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  • ArtistaЯ ~表現者☆~ ep.28

    ep.28 小池重子  Sigeko Koike (jueves, 16 de abril 2026) 写真家・大森有起が、今を輝くフラメンコ・アーティストたちの真の姿を写す 交友関係が深まり親しくなる演者は多いですが、重子さんの素は余り知りませんでした。 いい機会なのでフラメンコとの出会いをちょっと聞いてみました。 「母が美容師で、第4日曜日だけは休んでくれて。 裕福じゃなかったけど、月1回バレエとかミュージカルとかに連れてってくれてたの。 フラメンコは、多分その中で観たんだと思う。 小さな頃からフラメンコダンサーになる!って思ってた」 世代が近いので時代背景は分かりますが、幼心で既に自分の未来をイメージしていたなんて。 全く思いも寄りませんでした。 環境もさることながら、親子像も垣間見る素敵なエピソードでした。 ©Yuki Omori 「私のフラメンコ人生」 『清濁併せ呑む』 私にとって、フラメンコとはなんぞやと聞かれたときに真っ先に浮かぶ言葉。 フラメンコと関わり合って35年経ちましたが、ずっと心の隣にある言葉です。 初めてスペインでフラメンコを始めたとき、言葉のわからないカンテにまずノックアウトされました。 カンテとギターとバイレとパルマと沢山の音と熱量があるにも関わらず、静寂があり、崇高さがあり、人間のエゴそのものの様な瞬間もあり、終わった後には背中から大きな力にゆったりと抱きしめられている感覚で涙が止まりませんでした。 あの感覚がずっと忘れられず、未だにフラメンコに携わらせてもらっています。 今は私なりの清濁というものが明確にあります。 「清」とは、先に旅立った大切な方達の存在、愛していた者たちへ顔をきちんと向けることができる様でありたいと思う心。 「濁」は、日頃の己の生活だったりします。 フラメンコと共に、なんていうのはとても気恥ずかしいですが... 間違いなくいつもフラメンコが側にいてくれています。 常に心の中にあるもの、私にとって側にあることが当たり前のことかな。 =====

  • コンチャ・バルガス来日公演《De Lebrija a Japón》

    FLAMENCO DE LA RAIZ (domingo, 12 de abril 2026) "バイレフラメンコの母"として日本でもプロアマ問わず多くのフラメンコ愛好家から熱烈に支持されるコンチャ・バルガスの来日公演が2日間にわたり開催されます。 共演者もスペインで高い人気を誇るアーティストらを招き、また縁の深い日本人ダンサーらによるオープニングアクトにも注目です。 プレミア席・S席は両日とも完売、A席は7日昼公演のみとなっています。 【日時】 2026年5月6日 (水祝) 開場 17:30 / 開演 18:30 2026年5月7日 (木) 開場 13:00 / 開演 14:00 【会場】セシオン杉並 〒166-0011 東京都杉並区梅里1丁目22-32 (東京メトロ丸ノ内線東高円寺駅下車、徒歩5分) 【出演】 カンテ(歌): ESPERANZA FERNÁNDEZ / エスペランサ・フェルナンデス JOSÉ VALENCIA / ホセ・バレンシア ギター: MIGUEL IGLESIAS / ミゲル・イグレシアス CURRO VARGAS / クーロ・バルガス 踊り: CONCHA VARGAS / コンチャ・バルガス MIGUEL ANGEL HEREDIA / ミゲル・アンヘル・エレディア オープニングアクト(友情出演): 今枝 友加 井山 直子 荻野 リサ 影山 奈緒子 小林 泰子 小谷野 宏司 斎藤 恵子 秦 晴美 ■ チケットの種類と料金 プレミア席:23,000円  ※両日とも完売 (★特典:最前1・2列目席確約&公演オリジナルTシャツ付) S席:18,000円 ※両日とも完売 A席:16,000円 ※ 5/7(木)昼公演のみ取扱い中 ■ 申込フォーム: https://laraiz.jp/conchavargas2026/ ■ 問合せメール: conchavargas2026@gmail.com =====

