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- 【CD情報】Gran Crónica del Cante XXXVI
グラン・クロニカ・デル・カンテ~カンテの大年代記 vol.36 (domingo, 17 de agosto 2025) フラメンコギタリストでカンタオール(歌い手)としても活躍するエンリケ坂井さんが主宰するスタジオ・カスコーロ制作『グラン・クロニカ・デル・カンテ~カンテの大年代記』の第36巻が発売されました。 今回の特集はマノーロ・カラコール(1909-1973)。闘牛とフラメンコの名門、オルテガ家出身の天才カンタオールが歌った1950年前後の録音から選りすぐりのカンテを収録。メルチョール・デ・マルチェーナやパコ・アギレーラ、若い頃のモライートによる伴奏も必聴です。 他にもボルー(Ⅱ世)のギターソロ、エンリケさんが若い頃によくそのメロディーを弾いたというローラ・フローレスのセビジャーナス、緩い掛け合いが楽しいデュオのグアヒーラ、スピード感あるバジェーホのファンダンゴ・ポル・ソレア、そして最後はカラコールの力溢れるブレリアスと、様々な聴きどころが楽しめる1枚です。 【グラン・クロニカ・デル・カンテ~カンテの大年代記 vol.36】 1. Sevillanas de baile (Ole Dolores) Ⓒローラ・フローレス 2. Tanguillo Ⓒローラ・フローレス 3. Tango Ⓒニーニャ・デ・ロス・ペイネス 4. El Refajo (Taranta) Ⓒニーニャ・デ・ロス・ペイネス 5. Fandangos por soleá Ⓒマヌエル・バジェーホ 6. Soleares Ⓒマヌエル・バジェーホ 7. Fandanguillos Ⓒニーニョ・デ・マドリー 8. Fandanguillos Ⓒニーニョ・デ・マドリー 9. Guajiras a dúo Ⓒエストレジータ・カストロ/アンヘリージョ 10. Aires colombianos Ⓒアンヘリージョ 11. Alegrías Ⓒペピータ・カバジェーロ 12. Bulerías Ⓒペピータ・カバジェーロ 13. Guajiras Ⓖミゲル・ボルー(Ⅱ世)*ギターソロ 14. Soleares con Rosa Ⓖミゲル・ボルー(Ⅱ世)*ギターソロ 《特集:マノーロ・カラコール》 15. Fandangos (Ⓖメルチョール・デ・マルチェーナ) 16. Fandangos (Ⓖメルチョール・デ・マルチェーナ) 17. Seguiriyas del Romance de Juan de Osuna (Ⓖメルチョール・デ・マルチェーナ) 18. Tientos gitanos del Romance de Juan de Osuna (Ⓖメルチョール・デ・マルチェーナ) 19. Seguidilla de Curro Dulce(Ⓖパコ・アギレーラ) 20. Soleares(Ⓖパコ・アギレーラ) 21. Fandangos(Ⓖモライート・デ・ヘレス) 22. Bulerías de Sancti-Petri(Ⓖモライート・デ・ヘレス) ※CD『グラン・クロニカ・デル・カンテ』シリーズを購入ご希望の場合は、アクースティカ( https://acustica-shop.jp/ )へお問い合わせください。(編集部) =====
- アーティスト名鑑 vol.6
(miércoles, 20 de diciembre 2023) スペイン在住30年以上、多数の一流フラメンコ・アーティストらとも親交のあるフラメンコ・ジャーナリスト志風恭子が、歌・踊り・ギターそれぞれの代表的アーティストらのプロフィールをピックアップ。過去の取材で撮影した写真や、チェックしておきたい動画などもご紹介します。 文/志風恭子 Texto por Kyoko Shikaze Manolo Caracol Manuel Ortega Juárez Sevilla, 7-7-1909 – Madrid 24-2- 1973 マノロ・カラコール 本名マヌエル・オルテガ・フアレス 1909年7月7日セビージャ生、1973年2月24日マドリード没 フラメンコ・アーティストや闘牛士を多く輩出するファミリーに生まれ、1922年にグラナダで行われたカンテ・ホンド・コンクールでエル・テナサスと同時優勝。1935年マドリードに移る。ローラ・フローレスとのコンビで映画『エンブルホ』(1947年)、『ラ・ニーニャ・デ・ラ・ベンタ』(1951年)が大ヒットし、そこで歌ったスペイン歌謡色の強いフラメンコ、サンブラやファンダンゴで一世を風靡した。オーケストラやピアノ伴奏でのフラメンコなどの先駆者といえよう。一方で58年にはアンソロジー『ウナ・イストリア・デ・カンテ』を発表。63年にはマドリードにタブラオを開店。73年交通事故で逝去。 【ビデオ】 歴史に残るフラメンコ番組『カンテの祭儀と地理』のマノロ・カラコール特集。 *スペイン国営放送のページ。 https://www.rtve.es/play/videos/rito-y-geografia-del-cante/rito-geografia-del-cante-manolo-caracol/1898471/ カナルスールのマノロ・カラコールについての番組。 娘や孫などファミリーの他、ファルキートやレアル・マドリードの選手のコメントなども収録している。 https://www.youtube.com/watch?v=44iO0NdrWQU&t=415s Niño Ricardo Manuel Serrapi Sánchez Sevilla, 11-7-1904 – 14-4-1972 ニーニョ・リカルド 本名マヌエル・セラピ・サンチェス 1904年7月11日セビージャ生、1972年4月14日セビージャ没 ラモン・モントージャ、サビーカスと共に、今のフラメンコギターの礎とでもいうべき存在で、パコ・デ・ルシアをはじめとする多くの後進たちに影響を与えた。ニーニャ・デ・ロス・ペイネスやフアニート・バルデラマ、チョコラーテら名だたる歌い手たちの伴奏を数多く手がけただけでなく、ソロ演奏も録音し、また多くのヒット曲の作曲家でもある。なお、セビージャにあるその旧居は現在、ホテルla casa del maestroとなっている。