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LOS TUDOR

~チューダー・ローズたちの叶わなかった恋の行方~


森山みえフラメンコ舞踊団公演


(viernes,14 de abril 2023)


2022年10月26日(水) 東京・日本橋公会堂


文/金子功子

Texto por Noriko Kaneko


写真/荻久保次郎

Foto por Jiro Ogikubo


 歴史的史実や文学作品など様々なテーマを題材に、2016年より劇場公演を創作してきたフラメンコ舞踊家、森山みえの第6弾となる舞踊団公演が昨年10月に上演された。


 今作品の舞台は、16世紀のイングランドを統治していたチューダー王朝。女王エリザベス1世を中心に、その両親である前国王ヘンリー8世とアン・ブーリン、異母姉のメアリー1世や王位の座を狙うメアリー・スチュアートなど、それぞれの人物の愛や苦悩に焦点を当て、バリエーションに富んだストーリーに仕立てられている。富と美貌に恵まれながらも政治と権力に翻弄された女たちのドラマをフラメンコの音楽で彩り、踊りや演奏とともに物語の展開も楽しめる作品だ。


 登場人物のキャスティングは、女性の役には出演経験が豊富な舞踊団員が配され、それぞれの役の場面でソロやパレハ、または群舞と組み合わせて人物の心情や情景を表現した。

 エリザベスの実母アン・ブーリン(冨田英子)が処刑を受け入れる場面では、ティエントの曲でアンの絶望と覚悟を深い悲しみに満ちた表情で好演。また、「ブラッディ・メアリー」として悪名高いメアリー1世(永井祐里)のシーンでは、赤のドレス姿のメアリーに対し黒の衣装でそろえた群舞はフラメンコ感に満ち迫力があった。

 エリザベスが自身のはとこであるスコットランド女王メアリー・スチュアート(富松真佑子)と対峙するシギリージャのシーンでは、互いの青と赤の衣装に合わせて照明でも美しいコントラストを演出。バタ・デ・コーラの衣装とパリージョの音色もまた、フラメンコ舞踊の醍醐味を楽しませてくれた。


 男性の役では、エリザベス1世の実父であるヘンリー8世役にコンテンポラリーダンサーであり俳優の神睦高を起用。アストゥリアスの曲に乗せソロの舞踊を披露し、高い身体能力と柔らかい身のこなしで権力者の苦悩や激しさを表現した。

 また、エリザベス1世を支える寵臣にして恋人とされるロバート・ダドリー(レスター伯爵)役は三枝が務め、エリザベスと同じ時期にロンドン塔に投獄されていた場面の二人きりのシーンでは、カルタヘネラとタラントの素晴らしいカンテを聴かせ、また最後の場面のソレアでは、エリザベス1世を演じる森山とのパレハで印象的なシーンを演出した。


 音楽面でも、定番のフラメンコの曲種の随所にピアノを採用したことで、音色に厚みが増し多彩な表現が楽しめた。普段はフラメンコに触れることが無い観客にとっても、自然と楽しみながら鑑賞できたに違いない。観客には男性客も多く、実際にこの公演を毎回楽しみにしているお客様も多数いるというのもうなずける。


 ストーリーも楽しめ、曲種も多く展開にメリハリがあり、バラエティーに富んだ舞台作品となった今回の公演。様々な題材から毎回適したテーマを選び、ソロや群舞のそれぞれの長所を生かしながら構成を組み立て演出し、1つの劇場作品に仕立て上げる森山の構成力や演出力は相当なものである。


 次の作品でもまた、多くのお客様を楽しませてくれることであろう。


【出演】

ギター:エミリオ・マジャ

カンテ:マヌエル・デ・ラ・マレーナ

パーカッション:橋本容昌

ピアノ:野口杏梨

コンテンポラリーダンサー/俳優:神睦高

バイレ/カンテ:三枝雄輔、

バイレ:山本海、ドミンゴ、森山みえフラメンコ舞踊団、森山みえ

声優:Wakana Doy


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