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- EL CARTERO スペイン旅行記 2016 /2
[期間]2016年2月14日~3月14日 (domingo, 5 de octubre 2025) 昨年2024年10月にこの世を去ったカンタオール、瀧本正信さん。 日本のフラメンコ界に本場のカンテの種をまき、強い信念と歯に衣着せぬ率直な物言いで周囲に大きな刺激を与え、何人もの後進を育て多大な功績を残しました。 約10年前に瀧本さんが教え子たちとともにスペインを巡った旅行記が、当時メンバーの一人として同行した、現在歌い手として活躍する金高荘子さんの手により記されていました。 現地で出会った様々な人たちとの、フラメンコへのアフィシオン(愛情)に溢れた交流の記録を、たくさんの写真とともにご紹介します。 【金高荘子さんより】 ここに綴る旅の記録には、今はもう会うことのできない大切な友人たちも登場します。 彼らを偲び、心からの感謝と祈りを込めて記します。 また、時の流れの中で、この記録に登場するお店のいくつかはすでに営業を終えています。 失われたものへの想いと共に、ここに残された記憶を紡ぎました。 当時の旅を歩む"El Cartero"こと瀧本正信氏の姿を思い浮かべながら読んでいただければ幸いです。 文・写真/金高荘子 Texto y fotos por Soko Kanetaka 【第2回】 ◆2月17日 9:00 am 日本では夜行性(?)のCarteroだが、スペインではなぜか早起き。 まだ時差ボケか? 在りし日のCamaronが マドリードでデビューしたというタブラオ "Torres Bermejas" の前を通る。 表に貼ってあるポスターによるとちょっとお値段高めだな…、今回はお店を眺めるだけで良いことにする。 Camaronに思いを馳せながらTorres Bermejasのすぐそばにある広場でひとときを過ごす。 ◆SOFIA美術館 4階から順に降りることにしたが、 広過ぎて2階の本命ゲルニカに辿り着く頃には みんな疲れ果てていた…。 が、ゲルニカを目の前にしたらその迫力に疲れもどこかに行ってしまった。 Carteroは、ン十年前の若かりし頃に一度見たらしい。 「今回はその時と印象が全然違うな~」と言って感動していた。 (ちょっとオトナになったってことですかね) 美術館のすぐ近くのレストランでみんなで食事ができた。 マドリードの美しい街並みを楽しみながら、アトーチャ通りのゆるやかな登り坂をホテルまでゆっくり歩いて帰る。 ◆2月17日 Tablao Flamenco Villa Rosa 一度は行ってみたかったタブラオへ。観光客の多いお店。 唄、ギター、踊り、華やかで賑やかで、さすがスペインだな~!と楽しんだのだけれど、私達が見たかったものとはちょっと雰囲気が違っていた。 Enrique Pantojaがぼやいていた「プーロなフラメンコは最近はもう誰もやらない」って、こういう事なのかもな。これはこれで楽しいけれど。 お食事付でお値段高め。食事は美味しかったが、パエジャがいまいち…。 びちゃびちゃのバエジャにクレームをつけるCarteroとホセ(大西)。 作り直してもらったけれど、やっぱり美味しくなかったらしい。 それでも、みんなで行けたことは嬉しく楽しい夜だった。 ◆2月18日 JEREZへ! アトーチャ駅のCAFÉで昼食。 Atocha駅からRenfeに乗って憧れの地、JEREZへ向かう。 Renfeに乗り込んだら荷物置き場は既に他のお客さんの荷物でいっぱいになっていた。私たちの荷物が置けない。 詰めれば乗るかなぁ? 巨大スーツケース達を置くためみんなで協力して荷物の積み替えテトリスに挑む。 同じ車両の乗客はみんな心配そうにその様子を伺っていたが、最後の荷物が収まった瞬間その車両の全員が拍手喝采。スペインっていい国だ~と思った。 ◆駅からタクシーに乗り、ピソに到着。荷物を置いて散策に出る。 夜のJerezは街燈の色が心地よい。全員で中心街へ。 歩いているとどこからともなくFlamencoが聞こえてくる! 28日にCarteroがライブをする予定の Tabanco Pasaje へ行ってみると、Jose MendezとJuan Moneoのライブが行われていた。 すごい唄に圧倒される。 ライブが終わるとCarteroは、Jose Mendezに声をかけ再会をよろこび合う。 そしてまたそこでフラメンコが始まる。 残っていたお客さん達大喜び。 私達はもっと大喜び。 Ana Maria Lopezが唄ったBuleríaにも感動。 Jose Mendezはギターも上手だった。 みんな何でもできるんだなぁ。 ギターはCartero。 Ana Maria Lopez が唄い、ホセ(大西)が踊る。 https://youtu.be/zA1vZOqT4QQ ピソに帰り、Carteroがみんなにラーメンを作ってくれた。 日本から持ってきてくれたチャルメラ醤油味かきたま入り。美味しかった。 (* 第3回に続く ) ©近藤佳奈 【筆者プロフィール】 金高荘子(Soko Kanetaka) /幼少期から音楽に触れ、学生時代にはロックなどのバンド活動を通し音楽に親しむ。2002年にフラメンコと出会い、2010〜2024年に瀧本正信氏に師事。短期渡西を繰り返しながら現在も研鑽を重ねている。 =====
- カンテフラメンコ奥の細道 on WEB no.53
