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新連載:私とフラメンコ -新人公演を通して- 1

  • norique
  • 5月17日
  • 読了時間: 5分

更新日:5月26日

第1回 近藤リナ

【カンテ部門 準奨励賞】

 

(sábado, 17 de mayo 2025)

 

あなたにとってフラメンコとは何ですか――。

仕事として関わっている人、趣味として楽しんでいる人、自身の生きがいとして無くてはならない人など、その向き合い方は人それぞれ。

そうしたフラメンコへの思いを、昨年の日本フラメンコ協会主催「第33回フラメンコ・ルネサンス21『新人公演』」の入賞者の方々にエッセイとして綴っていただき、リレー連載という形式でご紹介します。

フラメンコとの出会い、新人公演を通して得たものや感じたこと、自身にとってのフラメンコへの思いなどを語っていただきました。

第1回目は、カンテ部門で準奨励賞を受賞した近藤リナさんです。

 

編集/金子功子

Edición por Noriko Kaneko


A_エッセイ1近藤リナ
今枝友加先生(左)と

私がフラメンコを始めたきっかけは、エアロビクスのインストラクターとして自分のワークショップを創作するためでした。フラメンコとエクササイズを融合させてみようかという、今なら殴りたくなるような話です。


フラメンコ教室に入ってみると、何が何だか、さっぱりわかりませんでした。カウントはどうなっているのか?この歌を聴き分けれる日は来るのだろうか?

少し理解できても、それができるという事にも繋がらない。もう少し理解したいと思いながら、ここまで来てしまいました。


カンテを始めたきっかけは、カンテ・デ・ラス・ミナスに日本代表として参加する石川慶子さんの応援団として、コンクールを生で観る機会を得た時です。ウニオンで繰り広げられる毎日のカンテのコンクール!聞いた事のない音のうねり!勉強不足で誰が何を歌っているかもわからない!でも私の心は鷲掴みにされました。

踊るためのカンテは習っていましたが、語学の勉強も大変だしカンテには絶対手は出したくないと頑なに思っていたのに、地獄の門を開けてしまいました。


ちょうど今枝友加先生がヘレスから帰って来られ名古屋を拠点にすると聞きつけ、半年間お願いし続けて、やっと個人レッスンに辿り着きました。

最初から、気持ちは本気で行っているのですが、難しすぎてどこから手をつけたら良いのかもわかりませんでした。練習の仕方もわかりません。大事な事をすっ飛ばして、とりあえず歌ってしまうのです。そんな事は先生もお見通しで、よく注意されました。最初の何年かは、先生の言っていることが理解できませんでした。理解できてないこと自体を、わかっていなかったのです。今では、先生の顔を見るだけで何を言うか大体わかるようになって来ました。有難いことです。


新人公演エントリーは、私にとっては発表する場でもありました。初めての新人公演は、目を開けてしまうと歌に集中できないような緊張だったことを忘れられません。その後は「今年も皆様に聞いて頂く!私は会場に向かって歌う!」という気持ちに変わりました。


有難いことに昨年は、準奨励賞を頂きまして、大変励みになりました。受賞の知らせは、公式のご連絡が来ないうちに他の方がお知らせくださいました。そして、準奨励賞と聞いて私の頭に浮かんだ言葉は、「私の歌では、ダメなんだ」ただ、ホントにそう浮かんだんです。

その後、公式のお知らせメールが来た時は、良かったな、やっとホッとしたな。と思いました。アドバイスをくださるギタリストの方々、名古屋の山田美治先生、エンリケ坂井先生、大阪の大槻敏己先生、マドリッドのノリコ・マルティンさん、グラナダのアルフレッド・テハダ氏、そして尊敬してやまない今枝友加先生、心から感謝の気持ちでいっぱいです。

B_エッセイ1近藤リナ
アルフレッド・テハダ氏と

バイレの方は、日本人としてどこまでフラメンコに近づけるか?と仰います。私がカンテを学ぶ上では、近づくどころか遠くなり、たぶん歌えない、でも歌う、という思いでいます。賞をいただいた後も浮かれる気持ちにはならず、反省だったり、これからやらなければならない練習だったりに意識が向いていました。受賞して安心する反面、これで良いとは思っていません。今後の目標としては、踊り手が少しでも力が湧くような伴唱を目指したいし、鳥肌が立つようなフィエスタを経験したいです。


フラメンコの好きなところは、即興性でしょうか。その即興性を実現するためには確固たる基礎と地道な練習が必要ですし、道から外れないようにしなければなりません。これからも今枝先生のもと修行に励み、進化した姿を皆様にお見せできるようにフラメンコと向き合っていきたいと思います。



【プロフィール】

近藤リナ(Rina Kondo)/様々な舞踊を学びながらスポーツインストラクターとして活動中、フラメンコに出会う。バイレは大槻敏己氏に師事し、渡西を繰り返す。カンテ、ギターは名古屋の山田美治氏のもと学び始め、現在は今枝友加氏、アルフレッド・テハダ氏に師事。2024年日本フラメンコ協会新人公演カンテ部門準奨励賞受賞。


【新人公演とは】

一般社団法人日本フラメンコ協会(ANIF)が主催する、日本フラメンコ界の発展向上のため、次代を担うフラメンコ・アーティストの発掘および育成の場として、1991年から毎年夏に開催されている舞台公演。

プロフェッショナルへの登龍門として社会的に認知される一方、「新人公演は優劣順位をつけるためのものではなく、新人へのエールを送るために存在する」という当初からの理念に基づき、すべての出演者が主役であるとの考えから順位付けは行われません。

バイレソロ、ギター、カンテ、群舞の各部門に分かれ、若干名の出場者に奨励賞、またはその他の賞が与えられます。

(*一部、ANIF公式サイトより引用)


〈参照URL〉


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