EL CARTERO スペイン旅行記 2016 /7
- norique
- 11月15日
- 読了時間: 4分
更新日:4 日前
[期間]2016年2月14日~3月14日
(sábado, 15 de noviembre 2025)
昨年2024年10月にこの世を去ったカンタオール、瀧本正信さん。
日本のフラメンコ界に本場のカンテの種をまき、強い信念と歯に衣着せぬ率直な物言いで周囲に大きな刺激を与え、何人もの後進を育て多大な功績を残しました。
約10年前に瀧本さんが教え子たちとともにスペインを巡った旅行記が、当時メンバーの一人として同行した、現在歌い手として活躍する金高荘子さんの手により記されていました。
現地で出会った様々な人たちとの、フラメンコへのアフィシオン(愛情)に溢れた交流の記録を、たくさんの写真とともにご紹介します。
【金高荘子さんより】
ここに綴る旅の記録には、今はもう会うことのできない大切な友人たちも登場します。
彼らを偲び、心からの感謝と祈りを込めて記します。
また、時の流れの中で、この記録に登場するお店のいくつかはすでに営業を終えています。
失われたものへの想いと共に、ここに残された記憶を紡ぎました。
当時の旅を歩む"El Cartero"こと瀧本正信氏の姿を思い浮かべながら読んでいただければ幸いです。
文・写真/金高荘子
Texto y fotos por Soko Kanetaka
【第7回】
◆2月26日
午後はすごい雨。
でも今日もLos Tres Reyes へ行く。
この店の壁に掛かっている絵。
店の名前はここから来ているらしい。
Los Tres Reyes (3人の王様)
ここではその3人はこちら。
国王とカマロンとキリスト。
さすがヘレス!
今日も唄っているうちに、気がつくと人が集まっている。
PacoおじさんとFandango、 Bulería、Tango…と楽しんでいたら、突如ふたりの男性が大声で唄いながら店に入ってきた。みんな顔なじみのようだったが一部のお客さんは彼らのことが気に入らないらしく、相手にするな!と私たちに目配せをする。が、すごい唄につい釘付けになる。
Pacoおじさんによると、彼はSalmoneteの兄弟だそう。店を巡ってカンテを唄ってはコインを稼いでいるらしい。Carteroが彼に向かってギターを弾き始めるとサッと隣にやってきてSoleáを唄った。怪獣が吠えてるみたいなすごい唄!
怪獣はManuelという名前で、Fandango、Siguiriya、Buleríaと続けて唄った。
◆Los Tres Reyesを出て、みんなでPeña Flamenca La Buleríaへ。
Rocio Parrillaのカンテライブに行く。
彼女はParrilla de Jerezの親族だそう。
Peña Flamenca La Buleríaは地元のアフィシオナードたちが集まる、Jerezで一番大きなペーニャだ。
◆ライブの前、バルコーナーにはペーニャの関係者らしき人たちが集まって談笑していた。
Carteroはここでも躊躇いなくギターを出し、その集まりの中に入って行く。
Carteroがギターを弾きながらBuleríaを唄うと、警戒ぎみにCarteroを見ていた人たちがだんだんと笑顔になり、あっという間に距離が縮まった。
◆この日のライブのカンタオーラはRocio Parrilla。パワフルで素晴らしいカンテが聴けてみんな大満足。
Fin de FiestaではCarteroも参加。
Jerezのアイドル(?)ZorriおじさんのBuleríaに萌えた。
CarteroはZorriおじさんと友情の印にスカーフを交換。Domingo Rubichiも来ていてまたまた記念撮影。
このペーニャの会員であるマダムたちにも気に入ってもらったようだった。
◆ショーが終わってからはアフィシオナードたちの唄を堪能する。
いろんな唄い手が次々に出てきて素晴らしい唄をきかせてくれる。Carteroはずっと伴奏しっぱなし。

少し風邪気味だったCarteroも今日はノドの調子も随分良くなったらしく、おじさんと代わりばんこにMartineteを唄って楽しそうだった。
おじさんはMorito de Jerez。サンミゲル地区のカンタオールで、Semana Santaではサエタを唄うらしい。

Gonzalo de JerezのAlegrias、Fandango de Huelva も素晴らしかった。
CarteroチームもBuleríaで参加。
温かいお客様たちに感激。フラメンコを愛する人たちとの新たな出会いが嬉しかった。
(*第8回に続く)

【筆者プロフィール】
金高荘子(Soko Kanetaka)/幼少期から音楽に触れ、学生時代にはロックなどのバンド活動を通し音楽に親しむ。2002年にフラメンコと出会い、2010〜2024年に瀧本正信氏に師事。短期渡西を繰り返しながら現在も研鑽を重ねている。
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