芸名は父の名リカルドからで、リカルドの息子、niño de ricardoが短くなったものとされる。 【ビデオ】 ソロ演奏。 https://youtu.be/gWuKgjm8uyY?si=P1X4-oz5ZZ69xVBp 写真 1971年日本公演プログラムより Antonio el Bailarín Antonio Ruiz Soler Sevilla 4-11-1921 - Madrid 5-2-1996 グラン・アントニオ 本名アントニオ・ルイス・ソレール 1921年11月4日セビージャ生、1996年2月5日マドリード没 不世出のスペイン舞踊家。幼い頃から踊り手として活躍。1937年スペイン内戦時に南米へわたり、後、ハリウッド映画に出演するなどアメリカでも活躍。1949年スペイン帰国後も自らの舞踊団を率い世界中で公演。1952年には映画『フラメンコの魔性と神秘』で史上初めてマルティネーテを踊り、また振付家としても多くの名作を世に残し、1978年10月札幌公演を最後に引退。翌年から83年までスペイン国立バレエ監督を務め、『三角帽子』『ファンタシア・ガライカ』などその振付作品にはバレエ団のレパートリーとして上演されているものも多い。日本では「偉大な」という意味のグラン・アントニオとして知られるが、スペインではアントニオ・エル・バイラリン、ザ・ダンサーアントニオ」と呼ばれることが多い。 写真 1971年日本公演プログラムより 【動画】 ビデオアンダルシアのテレビ局によるアントニオのバイオグラフィまとめ. 歴史に残るマルティネーテをはじめ多くのパフォーマンスを見ることができます。 https://youtu.be/FAJjbq_KZCo?si=J9H7EKsctr0dmiTe 【筆者プロフィール】 志風恭子 (Kyoko Shikaze)/1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。 >>>>>
- ArtistaЯ ~表現者☆~ ep.20
ep.20 土合幸江 Yukie Tsuchiai (sábado, 16 de agosto 2025) 写真家・大森有起が、今を輝くフラメンコ・アーティストたちの真の姿を写す 土合さんとは時折酒を酌み交わし、 本業から離れ気楽に話せる友人です。 最初は物静かで控え目な人と思ってましたが、 前方後円墳のような性格で恐れ入りました(笑) 先日、ある企画LIVEで踊ったタラント。 実は間近で彼女を観たことが無かったので近接で撮影。 随所の動作、仕草、所作に見入ってしまいました。 確かこの日は万全じゃなかったはず...でも良かった。 好きで始めたフラメンコ。 切磋している間にお互いイイ年頃に。 この期にフラメンコの魅力についてちょっと聞いてみました。 ©Yuki Omori 「フラメンコの魅力」 友達の誘いで始めたフラメンコ。 当初興味も知識もほぼなかった私は初めてライブを観た時に衝撃を受けました。 感動した!のではなく怖くて引いてしまったんです。 激しいその世界はあまりに自分とかけ離れていたから。 でもレッスンは楽しくてどんどんハマっていったのだけど、どんなに練習しても自分の踊りがつまらなくて踊っている自分を見るのが嫌になった時期もありました。 そもそも「ザ・日本人」の私がフラメンコをすることに無理があるんだろうな、と思っていました。 初めてスペインに行った時、そこに暮らす人たちと接して大きなカルチャーショックを受けたんです。 強く熱い心、想いの強さ、情の深さ。 自分をしっかり持ち主張するけど受け入れる大らかさも持ち合わせていました。 歴史、環境、性質などなんとなくわかってはいたつもりのことが頭でしか理解できていなかったんです。 フラメンコはこういう人たちから生まれたんだ!フラメンコに関わるならここを大切にしないと!と強く思いました。 それからは、フラメンコの時はいつもと違う自分でいられるよう気持ちが切り替わるようになり、そのうちそれが本当の自分にもなっていきました。 フラメンコのおかげで自分が変わっていったんです。 大人になってから変わることってなかなか難しいと思うのだけど、それが叶うのがフラメンコです。 今は細々と学び続けているカンテも楽しいです。 上手く歌えないし難しいことばかりだけど、さらにフラメンコの奥深さを知り、フラメンコに近づきたい気持ちが大きくなっています。 また自分の知らない自分と出会える時を楽しみに、これからもフラメンコ続けていきます。 =====
- 【news】内田好美フラメンコソロ公演『孤独生』 Vol.4/10 〜徨〜
(viernes, 15 de agosto 2025) 名古屋を拠点として日本各地で舞踊活動を行うフラメンコダンサー、内田好美さんが2022年から毎年開催しているシリーズ公演『孤独生』が11月に上演されます。 第4弾となる今回のサブテーマは「徨(こう)」。彷徨う自分を「さすらい人」に設定して、共に歩んできた影との関わり方を表現する作品となります。 今回は初めての2公演開催となり、それぞれの公演に内容を変える新しい試みも行われるとのこと。1公演のみでも楽しめて、2公演通しで観るとストーリーの繋がりも含め、内田さんが描く独創的な世界観が楽しめる作品となっています。 [日時] 2025年11月8日(土) 夜公演「黒の世界」 17:00開場 18:00開演 2025年11月9日(日) 昼公演「白の世界」 12:00開場 13:00開演 [会場] 名古屋東文化小劇場 (愛知県名古屋市東区大幸南1丁目1-10 Tel.052-719-0430) [出演] バイレ 内田好美 カンテ 川島桂子 ギター 徳永健太郎 バイオリン 森川拓哉 パーカッション 容昌 [料金] 前売券:1公演 一般5,000円/学生3,000円 通しチケット 一般8,000円/学生5,000円 *全席指定、当日券は+500円 [問] 内田好美フラメンコソロ公演運営係 Email yoshimista39@gmail.com =====
- カンテフラメンコ奥の細道 on WEB no.51
