中里眞央フラメンコリサイタルvol.2 《Hacia Adelante Ⅱ》
- norique
- 21 時間前
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更新日:14 分前
-揺れる心の羅針盤-
(miércoles, 7 de enero 2026)
2025年10月1日(水)・2日(木)
ShowレストランGARLOCHÍ(東京・新宿)
写真/川島浩之
Fotos por Hiroyuki Kawashima
文/金子功子
Texto por Noriko Kaneko

日本を代表するフラメンコ舞踊団のひとつ、アルテ イ ソレラに所属し数々の劇場公演に出演、また2024年からは同世代の女性ダンサーらと共に結成した「Célula」というユニットでも活躍する中里眞央が、第2弾となるソロリサイタルを2日間にわたり上演した。
《Hacia Adelante Ⅱ》と前回のタイトルを継承しつつ、今回のサブタイトルは「揺れる心の羅針盤」。ヒターノ(ジプシー)たちの辛く貧しい暮らしの中から生まれ育まれたフラメンコという芸術文化に魅せられながらも、現代の豊かで安全な日本に生まれ育った自身との違いに戸惑い、そんな心の揺らぎに素直に向き合った想いが作品に込められる。
舞台の始まりは、アンダルシアのウエルバ地方で古くから親しまれる曲種のファンダンゴ・デ・ウエルバ。白いドレスに身を包み、今回のリサイタルのギタリスト、アントニオ・マレーナ・イーホが作曲した現代風アレンジの曲をパリージョとともに奏で舞う。前回の初リサイタルから約1年たったが、しっとりと大人びた雰囲気が漂う。椅子を小道具に使い、足を掛けたり座って足を打ち鳴らしたりと表現のバリエーションが楽しい。パーカッションの音も曲にスパイスを効かせ、パリージョと足音の掛け合いもリズムが心地よい 。

続くカンテソロは、フラメンコ・ポップスの大物歌手パリータ(Parrita)の代表曲をブレリアの12拍子にアレンジしたもの。歌詞の和訳なのか独白の場面も織り交ぜ、感情豊かに歌い上げる。
斬新な曲構成でアントニオ・マレーナ・イーホが作曲したアレグリアスでは、ディエゴが厚みと広がりのあるカンテを響かせ、赤いドレス姿で踊る中里は自信に満ちた落ち着きをみせる。
踊り終えるとディエゴから託された赤い刺繍のマントンを羽織り、そのままカンテソロへ。曲はラテンアメリカの名曲 "Adoro"、バラード調の嘆き歌だ。"yo los adoro, vida mía ..."と囁くような歌声が心に染み入る。

タンゴでは巧みな足技と力強く美しい踊りを披露。この曲での衣装は、中里が母親と一緒にスペインへ行ったときに買い求めた想い出のマントンを、東京で衣装製作を行っているアトリエグラシアで衣装に仕立ててもらったという。

黒の衣装に着替えバストンをもって登場すると、パルマの3人とともにバストンのパフォーマンス。ともにアルテイソレラ舞踊団で活動している間柄だけに息もぴったりだ。
そしてバストンをディエゴに渡し、そのカンテに導かれるように踊るシギリージャ。今回の曲は20世紀後半を代表するスペインの国民的歌手、ロシオ・フラード(Rocio Jurado)が録音したバージョンをアレンジしたという。迫力ある歌に負けない渾身の踊りは、気迫に満ち圧倒的だった。
アンコールは再び白のドレス姿で登場し、ブレリアを歌い締めくくった。
日本の文化ではない言葉と音に魅せられ、それを日本人である自分は「声で、体で奏でるしかない」とプログラムで語られる言葉は、フラメンコとともに生きていく決意表明のようだ。信頼を寄せる多くの人たちに支えられ、中里は自身の目指すべき行き先に向かって着実に一歩ずつ歩み続けている。この先、例え迷ったり行き詰まったりしながらも、ひたむきにフラメンコと向き合い舞台で輝く彼女に期待したい。
*今回の舞台の10月2日千秋楽公演が、1月15日(木)までアーカイブ配信で視聴できます。
[購入サイト]
【プログラム】
1. Fandango de Huelva
2. Huracán de Sueños
3. Alegrías
4. Adoro
5. Tangos
6. Siguiriyas
【出演】
踊り/歌 中里眞央
ギター アントニオ・マレーナ・イーホ 斎藤誠
カンテ ディエゴ・ゴメス
パーカッション 大儀見元
パルマ 佐藤浩希 三四郎 小西みと
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