カンテフラメンコ奥の細道 on WEB no.63
- 2 時間前
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(martes, 11 de agosto 2026)
文/エンリケ坂井
Texto por Enrique Sakai
Malagueña de Fernando el de Triana
マラゲーニャシリーズもそろそろ最終回。40種類程あるスタイルを全部取り上げるのは、それはそれで意味のある事ですが、このコーナーではそこまでマニアックにならず広く残したいと思います。

で、今回はフェルナンド・エル・デ・トゥリアナ、本名はFernando Rodríguez Gómez(1867~1940)、名の通りセビージャ生まれでトゥリアナ地区で育ち、歌い手としてカディスのカフェ・デ・ラス・フローレスでデビュー。各地のカフェ(タブラオ)で歌いマドリードでも長きにわたって活動しました。
その後セビージャに戻り活動していましたが1913年頃(46歳)メリージャのカフェに出演した後に引退しましたが、残念な事に録音嫌いだったのかレコードは残していません。
得意な歌はマラゲーニャ、タランタ、カルタヘネーラなどのリブレ系のカンテだったようで、特に彼のマラゲーニャ(タランタに分類する人もいますが、ここではマラゲーニャに入れておきます)は人気があり、同時代人のコホ・デ・マラガ、モチュエロ、エル・カナリオ(若死にしたカナリオでなくファン・リオス "エル・カナリオ"の方)、ニーニャ・デ・ロス・ペイネスらが録音し、さらにLP時代になって大人気のカマロンが良い録音を残した事で若い人達にも改めてその価値を知らしめたのです。
また、フラメンコ愛好家や研究者にとっては1935年に出版された「フラメンコのアルテとアルティスタ達」の著者として余りに有名。この本は奥の細道でも折に触れお世話になっている私にとっても大切な本であり、歌い手であるフェルナンドが直接知り得たアルティスタ達の人となりや芸を書き残した非常に貴重な本なのです。
【Letra】
Eres hermosa,
eres guapa, Dios te guarde
y en tu puerta da la luna,
acaba de 〈'esengañarme〉,
mira que va a dar la una
y me precisa el retirarme.
【訳】
お前は美しい…、
神のご加護がありますように、
お前の戸口に月の光が当たる、
もうがっかりさせないでくれ、
1時の鐘が鳴るから
俺はもう帰らねばならぬのだ。
※acaba de ~⇒おしまいにする
※'esengañarme ⇒desengañarmeの訛り
※4行目は「本当の事を言ってくれ」というニュアンス

いつまでも煮え切らない恋人(未満?)の女性の態度に振り回される男の歌ですが、歌はなかなか味わいがあります。

【筆者プロフィール】
エンリケ坂井(ギタリスト/カンタオール)
1948年生まれ。1972年スペインに渡り多くの著名カンタオールと共演。帰国後カンテとパルマの会を主宰。チョコラーテらを招聘。著書『フラメンコを歌おう!』、CD『フラメンコの深い炎』、『グラン・クロニカ・デル・カンテ』vol.1~38(以下続刊)。2025年1月Círculo Flamenco de Madridから招かれ、ヘスス・メンデスと共演。
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