(sábado, 11 de octubre 2025) 文/エンリケ坂井 Texto por Enrique Sakai Malagueña de Chacón ① エル・メジーソ、ラ・トゥリニと並んでよく歌われるのがチャコンのマラゲーニャですが、今回からその数々のスタイルを取り上げます。 Antonio Chacón García (アントニオ・チャコン・ガルシーア)は1869年ヘレス・デ・ラ・フロンテーラに生まれ1929年マドリーで亡くなった、「カンテの皇帝」と呼ばれ“ドン”の敬称を付けられた大カンタオールです。 ヘレスのもう一人の歴史に残る大物、マヌエル・トーレとよく比べられますが、片やカンテ・ヒターノ、片やカンテ・アンダルーの名人としてそのレパートリーも正反対にいる二人の名人と言えるでしょう。 マヌエル・トーレは理屈抜きに人間の根元にある野性や悲しみ、遥か昔からの遺伝子に残る懐かしい記憶、恐れなどの様々な感情を我々の心の中から想い起こさせてくれます。 まさにヒターノ達が持っている声の響き、その発声による色合い、人間性によって深い悲哀を表現できる稀な人なのです。 一方でチャコンはハイテノールと言える高い声、完璧な技術、その非凡な音楽性と創作力でカンテの世界をよりいっそう豊かなものに創り上げた歌い手で、その功績は計り知れない程大きなものです。 カラコレス、ミラブラーなどのカンティーニャ類、マラゲーニャ、グラナイーナ、そしてカンテ・デ・レバンテなどなど…、今も受け継がれる多くのスタイルにチャコンの名が冠されています。 私の考えではマヌエル・トーレは現代人にも解り易い、つまり野性の香りや渋み、深みは我々東洋人が伝統的に持っている、あるいは持っていた美の精神を思い出させてくれストレートに感じる事ができますが、チャコンはなかなか難しいのではないでしょうか。 それをうまく書き表すだけの文章力を私は持ち合わせていませんが、次回私がチャコンに目覚めたきっかけを書いてみます。 ではまずそのスタイル①の歌詞を。 【Letra】 (que tienes por mi persona …) ¿ A qué niegas el delirio que tienes por mi persona ? le das martirio a tu cuerpo y tú te estás matando sola y yo pasando tormento. 【訳 】 (俺に夢中だということを…) 俺に夢中だということを どうしてお前は否定するんだ? お前は自分を苦しめながら 独りで自分を殺していく、 俺も辛い思いをしてるんだ。 チャコンは蠟管(ろうかん)の時代からこのマラゲーニャを何回も録音しています。始めの録音から聴いてみると、この1913年の録音がほぼ完成しているので採用しました。※の~部分は採譜し難いメリスマなので、歌う人の自由に任せます。 【筆者プロフィール】 エンリケ坂井(ギタリスト/カンタオール) 1948年生まれ。1972年スペインに渡り多くの著名カンタオールと共演。帰国後カンテとパルマの会を主宰。チョコラーテらを招聘。著書『フラメンコを歌おう!』、CD『フラメンコの深い炎』、『グラン・クロニカ・デル・カンテ』vol.1~36(以下続刊)。2025年1月Círculo Flamenco de Madridから招かれ、ヘスス・メンデスと共演。 ※CD『グラン・クロニカ・デル・カンテ』シリーズを購入ご希望の場合は、 アクースティカ(https://acustica-shop.jp/) へお問い合わせください。(編集部) ======
- 【news】小島章司《Flamenconauta -フラメンコナウタ-》
(miércoles, 8 de octubre 2025) 日本を代表するフラメンコ舞踊家の一人で文化功労者の小島章司さんが2018年のフェスティバル・デ・ヘレスで上演した《Flamenconauta -フラメンコナウタ-》が、この10月に東京・銀座ブロッサムで上演されます。 この作品の初演時は、スペインを含めた12ヶ国(メキシコ、チリ、アルゼンチン、ブラジル、ロシア、中国、台湾、日本、オランダ、フランス、カナダ、スペイン)の舞踊家による『フラメンコナウタス(Flamenconautas)舞踊団』が結成され、小島さんは同団の特別協力者兼招待アーティストとして参加。 今回の公演では当時のメンバーの招聘に加えて、日本で活躍する次世代のアーティストも参加するという特別編成での上演となります。 世界の融和とフラメンコの融和が平和につながる事を祈念し舞踊・創作活動を続ける、小島さんの深い想いが込められた舞台が期待されます。 《Flamenconauta -フラメンコナウタ-》 小島章司 FLAMENCO 2025 日時:2025年10月30日(木) 開場 17:30 / 開演 18:00 場所:銀座ブロッサム中央会館 (東京都中央区銀座2-15-6) 出演: 小島章司[バイレ] チクエロ[ギター] カレン・ルゴ[バイレ] ミゲル 'エル・ラビ’[カンテ] ホアキン・ゴメス 'エル・ドゥエンデ'[カンテ]、 アルバ・アロ[チェロ]、 ハコボ・サンチェス[パーカッション] 客演: 小谷野宏司[バイレ] Farolito(出水宏輝)[バイレ] 小島章司フラメンコ舞踊団: 柳谷歩美 松田知也 山形志穂 鳥坂麗 チケット:全席指定 S席 15,000円 A席 10,000円 チケット購入・問合せ: 小島章司公演事務局 Tel. 03-3498-0923/Fax. 03-3498-5442 E-mail: kojima@shojikojima.com 【参照URL】 https://www.shojikojima.com/ja/news/flamenconauta.shtml =====
- 鈴木舞 鈴木千琴 "hermanas" en GARLOCHÍ
(martes, 7 de octubre 2025) 2024年12月15日(日) Show レストラン ガルロチ(東京・新宿) 写真/フォトチョイス Fotos por Photo Choice 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko フラメンコ舞踊家である母、曽我辺靖子のもとで幼少から舞踊を学び、現在は母とともにフラメンコスタジオ”hermanas”(エルマナス)で講師として指導や舞踊活動を行う鈴木舞・千琴の姉妹による4年ぶりとなるガルロチでのライブが開催された。 最初の曲は、青とピンクの衣装のコントラストが美しいパレハ(ペア)のアレグリアス。明るく開放的な舞の踊りと、しなやかで柔らかい千琴の踊りと、個性の違いがそれぞれ魅力的だ。 途中からは千琴のソロとなり、緩急のメリハリが効いた踊りで観客を魅了する。 続いて、ブラウン基調の衣装に替えて登場した舞のソロはタラント。スピード感やダイナミックさといった持ち味を生かした踊りは存在感にあふれていた。 