  • カンテフラメンコ奥の細道 on WEB no.59

    (sábado, 11 de abril 2026)   文/エンリケ坂井 Texto por Enrique Sakai Malagueña de El Canario  これまでメジーソ、トゥリニ、チャコンのマラゲーニャを取り上げてきましたが、この他にも多くの(40種類以上)個人の名前を付けられたスタイルが存在し、その中で現在も良く歌われるものにエル・カナリオのスタイルがあります。  カナリオとは鳥のカナリアのことで、庶民の間でもカナリアなどの鳥を飼ってそのさえずる鳴き声を楽しむ習慣が古くからあり、ちょっとした都市には鳥の市があります。  私が住んでいたマドリードのフライ・セフェリーノ通りはそういう市のたつ所で、日曜日の朝は市に集まる人々のざわめきと鳥の鳴き声に目覚めた事を懐かしく想い出します。  カナリオは又素晴らしい歌声を聴かせてくれるカンタオール達に付けられたニックネーム、そして芸名ですが、最も有名な歌い手としてはエル・カナリオとエル・カナリオ・チコ(小さい方のカナリオ)の二人がいて、ここで取り上げるのはエル・カナリオ、本名Juan de la Cruz Reyes Osuna(ファン・デ・ラ・クルス・レージェス・オスーナ)の方で、1857年6月30日にマラガ県のアロラ町出身、時たま名前をマヌエルと記した資料がありますがこれはカナリオ・チコ(Manuel Reina マヌエル・レイナ、カディス県ビジャマルティン出身)と混同したのではないかと言われていますが、二人は友人で一緒に撮った写真が残っています。   El Canarioのマラゲーニャ①  エル・カナリオ自身は1885年、30歳にならぬうちに有名な事件で亡くなりましたから録音は残していませんが、彼のスタイルを受け継いだ歌い手達がレコードを残しました。  今回はセバスティアン・エル・ペーナ(息子のペーナも著名なカンタオールなのでペーナ・パードレと呼ばれる事が多い)が1907年に残したゾノフォンの録音(グラン・クロニカ・デル・カンテVol.8に収録)から。    【Letra】 espía... Vengo de poner espía por ver si mi amante viene al pie de Torre García; ay, ¡ no sé para mí qué tiene el camino de Almería !   【訳】 見張りを… 恋人が来るのか見張る為に ガルシアの塔の下に 見張りを置いて来たよ、 ああアルメリアに続く道よ お前は私にとって何なんだ!   ※espía ⇒スパイ、見張り ※Torre Garcíaはアルメリア市とガタ岬の間にある礼拝堂。 アルメリアに続く道に見張りまで置いて愛する人が来るのを待ちわびる男の歌。      楽譜を見て下さい。他のマラゲーニャにはあまり見られないDm(ディーマイナー)の和音が出てきますね。  G7(ジーセブン)かD7(ディーセブン)でも代用できますがDmを使うとこのマラゲーニャ独特のメロディーを引き立て、この歌の抒情的で深い味わいを表現できるのです。  昔はこれをB♭(ビーフラット)で弾く人もいましたが、これはやや違和感があり現在ではDmを使うのがスタンダードになっていると言えるでしょう。   【筆者プロフィール】 エンリケ坂井(ギタリスト/カンタオール) 1948年生まれ。1972年スペインに渡り多くの著名カンタオールと共演。帰国後カンテとパルマの会を主宰。チョコラーテらを招聘。著書『フラメンコを歌おう!』、CD『フラメンコの深い炎』、『グラン・クロニカ・デル・カンテ』vol.1~37(以下続刊)。2025年1月Círculo Flamenco de Madridから招かれ、ヘスス・メンデスと共演。   ※CD『グラン・クロニカ・デル・カンテ』シリーズを購入ご希望の場合は、アクースティカ( https://acustica-shop.jp/ )へお問い合わせください。(編集部)   ======

