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  • わが心のスペイン vol.24

    (miércoles, 26 de noviembre 2025)   南房総と南スペインで田舎暮らしを楽しむ、石井崇が描くスペインの情景。 『ロタの漁港』 小さな漁港ですが、こんなところに生活感溢れる情景があります。 押し並べてスペインの漁船はかなり色合いがしっかりしています。 それがまた絵心をくすぐるのです。 ディゼルエンジンの音がまた良いですね。 でも、こんなところはほとんど消えかけています。 どこも観光地になり、ヨットやスピードボートに置き換わっています。 ( 写真はフェレイローラ村 ) 【プロフィール】 石井崇(Takashi Ishii) /画家。1942年東京・京橋生まれ。東京芸術大学卒業後、1975年単身スペインに渡り、村祭りを回るテキヤ業などでしのぐ。セビリア郊外アルカラ・デ・グアダイラに居住。1989年よりグラナダ・アルプハーラ(Alpujarra)地方にあるフェレイローラ村(Ferreirola)にアトリエを構え、今はフェレイローラ村と南房総館山をふたつの故郷とし、田舎暮らしを楽しんでいる。著作は「おれたちがジプシーだったとき」、「詩画集プラテーロとわたし」、「スペイン四季暦」、「南スペイン、白い村の陽だまりから」、画集「イシイタカシの世界」など。2004年「館山親善ふるさと大使」に任命、全国大学フラメンコ大会を企画。 ホームページ「イシイタカシの世界」 http://www.oliva2004.net/index.html ======

  • EL CARTERO スペイン旅行記 2016 /7

    [期間]2016年2月14日~3月14日 (sábado, 15 de noviembre 2025) 昨年2024年10月にこの世を去ったカンタオール、瀧本正信さん。 日本のフラメンコ界に本場のカンテの種をまき、強い信念と歯に衣着せぬ率直な物言いで周囲に大きな刺激を与え、何人もの後進を育て多大な功績を残しました。 約10年前に瀧本さんが教え子たちとともにスペインを巡った旅行記が、当時メンバーの一人として同行した、現在歌い手として活躍する金高荘子さんの手により記されていました。 現地で出会った様々な人たちとの、フラメンコへのアフィシオン(愛情)に溢れた交流の記録を、たくさんの写真とともにご紹介します。 【金高荘子さんより】 ここに綴る旅の記録には、今はもう会うことのできない大切な友人たちも登場します。 彼らを偲び、心からの感謝と祈りを込めて記します。 また、時の流れの中で、この記録に登場するお店のいくつかはすでに営業を終えています。 失われたものへの想いと共に、ここに残された記憶を紡ぎました。 当時の旅を歩む"El Cartero"こと瀧本正信氏の姿を思い浮かべながら読んでいただければ幸いです。 文・写真/金高荘子 Texto y fotos por Soko Kanetaka   【第7回】 ◆2月26日 午後はすごい雨。 でも今日もLos Tres Reyes へ行く。 この店の壁に掛かっている絵。 店の名前はここから来ているらしい。 Los Tres Reyes (3人の王様) ここではその3人はこちら。 国王とカマロンとキリスト。 さすがヘレス! 今日も唄っているうちに、気がつくと人が集まっている。 PacoおじさんとFandango、 Bulería、Tango…と楽しんでいたら、突如ふたりの男性が大声で唄いながら店に入ってきた。みんな顔なじみのようだったが一部のお客さんは彼らのことが気に入らないらしく、相手にするな!と私たちに目配せをする。が、すごい唄につい釘付けになる。 Pacoおじさんによると、彼はSalmoneteの兄弟だそう。店を巡ってカンテを唄ってはコインを稼いでいるらしい。Carteroが彼に向かってギターを弾き始めるとサッと隣にやってきてSoleáを唄った。怪獣が吠えてるみたいなすごい唄! 怪獣はManuelという名前で、Fandango、Siguiriya、Buleríaと続けて唄った。 https://youtu.be/yXFXsL4T-o4?si=oKCoLfZv_AdzrDPv https://youtu.be/HAnG-0fY-JM?si=YAq1VYdADENpDrHy ◆Los Tres Reyesを出て、みんなでPeña Flamenca La Buleríaへ。 Rocio Parrillaのカンテライブに行く。 彼女はParrilla de Jerezの親族だそう。 Peña Flamenca La Buleríaは地元のアフィシオナードたちが集まる、Jerezで一番大きなペーニャだ。 ◆ライブの前、バルコーナーにはペーニャの関係者らしき人たちが集まって談笑していた。 Carteroはここでも躊躇いなくギターを出し、その集まりの中に入って行く。 Carteroがギターを弾きながらBuleríaを唄うと、警戒ぎみにCarteroを見ていた人たちがだんだんと笑顔になり、あっという間に距離が縮まった。 ◆この日のライブのカンタオーラはRocio Parrilla。パワフルで素晴らしいカンテが聴けてみんな大満足。 Fin de FiestaではCarteroも参加。 Jerezのアイドル(?)ZorriおじさんのBuleríaに萌えた。 CarteroはZorriおじさんと友情の印にスカーフを交換。Domingo Rubichiも来ていてまたまた記念撮影。 このペーニャの会員であるマダムたちにも気に入ってもらったようだった。 ◆ショーが終わってからはアフィシオナードたちの唄を堪能する。 いろんな唄い手が次々に出てきて素晴らしい唄をきかせてくれる。Carteroはずっと伴奏しっぱなし。 少し風邪気味だったCarteroも今日はノドの調子も随分良くなったらしく、おじさんと代わりばんこにMartineteを唄って楽しそうだった。 おじさんはMorito de Jerez。サンミゲル地区のカンタオールで、Semana Santaではサエタを唄うらしい。 Gonzalo de JerezのAlegrias、Fandango de Huelva も素晴らしかった。 CarteroチームもBuleríaで参加。 温かいお客様たちに感激。フラメンコを愛する人たちとの新たな出会いが嬉しかった。 (* 第8回に続く ) ©近藤佳奈 【筆者プロフィール】 金高荘子(Soko Kanetaka) /幼少期から音楽に触れ、学生時代にはロックなどのバンド活動を通し音楽に親しむ。2002年にフラメンコと出会い、2010〜2024年に瀧本正信氏に師事。短期渡西を繰り返しながら現在も研鑽を重ねている。 =====

