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KOJIMA Shoji 《叫び The Scream》

  • 9 時間前
  • 読了時間: 3分

(viernes, 27 de marzo 2026)

 

2025年5月2日(金)

グランシップ 中ホール・大地(静岡)


写真/大森有起

Fotos por Yuki Omori

文/金子功子

Texto por Noriko Kaneko

 


A_2505_小島章司叫び_SP2_1855c

 

SPAC(静岡県舞台芸術センター)が主催する「SHIZUOKA せかい演劇祭」のための特別上演として披露された今作品は、2016年にノルウェーの画家ムンクが描いた「叫び」をオスロで見たときの衝撃からインスピレーションを受けたという。長年にわたり小島の心を駆り立て続けているフラメンコの歌い手たちの「叫び」、カラコールやマイレーナ、パケーラ、カマロン、フェルナンダ、チョコラーテなど、先人たちの強い叫びや小さなささやきにも思いを馳せ、これまで芸術の力を信じて生きてきた全てのものを舞台に捧げたいという願いを込めた作品だ。

 

オープニングは歌い手3人によるパルマとブレリア。互いにハレオを掛け空気を温め、チクエロのタパオがグルーヴ感を沸き立たせる。ひとりずつ歌い繋ぎ、ドゥエンデは踊りもひと振り披露するなど、濃厚で純粋なフラメンコの世界に引き込まれる。

 

5人の群舞は、前年に小島の舞台「蒼茫」で上演された作品の再演。さらに熟成され自然な一体感が感じられ、広い舞台を生かしたバタとマントンでのスケールの大きい群舞を展開する。

 

チクエロのソロはグラナイーナ。豊かな響きを奏でながら曲調はスローからミディアムテンポへと変化し、軽快な明るさも楽しませてくれるような一曲だった。

 

柳谷と松田が踊るパレハでのソレア。ベージュの揃いの生地のベストに紫のシャツとピンクのブラウスというコーディネートが印象に残る。姿勢良く整った踊りには小島の美学がしっかりと受け継がれ、二人でのポージングも随所で練られ構成の美しさが光った。


二人の歌い手によるカンテソロは、深い嘆きを歌い上げるミゲルのマラゲーニャと、味のあるハイトーンの歌声でアバンドラオを聞かせるドゥエンデ。それぞれの個性がまた楽しい。


知念、漆畑、石川ら3人のユニット、アルモニアによるファルーカはフォーメーションや振付もよく考えられていて、男性によく踊られる曲ではあるが女性らしい動きもセンス良く取り入れられている。


ロンドロが歌うアレグリアス。抑え気味の声質にはいぶし銀の魅力が光り、むせぶような歌いぶりには内面に溢れるエネルギーを湛えながら喜びをかみしめるようだった。


ユンケの鐘の音が響く中、舞台の中央に立ち全霊を込めて歌うミゲルのマルティネーテ。ドゥエンデもまた、心からの嘆きを歌い上げる。舞台に登場した小島は内面からみなぎる力に集中し、パルマと歌を確実に捉えて足を打ち踊る。胸の前で抱えるファルダや足の連打に、溢れる思いが表れる。


小島の叫びは全てに宿っていた。その足に、腕に、手首や指先に、ファルダに、そして全身をまとう空気に。舞台にしゃがみ込み、全てを飲み込むような沈黙の後、内なる叫びは祈りへと昇華し天に向けて捧げられた。


約1時間という限られた時間の中に凝縮された、この日限りの今回の作品。フラメンコ舞踊という表現方法に切なる願いを込め、真摯に踊った小島の姿は観客の心に刻まれたことだろう。


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[出演]

小島章司(作・構成・演出・踊り)

チクエロ(音楽監督・ギター)

エル・ロンドロ(歌)

ミゲル”エル・ラビ”(歌)

ホアキン・ゴメス”エル・ドゥエンデ”(歌)

知念響 漆畑志乃ぶ 石川慶子〈以上、アルモニア〉(踊り)

柳谷歩美 松田知也〈以上、小島章司フラメンコ舞踊団〉(踊り)


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