母娘そろって河上鈴子スペイン舞踊賞を始め数々の受賞歴に輝き、また舞台経験が豊富なことから二人とも舞台を大きく使って魅せるのがうまい。 尾藤のギターソロはグラナイーナ。音の粒がきれいな美しいアルペジオを奏で、音の響きを大切にしている演奏が印象に残った。 舞のファルーカは山﨑のギターと作り上げた一曲。郷愁を誘うようなメロディーに乗せて、長身を生かした踊りと力強い足技で表現する。 千琴のソロはマルティネーテ。カンテの二人が打ち鳴らすバストンの音に合わせて、巧みな足技とペジスコを効かせた踊りで見事な協演を魅せる。 ミュージシャンらによるソロはタンゴ。沸き立つグルーヴが会場の空気を盛り上げ、ムイフラメンコな時間を楽しませてくれた。 ラストはパレハでのカーニャ。好対照な互いの個性を見せながらも踊りの呼吸はぴったり。言葉は無くても一緒に舞台に立つだけで気持ちが通い合っているような二人の姿は、互いの信頼関係があるからこそだろう。 最後のフィン・デ・フィエスタでは、今回のライブを見守ってきた曽我辺もひと振りを披露。 フラメンコを通して深められてきた母娘の絆を、大勢の観客と分かち合った心温まる公演だった。 [出演] バイレ:鈴木舞 鈴木千琴 カンテ:大渕博光 有田圭輔 ギター:山﨑まさし 尾藤大介 =====
- スペインNews 10月号・2025
(lunes, 6 de octubre 2025) 文・写真/志風恭子 Texto y fotos por Kyoko Shikaze 《INDEX》 ・ アントニオ・ガデス舞踊団『カルメン』 ・ マノロ・マリン『流儀の継承』 ・ アマルガマ/メルチェ・エスメラルダとレオノール・レアルのトーク ・ ホセ・ルイス・オルティス・ヌエボ『ぺぺ・デ・ラ・マトローナ』 気がつくと今年も後残り3ヶ月。年ごとに月日の流れがどんどん早くなっていく気がするのは、これまで生きてきた期間が長くなるから、なのかな。日本に比べると時間の流れがゆっくりのように感じるスペインですが、何もしなくても時は過ぎ行き、浦島太郎の玉手箱を開けたかのように、気がつくと年だけとっていた、ということになっているような今日この頃。昔は良かったという年寄りに反発していたのがいつのまにか、ことにつけて前世紀の話に持っていってしまっていたりするのを反省。 日本では、秋といえば9、10、11月。最近は10月に入っても夏日ということもあったりするようですが、食べ物、落ち葉や虫の音などで、秋の訪れを感じますし、と思うのですが、スペインでは季節は暦通りに、秋分から秋、冬至から冬、と機械的に進むようで、Otoño Flamenco フラメンコの秋、というイベントが12月の初めに開かれたりします。セビージャの主な街路樹はオレンジで常緑樹ですし、シュロも、フィクスとよばれるゴムノキも、落ち葉とは無縁です。市内にはプラタナスもあるので落ち葉もあるはずなのですが、黄葉したりする木も落ち葉もあまり目にしないので日本の銀杏並木が懐かしくなったりもします。葡萄や栗が並ぶ八百屋さんの店先以外にセビージャでは秋の気分を感じる機会はあまりないような気がします。あ、食欲の秋だけでなく、芸術の秋がありましたね。夏休みが終わり、劇場シーズンも開幕。フラメンコ公演も帰ってきました。 オレンジの木はいつも緑。緑色の実がもうなっていたりします。 【 アントニオ・ガデス舞踊団『カルメン』 】 スペインの各都市を代表する劇場のほとんどは、7、8月は夏休みで公演がありません。セビージャのオペラハウス、マエストランサ劇場も夏休みを経て、2025/2026年シーズンの柿落とし公演として9月6日、7日の両日、アントニオ・ガデス舞踊団『カルメン』が上演されました。1986年以来、度重なる来日公演を劇場で観たことのある方も多い作品ではないかと思います。1983年初演以来、世界各地で上演され続けており、今年のヘレスのフェスティバルでも上演されましたね。メリメの小説、ビゼーのオペラのカルメンの主な舞台はここセビージャ。劇場のすぐそばにある闘牛場の正面にはカルメンの銅像もあります。ということでセビージャで観るカルメンはまた格別。42年も前の作品ですが、鏡と椅子と机というミニマムな小道具だけでいくつもの場面を構成し、聴き慣れたオペラの曲やフラメンコ曲の組み合わせで誰にでも親しみ深く、またわかりやすい作品だと改めて感じいりました。ドン・ホセを踊ったアルバロ・マドリードはセビージャ出身。 ©︎ Teatro de la Maestranza 今回はオペラ『カルメン』初演から150年ということでの上演だったようです。なお、セビージャは『カルメン』以外にも、『セビリアの理髪師』『フィガロの結婚』『ドン・ジョヴァンニ』など数多くのオペラの舞台になっており、9月25日から10月12日までオペラフェスティバルも開催されています。 【マノロ・マリン『流儀の継承』】 劇場だけでなく、ペーニャの公演も9月になって再開。セビージャで一番、公演数が多く、おそらくスペインで一番舞踊公演が多い老舗ペーニャ、トーレス・マカレーナも9月10日、マヌエラ・カルピオ公演で今シーズンの公演がスタート。12日にはオルーコが踊り、9月13日には長年セビージャはトリアーナにスタジオを構え、多くの踊り手たちを世に送り出した舞踊教授で、クリスティーナ・オヨス舞踊団やアンダルシア舞踊団、スペイン国立バレエ団など多くの舞踊団に振り付けている舞踊家、マノロ・マリン、1936年生まれというから今年で89歳の巨匠に、その教え子の一人でスタジオを引き継いだマヌエル・ベタンソスが企画した公演が行われました。イサベル・バジョン、アリシア・マルケス、マルコ・バルガス…客席にはいつも以上にアーティストたちが多く、舞台に立ったマノロのクラスレッスンを模して始まり、マノロのソレアへ。歌に最大限の敬意を払いマルカールしていく。サパテアードで評判だったマノロのクラスだったけど、歌を消すような足は決して入れない。勘所に決めるだけ。歌を踊るのはフラメンコの基本。 続いて登場した、長年代教を務めたピラール・オルテガのタラントも、歌に、地味でシリアスだけど深刻すぎない曲のキャラクターに敬意を払っています。 ベタンソスとのおしゃべりを挟んでタンゴ。