(lunes, 11 de agosto 2025) 文/エンリケ坂井 Texto por Enrique Sakai Malagueña de La Trini ③ 前回書いた1887年の手術の前にトゥリニは同郷の友人であり偉大なカンタオールであるファン・ブレバに経済的な面での助けを求めた事が知られています。 当時ファン・ブレバは首都マドリードで多くのカフェ・カンタンテや劇場に出演して、成功を収めていましたから友人のフトコロをあてにしたのでしょう。 持ってる人が持ってない人を助けるのは宗教上の義務という背景もあってごく当たり前だと思われていた時代です。私がマドリードで活動していた1970年代になってもアーティスト達の金の貸し借りはごく普通の事で、そこでちゃんと返す人は信用を得ていくわけです。 さてブレバはトゥリニの求めに応じてマドリードのビジャ・アサ劇場でトゥリニを援助するためのチャリティコンサートを催し、これが大成功を収めトゥリニは無事手術を受けられたというわけです。この助け合いの精神は今もフラメンコのアーティスト達の中に生き続けています。 トゥリニは国王の前で歌うなどの大きな実績を残し1917年、49才頃に引退しアンテケーラに転居、1930年にこの地か、カディス県のリネアで62才頃亡くなりました。 トゥリニが創唱したマラゲーニャでよく歌われるものは①と②ですが最近の研究で4つのスタイルがある事が知られています。 他のスタイルは何故歌われなかったか…、それはこのスタイルを録音したパカ・アギレーラ(19世紀後半、ロンダ~20世紀前半、マドリード?)のレコードがSP初期の幻のレコードであり多くの人に伝わらなかったのだと思われます。 ちなみにこのマラゲーニャの古い録音はマリア・ラ・クラベジーナとパカの二人のみで、共に1912年の録音、二人共に同じ歌詞を歌っています。歌詞は以下の通り。 【Letra】 (la ilusión del alma mía, ) En el cementerio duerme la ilusión del alma mía; mándame, Señor, la muerte, que yo no encuentro alegría ni aun hablando con la gente. 【訳】 (私の心の中の夢は…) 私の心の中の夢は 墓地で眠っている、 神よ、私に死を与えてください、 たとえ人と話していても 私には喜びを見い出せない。 パカはトゥリニのカンテを正確にコピーしたとフェルナンドは書いていますが、パカもまたそのマラゲーニャなどのカンテで大きな人気を得てトゥリニの後継者とも言われ、マドリードに出て長く活躍しました。 マドリードというと今の人達は違和感を持つかもしれませんが、マドリードはやはり政治、経済の中心地でありアンダルシアの多くのアーティストが仕事を求め首都に集結するという時代が長く続き、フラメンコの中心地でもあったのです。 ※の所はトゥリニのマラゲーニャではSiのフラット音になる事がほとんどですが、ここでは古いタイプのままSol(ソ)の音で止まっていて、それをギターがFaに導いています。この方がマラゲーニャとしては落ち着くわけですね。 【筆者プロフィール】 エンリケ坂井(ギタリスト/カンタオール) 1948年生まれ。1972年スペインに渡り多くの著名カンタオールと共演。帰国後カンテとパルマの会を主宰。チョコラーテらを招聘。著書『フラメンコを歌おう!』、CD『フラメンコの深い炎』、『グラン・クロニカ・デル・カンテ』vol.1~36(以下続刊)。2025年1月Círculo Flamenco de Madridから招かれ、ヘスス・メンデスと共演。 ※CD『グラン・クロニカ・デル・カンテ』シリーズを購入ご希望の場合は、アクースティカ( https://acustica-shop.jp/ )へお問い合わせください。(編集部) ======
- 【大阪・関西万博】スペイン館にディエゴ・ゲレーロ&徳永康次郎が出演!
(jueves, 31 de julio 2025) 大阪・夢洲で開催されている「2025年日本国際博覧会(通称:大阪・関西万博)」で、8月12日(火)~17日(日)までの期間にスペインからディエゴ・ゲレーロのバンドが来日、スペインパビリオンのステージに登場します。 さらにはこのバンドに日本からも、フラメンコギターデュオ「徳永兄弟」としても活躍するギタリストの徳永康次郎さん(写真)が参加するとのうれしいニュースが。 ステージは1日30分くらい行われる予定とのことですが、その他の詳しい内容については、引き続きSNSなどの情報を待ちたいところです。 ラテングラミーにもノミネートされる実力派フラメンコ・アーティストのステージを、ぜひ大阪・関西万博で楽しんでください! (追記:8/12)ステージは8月13〜17日の毎日、12時〜と13:30〜の1日2回、スペインパビリオン内の室内ライブスペースで行われます。 【出演/FICHA ARTISTICA】 Diego Guerrero: voz y guitarra Kojiro Tokunaga: guitarra Flamenca Nasrine Rahmani: percusión José María Pedraza "Petaca": piano Rainer Pérez: bajo ●ディエゴ・ゲレーロ公式サイト: https://diegoguerrero.es/ ●徳永兄弟 公式サイト: https://www.tokunagaduo.com/ *万博の入場チケットを購入し、万博入場日時の予約は必要です。 *公演時間や予約の要・不要について、変更となる場合もありますので、事前にご確認ください。 【万博チケット購入サイト】 https://ticket.expo2025.or.jp/ 【万博イベントカレンダー:一覧】 https://www.expo2025.or.jp/wp/wp-content/uploads/250428_eventcalendar_JPN.pdf 【万博イベントカレンダー:日付選択型】 https://www.expovisitors.expo2025.or.jp/events/schedule 【万博イベントカレンダー:補足資料】 https://www.expo2025.or.jp/wp/wp-content/uploads/250418_eventcalendarhosokuJPN.pdf *スペイン館では、月曜以外の夕方に3回ほどフラメンコショーが開催されます。 予約不要で、スペイン館に入場しなくても見ることができるとのことなので、こちらも要チェック! ※混雑状況により開始時間は前後します。 *スペイン館では、スペインのいろいろな自治州のイベントを定期的に開催しています。期間中は、知事の来館やアーティストによるアート企画などを通して、それぞれの州の魅力が楽しめるとのこと。もう開催してしまった州もありますが、これからもまだまだ魅力的な州の企画が続きますので、ぜひ今後の予定をチェックしてください。 [今後のスケジュール] ・7月29日〜8月3日 アンダルシア州 ・9月16日〜9月21日 ガリシア州 ・9月25日〜9月28日 ラ・リオハ州 ・9月30日〜10月4日 アラゴン州 ・10月7日〜10月12日 アストゥリアス州 ※日程は変更になる場合があります 【「スペイン館」Instagram アカウント】 https://www.instagram.com/expospain2025/ 【「スペイン館」X アカウント】 https://x.com/expospainosaka 【「スペイン館」公式サイト】 https://www.expo2025.or.jp/official-participant/spain/ =====
- TRANSFORMACIÓN 東京公演
(domingo, 10 de agosto 2025) 2024年11月26日(火) 六本木バードランド(東京) 写真/川尻敏晴 Fotos por Toshiharu Kawajiri 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko 杏梨(ピアノ) 2020年10月から活動する革新的ピアノフラメンコユニット「TRANSFORMACIÓN」。これまでライブ内容によってメンバー構成を変えながら、新しいフラメンコの魅力を発信し続けている。 今回のライブは六本木にある老舗のレストランライブハウス、六本木バードランドの開店50周年を祝うアニバーサリーライブとして開催。メンバー構成は、その1か月前に行われた中国ライブツアーと同じ顔ぶれで迎えた。 1曲目は代表曲の「TRANSFORMACIÓN」。深みのあるピアノの重低音から始まり、チェロ、ギター、パーカッションと音色を重ねていく。その重層的な空気を、伊藤の足音が鋭く切り裂く。そしてそれぞれの音が絡み合い、ブレリアのリズムとともにステージを盛り上げていく。新生トランスフォルマシオン誕生の瞬間だ。 次の曲タンギージョは一転、明るく穏やかな曲調。ギターとピアノが紡ぐハーモニーやベースのピチカートプレイ、KANはカホンやシンバルで多彩な音色を響かせ、伊藤のパリージョも軽やかで美しい。 德永がスペイン留学時代に作曲したというグアヒーラ。少し速めの弾むようなテンポの曲をKANが安定のコンパスで支え、グルーヴ感に満ちた息の合った演奏に本人たちも楽しそう。 (写真左から)KAN、徳永康次郎 ティエントはスローで渋いメロディーの、重低音の魅力にフォーカスしたような曲。ピアノの叙情的なフレーズが心に染みてくる。 前半ステージの締めは、フラメンコピアニストとして有名なドランテスのブレリア。ドラマティックなピアノ演奏に合わせて伊藤が白のマントンを軽やかに翻し、全身で伸びやかに舞う姿が印象的だ。 伊藤笑苗(バイレ) 後半はピアノをメインとしたアレグリアスからスタート。伊藤は真っ赤なバタ・デ・コーラを巧みにさばき、華やかでダイナミックな踊りを魅せる。ピアノが奏でる音楽の波を自在に泳ぐかのよう。 ピアノとギターのデュオアレンジによるルンバは、スローなバラード調のメロディーから始まり、そこにベースやパーカッションが加わりグルーヴ感が高まっていく。すると途中から杏梨も鍵盤ハーモニカにスイッチし、ジャズテイストのプレイで演奏を盛り上げた。 フラメンコの定番曲であるシギリージャでは、確かなコンパスの中で変幻自在なリズムを展開。パーカッションとベースの斬新なリズムフレーズはうれしい驚きを与えてくれた。伊藤はキレのある身のこなしと鮮やかなステップで、曲のリズムに応えていく。 ラストの曲は、杏梨が発表したアルバムに収録されているタンゴ。オレンジのライトの中、ミディアムテンポの心地良い曲に伊藤がアバニコを効かせた踊りで花を添えた。 アンコールでは、1曲目に演奏した「TRANSFORMACIÓN」の一部を披露。 5人の個性がモザイクアートを織りなすような、素晴らしいステージを堪能した。 公演を重ねていくごとに変化して新しい世界を見せていくトランスフォルマシオン。2024年は海外での公演が続き、東京での公演はこの1回のみだった。これからも日本で海外で、その唯一無二のフラメンコを楽しませてほしいと期待が高まる。 遠藤定(ベース) 【出演】 TRANSFORMACIÓN ピアノ 杏梨 ギター 徳永康次郎 バイレ(踊り) 伊藤笑苗 ベース 遠藤定 パーカッション KAN ◎『TRANSFORMACIÓN』情報 https://lit.link/transformacion =====
- 【news】《Anifuturo 2025》テアトロ研修成果発表公演
(domingo, 10 de agosto 2025) 次代を担い世界に通用するフラメンコ芸術家の育成を目的として、一般社団法人日本フラメンコ協会が文化庁 による文化芸術振興費補助金の支援を活用して、昨年より取り組んでいる「新進フラメンコ芸術家等育成プロジェクト」。 2年目となる今年度に行われる3つの企画から第1弾として、テアトロ作品の研修についての成果発表公演が8月に東京・大田区民プラザ大ホールで開催されます。 現在も継続的に新作の劇場公演を行っている舞踊家のもとで、作品制作や舞台上演の基本的な流れを実践的に学んだ次代を担うアーティスト達の研修の成果が、大きな劇場の舞台で披露されます。 