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《美しい嘘 -MENTIRA FORMOSA-》

4 時間前
読了時間: 4分

フラメンコ国際共同制作 vol.5


(martes, 6 de octubre 2026)

 

[日付]2026年7月9日(木)・10日(金)

[会場]MUSICASA(ムジカーザ、東京・代々木)


写真/竹下智也

Fotos por Tomoya Takeshita

文/金子功子

Texto por Noriko Kaneko



A_260710_美しい嘘_サンブラ
(写真左から)森田志保 ルー・リー

昨年5月に台湾(台北)にて初演された日本と台湾のアーティストらによる共同制作となる舞台作品が今年、台南と台北での再演を経て、日本で初上演された。

この作品はシンガポールを拠点にアジア各地で文化交流活動を行う中根信由が、18世紀にヨーロッパで実在したとされる自称・台湾人のジョルジュ・サルマナザールの物語に着想を得て、台湾在住のフラメンコギタリスト、セルヒオ・ムニョスと共に2024年より台湾と日本のフラメンココミュニティ同士の国際共同制作プロジェクトとして始動したという。


作品の内容は、当時の社会を生き抜くために得意の語学力を武器に高貴な東洋人になりすまし、嘘を重ねながら社会的地位を築き上げていった男のストーリーに、ヒターノらが人生の苦難への嘆きや空腹を歌い踊ることで昇華させてきたフラメンコの歴史を重ね、歴史の影と未来への光、日本と台湾、そして嘘と真実という、それぞれ相対する二つのテーマが重層的に作品を彩っていく。


舞台は、苦しい現実を昇華させるため嘘をつき続ける男と、真実を追い続ける女という二人を軸に進行していく。

これは舞踊劇というべきか。踊りと音楽だけではなく、語りもまたこの作品にとって不可欠な要素になっている。吉井と中根の二人によるナレーションと、佐藤も語りを受け持つなど、必要十分な語りを取り入れることで、作品のストーリーの理解を助けてくれる。


権がピンクの縁取りの柔らかなアバニコを両手に持ち、ソロで踊るグアヒーラ。まるで天女が舞うように、束の間の夢の時間を楽しませてくれる。しかしアバニコを取り上げられ代わりに空色のマントンを掛けられると、地に足が付くような現実の重みが加わり、力強い人間味のある踊りへと変わっていく。


森田が舞台中央に置いた椅子に座り、佐藤のパルマのみのアカペラで歌い始める。歌が終わり立ち去ると、次は佐藤がパルマを打ちながら歌い、今度は中根が椅子に座り歌う。引き継ぐように佐藤がソロ・デ・ピエを聴かせると、次は佐藤の歌に中根がシギリージャを踊り始める。曲の終盤に向かうにつれ、徳永のギターと中里の熱唱がさらに踊りを盛り上げる。構成がとてもよく練られた、シンプルでいて濃厚なフラメンコの場面だ。


柏のソロは中里の情感溢れる歌を踊る、美しくも儚げな曲。それとは対照的に、リーが踊るのは妖艶なサンブラ。チェンがタンバリンを鳴らしながら歌い、二人の芸の表現力に驚かされる。バイレもカンテもそれぞれに、借り物ではない自分自身の芸になっている。陶酔するように踊っていたリーは、真実を追い求める女が現れるとまるで夢から覚めて本来の自分を取り戻したかのように、母語である台湾語で歌い始めた。


B_260710_美しい嘘_ルンバ
佐藤浩希

嘘つき男が飄々と踊るルンバ。客席に声を掛けたり、音楽の波に乗ってみたりかわしてみたり、そこに真実の姿は見えない。


佐藤の前に森田が現れ、二人は対峙する。嘘つき男が真実を追い求める女に歌い上げるソレア。その歌にもし偽りが見えたならすぐさま関係性が破綻してしまいそうなくらい、二人の間には張り詰めた一本の糸が見える。

鋭い眼光を放ち、自身の感性に誠実に踊り、持てるものを惜しみなく表現する姿は感動的ですらある。そして佐藤の歌も森田に導かれて熱を帯びていき、それが観客の心に伝わってくる。今年の傑作のひとつとして挙げたいワンシーンだ。


日本と台湾のアーティストが手を取り合い素晴らしい作品として結実した今回の公演。この作品には、ジプシーや迫害された人々の苦難の歴史や、今も戦禍に苦しむ人々に思いを馳せ平和や安寧を望む、制作に携わった人々の切なる願いも込められている。互いに国や文化が違っても「フラメンコ」という共通言語を軸として、未来に向けてさらなる国際交流が広がり深められることを願いたい。


C_260710_美しい嘘_ブレリア

[出演]

バイレ 森田志保 佐藤浩希(アルテイソレラ舞踊団)

    権 弓美 ルー・リー 柏 麻美子 中根信由

カンテ ポーイン・チェン 中里眞央(アルテイソレラ舞踊団)

ギター 徳永康次郎

パルマ 小西みと(アルテイソレラ舞踊団)

ナレーション 吉井盛悟(日本音楽家)


[主催]

MANO Flamenco 国際交流実行委員会

 

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