息をするように自然な足取り。マノロにとってフラメンコを踊ることは毎日の散歩のように自然なことなのですね。 https://youtu.be/SyFIZpQq9rI マヌエル・ベタンソスのアレグリアスはマノロというより彼のもう一人の師匠、マリオ・マジャの影響をより感じたけれど、伸びやかで観ているこちらの気分も明るくなるようです。 フラメンコ舞踊の基本は歌を踊ること、ナチュラルに歌を踊ることが一番、と感じられた夜でした。私は踊らないのでマノロのクラスを受講したわけではないけれど、観ること会話することでマノロから多くを学んだんだなあ、と感じたことでした。そう、観るもの全部、聴くこと全部が肥やしになっていくのです。 【アマルガマ/メルチェ・エスメラルダとレオノール・レアルのトーク】 セビージャのビエナルが主催するフラメンコのアーティストたちのトークショー・シリーズ、アマルガマ。ビエナルはその名の通り、2年に1度、偶数年の開催なので今年は公演はありません。でもビエナル主催のイベントはあるのです。 アマルガマは、ジャーナリストの司会で世代の違うアーティストがおしゃべりをするというもの。歌や踊り手(ファルキートとカレーテ!)らだけでなく、画家や写真家なども登場します。 会場はセビージャのレアル・ファブリカ・デ・アルティジェリアというセビージャ市の施設で入場無料。4月1日、カルメン・リナーレスとアルカンヘルが登場して始まり、9回目の今回はメルチェ・エスメラルダとレオノール・レアルが登場。歌を習いにいったところで踊りも教えていたのではじめたメルチェ。フラメンコのメッカ、ヘレスに生まれながらバレエを習い、フラメンコを踊りはじめたのは遅かったレオノール。タブラオで鍛えられたメルチェ、アンダルシア舞踊団を経てソロになったレオノール。世代も経験も踊り方も違う二人、それぞれの話を引き出していくカナルスールで文化番組を持つレオ・サルディーニャ。 出かけていった甲斐あって二人とはアフタートークも楽しむことができました。尚、このシリーズ、全ての回がYouTubeにアップされていますので、スペイン語の聞き取りの練習にもぜひ。 https://youtu.be/hqALpk2KYjk?si=UzTQMmT0o921-9kC 【ホセ・ルイス・オルティス・ヌエボ『ぺぺ・デ・ラ・マトローナ』】 ビエナルの創始者で、詩人、フラメンコ研究家のホセ・ルイス・オルティス・ヌエボの著書 『ペペ・エル・デ・ラ・マトローナ。レクエルド・デ・ウン・カンタオール・セビジャーノ(セビージャの歌い手の思い出)』の新版のプレゼンテーションが、9月27日、セビージャのバル、カルボネリアで行われました。元々は1973年に出版されたものですが、50年以上の月日を経てもなお、いやだからこそ、1887年生まれの歌い手の記憶の価値は再評価されるべきものでしょう。 歌い手マヌエル・ロメロがペドロ・バラガンの伴奏で歌うぺぺ・デ・ラ・マトローナのレパートリーを挟みながらというのも楽しく、古いものを知ることで今も明日も、もっと楽しくなるんだろうなあ、と改めて感じたことでした。 左から司会のフランシス・マルモル、マヌエル・ロメーロ、ペドロ・バラガン、ホセ・ルイス https://youtu.be/cAbXv4rwp_8 【筆者プロフィール】 志風恭子(Kyoko Shikaze) /1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。 =====
- 【新連載】EL CARTERO スペイン旅行記 2016 /1
[期間]2016年2月14日~3月14日 (sábado, 27 de septiembre 2025) 昨年2024年10月に闘病の末この世を去ったカンタオール、瀧本正信さん。 日本のフラメンコ界に本場のカンテの種をまき、強い信念と歯に衣着せぬ率直な物言いで周囲に大きな刺激を与え、何人もの後進を育て多大な功績を残しました。 約10年前に瀧本さんが教え子たちとともにスペインを巡った旅行記が、当時メンバーの一人として同行した、現在歌い手として活躍する金高荘子さんの手により記されていました。 現地で出会った様々な人たちとの、フラメンコへのアフィシオン(愛情)に溢れた交流の記録を、たくさんの写真とともにご紹介します。 【金高荘子さんより】 ここに綴る旅の記録には、今はもう会うことのできない大切な友人たちも登場します。 彼らを偲び、心からの感謝と祈りを込めて記します。 また、時の流れの中で、この記録に登場するお店のいくつかはすでに営業を終えています。 失われたものへの想いと共に、ここに残された記憶を紡ぎました。 当時の旅を歩む"El Cartero"こと瀧本正信氏の姿を思い浮かべながら読んでいただければ幸いです。 文・写真/金高荘子 Texto y fotos por Soko Kanetaka 【第1回】 ◆2月14日 羽田発エールフランス ~PARIS経由 ~9:00 am MADRID 着 El Cartero武者修行(?)の旅に同行するのは、 瀧本正信"El Cartero"カンテ教室の有志9名。 シャルル・ド・ゴール空港で乗り換え。 ◆2月15日 Madrid 到着! ホテルへチェックイン後Barで決起会をして、マドリードの街を散策。 Madridに行ったら行ってみたいと話していたCASA PATASの前を通り、アモール・デ・ディオスのあたりまで行ってみることに。 Carteroのずっと以前からの知人であるEnrique Pantojaは確かこの辺に住んでるはず。 「Enrique Pantojaに会えんかな~、会えたらええんやけどな~」 と、話しながら歩いてAnton Martinあたりまで来た時、私達とすれ違ったおじさんが!なんと! Enrique Pantojaだった! 「エンリケ~ !!!」 突然のCarteroの叫び声に全員びっくり。 再会を喜び合い、アモール・デ・ディオスに一緒に行くことになった。 Carteroは歩きながらSoleáを唄い、Enriqueはその度に「Oleeee~!」 アモール・デ・ディオスの中を案内していただく。 CarteroがSoleáとMartineteを唄うと、EnriqueはOleee!