新進フラメンコ芸術家等育成プロジェクト 《Anifuturo academia de flamenco 2025》 テアトロ研修成果発表公演 [日時]2025年8月27日(水) 17:30開場 第一部:18:00〜「星の王子さま」 (振付・構成・演出・指導:石井智子) 第二部:19:30〜「フラメンコのちから」 (振付・構成・演出・指導:佐藤浩希) [会場]大田区民プラザ 大ホール (〒146-0092 東京都大田区下丸子3-1-3) *東急多摩川線「下丸子駅」徒歩1分/東急池上線「千鳥町駅」徒歩9分 [チケット](※購入手数料含む) <自由席> 一般:5,250円|会員:4,200円 学生:2,625円|学生連盟:2,100円 <指定席> 一般:7,350円|会員:6,300円 学生:4,725円|学生連盟:4,200円 [先行発売]出演者(育成対象者)よりお求めください [一般発売]購入はこちら▶︎ https://t.livepocket.jp/e/xn_fi [出演](育成対象者50音順) ◆「星の王子さま」(石井智子 振付・構成・演出 指導) 荒濱 早絵 小木曽 衣里子 木村 莉子 佐藤 陽美 清水 真由美 角谷 のどか 中里 眞央 新田 晶野 藤岡 里織 藤丸 莉沙 KANA MENDOZA 栁沼 芽以 山下 美希 山本 秀子 吉田 芽生 伴奏: ギター 鈴木淳弘 カンテ 川島桂子・井上泉 パーカッション 朱雀はるな バイオリン 依田彩 アコーディオン MIYACK ◆「フラメンコのちから」(佐藤浩希 振付・構成・演出 指導) 荒濱 早絵 大野 環 川松 冬花 小山 大凱 権 弓美 佐藤 陽美 瀬﨑 慶太 中里 眞央 山本 秀子 吉田 芽生 脇川 愛 渡辺 なおみ 工藤朋子 三四郎 伴奏: ギター 齋藤 誠 カンテ 石塚隆充・中里眞央 パルマ 佐藤浩希 [助成]文化庁 舞台芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(芸術家等人材育成))|独立行政法人日本芸術文化振興会 [主催・問]日本フラメンコ協会 Anifuturo公演事務局 [出典] https://www.anif.jp/information/announce/anifuturo2025_teatro08.html =====
- スペインNews 8月号・2025
(miércoles, 6 de agosto 2025) 文・写真/志風恭子 Texto y fotos por Kyoko Shikaze フラメンコの夏は、スペイン、特にアンダルシア各地で開催されるフェスティバル。その多くは野外で、その街の公園や広場、学校の校庭、グラウンド、闘牛場などで行われます。仮設舞台ですが、照明、音響、大きなフェスティバルだとスクリーンまで設置され、椅子が並べられます。会場の一角にはバルも設けられ、飲み物や軽食も販売。観客はもちろん開催地、地元の人たち中心ですが、有名なフェスティバルや人気アーティストが出演するものには他の地方から泊まりがけで見にくるアフィシオナードたちもいたりします。アーティストの中にはいくつかのフェスティバルに車を飛ばしてはしごで出演する人もあったり。人気アーティストのオンシーズン、稼ぎどきなのですね。 《INDEX》 ・ ラス・カベサスのラ・ジェルバブエナ祭 ・ ベラニージョ・デル・アラミージョ ・ スペイン国立バレエ『アファナドール』マドリード公演 ・ フラメンコ才能コンクール ・ 訃報/アリシア・アクーニャ 【ラス・カベサスのラ・ジェルバブエナ祭】 ©︎ Kyoko Shikaze この協会の裏手にある広場が会場でした。ちなみにこの写真には写っていませんが、この広場の右手の家がペパ・モンテスの生家だそう。 7月4日には初めてラス・カベサス・デ・サン・フアンのフラメンコ祭、ジェルバブエナ祭に行ってきました。ラス・カベサスはセビージャ県、カディス県との県境に近いレブリーハの隣町、人口1万6千人という小さな町です。踊り手ぺパ・モンテスの出身地ですが、フラメンコファンにとってもあまり馴染みのある土地ではないかも知れません。今年で第34回と言いますから、数あるフェスティバルの中では中堅どころになるのでしょうか。会場は村の一番高いところにある教会横の広場。定員600人くらいということでしたが超満員。満員札止めは久しぶりのことだそうです。 今年の出演者は、地元のギタリスト、フアン・デ・クレメンテのグループ、ランカピーノ・チーコ、アウロラ・バルガス、そして踊りのコンチャ・バルガスと通好み。フアンのグループでは歌謡曲のようなブレリアを歌う若い女性たちからじいさまばあさままでが次々にちょっと歌って踊ったのですが、プロとは違う、生活の中で日々楽しむフラメンコという感じで良かったです。 ©︎ Kyoko Shikaze 父ランカピーノと同じようにマイクを手に立って歌ったりもするランカピーノ・チーコや ©︎ Kyoko Shikaze アウロラの1ミリの嘘もない、熱血フラメンコも ©︎ Kyoko Shikaze 極上のフラメンコが身体に染みわたる感じ。フラメンコは心の栄養。生きるエネルギーがチャージされていきます。 最後に舞台に上がったコンチャも、フアネロ、モイ・デ・モロン、ペチュギータという3人の歌い手、息子クーロのギターをバックに気迫のソレア。そして歌のソロを挟んでのブレリアと堪能させてくれました。 ©︎ Kyoko Shikaze 夏のフラメンコ・フェスティバル、車がないと行きにくのも確かですが、地元の小さな宿に泊まることも可能ですので、一度はぜひ訪れて欲しいものです。 【ベラニージョ・デル・アラミージョ】 夏のフェスティバル、できれば各県の県庁所在地以外の町をぜひ訪れて欲しいところですが、セビージャ市内でも野外公演があちこちで行われます。 毎年恒例、"アルカサル庭園の夜"( https://www.actidea.es/nochesalcazar2025/ )ではクラシック、ジャズ、フラメンコ、ワールドミュージックと多彩な公演が安価に楽しめますし、市の北西にあるアラミージョ公園でも毎週木曜日22時から、無料のフラメンコ公演が行われています。毎回、フラメンコ関係の功労者にオメナヘ、オマージュし、昨年はスイス在住のバイラオーラ、林結花さんへのオマージュもあったそうです。町外れでもあり、帰りのことを考えると車がないと行きにくいことには変わりがないですが、タクシーを使えば行けるのではないでしょうか。出演者は若手が主ですが、だからこそ、まだ知らなかったアーティストとの出会いも期待できそうです。 フラメンコ以外にも子供向けのイベントがあったり、マジックショーがあったり。 今年のプログラムはこちらのリンクで。 