アーティスト名鑑 vol.29
- norique
- 6 日前
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(viernes, 21 de noviembre 2025)
スペイン在住30年以上、多数の一流フラメンコ・アーティストらとも親交のあるフラメンコ・ジャーナリスト志風恭子が、歌・踊り・ギターそれぞれの代表的アーティストらのプロフィールをピックアップ。過去の取材で撮影した写真や、チェックしておきたい動画などもご紹介します。
文・写真/志風恭子
Texto y fotos por Kyoko Shikaze
*名鑑登場アーティスト一覧はこちらから
Aurora Vargas Vargas
Sevilla. 15-3-1956
アウロラ・バルガス
1956年3月15日セビージャ生まれ

純粋鉄火肌フラメンコがみたいならこの人。舞台で歌い踊るその姿はフラメンコの熱そのものだ。
子供の頃から歌い踊り、地元のタブラオ『エル・アレナル』、『ロス・ガジョス』、マドリードの『カナステーロス』などで活躍。若き日には日本へも踊り手としてやってきたこともあったという。後、歌を中心に、セビージャのビエナルなどスペイン中の重要なフラメンコ祭やカルロス・サウラ監督の映画『フラメンコ』などに出演。
1997年初のソロ・アルバムを発表。2014年にはセビージャ市のメダルを、長年舞台を一緒に務めることも多かったパートナーの歌い手パンセキートとともに受賞している。彼の死後もソロで活躍中。ブレリアやタンゴを得意とするフェステーラのイメージが強いかと思うが、ソレアやアレグリアスもいい。

【動画】
1989年のティエントス/タンゴス。ギターはホセ・ルイス・ポスティーゴ。
1991年のブレリア。パンセキートと歌うブレリア。ギターはモライートとニーニョ・ヘロ。
2001年のタンゴ。伴奏はニーニョ・デ・プーラ。


Concepción Vargas Torres
“Concha Vargas”
Lebrija (Sevilla) 1956
コンチャ・バルガス
本名コンセプシオン・バルガス・トーレス
1956年セビージャ県レブリーハ生まれ


8歳でセビージャ県モロン・デ・ラ・フロンテーラのフェスティバルの舞台に上がり、アントニオ・マイレーナやフェルナンダら錚々たる歌い手たちが彼女に歌いたがったという。マノロ・カラコールのタブラオで踊り、マリオ・マジャの相手役として作品『カメラモス・ナケラール』に出演。ペドロ・バカンやマヌエル・モラオのカンパニーで世界中を公演。
1984年、姉の嫁いだクーロ・フェルナンデスのファミリーたちと初来日。以来、日本にもファンが多く、毎年のように来日して指導を行う。フラメンコの芯にある熱をしっかり伝えてくれる、ヒターナらしさに溢れたその踊りは、一度見ると忘れられない。

【動画】
1991年 アレグリアスを踊る。歌はクーロ・フェルナンデスとハリージョ。ギターはパコ・フェルナンデスとピリピ。カディスのブレリアから始まるというのは珍しい。
息子のギター、娘の歌で踊るブレリア。

2006年セビージャでの瀧本正信のライブ、フィン・デ・フィエスタに飛び入りで踊る。
Joaquín Amador Santiago
“Joaquín Amador”
21-1-1952 Polop de Marina (Alicante), 31-5-2023 Sevilla
ホアキン・アマドール
本名ホアキン・アマドール・サンティアゴ
1952年1月21日 アリカンテ県ポロップ・デ・マリナ生まれ、2023年5月31日セビージャ没
ヒターノらしい太い、フラメンコな音。キレが良く迫力のある演奏。女神とも称される踊り手マヌエラ・カラスコの夫として、マヌエラのほとんどの作品の音楽監督を務めた。
若くして妹ラ・スーシ(2020年に早逝)とマドリードに出て、『ロス・カナステーロス』、『トーレス・ベルメハス』などのタブラオに出演。そこで知り合った踊り手マヌエラ・カラスコと結婚。以後、彼女の舞台に欠かせない存在として活躍。カルロス・サウラ監督の映画『セビジャーナス』『フラメンコ』にもマヌエラとともに出演している。また妹スーシの伴奏でアルバム録音なども行なっている。心臓に持病があり、2023年5月自宅でギター演奏中に亡くなったという。


【動画】
1989年、ラ・スーシの伴奏で。ミネーラ、マラゲーニャ、ベルディアル。
1990年 マヌエラの十八番『ソレア』伴奏。マヌエラの強さに一歩も引かぬ強く激しい演奏が素晴らしい。

【筆者プロフィール】
志風恭子(Kyoko Shikaze)/1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。
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