  • EL CARTERO スペイン旅行記 2016 /8

    [期間]2016年2月14日~3月14日 (domingo, 23 de noviembre 2025)   昨年2024年10月にこの世を去ったカンタオール、瀧本正信さん。 日本のフラメンコ界に本場のカンテの種をまき、強い信念と歯に衣着せぬ率直な物言いで周囲に大きな刺激を与え、何人もの後進を育て多大な功績を残しました。 約10年前に瀧本さんが教え子たちとともにスペインを巡った旅行記が、当時メンバーの一人として同行した、現在歌い手として活躍する金高荘子さんの手により記されていました。 現地で出会った様々な人たちとの、フラメンコへのアフィシオン(愛情)に溢れた交流の記録を、たくさんの写真とともにご紹介します。 【金高荘子さんより】 ここに綴る旅の記録には、今はもう会うことのできない大切な友人たちも登場します。 彼らを偲び、心からの感謝と祈りを込めて記します。 また、時の流れの中で、この記録に登場するお店のいくつかはすでに営業を終えています。 失われたものへの想いと共に、ここに残された記憶を紡ぎました。 当時の旅を歩む"El Cartero"こと瀧本正信氏の姿を思い浮かべながら読んでいただければ幸いです。 文・写真/金高荘子 Texto y fotos por Soko Kanetaka   【第8回】 ◆2月28日 22:00 Tabanco El Pasaje “El Cartero”ライブ当日。 朝から少し緊張気味のCartero 。 こういう時はやっぱり日本食が力になる!と、日本から持って行った食材でごはん。 見かけによらず繊細なCartero。 そして、いざ出陣。 Pasajeへ向かう道をCarteroはひと言もしゃべらず歩く。 ライブ会場であるTabanco El Pasajeのある通りまで来ると、入り口に人だかりが見えた。 中に入るとすでに満員の人! テーブル席は全て予約済みで、カウンターも身動き取れないほど。 当初22:30~の予定で宣伝など行われていたのだが、当日お店に出された情報 は、22:00~に変更されていた。本人もびっくりの変更。 数日前ギターのRamonに、時間よりも少し早めに来てほしいと言っていたCarteroだった。少しだけ打合わせをしたかったらしい。しかしRamonがやってきたのは 本番開始時間を過ぎてから。やっぱりここもスペイン時間。リハーサルなどはやらないらしい。舞台の上で挨拶し、すぐにライブが始まる。 数日前に聴いたモデルノで賑やかな印象だったRamonのギターが、Carteroの唄にどんな風に絡むのだろうかと心配と期待が半々だったが、ライブが始まると心配のほうはどこかに行ってしまった。 さすがヘレス!この前と全然ちがう!モデルノとかアンティグアとかそんなの関係ないんだな。唄に寄り添うってこういうことか。Carteroの唄に語りかけるようなギターに感動。 https://youtu.be/3meyWsdK1EI?si=laI71R1zzG3TJthA Tiento、Soleá、Taranta、Fandango、Siguiriya、Bulería。最初から最後まで、Carteroの思いが詰まった熱いライブだった。Fin de Fiestaはホセ(大西)やAna Maria Lopezも加わり盛り上がった。 https://youtu.be/09u7iLbxrHI?si=FgwYCvOd8BXJOYji ◆3月1日 Sanlucar 昼過ぎからバスに乗り、サンルーカルへ海鮮ランチに。 バス代ひとり1,9€。(安い!) どこまでも続きそうなオリーブ畑の丘陵地を車窓に見ながらバスに揺られて、30分でサンルーカルに到着。 "GITANA”の看板のボデガ(シェリーの醸造所)の前を通って繁華街へ。 お目当てのバルに行き、皆で食事を楽しんだ。海鮮料理が美味しかった。 太陽がまぶしい快晴の空の下、海岸までの道を散歩。 グアダルキビル川の河口の景色を楽しんだ後、ヘレスに帰った。 Jerezに着いて駅の近くのBarでひと休みしていると、入ってきたお客さんが大きな声で「Cartero!」と声をかけてきて驚いた。…有名人?! ◆3月2日 Cernicalos Ana Maria LopezのBuleríaクラスで踊りのクラスの伴奏。 踊りを習いに来るのは、初心者から踊れる人まで色々。入れ代わり立ち代わりやってくる練習生相手に、Ana Maria Lopezは唄いながら踊りを教える。難しいことはやらない。シンプルな振りを、ただただ唄を聴いて踊るブレリアクラス。 JerezのBuleríaを満喫。 Ana Maria Lopezの唄も満喫。 Zorriおじさんがパルマをやっていて、Carteroのギターと唄に合わせてちょっと足を打ったりする。 そのちょっとが、これまた素敵だったりする。 ◆帰り道、Domingo Rubichiとバッタリ会う。 立ち話をしていると、今度はPaco Ceperoが通りかかった。ヘレスは狭い街なのでよく顔見知りと会う。Carteroはその度に記念撮影をする。 ◆3月3日  San Fernando   Camaron de la Islaを偲ぶ。 13 : 53分発のカディス行きの電車に乗り2駅。 カマロンのふるさと、サンフェルナンドに到着。 駅も街も新しく綺麗。 駅から出てすぐ、案内板の前で困っていたところ、親切な男性がカマロンゆかりの地の説明をしてくれて途中まで道案内までしてくれた。スペインの人はみんなとても親切。 カマロンの像を見た後、Venta de Vargas店内へ。想像していたより高級な店で、写真を撮ってはダメと言われたけれど既に撮ってしまった後。(すみません) かつてこの場所で唄っていたカマロンに想いを馳せながらのランチ。料理はちょっと高めだったけどとても美味しく、素晴らしい時間を過ごすことができた。 食事の後Venta De Vargasを出て、本日の目的地へ。へとへとになりながらやっとこさカマロンのお墓のある墓地に辿り着く。 スペインのお墓は明るく、花で彩られていてとてもきれいな印象。 カマロンのお墓は立派な銅像とお花に囲まれていた。 「ここにCamaronが眠ってるんやな」 Carteroは暫くの間Camaronと何か話をしているようだった。 来れて良かった。 再びRenfeに乗ってJerezへ帰る。 (*第9回に続く) ©近藤佳奈 【筆者プロフィール】 金高荘子(Soko Kanetaka) /幼少期から音楽に触れ、学生時代にはロックなどのバンド活動を通し音楽に親しむ。2002年にフラメンコと出会い、2010〜2024年に瀧本正信氏に師事。短期渡西を繰り返しながら現在も研鑽を重ねている。 =====

