スペインNews 7月号・2026
- 2 時間前
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(lunes, 6 de julio 2026)
文・写真/志風恭子
Texto y fotos por Kyoko Shikaze
この6月、ヨーロッパは未だかつてないほどの熱波に見舞われたということが日本でもニュースになっていたようです。フランスやイギリス、ドイツ、スイスといった通常の6月なら30度になることも稀な地域が最高気温が40度にも達するなどしたそうです。スペインでも、北スペイン、バスク地方のビルバオで42度を超えるなど、記録的な暑さでした。普段は涼しい地域なのでエアコンのないところも多く、死者も出たとか。実はこの時期、毎年40度超えが普通のセビージャは実はそれほど気温が上がらず、最高気温も35度前後とマドリードよりも低く、普段に比べれば過ごしやすかったので、なんか申し訳ないような気持ちだったのですが、他の地域が元の気温に戻った6月末にはしっかり40度以上を記録。いつもの夏がやってきました。北部と違って慣れているので、買い物などの用事は午前中の涼しい時間に済ませ、暑さが少し和ら義始める20時頃までは極力外出を避ける、昼間は雨戸を閉め熱気が入るのを防ぐ、などいつもの対策を取りつつ、冷たいトマトスープ、ガスパチョ飲んでがんばるのでありました。
《INDEX》
【ビエナル記者会見】
9月の開催を前に、ビエナルも講演やイベントを紹介する座談会/記者会見を精力的に開催中です。6月2日は、川沿いの高級レストラン、アバデスで、サラ・トゥリーナで開催されるギター公演の紹介。ダニ・デ・モロンやフアン・レケーナ、マヌエル・デ・ラ・ルス、マリア・マリン、ラウル・ロドリゲスらが参加。

6月29日にはレアル・ファブリカ・デ・アルティジェリアで、メインの公演以外の、プレビエナルとでもいうべき、開会前の無料公演や展覧会などの情報も解禁されました。(詳細はこちら)https://noticiaflamenca.blogspot.com/2026/07/blog-post.html

【アンダルシア・フラメンコ/セントラル劇場】
5月に引き続き、アンダルシア州のフラメンコ公演シリーズも3公演。6月2日は昨年のコルドバのコンクールの覇者、アンヘル・フローレスとクリスティーナ・ソレールが登場。ギターのアンヘルはパーカッションのハビエル・ラバダンと。テクニックはあるけれど、とにかく詰め込みすぎて曲種ごとのキャラクターや味わいは皆無。すべtが技術の練習のための曲?って思わされる。クリスティーナも上手は上手なのだけど、こちらも色々詰め込みすぎて味がない。グラナダ出身というけどタンゴにアイレがない。スカートまくりすぎとちょっと失望。その後のペーニャ公演では良かったと友達に聞いたのでこの日は調子が悪かったのかな。ギターのフアン・カンパージョは良かったのだけど。
5日はクリスティーナ・ヘーレン財団創立30周年記念公演『エル・フラメンコ・エス・ビダ』。1994年のビエナルで初演した作品を、現在、同財団フラメンコ学校出身のアーティストたちで再演。鍛冶屋、居酒屋、街中、南米からの船がつく港とフラメンコの歴史に欠かせないと当時思われただろう4つの場面からなるのだけど、初演時のホセ・デ・ラ・トマサ、カリスト・サンチェスらに比べ力不足は否めないアーティストが多かったのだけど、その中でエル・チョロ、ルイサ・アパリシオという教授をも務める踊り手二人は素晴らしかった。プロになる技術は学べてもそこから一歩進んで名前が出るアーティストになるのはやはり難しいのだな、と思うと同時に、これまでにたくさんのアーティストを育て上げたその功績にはやはり脱帽。歌い手のアルヘンティーナやロシオ・マルケス、踊り手ならピニョーナやアルベルト・セジェス、フロレンシア・オス、日本人でも徳永兄弟や萩原淳子など多くのアーティストがこの学校出身です。

6日はホセ・バレンシアの『ペルセクシオン』。故郷レブリーハの大先輩、レブリハーノがヒターノへの迫害を歌った名盤を、その甥、ホセ・マリア・ペーニャとともに舞台作品に。歌い手レラ・ソトや、踊り手ナサレ・アマジャも加わり華やかに。個人的にはホセだけで良かったのではないかとも思うけど、耳に残るメロディーなど、やはり名作は名作と再確認。幕開けで歌われアンコールでは客席も合唱した『リブレス・コモ・エル・アイレ』はフラメンコの国歌のようなものになってもいいかも、などと思ったことでした。

【カハソル劇場のフラメンコ】
6月11日はルシア・アルバレス“ラ・ピニョーナ”の新作『セントラル』。

踊り手はルシア一人だけでソレア、ファルーカ、シギリージャの3曲をギターソロ、カンテソロを挟んで踊るというシンプルなリサイタルで、彼女の他の作品のようなはっきりしたコンセプトはないのだけど、そのシンプルさ、基本に戻るというのがあえて言えばこの作品のコンセプトなのかも。そのシンプルさゆえに、ルシアの場を制する力や表現力が際立ってきます。歌(ジョナタン・レジェス、エセキエル・モントージャ、マヌエル・パハレス)のセンティードをしっかり汲み取って踊る全ての動きに意味があり、心の奥深くに働きかけてきます。ドラマやテーマがなくとも、フラメンコは踊り一曲だけで全てが表現できるものなのだなあと再確認できたことでした。

