EL CARTERO スペイン旅行記 2016 /5
- norique
- 2 日前
- 読了時間: 4分
[期間]2016年2月14日~3月14日
(domingo, 26 de octubre 2025)
昨年2024年10月にこの世を去ったカンタオール、瀧本正信さん。
日本のフラメンコ界に本場のカンテの種をまき、強い信念と歯に衣着せぬ率直な物言いで周囲に大きな刺激を与え、何人もの後進を育て多大な功績を残しました。
約10年前に瀧本さんが教え子たちとともにスペインを巡った旅行記が、当時メンバーの一人として同行した、現在歌い手として活躍する金高荘子さんの手により記されていました。
現地で出会った様々な人たちとの、フラメンコへのアフィシオン(愛情)に溢れた交流の記録を、たくさんの写真とともにご紹介します。
【金高荘子さんより】
ここに綴る旅の記録には、今はもう会うことのできない大切な友人たちも登場します。
彼らを偲び、心からの感謝と祈りを込めて記します。
また、時の流れの中で、この記録に登場するお店のいくつかはすでに営業を終えています。
失われたものへの想いと共に、ここに残された記憶を紡ぎました。
当時の旅を歩む"El Cartero"こと瀧本正信氏の姿を思い浮かべながら読んでいただければ幸いです。
文・写真/金高荘子
Texto y fotos por Soko Kanetaka
【第5回】
◆2月22日
Carteroの友人でもあるギタリスト
Domingo Rubichiに会いに行く。
Carteroが愛してやまないカンタオールDiego Rubich(1949~2007)の肖像画の前で記念撮影。
数年前にプレゼントした帽子をDomingoが大切に使ってくれていて、「俺より似合う!」と嬉しそうだった。
帰りにLola Floresの像の前で記念撮影し、ランチに向かう。

◆BAR EL 27
Domingoオススメのメニューでランチ。
Carteroは店に来ていたセニョーラとすぐに打ち解け、早速Martineteを唄って気を引く。と、今度はすかさずギターを出し、何か唄って!とお願いする。
彼女はすてきなBuleríaを聞かせてくれた。
私たちもBuleríaやAlegríasを唄うと、セニョーラはシェリーをご馳走してくれた。
実はCarteroはお酒が1滴も飲めない下戸。そうとは言えず飲んだふりをしていた。
◆ピソへの帰り道、とあるBarのテラス席におじさん達数人。
その中にまた昨日ご一緒したおじさん(Juan)がいた。

JuanはまたもやCarteroを指差し、「こいつは Flamenco唄うんだ!」と、熱く仲間に紹介する。
Carteroも応戦。ギターを出し再びFlamencoが始まる。
Juanのお仲間もFlamencoのアフィシオナードで、すばらしいSoleáを唄ってくれた。昨日Tarantaを唄っていたJuanは、今度はすごいCabaresとBuleríaを聴かせてくれた。
◆夕方からJerez在住のフラメンカ、飯塚真紀さんと連絡を取り、彼女が通っているというフラメンコクラスに遊びに行くことになった。
バイラオールのRinは物腰柔らかいやさしい印象。しかし踊り出すとマッチョで驚いた。
Carteroは真紀さんのレッスンで伴奏を楽しみ、レッスン後には雑談しながらまた唄う。
Taranta、Martinete、Soleá…。
RinはCarteroの唄に聴き入り、とても気に入り、Flamencoだ!と言った。
CarteroがRinに、何か唄って!とお願いすると、「私はカンテは唄えないのよ~、でもちょっとだけね」
と言いながらSoleáを唄ってくれた。
この人もやっぱりFlamencoへの愛が半端なく、ブーロなFlamencoを大切にしているのだとCarteroとの会話の中で熱く語っていた。
◆ Antonio Agujetas Live
Barで夕食後、おなかもいっぱいになり、みんなで Antonio Agujetasのライブへ。
ライブ会場のLa Guarida Del Angel の前は、開場を待つ人で溢れかえっていた。やっと開場したのは1時間遅れの深夜0時30分。 スペイン時間、ゆっくりだな…。
Antonioのカンテ、Domingoのギター、本当に素晴らしかった。
ライブの素晴らしさを表現できる言葉が見つからない。ただただViva Jerez!本物!涙でた。行ってよかった。
◆2月23日
Tabanco El Pasajeへ。
28日のCarteroのライブでギターを弾く予定のRamon Trujilloがこの日のライブにも出演するとのこと。
真剣に演奏に聴き入るCartero。めずらしく終始無言。数日後の自分ライブのイメトレ中?

Ramonに挨拶をして、Jerezの街をゆっくり歩いて帰る。月のキレイな夜。

(*第6回に続く)

【筆者プロフィール】
金高荘子(Soko Kanetaka)/幼少期から音楽に触れ、学生時代にはロックなどのバンド活動を通し音楽に親しむ。2002年にフラメンコと出会い、2010〜2024年に瀧本正信氏に師事。短期渡西を繰り返しながら現在も研鑽を重ねている。
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