  • EL CARTERO スペイン旅行記 2016 /6

    [期間]2016年2月14日~3月14日 (domingo, 2 de noviembre 2025) 昨年2024年10月にこの世を去ったカンタオール、瀧本正信さん。 日本のフラメンコ界に本場のカンテの種をまき、強い信念と歯に衣着せぬ率直な物言いで周囲に大きな刺激を与え、何人もの後進を育て多大な功績を残しました。 約10年前に瀧本さんが教え子たちとともにスペインを巡った旅行記が、当時メンバーの一人として同行した、現在歌い手として活躍する金高荘子さんの手により記されていました。 現地で出会った様々な人たちとの、フラメンコへのアフィシオン(愛情)に溢れた交流の記録を、たくさんの写真とともにご紹介します。 【金高荘子さんより】 ここに綴る旅の記録には、今はもう会うことのできない大切な友人たちも登場します。 彼らを偲び、心からの感謝と祈りを込めて記します。 また、時の流れの中で、この記録に登場するお店のいくつかはすでに営業を終えています。 失われたものへの想いと共に、ここに残された記憶を紡ぎました。 当時の旅を歩む"El Cartero"こと瀧本正信氏の姿を思い浮かべながら読んでいただければ幸いです。 文・写真/金高荘子 Texto y fotos por Soko Kanetaka 【第6回】 ◆2月24日 10:30   Eva Rubichiのカンテレッスン 参加するのは生徒有志4名。 教わりたいのはもちろんヘレスのブレリア。Carteroがギターを持って同行してくれた。 全員スペイン人のレッスンを受けるのは初めてでワクワク。Evaの声を、アイレを、間近で聞いて感じて、感動したり感心したりの1時間半だった。 EvaはCarteroの伴奏に、Bieeen! とかOleeee!とか言いながら、最後には私たちのリクエストにも応えてMalagueñaも唄ってくれた。 ◆レッスンの帰りにバルでランチ Carteroと似ているワンちゃんがとなりの席にいて仲良くなる。 そこにAntonioが自転車で通りかかったので、みんなで先日のバルでのお礼を言った。 ◆Bar Los Tres Reyes マスターのエミリオがニコニコしながら迎えてくれて、カウンターにいるおじさんを指差す。 「この人、カンテ唄うよ!」 Carteroが早速ギターを出しておじさんの前でギターを弾くが、おじさんはムスっとして唄ってくれない。 (人見知りか?ご機嫌ナナメか…?) それでもひたすら弾くCartero。 エミリオがカウンターからひと節唄うと、おじさんはこちらをチラチラ気にし始めた。 おじさんはだんだん笑顔になり、様子を伺いながら近づいてくる。 そして、Buleríaを唄い始めた。 ついにCarteroの横に座り、次はFandango大会。一気に距離が縮まる。(フラメンコの力ってホントにすごいな) おじさんの名前はPacoといった。 周囲にだんだんと人が集まってくる。 地元のアフィシオナードとか、観光客らしき人とか。私たちが唄うたびにいろんな人がシェリーをおごってくれる。 「日本人か?」 「フラメンコはどこでやってるんだ?」 「どのくらいヘレスにいるんだ?」 あたたかい人たちとフラメンコで繋がることができた素晴らしい時間だった。 ◆CarteroがPaco Ceperoのファルセータを弾いているのを聴いて、Pacoおじさんが 「Paco Ceperoが好きなのか?」 とCarteroに聞く。 Carteroが、セペーロ大好きや!と答えると「Paco Ceperoは俺の友達だよ、今そこに来てるよ」と言う。 「ええ?!」と驚いていると、店の入り口に、あの、Paco Ceperoが立っていた。 CarteroはPaco Ceperoを見ると何の躊躇いもなく、 「あなたのために敬意を持って弾きます!聴いてください!」と呼びかけ、Paco Ceperoの前で彼のファルセータを弾いた。 Paco Ceperoはニコニコしながら聞き入り、演奏が終わるとBieeen!と拍手をしながらそばに来て、Carteroと挨拶を交わした。 Paco Ceperoと一緒に店の外の席に行き、Carteroは Paco Ceperoのファルセータを弾く。 そしてそれを聞いていたCeperoが「ちがう。そこはそうじゃない。 ギターをちょっと貸せ」と言ってCarteroからギターを取り上げて弾き始めた。 後で聞いたがCartero、弾いてくれないかな~と思ってわざと間違えたり弾けないふりをしていたらしい。知能犯。 Cartero はセペーロに、No!と言われる度に嬉しそうで、少年のようにはしゃいでいた。 ◆Bar El Escondite Tres Reyesでのフエルガを見ていた人が、 「うちの店でもぜひ!」と言って店の地図を描いたメモをくれた。 メモを頼りにPorvera通りにある店、El Esconditeへ。 店に着くと、マスターが笑顔で迎えてくれた。Carteroが早速ギターを弾き私たちも唄いホセ(大西)が踊ると、またもや人が集まってきてフエルガが始まる。みんな本当にFlamencoが好きなんだなー。 ひとりの男性がやってきて唄い始めた。いい声!Carteroはすかさず反応し伴奏する。彼はFinduという名前のカンタオールだそう。どうりで。しばし聴き入った。 ◆2月25日 13:00 Los Tres Reyesへ。 パコ・セペーロ、今日もいた! Carteroは臆することなくセペーロの隣に座りギターを弾き始める。 セペーロは、Carteroがファルセータを弾く度に微笑んだり頷いたり。隣に座っている人に「これはオレのファルセータだ」などと囁いたりしている。 しばらくするとセペーロは、またギターを貸せと言い、Carteroからギター を取り上げて弾き始めた。Carteroがファルセータを弾く度に止めては、そこはこう弾け!と言う。そしてカメラを持っている私に向かって「これを録画して後でCarteroに見せろ」と何度も同じフレーズを弾いてくれた。 セペーロはCarteroのフラメンコを良いセンティードだと言った。さらに、最近の若いギタリスト達のステレオタイプ(?)な弾き方を真似て、 「こういう、速いだけのギターがフラメンコだとは思わない」と、Carteroが普段言っているのと同じ事を言っていた。 そして、これがフラメンコだ!と、キレッキレで素敵なファルセータを何度も弾いて聴かせてくれ た。 ◆Paco Ceperoと別れた後再び、昨日行ったBar Esconditeへ。 Finduの友達がカホンを持って来ていた。Tres Reyesで知り合ったアルゼンチン人の踊り手さん達のグループもCarteroを追いかけて来ていて、またフエルガが始まる。 ◆Esconditeからの帰り、ホセ(大西)が行ってみたいというペーニャ、Peña La Buleríaへ行ってみるが閉まっていた。残念。表に貼ってあるライブ告知によると、週末の営業らしい。また出直し。 ◆ビソに帰ってからCarteroが晩ごはんを作ってくれる。 (* 第7回に続く ) ©近藤佳奈 【筆者プロフィール】 金高荘子(Soko Kanetaka) /幼少期から音楽に触れ、学生時代にはロックなどのバンド活動を通し音楽に親しむ。2002年にフラメンコと出会い、2010〜2024年に瀧本正信氏に師事。短期渡西を繰り返しながら現在も研鑽を重ねている。 =====