26日はディエゴ・デル・モラオのリサイタル。

カンテもパルマなしでただ一人で1時間強。2010年の作品だというロンデーニャで始まったのだが、二曲目はピックアップのついたエレアコで。彼がエレアコ弾くのは初めて見たのでびっくりしたけど、違和感なし。リズム系をエレアコで、ソレアやシギリージャは普通のフラメンコギターで、と使い分けているのかな。亡くなったミゲル・サラドに捧げたシギリージャ、そして最後に弾いたブレリアが絶品。曲の紹介などトークも上手で、歌伴奏が多いけど、ソリストとしてももっと活躍してほしいと思います。

29日はヘスス・メンデス。ぺぺ・デル・モラオの伴奏でアレグリアス、マラゲーニャ、ソレア、タンゴなど7曲だったかな。

深みと重みのあるしっかりしたシギリージャが目を見張る出来。ソレア、シギリージャ、ブレリアはヘレスのアーティストのお家芸的存在だけど、品格のある歌いっぷりは見事の一言でありました。最後はヘススやミュージシャンたちのウナ・パタイータもあって満足満足な、夏休み前の公演となりました。

【ペーニャ、トーレス・マカレーナのフラメンコ公演】
ペーニャの公演も続いています。6月も12日ペドロ・コルドバ、17日スサナ・カサス、中原潤、ハイロ・ベガ、18日セルヒオ・アランダ、26日ジョエル・バルガスと見てきました。ペドロとセルヒオの公演はもともと1月の予定だったのが、列車事故や天候の影響で日程が変更されたもの。1978年カタルーニャはサバデル生まれのペドロはマルティネテ、アレグリア、ソレア。実力派ベテランならではの舞台でしたが、個人的に上体の使い方や目線などの表現に90年代、一番いときのアントニオ・カナーレスを感じて胸が熱くなりました。

17日はヘーレン財団フラメンコ学校で講師を務めたスサナ・カサスが、生徒の中にいた中原潤とハイロ・ベガに目をとめ、3人で舞台に上がるというもの。クラスでやったのであろうマルティネテを3人で踊り、

1部で中原のソレア、2部はハイロのタラントという構成。中原は、ずっと気になっていた首が前に出てしまう癖がなおっていたのが嬉しい。歌をしっかり聴いて反応して踊っており素晴らしい出来。

ハイロは昨年のヘーレン財団、フラメンコ才能コンクール舞踊部門の覇者ですが、体も絞って、姿勢も改善。ただまだ10代と若いせいか、サパテアードが力まかせで音質とか全く気にしていないドデカ音なのは残念、いや伸び代ですか。

18日のセルヒオ・アランダはアレグリアスとソレア。日本でも活躍している彼ですが私は初見。

コンセルバトリオ出身というのだけどアカデミックなフラメンコよりもフィエスタのフラメンコの方が好きなのかな、という感じ。フィン・デ・フィエスタにカルメン・レデスマ、ぺぺ・トーレなど多数飛び入りというのも人柄なのでしょうか。
26日のジョエル・バルガス、2003年生まれの若手で、2023年ラ・ウニオンのコンクールで優勝し、マヌエル・リニャンやエステベス/パーニョス作品にも出演している期待の星。伝統的な腰高のズボンに丈の短い上着という、トラへコルトで登場し一曲目はカバーレス。というのも珍しい。カルメン・モレーノが自然体でブレリアを歌い踊り、二曲目はタラント/だと思っていると歌い手にカスタネットを渡され、民族舞踊のように叩いたかと思ったら、ハビエル・コンデの弾くパコ・デ・ルシアのロンデーニャにカスタネットで合わせたりという舞台作品のような構成。2部のアレグリアスもそうだけど、スペイン舞踊的な身体づかいなどもあるけれど、フラメンコとしてもちゃんとしているし、クリエーションの意欲も素晴らしい。ただやはり若者特有のあれこれ詰め込むというのもあって、靴音の音色など細部はもっと色々工夫できるはず。2年前初めて見た時から随分成長している感じもあるので、今後の展開も楽しみです。
【コンクールふたつ】
6月8日、セビージャのクリスティーナ・ヘーレン財団学校内にあるトリアーナ・フラメンコ劇場においてフラメンコ才能コンクールの舞踊部門決勝が行われ、ヘレス出身の17歳、マヌエル・ヒメネスが優勝。来年度の学校での奨学金も獲得しました。
2位ロサ・エンリレ、3位ロラ・ロセンドも奨学金獲得です。なお、5月18日ウトレーラで行われたカンテ部門決勝ではルイス・オルテガが優勝、2位は中国出身のマヌエル・デ・ラ・チナことジヤン・ペン、3位はルシオ・レケーナで、他の3人の決勝進出者とともに来期の授業料無料特典も受け取ったとのことです。なお、伴奏ギター部門では1位フランシスコ・サンチェス・アルカラ、2位フアン・エンリケ・デ・ロス・レジェス、3位フアン・パブロ・バジノテだったとのことです、
また、ムルシアのラ・ウニオンでは、カンテ・デ・ラス・ミーナスのコンクールに先駆け、2008年から12年までに生まれた、つまりまだ本選に出場資格のない14歳から、資格もできた18歳までの若手のみを対象にしたデスプランテ・フベニル、若きデスプランテのコンクールが、6月25日から27日まで開催され、グラナダ出身のビルヒニア・エスパジャルド“ラ・ビチ”が優勝。7月30日に行われる優勝者ガラにサロメ・ラミレらとともに出演予定ということで今から見るのが楽しみです。

【訃報/ミゲル・サラド逝く】
6月12日、ヘレスのギタリスト、ミゲル・サラドが亡くなりました。1981年9月20日生まれというからまだ45歳。歌伴奏を得意とし、ホセ・メルセやパンセキート、アウロラ・バルガスら、多くの歌い手たちを伴奏して来ました。謙虚で、常に歌を立てる、優しい人柄そのままの伴奏が今も耳に残ります。安らかに。

【筆者プロフィール】
志風恭子(Kyoko Shikaze)/1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。
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