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伊藤笑苗・鬼頭幸穂 フラメンコライブ《Lunas Sagradas》

10 分前
読了時間: 3分

(martes, 29 de septiembre 2026)


2026年8月7日(金)

浜離宮朝日ホール(東京・築地)

 

写真/伊藤実音

Fotos por Mio Ito

文/堀 慎二郎

Texto por Shinjiro Hori

 


A_0807_ルナ・サグラダ_白黒パレハ1

 

国内のコンクールで様々な賞を獲得している実力派バイレ、伊藤と鬼頭。その2人が主役を務めたのが本公演だ。主催は多様なジャンルの公演を行っている株式会社Moonで、当初は伊藤の公演の話だったが、伊藤の希望で鬼頭が共演することに。Moonの方でも若きアーティストを応援するべく、大きなステージを用意したという。


公演のコピーは「二つの月が出会う夜、女神たちの情熱が、魂を震わせる。」

そんなファンタジックな世界観の中で、2人はどんな表現で観客を魅了したのか。


森川のピアノと今枝の歌で舞台は始まった。豊かな音が創り出す世界で、2つの月が誕生するような演出から踊りへ。最初は人形のようなぎこちない動作だったが、徐々にしなやかさ、鮮やかさが増し、命が宿っていくようなイメージだ。美しく舞い上がるファルダや、“二つの月”として濃密に触れ合うシーンなどに、多くの観客が心奪われたことだろう。


目を見張ったのは、伊藤と鬼頭のシンクロ率の高さだ。3曲目は伊藤が白、鬼頭が黒い衣装で現れた。左右に分かれ、すれ違い、足を打つ。息がピッタリ合っていて、“陰陽”を表す“太極図”が思い浮かぶほどだった。


2人が表現するそれぞれの“月”の違いも感じ取れた。せわしく、鋭い伊藤に対し、鬼頭はゆったりと自由に踊る。そしてそれは、それぞれのソロへと繋がってゆく。


C_0807_ルナ・サグラダ_鬼頭幸穂ソロ2
鬼頭幸穂

鬼頭のソロはグアヒーラ。Kanが挿入した波の音などもあって、明るくて自由、海辺で女神が遊んでいるような印象だ。伊藤のソロはシギリージャで、森川のピアノの不協和音とも相まって、文学的、哲学的なイメージさえあった。ラストで力尽きたように崩れ落ちる姿は、まさに迫真の演技。心に響く表現力はさすがと言える。


B_0807_ルナ・サグラダ_伊藤笑苗ソロ
伊藤笑苗

アーティストの演奏も素晴らしかった。ギターの菅沼は力強く、かつ繊細、密度の高い演奏で舞台を力強く牽引していた。カンテの今枝は、口を開いた瞬間にスペインの情景が脳裏に浮かぶほどで、歌の伸び、声の震えが胸に染み込む。パーカッションのKanも、正確なリズムとさまざまな楽器を駆使して世界を彩った。


そんな皆を、森川がピアノとバイオリンで包み込む。公演の曲のほとんどは、森川のオリジナルだったという。彼がいてこそ、深みと芯のある公演になったのだろう。


ラストは皆の高い技術と感性が一体化し、重厚な世界が舞台に形作られた。シンクロする伊藤と鬼頭の踊りも冴えていて、すれ違いながら同時にバタを上げた瞬間などは、鳥肌ものだった。


最後の挨拶では、伊藤と鬼頭それぞれがマイクを持って語る初々しい姿も。音楽監督として舞台をまとめた森川からは、後日こんなコメントをいただいた。

「今回お二人との作品創りは初めてだったので、どうやって創るのか探りながら本番になってやっと全貌が分かったというところ。お二人の振付、踊り、衣装全て想像以上に素敵で手ごたえとしては最高でした。次はもっとこんな事が出来るなとか、こんなアイデアが面白いなという事が沢山浮かんだので、また温めておきます」


再演、続編など、次へと続くきっかけとなる公演だったことは間違いない。今後の発展への期待はもちろん、伊藤と鬼頭、そして高い技術を誇るアーティストを応援する人たちがさらに増えていってほしい、そう心から思った公演だった。


D_0807_ルナ・サグラダ_黒パレハ5

【出演】

バイレ 伊藤笑苗  鬼頭幸穂

カンテ 今枝友加

ギター 菅沼聖隆

パーカッション Kan

音楽監督・バイオリン・ピアノ 森川拓哉


音楽:森川拓哉

主催:株式会社Moon



*編集部より追記:来年の夏に再演を予定しているといううれしいお知らせが届きました。詳細は未定のため、続報を楽しみにお待ちください。


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