  • 【news】Manuel Liñán en GARLOCHÍ

    マヌエル・リニャン来日公演  BAILAOR/BAILAORA   (sábado, 22 de noviembre 2025)   昨年のガルロチ公演で大勢の観客を魅了したマヌエル・リニャンが、今年も再びこの舞台に戻ってくる! 今回はBAILAOR(男性ダンサー)としての踊りと、タブラオでは世界初となるBAILAORA(女性ダンサー)として舞う姿と、リニャンが持つ二つの魅力がそれぞれ楽しめるプログラムを披露します。 共演には、カンテのファン・デ・ラ・マリアとホセ・マヌエル・フェルナンデス、ギターにフランシスコ・ビヌエサと昨年と同じメンバーが登場。息の合ったチームワークと、伝統と革新の融合を魅せる渾身の舞台で、ガルロチ最後のスペイン人グループ公演を飾るにふさわしいステージとなることは間違いなしです。 【出演期間】 2025年12/9(火)〜12/18(木) *上演時間は、途中休憩無しの約75分の予定 *日にちにより、男装、女装の異なるパフォーマンスとなります (詳しくはフライヤー画像をご参照ください) 【出演】 B.Manuel Liñán C.Juan de la Maria C.Jose Manuel Fernández G.Francisco Vinuesa   【料金】 *全席指定(税込・1drink付き、お食事は付きません) プレミアムシート:22,000円(トートバッグ付) SS席:18,000円 S席:15,000円 A席:11,000円 子供・学生:7,000円 障がい者割引:4,000円 【場所】 Show レストランGARLOCHÍ 東京都新宿区新宿3-15-17 伊勢丹会館6F 【予約】 ★WEB: http://t.livepocket.jp/p/garlochisonia  (支払方法: クレジットカード) ★Email: garlochilive@gmail.com  (支払方法: 銀行振込)   【問】 garlochilive@gmail.com   主催/株式会社バモス 協力/Showレストラン「ガルロチ」・「ソニアジョーンズ 」Sonia Johnes Foto/Marcogpunto   =====

  • アーティスト名鑑 vol.29

    (viernes, 21 de noviembre 2025)   スペイン在住30年以上、多数の一流フラメンコ・アーティストらとも親交のあるフラメンコ・ジャーナリスト志風恭子が、歌・踊り・ギターそれぞれの代表的アーティストらのプロフィールをピックアップ。過去の取材で撮影した写真や、チェックしておきたい動画などもご紹介します。   文・写真/志風恭子 Texto y fotos por Kyoko Shikaze   *名鑑登場アーティスト一覧は こちらから   アウロラ・バルガス(カンテ) コンチャ・バルガス(バイレ) ホアキン・アマドール(ギター)     Aurora Vargas Vargas Sevilla. 15-3-1956 アウロラ・バルガス 1956年3月15日セビージャ生まれ 純粋鉄火肌フラメンコがみたいならこの人。舞台で歌い踊るその姿はフラメンコの熱そのものだ。 子供の頃から歌い踊り、地元のタブラオ『エル・アレナル』、『ロス・ガジョス』、マドリードの『カナステーロス』などで活躍。若き日には日本へも踊り手としてやってきたこともあったという。後、歌を中心に、セビージャのビエナルなどスペイン中の重要なフラメンコ祭やカルロス・サウラ監督の映画『フラメンコ』などに出演。 1997年初のソロ・アルバムを発表。2014年にはセビージャ市のメダルを、長年舞台を一緒に務めることも多かったパートナーの歌い手パンセキートとともに受賞している。彼の死後もソロで活躍中。ブレリアやタンゴを得意とするフェステーラのイメージが強いかと思うが、ソレアやアレグリアスもいい。 2012年 ©︎  La Bienal de Flamenco / ©Antonio Acedo 【動画】 1989年のティエントス/タンゴス。ギターはホセ・ルイス・ポスティーゴ。 https://youtu.be/_wQhicaB6dA?si=NCH22fTXdHHviWSH   1991年のブレリア。パンセキートと歌うブレリア。ギターはモライートとニーニョ・ヘロ。 https://youtu.be/K426nZLyKmc?si=ffazWP0toaYvW9Hc   2001年のタンゴ。伴奏はニーニョ・デ・プーラ。 https://youtu.be/8lULloWQJSM?si=wVLdY1tajGQZJisd   1992年 セビージャ Concepción Vargas Torres  “Concha Vargas” Lebrija (Sevilla) 1956   コンチャ・バルガス 本名コンセプシオン・バルガス・トーレス 1956年セビージャ県レブリーハ生まれ 2025年7月カベサス・デ・サン・フアンのフェスティバルで 8歳でセビージャ県モロン・デ・ラ・フロンテーラのフェスティバルの舞台に上がり、アントニオ・マイレーナやフェルナンダら錚々たる歌い手たちが彼女に歌いたがったという。マノロ・カラコールのタブラオで踊り、マリオ・マジャの相手役として作品『カメラモス・ナケラール』に出演。ペドロ・バカンやマヌエル・モラオのカンパニーで世界中を公演。 1984年、姉の嫁いだクーロ・フェルナンデスのファミリーたちと初来日。以来、日本にもファンが多く、毎年のように来日して指導を行う。フラメンコの芯にある熱をしっかり伝えてくれる、ヒターナらしさに溢れたその踊りは、一度見ると忘れられない。 2014年 ©︎  La Bienal de Flamenco / ©Antonio Acedo 【動画】 1991年 アレグリアスを踊る。歌はクーロ・フェルナンデスとハリージョ。ギターはパコ・フェルナンデスとピリピ。カディスのブレリアから始まるというのは珍しい。 https://youtu.be/2iZoji2l9QE?si=FL6PwzMkkdqfQD35   息子のギター、娘の歌で踊るブレリア。 https://youtu.be/j4KsLf0mwIs?si=ELF5inK-uLYYDX1T 2006年セビージャでの瀧本正信のライブ、フィン・デ・フィエスタに飛び入りで踊る。   Joaquín Amador Santiago “Joaquín Amador” 21-1-1952 Polop de Marina (Alicante), 31-5-2023 Sevilla   ホアキン・アマドール 本名ホアキン・アマドール・サンティアゴ 1952年1月21日 アリカンテ県ポロップ・デ・マリナ生まれ、2023年5月31日セビージャ没   ヒターノらしい太い、フラメンコな音。キレが良く迫力のある演奏。女神とも称される踊り手マヌエラ・カラスコの夫として、マヌエラのほとんどの作品の音楽監督を務めた。 若くして妹ラ・スーシ(2020年に早逝)とマドリードに出て、『ロス・カナステーロス』、『トーレス・ベルメハス』などのタブラオに出演。そこで知り合った踊り手マヌエラ・カラスコと結婚。以後、彼女の舞台に欠かせない存在として活躍。カルロス・サウラ監督の映画『セビジャーナス』『フラメンコ』にもマヌエラとともに出演している。また妹スーシの伴奏でアルバム録音なども行なっている。心臓に持病があり、2023年5月自宅でギター演奏中に亡くなったという。 2012年 セビージャのベラで 【動画】 1989年、ラ・スーシの伴奏で。ミネーラ、マラゲーニャ、ベルディアル。 https://youtu.be/ckQy54CgVbc?si=Q5A0vKOgDuSHkPq3   1990年 マヌエラの十八番『ソレア』伴奏。マヌエラの強さに一歩も引かぬ強く激しい演奏が素晴らしい。 https://youtu.be/I93xRoh7GLk?si=j2QT4PriIx2z74wI 1995年マドリード、ビジャロサで、左からマノロ・サンルーカル、パコ・デ・ルシア。ホアキン、マヌエラ。 【筆者プロフィール】 志風恭子(Kyoko Shikaze) /1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。   =====