とハレオ。Carteroのカンテを喜び、「最近はそういうプーロなフラメンコをやる人が少なくなってしまった。日本人も大勢ここに習いに来る。私はいつも愛情を持って教えるけれど、ここで学んだことを忘れてしまう人が多くて寂しい」などと、最近のスペインでのフラメンコ事情をぼやきながら、二人で熱くフラメンコを語りあっていた。 クラスでギターを弾かせてもらえないか?と、Carteroがお願いすると、そこにたまたま居合わせたテレサ西塚さんが、 「それなら明日、みなさんでブレリアクラスやってもらったら?」と提案してくださった。 ◆夕方 「CASA PATAS」へ この日の踊り手はMistela。 CarteroはMistelaと、なんと20年ぶりの再会だそう。 何年か前に新宿のナナで会ったという人がCarteroのことを覚えていて声をかけられ挨拶をしていた。 ライブの前に食事をし (ちょっと高め。ライブ込みで1人50ユーロ。でもとても美味しかった) その後、奥のライブ会場へ案内される。映像でしか見たことのない舞台にみんなワクワク。 Mistelaの踊りは美しく正確で気持ちが良かった。コンパス心地良くちょっと睡魔に襲われたけど(時差ボケ&お腹もいっぱいで…)素晴らしい時間だった。 ◆2月16日 Enrique Pantojaクルシージョ 生徒9人全員参加。 テレサ西塚さんも同席してくださり、楽しすぎるBuleríaのクルシージョとなった。 Enriqueが唄う。Carteroも唄って弾く。 EnriqueはCarteroのギターにOleee!とハレオしながら、汗だくになりながら、私たちにフラメンコを見せてくれた。その間別室にいた人達が何人もクラスを覗きにきてはCarteroの唄とギターに驚いていた。 クルシージョの後、Entiqueが下の階のBarで一緒に飲もうと誘ってくれた。 Carteroが再びギターを弾きはじめフエルガが始まる。Enriqueは、近くで飲んでいた若者達にも仲間に入れと誘う。そして「今日は特別な日だ」などと言いながら、Carteroのギターで沢山唄ってくれた。 Soleá、Bulería、Farruca、Alegrías、Sevillanas…。 私たち生徒も勉強中のカンテを唄った。緊張しながら唄う私達だったが、Enriqueのハレオは本当に気持ち良く、まるで会話をするかのよう。導かれるように唄えてしまう。カンテの未知の楽しさを知った気がした。 彼があまりにもフレンドリーに接して下さるので、かのEnrique Pantojaだということを忘れそうになるが、やっぱりすごい人なんだと思う瞬間が何度もあった。 ホセ(大西)はこの日、何度ブレリアを踊ったかわからないほど大活躍だった。 クラス帰りの踊り手さん達が何人も通りかかっては Enriqueに挨拶をし、そのままパルマやハレオで参加する。どの人からもEnriqueへの敬意が感じられた。そしてみんなFlamencoが大好き。 ふと見るとMerche Esmelardaがそこにいて、素敵オーラに感激してしまった。 ◆クルシージョの後、Carteroが今回どうしても行きたかったという場所に向かった。 Carteroが10年以上前に通いつめていたというBar Solea 。 (これが当時のヤングなCarteroとお店の様子↓) 店を探しウロウロするが見つからない。記憶違いか?と近所の人に尋ねてみると、何年か前に閉店したとのことだった。 私たちはCarteroからその店でのアフィシオナードたちとの話を色々聞いていて、今回そこに行くのをとても楽しみにしていた。 なくなっていたとは本当に残念。 がっかりしてホテルに帰った。 ( *第2回に続く>> ) ©近藤佳奈 【筆者プロフィール】 金高荘子(Soko Kanetaka) /幼少期から音楽に触れ、学生時代にはロックなどのバンド活動を通し音楽に親しむ。2002年にフラメンコと出会い、2010〜2024年に瀧本正信氏に師事。短期渡西を繰り返しながら現在も研鑽を重ねている。 =====
- 来日クルシージョ体験記《Mercedes de Córdoba》
メルセデス・デ・コルドバ クルシージョツアー2025 in JAPAN (viernes, 3 de octubre 2025) のべ16日間、合計7都市、全55クラス。 スペインはもちろん世界各地でも絶大な人気を集めるフラメンコ舞踊家、メルセデス・デ・コルドバの来日クルシージョツアーが5月から6月にかけて開催されました。 このまたとない絶好の機会に、私もバイレ練習生のひとりとしてクラスに参加。 さらにツアー最終日には、メルセデスご本人へのインタビューという貴重な機会を得ることができました。 今回はクラスの体験リポートと、メルセデスへのインタビューをお届けします。 ・ Mercedes de Córdoba インタビューはこちら 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko 写真提供/松 彩果 Foto por Ayaka Matsu メルセデスのエッセンスを吸収しようと大人も子供も真剣なブレリアクラス メルセデス・デ・コルドバの今回の来日クルシージョ。私は横浜で行われた中級のシギリージャ・クラスを受講してきました。 練習生としての自分のレベルを考えると中級にも及ばないのですが、それは一旦置いておいて、「メルセデスが踊るシギリージャを間近で見たい」という強い思いから受講を決めました。 2日間のクラスでしたが、都合により初日のみ参加。 最初のジャマーダからレトラまでを習いました。 「大地からエネルギーを感じて」 「そう踊ると、嘘になるの」 「こう動きが続くと、自然でしょ?」 普段踊る時にやってしまいがちな、身体に力が入りすぎたり、間が持たなくて振りを詰め込みすぎたり、といった問題点をさりげなく、でもズバリ指摘してくる。 足の動きは、「まずは音を何度も聴いて覚えて」と言い、口三味線で何度も繰り返して、音とリズムのパターンを頭に染み込ませる。そうすると、一見難しそうなパソでも意外にも打ちやすくなる。 身体使い、マノやブラソのフォルム、表情、呼吸、そして醸し出す雰囲気…、全てが貴重な教えであって、得難い経験。 