Célula オリジナル舞台作品
(スペイン舞踊振興MARUWA財団 令和6年度助成事業)
(jueves, 6 de febrero 2025)
2024年12月7日(土)
MI PATIO(愛知・名古屋)
写真/佐藤尚久
Fotos por Naohisa Satou
文/金子功子
Texto por Noriko Kaneko

日本フラメンコ協会の全国ツアーをきっかけに誕生した若手の女性フラメンコダンサー6人によるユニット、Célula(セルラ)の初の舞台作品が名古屋のMI PATIOで上演された。
原作は、漫画家としても活躍するメンバーの川松冬花が書き下ろした漫画をベースとし、漫画と舞台作品がコラボするというユニークな試みだ。
会場となるのは、小劇場のようなコンパクトで奥行きのある舞台。ステージ前方には紗幕(しゃまく)が掛かり、そこに映像を投影しつつ奥の人やセットも幕を透過して見えるという便利な演出アイテムだ。
プロローグでは、バイオリンとギターの二重奏が流れる中で、ストーリーの軸となるマンガの画像が映写される。
そして、物語の主人公役を務める鬼頭と、黒い衣装に黒のヴェールで顔を覆う5人の群舞によるタラント。群舞の一団が次々に形を変えながら鬼頭を取り囲み、翻弄し、やがて寄り添い、調和し導いていく。振付もフォーメーションも自然でオーソドックスでありながらも迫力があり、とても良く作られている。

主人公がフラメンコスタジオを見学するシーンでは、ブレリアやタンギージョの曲を活かしてコメディタッチに演出する場面も。

シギリージャでは主人公の怒りや悲しみをソロと群舞で表現。中里は歌でもその心情を表現。紗幕の映像や照明の演出との相乗効果で、 舞台に業火が見えた。

バイオリンソロのファルーカを踊る鬼頭は、そのキレのある身体能力と表現力で渾身の舞を魅せた。
白のドレスにメンバーカラーのシージョをアクセントにした衣装に身を包んだ群舞は、救いと希望のアレグリアス。遠藤のカンテが大きな愛で包み込んでいるかのよう。ユニゾンもソロパートを繋ぎ合う場面も息が合っていて、観ていて気持ちがいい。
ラストは主人公の未来に光が感じられ、何だか映画を1本見終えたかのような爽快感を覚えた。


満員の観客の拍手に包まれ、ユニットとしての門出を大成功で飾ったセルラ。フィナーレの挨拶で原作を務めた川松は「これからも今までフラメンコでやらなかったようなストーリーにも取り組んでいきたい」と意気込みを語った。
そしてこの3月、彼女たちは2月からスペインへ留学する鬼頭以外の5人で、現代舞踊協会主催の「ダンスプラン2025」全国新人舞踊公演の舞台を目指す。
未知の可能性を秘めた才能ある若手たちの、今後の活躍に注目していきたい。

【出演】
演出・振付・出演 Célula(荒濱早絵 川松冬花 鬼頭幸穂 佐藤陽美 中里眞央 脇川愛)
ギター 斎藤誠
カンテ 遠藤郷子
バイオリン 森川拓哉
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