  • ArtistaЯ ~表現者☆~ ep.23

    ep.23 北島 歩  Ayumi Kitajima (domingo, 16 de noviembre 2025) 写真家・大森有起が、今を輝くフラメンコ・アーティストたちの真の姿を写す 記憶では、歩ちゃんの初見は「カルメン」 新国立劇場で小松原舞踊団員として主演していたときです。 大きな舞台が似合う人だなぁと、群を抜いて圧倒的な存在感でした。 その後「ロス・タラントス ~バルセロナ物語~」の舞台で再認。 いずれも撮影するに留まり接点はなかったのですが、気付いたら本音で話せる仲に。 パワフルだけど控えめなところ、家族ぐるみでお付き合いしていることも含め今では大切な友人です。 母である北島寿子さん主宰のバレエ教室で幼少期クラシックバレエを学び、その後橘バレヱ学校入学。 フラメンコの教授は小松原庸子さん。 海外公演を多数経験していることは後に知りました。 2019年に相模原市で公演した「カルメン」 主演のカルメン役は娘のナディアちゃんでした。 親子3代、地元開催で舞台共演した作品は北島家の宝物。 父は先に顕彰された北島 峻さん、娘は北島ナディアちゃんです。 ©Yuki Omori 「自分にとってフラメンコって、何?」 気が付いたらバレエを踊っていて、気が付いたらフラメンコを踊っていた。 子供の頃からフラメンコは近くにあったけど、自分が踊るとは思ってなかった。 踊り始めたらそのまま止まらなくなりました。 私にとってフラメンコはもう血の一部な気すらする程長い付き合い。 フラメンコに愛されている気がする時もあれば冷たくもされ、でも離れられない。 相手が人間なら去りますが(笑) そうはいかないんです。 そして、フラメンコは人生でのプレゼントであり、会話であり、どこまでも広がる世界なんです。 米軍基地そばで育ったので昔からR&Bが好きで、ミュージシャンの友達や、ミュージカルも出ている役者さんの友達も沢山いて。 畑は違えど、皆同じ思いなのが話すと痛いほど分かり合える。 そんな仲間と舞台を作れたら楽しそう!と思ってます。 =====

  • 【news】El son de Zoniquetazo 2《今枝友加とYukaいな仲間たち》

    (miércoles, 12 de noviembre 2025)   スペイン・ヘレスのクリスマスイベントといえば、サンボンバ。 そんな本場のサンボンバを楽しめるライブが、新宿ガルロチで行われます。 2017年に会場を笑いと衝撃、感動で包み込んだフアン・デ・ラ・モレーナが再び来日。 そして初来日となる名門メンデス家の血を引く歌姫キナ・メンデス、さらに日本のファンにはおなじみのフアン・デ・ラ・マリアとチャノ・カラスコとともに、ソニケーテ溢れるライブが繰り広げられます。 夜の部は早々に完売となりましたが、昼の部はこの4人のヘレサーノとともに、歌と踊りの二刀流トップアーティストの今枝友加さんと日本各地からFiesta de Zambomba有志が集まり、会場も一体となるような賑やかなライブが楽しめます。 今年の冬は、ヘレスのサンボンバを一緒に味わってみませんか? “El son de Zoniquetazo 2” 《今枝友加とYukaいな仲間たち》 【日時】2025年12月6日(土) OPEN:12:00/START:13:00 【料金】全席指定(1drink付):¥6,000 子供・学生(大学生まで・席数制限あり):¥3,000 膝上の未就学児:無料 【出演】 Juan de la Morena/フアン・デ・ラ・モレーナ Kina Méndez/キナ・メンデス Juan de la Maria/フアン・デ・ラ・マリア Chano Carrasco/チャノ・カラスコ 今枝友加 Fiesta de Zambomba有志一同 【会場】 Showレストラン「ガルロチ」 新宿区新宿3-15-17伊勢丹会館6F (JR他各線「新宿駅」より徒歩7分、東京メトロ「新宿三丁目駅」B5出口より徒歩2分) 【申込/問】 Email:edaapomlive@gmail.com 件名に12/6<昼の部>予約希望と記載の上、メール本文にお名前・ご連絡先・人数を明記ください。 *1件のメールにつき、各ライブ6名様までご予約いただけます。 *ご予約の順番にてこちらでお席を決めさせていただきます。 *お申込み後3日以内に返信がない場合は、再度お問合せください。 *誠に恐れ入りますが、お申し込み後のキャンセルはお受けいたしかねます。何卒ご了承下さいませ。 =====