  • 新・フラメンコのあした vol.38

    (miércoles, 1 de abril 2026)   20年以上にわたりスペインで活動するジャーナリスト東敬子が、今気になるスペインフラメンコのあれこれを毎月お届けします。 今月は、去る3月8日にマドリードのセントロ・ダンサ・マタデーロで世界初演として上演されたヘスス・カルモナの新作公演についてのリポートです。     ヘスス・カルモナ 『テンタティボ』 世界初演 セントロ・ダンサ・マタデーロ、マドリード、スペイン 2026年3月8日   Jesús Carmona "Tentativo (basado en paisajes reales)", Centro Danza Matadero, Madrid. 8 marzo 2026   文/ 東 敬子 画像/宣伝素材 / 東 敬子 Texto por Keiko Higashi    Fotos por promoción / Keiko Higashi   Jesús Carmona その類まれなる技術、創造性でアーティストが一目置くアーティストとして知られるヘスス・カルモナ(Jesús Carmona)。彼の新作『テンタティボ (Tentativo)』は、斬新な発想と表現が詰め込まれた、非常に興味深い作品でした。   1985年バルセロナ生まれ。スペイン舞踊とバレエを習得し、フラメンコはアントニオ・カナーレス、エバ・ジェルバブエナ、アンヘル・ロハスらに師事。2010〜2012年にスペイン国立バレエ団の第一舞踊手を務めたのち、自身のカンパニーでソリストとして数々の作品を世におくってきました。派手さはない。しかしフラメンコ性と創造性を兼ね備えた秀作の数々は、本物志向の後進の道しるべとなっています。   「試み・挑戦」という意味合いを持つ作品タイトルには、「リアルな風景に基づいた」と言うサブタイトルが付きます。その名の通り今作品では、表現者としてのリアルな体験や心情が綴られ、「試み」への道のりが表現されます。   まずはステージに立つ準備、壮絶な練習風景が表現され、その演出には目を見張るものがありました。これは今回、舞台監督として参加したルイス・ルケの采配によるものが大きいでしょう。   ヘススがシーツに包まれた大量の、多分百個近くはある、タンバリンをステージ中央に引きずってきます。ヘススと5人の若い踊り手たち(ソフィア・ラシェラス、フアン・ブラボー、ルシア・カンピージョ、パブロ・エジェア、アイタナ・ルソー)がそれらをステージ上に拡散し、その隙間を縫って踊り始めます。やがて踊る足でタンバリンは徐々に隅に押しやられ、中央に大きなスペースが出来上がると、6人は本格的にステップを踏み始めます。ヘススが師となり5人は彼のアルテを必死に追いかけます。会場となったマタデーロ舞踊センターのステージはすり鉢状になっていて、観客がステージを見下ろす形になっていますが、その空間を上手く利用した見せ方だったと思います。   フラメンコ作品におけるレッスンのシーンと言えば、やはりアントニオ・ガデスの『カルメン』のそれを思い出します。しかし今回のレッスンシーンは感触が違う。『カルメン』のそれはカルロス・サウラ監督の、「フラメンコのレッスンって激しいんだぜ」という客観的なビジョンで表現されていて、だからこそエンターテイメントとして観客も客観的に「凄い」と驚くわけですが、ヘススのそれはアーティスト自身の体験が内から表現されており、観客と言うより一人の人間として共感できる普遍的なものがありました。その抽象的なのに分かりやすい表現は秀逸の一言でした。 裸足で踊る彼らの動きは、ちょっとアフリカンダンス的な音とテイストがあったのは面白かったし、足踏みがタンバリンに共鳴して、靴がなくとも足音が聞こえる演出は巧妙だったと思います。   このシーンのクライマックスでは、棒立ちになったヘススの手に、他の踊り手たちが次々とタンバリンを乗せていき、積み上がったタンバリンはある瞬間崩れ落ちる。その一連の動きをずっと繰り返します。まさに、舞踊は、鍛錬は、永遠に積み上げていくばかりなのだと。   そしてヘススは「弟子」一人一人に丁寧に靴を履かせ、最後は自身も靴を履いて、第二章へ突入します。第一章ではドラムやカホンなどのパーカッション(マヌ・マサエド、キケ・テロン)がメインでしたが、第二章ではギター(エル・ペリ)、カンテ(テレサ・エルナンデス、ガブリエラ・ヒメネス)もフル稼働してステージを盛り上げます。ヘスス、そして愛弟子5人は自身の世界の中で力の限りを尽くし、最後はスタンディングオーベーションで幕を閉じました。   (c) keiko higashi 非常に見応えのある、40代に突入したヘススの充実した踊りを堪能できた作品でした。ただ、世界初演だったこともあり、多少の改善点もあるのではと感じました。   まずは音響バランス。通常のフラメンコ公演よりもバックの演奏や歌声の音が大きく、特に第二章でのサパテアードがとても聞こえにくかったのは残念でした。パリージョ(カスタネット)の音に至っては、バックの音にかき消されて、本当にもったいなかった。 また、照明が暗すぎる。「フラメンコ・イコール・暗い」と信じて疑わないのは、はっきり言って、演出家とアーティストだけですからね。これは観客にとってはもう拷問に近い。だって、暗いが故に動きも良く見えないし、衣装だって楽しめない。見た目ぜーんぶ茶色ですからね。私はもう20年以上同じことを言っています。お願いですからステージの照明をもっと明るくしてください。 そして最後に、今回の作品は、1時間半ではちょっと長いと感じました。それぞれの場面は必要だったと思うのですが、1時間15分ぐらいが適切なのではと感じました。   何はともあれ、ヘスス・カルモナが現代フラメンコを担う踊り手の一人であることを確認した嬉しい夜だったことには間違いありません。     【筆者プロフィール】 東 敬子 (Keiko Higashi) /フラメンコ及びスペインカルチャーのジャーナリストとして、1999年よりマドリード(スペイン)に在住し執筆活動を続ける。スペインに特化したサイト thespanishwhiskers.com を主宰。 =====