https://www.juntadeandalucia.es/avra/opencms/parque-alamillo/contenido/noticias/2025/20250707_ALAMILLO_PROGRAMACION_VERANILLOS_ALAMILLO.html ©︎ Kyoko Shikaze 【スペイン国立バレエ『アファナドール』マドリード公演】 7月9日から20日まで、マドリードのサルスエラ劇場でスペイン国立バレエ団公演が行われました。演目は『アファナドール』。一昨年12月にセビージャのマエストランサ劇場で初演されたこの作品は、コロンビア出身ニューヨーク在住の写真家、ルヴェン・アファナドールの写真集に想を得た作品で、 コンテンポラリーダンスのマルコス・モラウ(パリ、オペラ座でも新作上演予定)による、現代舞踊の要素を巧みに使った革新的なスペイン舞踊作品。6月に行われたスペインの舞台作品のアカデミー賞、マックス賞でも8部門にノミネートされ、最優秀舞踊作品、演出、作曲、衣装、照明と5部門で受賞した作品。 マックス賞授賞式。中央に緑色のシャツのアシスタントディレクターのミゲル・アンヘル・コルバチョを挟んで左にマルコス、右にルベン・オルモ監督とスタッフ ©︎ Cristina Núñez Fundación SGAE 黒い衣装の半裸の男女によるマスゲームのような群舞や、 ©︎ Merche Burgos Ballet Nacional de España 写真家ということからであろう、フラッシュを効果的に使ったり、写真スタジオを連想させる照明をダンサーが移動させたり。知らない国の宗教音楽のようにも聞こえる音楽とそこに違和感なく挟み込まれるフラメンコの生演奏。群舞が見せる集団(で同じことをするということだけで見えてくる)的暴力性、得体の知れない恐ろしさなど、観る人誰にも、強いインパクトを残すであろう、すごい作品だと思います。伝統的なスペイン舞踊とは一線を画す、非常に個性的な作品だけに、個人個人の好き嫌いはあるとは思いますが、クラシックバレエのスペイン舞踊も現代を生きる舞踊なのだと再確認させてくれました。そしてこのすごい作品を支えているのは規律正しく訓練された素晴らしいダンサーたち。整った美しさをあえて壊すことで見えてくる本質なのかも。 ©︎ Merche Burgos Ballet Nacional de España なお、9日の公演の収益はUNRWA(国連パレスチナ難民級財事業機関)に寄付されたということです。 https://youtu.be/Vp34HBNq4eo?si=UVBR6wRRRopJy_kP 【フラメンコ才能コンクール】 ギターの徳永兄弟が学んだことでも有名なクリスティーナ・ヘーレン財団のフラメンコ芸術学校。この財団が新人の発掘のために行なっているのがコンクルソス・タレント・フラメンコ、フラメンコ才能コンクール。 7月8日にはカンテ決勝がウエルバで、9日はギター決勝がトリアーナで行われ、カンテは1位ベレン・デ・ロス・レジェス、2位アルバロ・ビジャラン、3位アントニオ・ロペスで1、2位は財団の学校で学ぶ奨学金も獲得。9日にはギター伴奏部門で1位パブロ・エレディア、2位カルロス・グランデ、3位フアン・バリノテ、奨学金サルバドル・リンコン、ソロ部門奨学金カロリネ・エスピノサが受賞。 そして14日にはギターと同じく、財団本拠地のトリアーナで、舞踊部門の決勝が行われました。本来、決勝に進むのは5人の予定だったそうですが、去年は6人、今年はなんと7人が進出。それぞれが準決勝とは違う2曲を踊るということで4時間の長丁場に。それだけレベルの高い争いだったと言えるでしょう。 優勝はセビージャ出身の17歳、今年の参加者の中で最年少のハイロ・ベガ、 シギリージャ ©︎ Kyoko Shikaze 2位にはグラナダのマリア・マシアス、 タラント ©︎ Kyoko Shikaze 3位に6月コルドバ県のコンクールで優勝したラウル・アルバ。 アレグリアス ©︎ Kyoko Shikaze 奨学金はハイロとマリア、そしてカディス県バルバーテ出身のルス・マリア・ガラン ファルーカ ©︎ Kyoko Shikaze の3人にプラスして、特別にクリスティーナ・ヘーレンからラウル・アルバにも贈られました。3位までには入らなかったルス・マリアですが、アンダルシア舞踊団で2週間の研修という特別賞も、舞踊団監督のパトリシア・ゲレーロから贈られました。 なお、決勝の模様は財団のYouTubeチャンネルにアップされています。 https://www.youtube.com/live/vSZtpKVguIA?si=uNgndl2HIQR2fTYu 【訃報/アリシア・アクーニャ】 7月24日、歌い手アリシア・アクーニャが亡くなりました。14日に47歳の誕生日を迎えたばかりの若さでした。1978年セビージャ生まれ。セビージャのペーニャ、ピエ・デ・プロモで研鑽を積み、98年ビエナルのペーニャ公演でプロデビュー。ヘーレン財団で学び、ソロに、舞踊伴唱にと活躍。ここ数年は赤い髪がトレードマーク。ラウル・カンティサノとの共演で踊り手ラ・チョニやアンヘレス・ガバルドンらの作品を支えていたことも印象的。エレクトリックミュージックなどとも共演するエキセントリックなイメージもあるかと思いますが、フラメンコの古典をしっかり学んだ上でさまざまなことに挑戦していたユニークなアーティストの一人だったと思います。心からご冥福をお祈りします。 2009年アンヘレス・ガバルドンの稽古場で ©︎ Kyoko Shikaze 2019年マラガ県アルチドーナ 中央はラ・チョニ、ギターはラウル・カンティサノ 2019年アルチドーナのフェスティバルで ©︎ Kyoko Shikaze 【筆者プロフィール】 志風恭子(Kyoko Shikaze) /1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。 =====
- 新・フラメンコのあした vol.30