「目の前でメルセデスが踊ってくれてるんだ…」そんな夢のような出来事に感動しながら、つい我を忘れてしまう。 そしてギター伴奏で入ってくれた逸見豪さんの演奏に合わせて、メルセデスがシギリージャを本気で歌ってくれる。そのカンテを聴いて、私も真剣に踊りに集中する。 今回の招聘を実現し、メルセデスを師と仰ぐ松彩果さんがこの日は通訳も担当してくれました。やさしく分かりやすく、時には冗談まで訳してくれてクラスが笑いに包まれる瞬間も。 最後は、通しで踊る自分の姿を参加者同士で撮影し合って、この日教わった振付を大切に保存。あっという間の70分でした。 フラメンコを踊るために大切な事をたくさん教えてくれたメルセデス。それぞれのクラスにはレベルが指定されていたけれど、そんな事が気にならないくらい充実した、宝物になるような体験ができました。 【プロフィール】 Mercedes de Córdoba(メルセデス・デ・コルドバ) /舞踊家・振付師 古き良き時代のフラメンコの薫り、豊かで品格に満ちたフラメンコ舞踊家。 スペインで最も権威のあるコンクールで数々の優勝を重ね、自身のカンパニーで有望なキャリアをスタートさせる。『Sin Más』『Ser. Ni conmigo ni sin mi』『Si. Yo quiero』どの作品も観客、評論家、専門誌から最高の評価を得ている。 更には多くの現代の踊り手達が彼女に振付や芸術監督として公演を手掛けてもらっている。 パウラ・コミトレ『Cámara abierta』 フェルナンド・ヒメネス『Con-migo』 アンヘル・ロハス『Ya no seremos』 ラファエル&フアン・カンパージョ『Sangre』 アデラ・カンパージョ『Nacer para morir』『De Sevilla a Cádiz』 ヘマ・モネオ『Sonido de mi amor』 アゲダ・サアベドラ『Venero』 =====
- 【news】第34回「新人公演」選考結果発表
(viernes, 3 de octubre 2025) フラメンコのプロ・アーティストへの登竜門として注目される、一般社団法人日本フラメンコ協会の主催による第34回/2025年度 フラメンコ・ルネサンス21「新人公演」が、9月24~ 26日の3日間にわたり神奈川県立青少年センター 紅葉坂ホールにて開催されました。 その各部門賞について10月2日に「選考会議」が行われ、受賞者が決定、発表されました。 [カンテ部門] 奨励賞 該当者なし 準奨励賞 C-1 齋藤克己 [ギター部門] 奨励賞 該当者なし 準奨励賞 G-1 井本 錬/ G-2 上遠野 忍 [バイレ群舞部門] 奨励賞 Bg-1 Célula 準奨励賞 該当者なし [バイレ・ソロ部門] 奨励賞 Bs-16 JURINA/ Bs-30 中山みのり/ Bs-31 山本由紀/ Bs-37 堀口心太朗 準奨励賞 Bs-09 鈴木映留捺/ Bs-43 小林由佳 *選考過程の概要と総評は、以下のリンクから https://www.anif.jp/event/shinjin/new_shinjin/34th_result.html =====
- 【インタビュー】Mercedes de Córdoba
メルセデス・デ・コルドバ クルシージョツアー2025 in JAPAN (viernes, 3 de octubre 2025) のべ16日間、合計7都市、全55クラス。 スペインはもちろん世界各地でも絶大な人気を集めるフラメンコ舞踊家、メルセデス・デ・コルドバの来日クルシージョツアーが5月から6月にかけて開催されました。 このまたとない絶好の機会に、私もバイレ練習生のひとりとしてクラスに参加。 さらにツアー最終日には、メルセデスご本人へのインタビューという貴重な機会を得ることができました。 今回はメルセデスへのインタビューと、クラスの体験リポートをお届けします。 ・ クラス体験リポートはこちら 取材協力/松 彩果 Colaboración por Ayaka Matsu 聞き手・写真/金子功子 Entrevista y foto por Noriko Kaneko 横浜の会場スタジオ・ダンスパレードにて ――今回の来日クルシージョツアーも最終日を迎えました。今の率直な気持ちはいかがですか。 メルセデス : 不思議な気持ちです。家族が待っている家に帰りたいのに、日本を離れたくないの。私はこの国が好きだし、一緒に仕事をした人たちや、食事や文化も全部好きで。日本はいつも私に大切な出会いをもたらしてくれるの。人生ですごく辛いことがあったときも、日本での出会いが私の人生を大きく変えてくれた。だから日本は、私にとって大切なお守りなんです。 私は日本語を話せないし、また満員電車も日本ならではだし、わざとぶつかってくる人もいたりね(笑)。でもそういうのはまったくストレスではないんです。それよりも、日本のグルメやファッション、カルチャー、裏路地の風景、楽しさや居心地の良さとかの方が私にはとても大切で。 そういう経験したことや感じたこと、全てが踊りに出るの。 フラメンコを仕事として日本に来ているけど、私はアーティストである自分とひとりの人間としての自分を分けて生きられないから、そういったことがとても大事なんです。 今回のツアーは参加者の皆さんも優しくてフラメンコに敬意をもってくれて、とても充実していて幸せな気持ちです。だから終わってしまうのがとても悲しいんです。 ――今回の来日クラスはどんなクラスをしようと計画していましたか。また教える時にいつも心掛けている事はありますか。 メルセデス : 前もって準備などはしないです。実際にクラスに行ってから、参加者のモチベーションとかレベルとか、それぞれの様子を見て決めます。でもどのクラスでも説明しているのは、 何より大事なのは、まず感じるから動き始めるっていうこと。 心が何かを感じるから、自然に身体が動くの。だから、自然であることが大事だってことは、どのクラスでも伝えています。 ――日本人の受講生の印象はどうですか。スペイン人や他の国の受講生との違いは、何かはありますか。 メルセデス : 日本もそうだけどメキシコやアルゼンチンなど海外の人たちは、フラメンコが自分たちの物じゃないから、 よりフラメンコを学びたいっていう強い意欲と敬意をスペイン人たちよりも持っている っていうところは、いつも感じますね。