  • カンテフラメンコ奥の細道 on WEB no.54

    (martes, 11 de noviembre 2025)   文/エンリケ坂井 Texto por Enrique Sakai Malagueña de Chacón ②    チャコンの魅力は分かり難い、と前回書きましたが、実際チャコンの古い録音を復刻盤で熱心に聴いている人はかなりマニアックなオタクだと思います。  その原因のひとつは、復刻盤ではもとの音のシャープさや空気感が失われ、なかなか感動するまでには心を動かされないからでしょう。  それにあのハイテノールのような高音が輪をかけます。それではどうするか、まずはチャコン本人より現代の歌い手達による、例えばエンリケ・モレンテやダビッド・ラゴス、他にも探せば多くの歌い手達が歌っていますから、そうしたある程度「聴きやすい」ものから入っていくのがチャコンを感じるためのひとつの取っ掛かりになる方法だと思います。  もちろん最終的には個人の好みというものがあり、生理的に高い声を受け付けないという人がスペイン人にも存在しますが、それでも作品として残されたチャコンのマラゲーニャは疑いもなく素晴らしいものであり、カンテに関わったからにはチャコンを聴き味わう事は避けては通れない道なのです。  私自身の経験を語りましょう。私がチャコンの魅力に気付いたのはカンテに夢中になってからもずいぶん時間が経った、チャコンのレコードを聴き尽くした後でした。  多分1980年代のある日、私は友人のギタリスト、オスカル・ルイスに誘われてあるフエルガに行きました。  夜中に始まったそのフエルガは本格的で、年輩のカンテ愛好家達、プロの歌い手が3人くらいとギタリストが集まっていて、ひとしきり歌い手達が歌った後に登場したのはパードレ・リソ(リソ神父)という神父さんです。  この人の歌のすばらしい事! 居並ぶプロの歌い手達が色を失う程の技術、気合など、まさに名人の貫禄でチャコンを歌ったのですが、続きはまた次回に。   【Letra】 (del convento las campanas, ) Si preguntan por  quién doblan del convento las campanas, diles que doblando están a mis muertas esperanzas. (a mis muertas esperanzas.)   【訳】 修道院の鐘は だれの為に鳴るのかと もし尋ねられたら 言ってやりな、私の死んだ 希望を弔っているのだ、と。   ※convento→修道院 ※doblar las campanas por~→(~の為の弔いの)鐘が鳴る      このマラゲーニャはパストーラの名唱でも知られていますが、チャコンはラモン・モントージャの伴奏で1928年にグラモフォノ盤に録音しています。歌詞を作った人の名前も解っていますが、録音してから1世紀近く経た今ではポプラール「詠み人知らず」の扱いになっています。  歌詞の形は古いファンダンゴの4行詩で、2-1-2-3-4-1行目と歌い進めます。  この録音はいくつかのチャコンの復刻CDや、カルロス・マルティンのCDブック『ドン・アントニオ・チャコン』の付属CD3枚目に入っています。 1990年のチャコンへのオメナーヘ・コンサートのプログラム。この時にリソ神父は「チャコン歌い」のスペシャリストとして世間に紹介された。 【筆者プロフィール】 エンリケ坂井(ギタリスト/カンタオール) 1948年生まれ。1972年スペインに渡り多くの著名カンタオールと共演。帰国後カンテとパルマの会を主宰。チョコラーテらを招聘。著書『フラメンコを歌おう!』、CD『フラメンコの深い炎』、『グラン・クロニカ・デル・カンテ』vol.1~36(以下続刊)。2025年1月Círculo Flamenco de Madridから招かれ、ヘスス・メンデスと共演。   ※CD『グラン・クロニカ・デル・カンテ』シリーズを購入ご希望の場合は、アクースティカ( https://acustica-shop.jp/ )へお問い合わせください。(編集部)   ======

  • フラメンコ×神楽《ヤマトタケル》

    (lunes, 10 de noviembre 2025)   2024年11月10日(日) 西日暮里アルハムブラ 写真/川尻敏晴 Fotos por Toshiharu Kawajiri 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko 永田 健 日本で古くから語り継がれるヤマトタケルの神話を、フラメンコと神楽のコラボレーションにより創作した舞台作品が上演された。フラメンコダンサーの永田健が多くの人々の協力を得て、まさに心血を注いで創り上げた意欲作だ。 今作が生まれるきっかけとなったのは、2019年に「日本に恋した、フラメンコ」の撮影ツアーで日本全国の名所を巡っていたときに、島根県・稲佐の浜で偶然神楽を見て着想を得たという。その後、神楽の伝統を4世紀にわたり受け継ぐ正統神楽太夫一家の石山社中と出会い、この作品の実現へとつながった。 物語のストーリーは神話に基づいた具体的な内容になっているため、上演中にナレーターによる語りで適宜伝えられる。語りがとても上手で聞きやすいので、あらすじが自然と頭に入ってくる。 主人公の日本武尊(ヤマトタケル)を演じる永田は、兄を殺めた罰として父である景行天皇から九州の熊襲建(クマソタケル)征伐を命じられる場面で、失意や苦しみをマルティネーテで表現。物語に沿った和服の衣装ながら足技や踊りの身体使いなどフラメンコとしての高い技術をみせる。 クマソを油断させて討ち取るために女装したヤマトタケルを演じた河野は、グアヒーラの曲でしっとりと大人の色香が匂うような踊りを披露。クマソを酔わせてから成敗するまでのシーンは、三味線や笛による音楽的な盛り上がりや二人の舞いのドラマティックな展開とともに、スピード感があり見応えがあった。 (写真左から)河野睦、石山裕雅 弟橘姫(オトタチバナヒメ)役の伊藤はしなやかな身体使いと感情豊かな踊りで、可憐ながらも芯の通った女性を表現。ヤマトタケルとの出会いの場面でのアレグリアスや、嵐の海を鎮めるために自ら身を捧げたソレアなど、神話の世界をフラメンコの魅力で彩った。 伊藤笑苗 歌は劇中、フラメンコの唄も含めほぼ全て日本語の歌詞で歌われた。フラメンコの曲種の歌詞には古事記に記された和歌などを上手に当てはめ、また楽器にもギターの他に琵琶や三味線、笛、太鼓などを取り入れ、多彩な音色で舞台を盛り上げた。 そして舞踊でも、実際の神楽舞を観ることができたのは大変興味深かった。倭姫(ヤマトヒメ)役の西川が白の上衣と赤の袴姿で、扇子と鈴を手に舞う神聖で厳かなシーンや、クマソタケルを演じた石山が豪奢な衣装に神楽面を付け、金の扇を手に掛け声をあげながら飛び跳ねるように舞う場面などとても印象的だった。 この作品は、先行して6月にスペイン大使館で上演され高い評価を受けた。そして今回の上演後も、今年の4月に戸越八幡神社(東京)で、5月には宝登山神社(埼玉県長瀞町)での演舞奉納を始め各地で上演され、12月には大阪での公演も決まっているという。 日本人に身近な題材である「ヤマトタケル」の神話をフラメンコと神楽の技術と表現を生かして、舞台作品として多くの観客が親しめるような機会を作り出したことは、フラメンコのすそ野を広げる上でも大きな意義のあることだろう。 【出演】 小碓尊(オウスノミコト、後の日本武尊)永田健/河野睦 弟橘媛 伊藤笑苗 熊襲建 石山裕雅 倭姫 西川綾乃 語り 坪井美香 歌/琵琶/ギター 須田隆久 ギター/三味線 彌月大治 パーカッション 容昌 笛 石山裕雅/松澤功 太鼓 エヴァ・ケストナー =====