(viernes, 1 de agosto 2025) 20年以上にわたりスペインで活動するジャーナリスト東敬子が、今気になるスペインフラメンコのあれこれを毎月お届けします。 今回と次回の2回にわたり、筆者が読者の皆さんにぜひ知ってもらいたいという、今最も注目している二人のギタリストを紹介します。 あしたのギタリストは〜(1) 「アントニオ・エル・レロヘロ」 Los guitarristas para mañana (1) Antonio el Relojero 文: 東 敬子 画像:東 敬子/ 宣伝素材 Texto por Keiko Higashi Fotos: Keiko Higashi, por promoción イスラエル・フェルナンデス(左)の伴奏を務めた コロナ禍を機にユーチューブやインスタグラムが躍進したのは周知の通りですが、これはフラメンコ業界にとって本当にありがたい出来事だったと思います。 業界大手が売り出すアーティストしか知り様がなかった以前は、ただ彼らを受け入れるだけでした。そしてそれが今ひとつだったり、似たり寄ったりだったりしようものなら、「現代のアーティストはつまらなくなった」と時代のせいにして、挙句、「昔は良かった」なんてお決まりのセリフを吐いたりしていた訳ですよね。 ところが今は、大手に「認めて」もらわなくても、動画プラットフォームを通じて誰もが自由に自己プロモーションが出来るようになり、とても風通しが良くなりました。様々なフラメンコたちが表に出ることで「現代フラメンコ」のダイバーシティは確実に広がり、結果、業界にも変化が訪れているように感じます。 そこで今回・次回の2回に渡り、皆さんにぜひ知ってもらいたい、私が今最も注目している二人のギタリストをご紹介したいと思います。一人は20歳、もう一人は70歳という、50年の隔たりを持つ二人で、二人とも知名度も華やかな芸歴もありませんが、その演奏を聴くと「なんでこんな所にこんな人が居るの?!」と、その「場違い」な音に驚きと喜びを感じること間違いなしです。 アントニオ・エル・レロヘロ (Antonio el Relojero) El Relojero (c) Keiko Higashi 皆さん、トレド出身・36歳のカンタオール、イスラエル・フェルナンデスをご存知でしょうか。現在、物凄い勢いでスターダムを駆け上がっている彼が2024年に発表したアルバム『ポル・アモール・アル・カンテ(Por Amor al Cante 〜カンテに捧げる愛)』では、ちょっとしたサプライズがありました。彼の伴奏には普段はディエゴ・デル・モラオなど一流どころを目にしますが、今回このアルバムで彼が伴奏に抜擢したのが、なんと69歳でプロになったギタリスト、アントニオ・エル・レロヘロでした。 マドリード郊外の村コルメナール・デ・オレーハに生まれ、子供の頃からフラメンコ好きの祖父や父の影響を受け、ペーニャやフィエスタなどでマエストロたちを直に聴いて育ったという彼ですが、ギターは独学であり、彼が情熱を注ぐ唯一の趣味。職業はその芸名の由来でもある時計の修理技師でした。 レロヘロは言います「僕は敬虔なクリスチャンだけど、これは神の思し召しなのかもしれない」。それがイスラエル・フェルナンデスとの出会いでした。イスラエルは、あるコンクールでレロヘロのギターを耳にし、ぜひ自分の伴奏をしてほしいと頼みます。しかしレロヘロは時計修理の仕事、そして当時は母の介護もあり、引き受けることはできないと断りました。それから12年後、イスラエルは再びレロヘロの元を訪れ、同じお願いをします。母は亡くなり、仕事もひと段落ついた彼は、ついにその申し出を受け入れたのです。 「自分の人生は仕事、そして好きなフラメンコだけだった」 イスラエルがなぜレロヘロを選んだのか。先日私は、その疑問への答えを体験することができました。 7月12日、マドリード郊外の村チンチョンで行われた野外コンサート「ノーチェス・デ・ベラーノ」で、若手カンタオール、アントニオ・エル・カンパーナの伴奏をするエル・レロヘロを観て、私の結論は、何かを好きであること、努力すること、やり続けること、そうすれば幾つになっても人生の再スタートは出来る、それに尽きました。 El Campana & El Relojero (c) Keiko Higashi 70歳とは思えない指の冴えから繰り出される技術。持って生まれた優れたリズム感とカンテを熟知した感性。生涯ずっとステージに立っていたかのような佇まい。もう、アマチュアだったとは到底信じられない。そして何より、その古いスタイルに忠実なトーケが、全く古く聞こえないことに驚かされました。 自分がその時代にワープして実体験しているような新鮮さがそこにはありました。彼のギターを聴いていると、古いスタイルを「古い」と言って時代に置き去りにする必要はもうない。これは一つのジャンルであり、「新しいスタイル」を追求することだけが発展への選択肢ではないことを強く感じました。だって、彼のギターは生き生きと今の空気を吸っているのだから。 ちなみに、彼のあのシャープな音は、時計技師と言う職業も手伝ったのではと言う識者もいます。確かに、あの細かい作業をするには指先の繊細な感覚や細かい音を聞き取る聴覚が必要ですよね。私は「なるほど〜」と納得してしまいました。 【筆者プロフィール】 東 敬子 (ひがし けいこ) /フラメンコ及びスペインカルチャーのジャーナリストとして、1999年よりマドリード(スペイン)に在住し執筆活動を続ける。スペインに特化したサイト thespanishwhiskers.com を主宰。 =====
- 【news】第34回フラメンコ・ルネサンス21「新人公演」開催
(miércoles, 30 de julio 2025) フラメンコのプロ・アーティストへの登竜門として注目される、一般社団法人日本フラメンコ協会が主催する第34回/2025年度 フラメンコ・ルネサンス21「新人公演」が、9月下旬より3日間にわたり開催されます。 昨年まで会場となっていた東京・なかのZEROホールが改修工事に入ったことにより、今回は神奈川県の横浜・桜木町にある神奈川県立青少年センター紅葉坂ホールで行われます。 カンテ部門10名、ギター部門2名、バイレ・群舞部門4組、バイレ・ソロ部門54名が集い、ひとりひとりの努力の結晶となる舞台を披露します。 現地観覧が難しい方には、公演開催後に収録映像を視聴できる配信視聴チケットも用意されます。 真っ直ぐな想いを込めてフラメンコと向き合う出演者たちに、ぜひ会場で、配信で、熱いエールを送ってください! 【日時】 1日目:9月24日(水) 開場17:30/開演18:00 カンテ/ギター/バイレ・群舞/バイレ・ソロ① 2日目:9月25日(木) 開場17:30/開演18:00 バイレ・ソロ部門② 3日目:9月26日(金) 開場17:00/顕彰式典17:30/開演18:00 バイレ・ソロ部門③ 【会場】 神奈川県立青少年センター 紅葉坂ホール 〒220-0044 神奈川県横浜市西区紅葉ケ丘9-1 (JR「桜木町駅」徒歩8分) 【観覧チケット】 日本フラメンコ協会会員 4,000円/一般5,000円(全席自由、税込) ※別途、座席予約指定券(2,000円、税込)も購入可能です。 ●購入方法: 先行発売… チラシ画像裏面 に掲載の出演者よりお求めください。 一般発売…先行発売後、日本フラメンコ協会より販売いたしますので公演事務局までお問い合わせ下さい。 【配信視聴チケット】 日本フラメンコ協会会員 2,000円/一般2,500円(税込) ●予約方法: 先行発売… チラシ画像裏面 に掲載の出演者よりお求めください(*現在は予約受付中/詳しい案内や電子チケットの発券は9月の会場公演終了後となります)。 一般発売…9月の会場公演終了後、日本フラメンコ協会より販売いたしますので公演事務局までお問い合わせ下さい。 *公演情報はANIFホームページでも公開しています。 https://www.anif.jp/event/shinjin/new_shinjin/34ticket.html 【問】 (一社)日本フラメンコ協会 新人公演事務局 〒164-0001 東京都中野区中野3-3-6 セルバビル2階 [平日]13時-17時 [休日]土日祝祭日 メール flamenco@anif.jp 公式LINE @flamenco_anif FAX 03-3384-5711 (いずれも24H受付/3営業日以内に返信) TEL 03-3383-0413 (月水金 13時-17時受付) =====
- 小松原庸子スペイン舞踊団《2024真夏の夜のフラメンコ》
第53回野外フェスティバル (martes, 29 de julio 2025) 2024年7月27日(土) 日比谷野外大音楽堂(東京) 文・写真/金子功子 Texto y fotos por Noriko Kaneko ひとつの公演企画が50年以上続くとは、まさに偉業と言えるだろう。 日本でのフラメンコの夏の風物詩として親しまれる野外フェスティバル「真夏の夜のフラメンコ」が、昨年7月に日比谷野音で開催された。 雨天決行のため悪天候でも毎年公演を重ね、今回で53回目。この2025年秋から予定している会場の建替工事を受けて、野音での「最後の真夏」となった。 オープニングは、『どよめき』という若者らのグループによる、太鼓やミニシンバルなどの打楽器や笛を使った若々しく活気ある演奏からスタート。 続いて闘牛士姿の男性舞踊手らと美しい女性舞踊手らによる迫力ある群舞エスパーニャ・カニーをはじめとするスペイン舞踊や、子供たちや女性群舞による華やかなフラメンコ舞踊と、個性が光る魅力的な舞曲が次々に繰り広げられる。 ソロやパレハ(ペア)による7曲の舞踊によるクアドロ・ステージでは、それぞれが気迫に満ちた渾身の一曲を披露。そして、ムーディーな演出のリベルタンゴ、全日本フラメンココンクールの入賞者やファイナリストらによるタンゴ・イ・ティエント、ベテランと若手の男性舞踊手らによるマルティネーテ、小松原舞踊団員らによるラ・ビダ・ブレベやアレグリアスなど、見応えのある群舞が続いた。 フィナーレは全員参加のセビジャーナス。ステージを埋め尽くした出演者たちや、舞踊団員や研究生らは客席通路に出て踊れる観客を交えて踊ったり、最後には主催の小松原も舞台で一振り踊って会場を沸かせた。 観客も出演者も和やかな空気に包まれながら、半世紀以上の歴史を刻んだ真夏のフェスティバルは幕を閉じた。 挨拶で小松原は「またどこかでお目にかかれたら」と語った。野音の再開は数年後だが、ひとりひとりのフラメンコを愛し大切にしたいという思いがあるなら、場所を変え形を変えてでも、次の世代へと受け継がれていくことだろう。 そして今年は、舞踊団のお膝元である東京・高円寺氷川神社の境内で「2025真夏の夜のフラメンコ」が8月9日に開催されることが決まった。公演規模はもちろんこれまでとは違うが、これから新たな夏の風物詩として、再び多くの人達に楽しんでもらえることを期待したい。 【プログラム】 イントロダクション:打響伝(どよめき) 1. エスパーニャ・カニー 2. トレロ(奥濱春彦 クリスチャン・デ・ラ・フエンテ ボルハ・レブロン) 3. アラゴネサ 4. ソレア・ポル・ブレリア(カンデーラ発ともだち列車たからもの号) 5. ブレリア(Las 4 petirrojas/篠田三枝 島崎リノ 福山奈穂美 松島かすみ) 6. ソロンゴ(鈴木敬子 クリスチャン・デ・ラ・フエンテ) 7. カラコレス 8. カーニャ(入交恒子フラメンコ教室アカデミアマルガリータ) 9. ガロティン 10. セビジャーナス 11. クアドロ: ・バンベーラ(田村陽子) ・ソレア・ポル・ブレリア(幸田愛子) ・カンティーニャ(松 彩果) ・タラント(鍜地陽子) ・カーニャ(二村広美) ・グァヒーラ(大槻敏己 津幡友紀) ・シギリージャ(中田佳代子) 12. リベルタンゴ 13. タンゴ・イ・ティエント 14. ラ・ビダ・ブレベ 15. マルティネーテ 16. アレグリアス 17. フィナーレ:みんなで踊ろうセビジャーナス 【出演】 小松原庸子スペイン舞踊団 中島朋子 松尾美香 北山由佳 藤川淳美 関 真知子 横山さやか 伊集院久美子 髙橋麻木 林 美奈子 鈴木小登子 阿部智恵 平田小織 久保智恵 柴垣由紀 金光三枝子 高橋ひとみ 勝呂公美子 福田 薫 黒澤真弓 北詰桂子 宮下香鈴 鬼頭篤子 クリスチャン・デ・ラ・フエンテ ボルハ・レブロン 奥濵春彦 鈴木敬子 入交恒子 田村陽子 松 彩果 Las 4 petirrojas(篠田三枝 島崎リノ 福山奈穂美 松島かすみ) 大槻敏己 津幡友紀 鍜地陽子 中田佳代子 二村広美 幸田愛子 山本 涼 入交恒子フラメンコ教室 アカデミアマルガリータ カンデーラ発ともだち列車たからもの号 第5回全日本フラメンココンクール入賞者&ファイナリスト 伊藤笑苗(バイレ部門優勝) 齋藤克己(カンテ部門優勝) 熊谷善博(カンテ部門準優勝) 南 豪(小松原庸子特別賞) 松下ひろみ 福岡由理 千葉真優美 大里尚子 佐藤陽美 中村太香子 平田かつら(第4回小松原庸子特別賞) ヴァイオリン:寺島貴恵 カンテ:チェマ 井上 泉 ギタリスト:髙橋紀博 長谷川 暖 カホン:山本将光 パーカッション:橋本容昌 ======