もちろん、全員がそうだというわけではないけど。 ――今回のクラスの中で、何か強く記憶に残っているエピソードなどあったら教えてください。 メルセデス : そうね…例えば昨日のシギリージャのクラスではすごく力強いエネルギーを感じたわ。他にも椅子を使った裸足のブレリアクラスや、大人顔負けの子供達の踊りとか、本当にたくさんの楽しい瞬間があった。今回は札幌から福岡までたくさんの都市を回ったけど、どのクラスもみんな違っていて、でもどのクラスでも皆さんがものすごく喜んでくれていたのが印象的でした。 ―― スペインに帰国してからは、どのような活動を予定していますか。 メルセデス : 帰国してからすぐ、イタリカ・フェスティバルで上演する最新作「Olvidadas (A las Sin Sombrero)」の公演で、イタリアのローマ劇場に行きます。その次はバルセロナのタブラオ、コルドベスの特別企画のショーに2週間出演します。それから1日だけセビージャに戻って、今度はメキシコやアメリカのアルバカーキに行って、帰ってきたら自分のソロ・リサイタルの準備をしないといけないの。大きな作品ではないけど、フラメンコのパロを5~6曲踊る予定です。その後にもコルドバやマドリードで劇場作品を上演したり、2026年のセビージャのビエナルに向けての準備もあるし、本当にたくさんの予定が続いているわ。 「Olvidadas (A las Sin Sombrero)」は、 «Las Sin Sombrero»として知られる27年世代の女性たちに捧げた作品です。ロルカをはじめ文学や詩、芸術、絵画などで男性たちが注目を集めていたその時代は女性に対してはすごく閉鎖的で、そうした彼女たちの怒りを作品にしました。 今まではもっと自分の感性とか人生について作品を作ってきたけど、今回初めて誰かに捧げる作品というものを作りました。 ――最後に、日本のフラメンコ愛好家たちに向けてメッセージをお願いします。 メルセデス : これからも強い意欲を持ってフラメンコを続けてほしいですね。基礎を固めて、知識を深めたり出逢いを大切にして、技術を上げていってほしい。日本の皆さんにも他の国の人達にも伝えたいことだけど、フラメンコは職業とするには、とても幅広くて大変なものです。でも それを乗り越えた先に、その人自身のアルテが表れるの。 そのアルテこそがフラメンコの魅力だし、努力無くしては自分の身体で思いのままに踊ることはできません。 今回のツアーはとても楽しくて、参加した皆さんとはまた近いうちにお会いできたらと思います。そしてまたいつか日本にクラスで呼んでもらえたり、私の舞台作品を日本の皆さんに観てもらえたらと思っています。 【プロフィール】 Mercedes de Córdoba(メルセデス・デ・コルドバ) /舞踊家・振付師 古き良き時代のフラメンコの薫り、豊かで品格に満ちたフラメンコ舞踊家。 スペインで最も権威のあるコンクールで数々の優勝を重ね、自身のカンパニーで有望なキャリアをスタートさせる。『Sin Más』『Ser. Ni conmigo ni sin mi』『Si. Yo quiero』どの作品も観客、評論家、専門誌から最高の評価を得ている。 更には多くの現代の踊り手達が彼女に振付や芸術監督として公演を手掛けてもらっている。 パウラ・コミトレ『Cámara abierta』 フェルナンド・ヒメネス『Con-migo』 アンヘル・ロハス『Ya no seremos』 ラファエル&フアン・カンパージョ『Sangre』 アデラ・カンパージョ『Nacer para morir』『De Sevilla a Cádiz』 ヘマ・モネオ『Sonido de mi amor』 アゲダ・サアベドラ『Venero』 =====
- 新・フラメンコのあした vol.32
(miércoles, 1 de octubre 2025) 20年以上にわたりスペインで活動するジャーナリスト東敬子が、今気になるスペインフラメンコのあれこれを毎月お届けします。 今月は、この7月にマドリードのサルスエラ劇場で上演された、スペイン国立バレエ団の新作公演についてのリポートです。 スペイン国立バレエ団 『アファナドール』 サルスエラ劇場、マドリード 2025年7月13日 Ballet Nacional de España “Afanador” Teatro de la Zarzuela, Madrid. 13 julio 2025 文/東 敬子 画像/宣伝素材 Texto por Keiko Higashi Fotos: por promoción スペイン国立バレエ団の最新作『アファナドール』が「意欲作」なのか「問題作」なのかは、意見が分かれるところ。監督ルベン・オルモが打ち出した今回の作品は、しかしながら見逃せない「話題作」であることは確かです。 今回の作品は、1人の外国人写真家が独自の視点で描いたアンダルシアを、コンテンポラリーダンスの振付家を起用しステージ上で再現するという、異色の試みでした。 バレンシア出身で、コンテンポラリー界の若き奇才マルコス・モラウ(1982〜)は、バルセロナと米国ニューヨークでダンス、演劇などを学び、舞踊団「ラ・ベロナル」を主宰。現在は世界中で活躍しています。その彼が創り上げた『アファナドール』 (2023)は、コロンビア出身で米ファッション界のトップを担う写真家ルベン・アファナドール(1959〜)が産み出すアンダルシアを見事にステージに映し出しました。 『ミル・ベソス』 (2009)と『アンヘル・ヒターノ』 (2014)の2冊の写真集で展開されるアファナドールのスペインの情景は、アバンギャルドで挑発的。モラウはその魅力をファッショナブルに、洗練された動きで余すところ無く表現。抽象的な音楽と同じモチーフを繰り返す動きも彼ならでは。そして自身も写真を学んだというモラウの、動きを映像美として捉えるこだわりは、今までのスペイン舞踊、フラメンコの公演ではあまり体験し得なかったもの。その壮大さに圧倒されました。 しかしながら、これをスペイン国立バレエでやる意味があったのかと問われれば、疑問を感じざるを得ません。