TRANSFORMACIÓN 東京公演
- norique
- 8月10日
- 読了時間: 3分
(domingo, 10 de agosto 2025)
2024年11月26日(火)
六本木バードランド(東京)
写真/川尻敏晴
Fotos por Toshiharu Kawajiri
文/金子功子
Texto por Noriko Kaneko

2020年10月から活動する革新的ピアノフラメンコユニット「TRANSFORMACIÓN」。これまでライブ内容によってメンバー構成を変えながら、新しいフラメンコの魅力を発信し続けている。
今回のライブは六本木にある老舗のレストランライブハウス、六本木バードランドの開店50周年を祝うアニバーサリーライブとして開催。メンバー構成は、その1か月前に行われた中国ライブツアーと同じ顔ぶれで迎えた。
1曲目は代表曲の「TRANSFORMACIÓN」。深みのあるピアノの重低音から始まり、チェロ、ギター、パーカッションと音色を重ねていく。その重層的な空気を、伊藤の足音が鋭く切り裂く。そしてそれぞれの音が絡み合い、ブレリアのリズムとともにステージを盛り上げていく。新生トランスフォルマシオン誕生の瞬間だ。
次の曲タンギージョは一転、明るく穏やかな曲調。ギターとピアノが紡ぐハーモニーやベースのピチカートプレイ、KANはカホンやシンバルで多彩な音色を響かせ、伊藤のパリージョも軽やかで美しい。
德永がスペイン留学時代に作曲したというグアヒーラ。少し速めの弾むようなテンポの曲をKANが安定のコンパスで支え、グルーヴ感に満ちた息の合った演奏に本人たちも楽しそう。

ティエントはスローで渋いメロディーの、重低音の魅力にフォーカスしたような曲。ピアノの叙情的なフレーズが心に染みてくる。
前半ステージの締めは、フラメンコピアニストとして有名なドランテスのブレリア。ドラマティックなピアノ演奏に合わせて伊藤が白のマントンを軽やかに翻し、全身で伸びやかに舞う姿が印象的だ。

後半はピアノをメインとしたアレグリアスからスタート。伊藤は真っ赤なバタ・デ・コーラを巧みにさばき、華やかでダイナミックな踊りを魅せる。ピアノが奏でる音楽の波を自在に泳ぐかのよう。
ピアノとギターのデュオアレンジによるルンバは、スローなバラード調のメロディーから始まり、そこにベースやパーカッションが加わりグルーヴ感が高まっていく。すると途中から杏梨も鍵盤ハーモニカにスイッチし、ジャズテイストのプレイで演奏を盛り上げた。
フラメンコの定番曲であるシギリージャでは、確かなコンパスの中で変幻自在なリズムを展開。パーカッションとベースの斬新なリズムフレーズはうれしい驚きを与えてくれた。伊藤はキレのある身のこなしと鮮やかなステップで、曲のリズムに応えていく。
ラストの曲は、杏梨が発表したアルバムに収録されているタンゴ。オレンジのライトの中、ミディアムテンポの心地良い曲に伊藤がアバニコを効かせた踊りで花を添えた。
アンコールでは、1曲目に演奏した「TRANSFORMACIÓN」の一部を披露。
5人の個性がモザイクアートを織りなすような、素晴らしいステージを堪能した。
公演を重ねていくごとに変化して新しい世界を見せていくトランスフォルマシオン。2024年は海外での公演が続き、東京での公演はこの1回のみだった。これからも日本で海外で、その唯一無二のフラメンコを楽しませてほしいと期待が高まる。

【出演】
TRANSFORMACIÓN
ピアノ 杏梨
ギター 徳永康次郎
バイレ(踊り) 伊藤笑苗
ベース 遠藤定
パーカッション KAN
◎『TRANSFORMACIÓN』情報
=====