありますが、お客様達がとても温かいのです。きっと遠く離れた日本まで自国の文化が届き大切にされているのが嬉しいのでしょう。この日も皆がそれぞれの持ち味を生かして踊りきって、会場はスタンディングオーベーションでなんとも温かい空気で満たされました。この様な機会を下さるプラテアオ、ペーニャの皆さまに感謝の気持ちでいっぱいです。観に来ていたスペイン人アーティストと私も呼ばれて、フィンデフィエスタに参加しました。楽しいなぁー。

 本場のスペインで踊りを披露するというのはとても大きな事で、足が震えるほど緊張してしまうものです。その度に支えてくれるミュージシャンや仲間たちがいて「ひとりじゃない」と思える所がフラメンコの素晴らしさの一つ。みんなで支え合う雰囲気と、それを実感できた時の何とも言えない一体感はやみつきになります(笑) それは練習生も同じだと思います。


 発表会やお教室ライブでパルマやハレオで互いを応援し合い同じステージをシェアする事は、勉強になるのはもちろんの事フラメンコの楽しさを更に深く味わえる大切な機会だと思います。どんどん色々な事に挑戦してみると、知らない世界に出会ったり新たな発見があったり、今まで知らなかった自分にも会えるかもしれません。たくさんの方にフラメンコの醍醐味をもっと味わってほしいなと思います。


©清水洋子

【プロフィール】

田村陽子(Yoko Tamura)/フラメンコダンサー、フラメンコ教室「Estudio LA FUENTE」主宰。

幼少よりバレエ、バトントワリング、ジャズダンス等様々なジャンルの舞踊を習得。17歳のころより中井不二子、アントニオ・アロンソ、水村繁子らに師事した後2002年小松原庸子スペイン舞踊研究所に入所。同舞踊団の下、フラメンコやクラシコエスパニョールをスペインの著名アーティストらに指導を受け、国内外の公演に多数参加。2012年7月退団後は国内のタブラオ出演や多様なジャンルとのコラボレーション、テレビCM出演等多彩な活動をしている。また、スペイン留学を重ね多くの一流アーティストらに師事、研鑽を重ねつつ舞台やライブの創作活動にも意欲的に取り組む。

2011年第6回CAFフラメンコ・コンクール優勝。2015年フラメンコ生活20周年記念公演「Mirada∼Piano con Duende」にて平成27年度文化庁芸術祭新人賞受賞。



【公演情報】

Flamenco 公演

『La Serpiente ~蛇になった女~』

原案:安珍と清姫


<日時>

2023年11月3日金曜日 文化の日

17:30 開場 18:00 開演 


<場所>

セシオン杉並ホール


<助成>

スペイン舞踊振興MARUWA財団 令和2年度 助成事業


<後援>

スペイン大使館

一般社団法人 日本フラメンコ協会

一般社団法人 現代舞踊協会


<チケット>

S席12,000円

A席11,000円


<Cast>

Baile 踊り

女:田村陽子

男:Jesús Ortega

炎:Cristian Pérez

妻:浅見純子


正木清香

ヴォダルツ・クララ

久保田晴菜

脇川愛

松田知也(小島章司舞踊団所属)

中原潤


Cante 唄 : Rosario Amador/Paco El Plateao

Guitarra ギター:Ramón Amador

Violín バイオリン:平松加奈

Percusión パーカッション:海沼正利


<Staff>

構成・演出・振付・題字:田村陽子

振付:ヘスス・オルテガ/クリスティアン・ペレス

舞台監督:葛西伸一

音響:三上修次(東京音研)

照明:石島奈津子(東京舞台照明)

題字指導:柏木白光

へメイク:渡部圭依子

写真撮影:武重到

衣装デザイン:甲賀真理子(Mariko Kohga)

チラシ制作:今井悦子

主催・運営:エストゥディオ・ラ・フエンテ


<チケット予約・問い合わせ>


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