体感では、観客は皆、多かれ少なかれ同じ想いだったのではないかと思います。 スペイン国立バレエでは、アントニオ・ナハーロ監督時に発表された『エレクトラ』 (2017)でも、コンテンポラリー界から振付家アントニオ・ルスを招き、ドラマチックな大作を発表しました。しかし今回は、その時の感覚とは若干違うものを感じました。 大きな違いは、ルスの場合はスペイン舞踊とフラメンコの経験があったのに対し、今回はモラウを含め参加した振付家は、バイラオールのミゲル・アンヘル・コルバチョ以外、それがなかったということです。その事実は「スペイン舞踊の舞踊団」作品を創る上では、やはり大きなハードルだったと言わざるを得ません。創っている彼ら自身は、もしかしたらあまり感じていなかったことなのかも知れませんが、観ている観客の私たちにとってはそれは明らかでした。 簡単に言えば、この舞踊団の踊り手が持つ能力をもっと活かして欲しかった。タップダンスの様に足を踏む場面がありましたが、音も動きも単調。とても物足りなく感じました。例えば、フラメンコのカンタオールにポップスを歌わせると、みんな軽々とこなすんです。ホイットニー・ヒューストンとか、朝飯前という感じ。つまりは、フラメンコの方が全然難しいわけです。ですから、この舞踊団の踊り手たちにとって、コンテンポラリーの表現も、私には「軽々」という感じに見えました。 昔あるフラメンコギタリストが言っていました。「俺たちは練習すればジャズミュージシャンに加わってジャムするのは簡単だけど、ヤツらは練習してもフラメンコに入って来れない」と。アファナドールの写真が表現するアンダルシアは、彼のビジョンであり、モラウのそれも然りです。魅力的なビジョンである事は、間違い無い。でも彼らは斬新でおしゃれではあるけれど、どこか、違う。どこか誇張した、異質なものがある。でもそれも、分かって演出するのと、分からずにやるのとでは大きな違いがある。少なくとも、観るものにとっては。 ですから、この作品がコンテンポラリーダンスとしては素晴らしい作品だったと言えたとしても、スペイン舞踊なりフラメンコなりを発展させ、魅力を増強させてくれる金字塔的な作品になるのかと言えば、 それは難しいと言わざるを得ないと思います。 【筆者プロフィール】 東 敬子 (Keiko Higashi) /フラメンコ及びスペインカルチャーのジャーナリストとして、1999年よりマドリード(スペイン)に在住し執筆活動を続ける。スペインに特化したサイト thespanishwhiskers.com を主宰。 =====
- 【news】《田村陽子とFlamenco 30周年記念公演 vol.1》
昼公演『Flamencas』 夜公演『Ilusión』 (domingo, 28 de septiembre 2025) 劇場公演やタブラオでの舞踊活動を中心に、振付・演出家としても活躍するフラメンコ舞踊家、田村陽子さんのフラメンコ活動30周年を記念する公演が新宿ガルロチで開催されます。 舞台は昼・夜の2公演。昼の部では、これまで指導・育成や振付・演出でつながりのあった今注目の若手ダンサーと共に群舞やソロを予定。お店の空間を生かした、一人ではできない演出が楽しめるようなステージになるとのこと。 夜の部は、田村さんの長年のダンスパートナー、ヘスス・オルテガをゲストに迎えて、タブラオフラメンコの醍醐味や舞踊団での経験で培った技術と表現が堪能できる舞台が予定されています。こちらはすでに満席で、現在キャンセル待ちでのご案内になります。 自身の舞踊活動を支えてくれるたくさんの方々への感謝と、これまでの歩みとこれからの展望が詰まった見応えのあるステージを、ぜひ会場でお楽しみください。 <日時> 2025年11月24日(月祝) 昼『Flamencas』12:15開場/12:45開演 夜『Ilusión』 17:30開場/18:00開演 *現在キャンセル待ち <場所> 地中海料理&ワイン Show レストラン ガルロチ https://garlochi.jp/ <チケット> 全席指定1ドリンク付き ・プレミアム席 (限定34席) 9,000円 →お一人様4枚まで ・A席 8,000円 ※2公演通しの場合は合計金額より1,000円割引となります。 * チケット申込フォーム はこちらから <Cast> ◼︎Baile踊り 田村陽子 Jesús Ortega 友情出演(夜のみ) 脇川愛(昼のみ) JURINA(昼のみ) 鬼頭幸穂(昼のみ) ◼︎Cante 唄 Manuel de la Malena Paco El Plateao ◼︎Guitarra ギター 斎藤誠 ◼︎Violín バイオリン 平松加奈 ◼︎Percusión パ-カッション 海沼正利 =====
- わが心のスペイン vol.22
(viernes, 26 de septiembre 2025) 南房総と南スペインで田舎暮らしを楽しむ、石井崇が描くスペインの情景。 『3人のヒターナ』 彼女らの制服は水玉模様のエプロン。 踊るときもこの格好でたち振る舞うことが多い。 今でも観光地にローズマリーの枝を捧げながら物乞いをする女性も多い。 いっとき、彼らと一緒にテキ屋業をしていたのも昨日のように思い起こします。 ( 写真はフェレイローラ村 ) 【プロフィール】 石井崇(Takashi Ishii) /画家。1942年東京・京橋生まれ。東京芸術大学卒業後、1975年単身スペインに渡り、村祭りを回るテキヤ業などでしのぐ。セビリア郊外アルカラ・デ・グアダイラに居住。1989年よりグラナダ・アルプハーラ(Alpujarra)地方にあるフェレイローラ村(Ferreirola)にアトリエを構え、今はフェレイローラ村と南房総館山をふたつの故郷とし、田舎暮らしを楽しんでいる。著作は「おれたちがジプシーだったとき」、「詩画集プラテーロとわたし」、「スペイン四季暦」、「南スペイン、白い村の陽だまりから」、画集「イシイタカシの世界」など。2004年「館山親善ふるさと大使」に任命、全国大学フラメンコ大会を企画。 ホームページ「イシイタカシの世界」 http://www.oliva2004.net/index.html ======