  • スペインNews 11月号・2025

    (jueves, 6 de noviembre 2025)   文・写真/志風恭子 Texto y fotos por Kyoko Shikaze 《INDEX》 ・ ハレオス・エストレメーニョス舞踊コンクール ・ スペイン国立バレエ団王立劇場公演『メデア』 ・ セビージャ ギター祭   【ハレオス・エストレメーニョス舞踊コンクール】 10月2日、バダホスのロペス・デ・アジャラ劇場にて、第2回ハレオス・エストレメーニョス・コンクール決勝が行われました。昨年始まったこのコンクールはクリスティーナ・オヨス舞踊団などで活躍した踊り手ヘスス・オルテガのセントロ・インテルナシオナル・デ・フラメンコ、フラメンコ国際センターが、自治体の後援を得て主催しています。 スペイン西部、ポルトガルと国境を接するエストレマドゥーラ地方はアンダルシア、ムルシアと共にフラメンコの世界無形文化遺産指定に尽力したのですが、この地のフラメンコはそれほど知られていません。そこでエストレマドゥーラのフラメンコをアピールし、この地発祥の曲種、ハレオス・エストレメーニョスに特化したコンクールが生まれたのです。18歳から45歳までの踊り手たちが対象で、課題曲ハレオス・エストレメーニョスと自由曲を踊ること、優勝賞金9,000ユーロとフラメンコ舞踊コンクールとしては破格なのが特徴でしょう。 9月24日セビージャでのコンクール記者会見。オヨスやルピと共に決勝進出者たちなど 鬼頭幸穂さんが決勝に残った昨年は11月に行われ、ロベル・エル・モレーノが優勝、2位がフアン・ホセ・ビジャール、3位はサイラ・プルデンシオでした。今年もスペイン各地はもとより、フランスや日本。ドイツ、ロシア、チリなどスペイン以外の国籍の人も含めおよそ30人が応募。その中からビデオ審査で選出された5人が決勝に進みました。セビージャ留学中の瀬戸口琴葉さんは補欠1位でしたが、決勝進出者が全員参加したため、残念ながら決勝進出とはなりませんでした。 今年優勝したのはマドリード出身で各地のタブラオを主な舞台に活躍しているウーゴ・サンチェス。2位はセビージャ出身カルメン・ジャネス、3位はグラナダのシルビア・フェルナンデスでした。今年の審査員にはクリスティーナ・オヨス、スペイン国立バレエ団監督ルベン・オルモ、アンダルシア舞踊団監督パトリシア・ゲレロ、ラ・ルピらだったこともあり、3位のシルビアにアンダルシア舞踊団、シルビアとフランス出身セビージャ在住のアナイス・リバスにスペイン国立バレエ団での研修が贈られました。   コンクールの模様はこちらの動画で https://youtu.be/B7afjCnh-7Q?si=-Mk_pJ2KcMOXKdoN     【スペイン国立バレエ団王立劇場公演『メデア』】 ©︎ Merche Burgos/Ballet Nacional de España 10月16日から4日間、マドリードの王立劇場においてスペイン国立バレエ団公演が行われました。今回は2006年70歳で亡くなった振付家ホセ・グラネーロへのオマージュとして、彼の4作品と男性ソロによる新作小品二作を日替わりでというプログラム。 幕開けはアルベニスの曲にホセ・ルイス・グレコの曲を加え、男女の群舞で見せるスペイン舞踊作品『レジェンダ』、物語のある作品『クエントス・デ・グアダルキビル』の中で最も印象的だった男女のパドドゥと1994年初演の作品に続いて新作。私が観に行った初日は助監督のミゲル・アンヘル・コルバチョがスカルラッティのソナタに振り付けた『セグンダ・ピエル』で、スルタンのような長いジャケットをスカートのようになびかせて踊るのですが、男性らしい芯のある踊りで良かったです。そして『ボレロ』。日本公演ではほぼ欠かさず上演されてきた作品ですが、スペインでの上演はおよそ30年ぶりだそう。エンターテイメント性が高く、スペインの観客にも大好評でした。 休憩を挟んでの第二部は『メデア』。アントニオ・ガデスの『血の婚礼』と並ぶ、フラメンコの舞台作品の歴史に残る名作です。マノロ・サンルーカルのドラマチックで美しい音楽は本人だけでなくクラシックのギタリストも録音しているほど。主役のメデアは初演のマヌエラ・バルガス以後、メルチェ・エスメラルダ、アナ・ゴンサレス、ローラ・グレコ、マリベル・ガジャルド、エステル・フラドと踊ってきましたが、今回は最初の三日間はエバ・ジェルバブエナが踊りました。これまでの他の誰のメデアとも違う、内に恨みつらみを溜めた暗く重苦しく、また迫力のあるメデアでした。エバは30年くらい前にスペイン国立にゲスト出演していたこともあるので全くのアウエーというわけではないと思うのですが、当時とはメンバーもガラッと変わっていますし、基本、普段は一人でフラメンコ曲を中心に踊っている彼女にとって他者が振り付け、演出した物語のある作品を踊るのは勇気のいる挑戦だったことでしょう。またマドリード交響楽団とギターで共演したフアン・カルロス・ロメロにとってもそうだったのではないでしょうか。 なお最終日にメデアを踊ったのは現在リハーサル監督を務めるマリベル・ガジャルドでした。これが彼女の最後のメデアだということです。来年7月のマドリード公演では第一舞踊手のインマクラーダ・サロモンが踊る予定のようです。 ©︎ Merche Burgos/Ballet Nacional de España 【動画】  https://youtu.be/4SjnSTeBKXo?si=gxunxXIsSAHpjsnX   【セビージャ ギター祭】 2010年に始まったセビージャ、ギター祭が今年も10月9日から11月7日までのおよそ1ヶ月間、セビージャ市とその周辺の町で開催。クラシックギターのフェスティバルとしてはじまったのですが、現在はフラメンコギター公演も行われています。その半数がクラシックギターとのジョイントリサイタルなので、ジャンルを超えてアコースティック・ギターの魅力が楽しめるフェスティバルだといえるでしょう。またクラシックギターの公演で、日本人ギタリストも複数出演しています。フラメンコ・ギターで最初に登場したのは10月18日のホセ・アントニオ・ロドリゲス。コルドバ出身のベテランは、セビージャ市の中心部にあるエスパシオ・トゥリーナでリサイタル。ビエナルでもギターリサイタルの会場として使われているところですが、このフェスティバルはマイクなし、生音で勝負。曲と曲の間のおしゃべりが聞こえにくいということはあったりしましたが、細かなニュアンスがより聴き取れるような気がします。大きな会場や舞踊との共演がある時は難しいかもですが、フラメンコでももっと生音のコンサートあってもいいかもですね。ホセ・アントニオはソレアやファルーカ、コロンビアーナなどを次々と演奏。ゆったりと余白を持った演奏は耳に心地よく、最後はマンハッタン・デ・ラ・フロンテーラで盛り上げるなど、さすがベテランの貫禄でありました。   ©︎ Festival de la Guitarra de Sevilla 10月28日には美術館でヘレスのマヌエル・バレンシアのリサイタル。こちらは無料公演。常設展示の宗教画に囲まれた座席を前にこちらもマイクなしで。昔ながらのフラメンコのかたちを継承しつつ新しい感覚のフレーズもところどころに織り込んでくるというスタイル。タランタ、ソレア、サパテアード、ロンデーニャ…人柄もあるのでしょう、自然で温かみのある演奏が素晴らしく、真っ直ぐ心に飛び込んできます。そして重みと深みのあるシギリージャはまさに絶品。最後のブレリアも心に残るリサイタルでした。 ©︎ Festival de la Guitarra de Sevilla 29日、30日は再びエスパシオ・トゥリーナに戻り、クラシックとフラメンコのジョイントコンサートが続きました。29日のホセ・マヌエル・レオン、30日のエドゥアルド・トラシエラともに、オルガ・ペリセやロシオ・モリーナらとの共演で何度も見聞きしているギタリストですが、ソロでも彼女たちのパフォーマンスにも通じるような自由さと現代性を感じる演奏でありました。   なお、30日に行われたセビージャ国際クラシックギターコンクールで横村福音さんが優勝しました。2002年東京生まれの彼女は2021年からセビージャに留学し、毎年フェスティバルにも出演しています。日本人の優勝は2017年の菅沼聖隆さん以来二人目。 写真は今年の公演から。 ©︎ Festival de la Guitarra de Sevilla フェスティバルは11月も続きます。その模様はまた来月に。     【筆者プロフィール】 志風恭子(Kyoko Shikaze) /1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。   =====

  • 台湾公演《美麗谎言 MENTIRA FORMOSA -美しい嘘-》

    主催者リポート (martes, 4 de noviembre 2025)   スペインの伝統芸術であるフラメンコは、海を越えて世界各地でも親しまれています。 私たちの日本が属するアジアでも、様々な国や地域でフラメンコの公演を企画・招聘して普及に積極的に取り組んでいる人々がいます。 今回は、今年5月に台湾で行われた公演《美麗谎言 MENTIRA FORMOSA -美しい嘘-》を企画・主催した現在シンガポール在住の中根信由さんにお話を伺いました。 日本チームと台湾チームが力を合わせ奇跡的な化学反応が生まれた ©Takeshita Tomoya 【公演開催への動機】 2023年に台湾でスタジオを運営する友達に「タブラオを行わないか?」と言っていただいたことが最初のきっかけです。ただタブラオは頻繁にスペイン人が来てやっているので、日本と台湾ならではの何か共通のものがないか?と思っていた時に、『日本人にも台湾人にもなりすました詐欺師、サルマナザール』の存在を知りました。この魅力的な人物によってインスパイアされて、この作品のコンセプトができました。 【キャスティング】 出演者の人選は、今までシンガポールに来たことのある人に声をかけました。(徳永康次郎さん以外) 佐藤浩希さんも森田志保さんもシンガポールでワークショップしていただいたことがあります。シンガポールに来たことのある今回のメンバーは、アジアでのフラメンコに何か興味を持ってくれると思いました。 ©Takeshita Tomoya 【公演の概要】 飢えの時代においては飢餓状態にあった事実を、フラメンコで快楽状態という嘘で塗り変えていき、それが新しい真実となった。この自分につく昇華性のある嘘を「美しい嘘」と名付けよう。フラメンコの境地にたどり着くために美しい嘘をつき続ける男。はたまた嘘を排除し、自身のルーツさえも排除しながら真っすぐに真実に求め続ける女。 フラメンコの真実と嘘に向かえば向かうほど、「カンテ」「日本のルーツ」「台湾のルーツ」が浮き彫りになっていった。フラメンコの何かに成ろうとするポテンシャルは、台湾人になりきったサルマナザールの熱量と重なる。 台湾アボリジニの古謡が聞こえてくる。この歌声はスペインのギターも包み込み、日本も台湾もない、より原始的な風景を見せる。嘘をつき続ける男と真実を求め続ける女は綯い交ぜとなり、一つになって消えていく――。 日本人と台湾人が深い意味での国際交流を行い産まれた作品となりました。 ©呉玉慈 【観客の反応】 2024年7月にタブラオ公演を行った時と同様に、台湾のお客様の反応は本当に温かかったです。その温かいリアクションから即興のフラメンコも多く生まれました。 【公演を振り返って】 台湾の限られたリハーサルの時間の中で、演出の佐藤浩希さんのもと、奇跡的な化学反応が起こっていきました。これは日本チームも台湾チームも一人一人ちゃんと準備して積み上げて来たからだと思います。 ©Takeshita Tomoya 【大変だったこと】 集客です。海外で公演を行うことの難しさを改めて痛感しました。集客不足は色々なところに問題が派生してしまいました。 それでも現地制作の方は最後まで努力してくださり本当にありがたかったです。 【今後への思い】 出演者のみなさん、台湾のお客様、たまたま通りかかった舞踊評論家の方まで!たくさんの方から「再演を!」と声をかけていただきました! 集客の課題をはじめ、たくさんの反省点をちゃんと乗り越えられるように見据えながら頑張っていきます。 * * * * * 【公演情報】 《美麗谎言 MENTIRA FORMOSA》 [日程]2025年5月3日(土)・4日(日) [会場]CASA LOLA/10491 Taipei Zhongshan SongJiang Rd. 2號B1 [出演]佐藤浩希・森田志保・権弓美・柏麻美子・Lu Lee・山﨑嬉星・中根信由・Lin Keng・中里眞央・Po Yin・徳永康次郎・Sergio Muñoz・小西みと 【主催団体プロフィール】 MANOFLAMENCO国際交流実行委員会 2023年、シンガポールのフラメンコフェスティバルにおいて 『REALM crossing time-』という作品を上演。フラメンコの死生観と世界中が経験したコロナ後の境界が引かれて分断された世界をテーマに、脚本、演出、主演をこなし好評を博す。 2024年1月には、大阪堺市のアーツカウンシルの協力のもと、『フラメンコ で世界とつながろう』という国際交流フラメンコイベントを開催。シンガポール、韓国、東京からフラメンコ愛好家が集結した。同年7月には、台湾でフラメンコのタブラオ公演やワークショップを開催した。 2025年5月にアーツカウンシル東京の助成のもと行った『MENTIRA FORMOSA 美麗謊言』は、台湾と日本に関する偽書を出版したペテン師からインスピレーションを得た、嘘は真実より真なりというフラメンコの根底のテーマに迫る作品となった。 ©呉玉慈 【筆者プロフィール】 中根信由 (Nobuyoshi Nakane) /2001年にフラメンコを始める。岡野裕子、アドリアン・ガリア、奥濱春彦、森田志保の各氏に師事。その後、鍵田真由美・佐藤浩希両氏に師事し、以降アルテイソレラのさまざまな公演に参加する。2013年よりシンガポールに渡り、NPO法人フラメンコシンフロンテーラスのさまざまな公演に参加する。2023年10月には脚本・演出を手掛けた【REALM-CROSSING TIME】をシンガポールで上演する。2024年1月には大阪・堺で【フラメンコで世界とつながろう】を企画。2025年5月には【MENTIRA FORMOSA-美しい嘘-】を台湾で企画し、好評を博した。 =====

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