  • スペインNews 4月号・2026

    (lunes, 6 de abril 2026)   文・写真/志風恭子 Texto y fotos por Kyoko Shikaze   日本だと暖かくなってきたとか花が咲いたとか花粉症の症状が出たとかで春になったと思うところですが、スペインだとそれよりも科学的というか、暦が絶対で春分の日が過ぎたから春、という感じが強いように思います。春分の日が過ぎて、聖週間(3月29日から4月5日)、セビージャの春祭りフェリア(4月21〜26日)、ロシオ巡礼( 5月22〜25日)と春は怒涛のお祭りシーズン。ヘレス(5月9〜16日)やコルドバ(5月24〜31日)、グラナダのフェリア(5月30日~6月6日)もあるのでなんかつい浮かれてしまうのが春のアンダルシア。なお、日付は今年のもので、毎年、日は変わるのでご注意くださいませ。 3月のセビージャ 春祭り会場正門が奥に見えます。 《INDEX》 ・ ロルカ・フェスティバル グラナダ公演 ・ エンペニャードス ・ ペーニャ トーレス・マカレーナ ・ セビージャのビエナル マエストランサ劇場での公演 記者会見     【ロルカ・フェスティバル グラナダ公演】 3月13日、エル・スール財団主催によるロルカ・フェスティバル、グラナダ公演が、グラナダのセントロ・フェデリコ・ガルシア・ロルカで開催されました。同財団が昨年から開催しているイベントの一環として行われたもので、前半はロルカ研究者である森直香静岡県立大学教授、ロルカとフラメンコについての著書があるグラナダ大学教授ホセ・ハビエル・レオン(当日、電車に乗り遅れたホセ・ルイス・オルティス・ヌエボの代打を急に勤めてくださいました)と志風によるロルカと日本、ロルカとフラメンコ、ロルカと日本のフラメンコについてのお話。  El Sur Foundation ©︎ LauRa Eme 休憩を挟んでの後半は、エル・チョニーコ伴奏による野村喜和夫のロルカへの詩の朗読、伊藤笑苗と山本海によるグラナイーナとアレグリアス、 El Sur Foundation ©︎ LauRa Eme   モネータのシギリージャという構成。 El Sur Foundation ©︎ LauRa Eme このモネータが本当に素晴らしかったです。ここ数年、劇場作品での彼女ばかり観ていて、シンプルなフラメンコを踊るのを見るのは久しぶりだったのですが、シギリージャという曲を自身の中に一旦取り込み、それを身体や心から絞り出しているような踊りに魅了されました。重厚で奥深く悲劇性の持ったこの曲を余すことなく表現していて、見事の一言です。ロルカのレトラにこだわったアレグリアスを踊った伊藤と山本は、今回が初めての共演ということもあって、ぎこちなさもあったものの無難にこなしていたという印象。現在、マドリードとグラナダで勉強中の二人、さらなる飛躍を期待しています。     【エンペニャードス】   セビージャのペーニャ協会とビエナルが協力して開催中のエンペニャードス。セビージャのペーニャを会場に40回の無料フラメンコ公演が開催されるというコンサートシリーズです。2月に始まったこのシリーズに萩原淳子が登場しました。3月14日日曜日、市の東南の端にあるペーニャ・エル・チョーサスでティエント/タンゴスとソレア・ポル・ブレリアを踊り、どちらも観客総立ち。伴奏のクーロ・バルガスのギターもよく、さすがの実力を印象付けました。 【ペーニャ トーレス・マカレーナ】 セビージャの老舗ペーニャ、トーレス・マカレーナは、セビージャでのフラメンコの劇場公演が少ないこの時期にも、劇場公演でも主役を務めるアーティストたちが出演していました。国際女性デー(3月8日)にちなんだ女性週間では、ロサリオ・トレドとグロリア・デル・ロサリオがそれぞれ女性歌手、女性ギタリストの伴奏で踊り、イネス・バカンのお話会と、リサイタルが開催されました。 また3月14日にはエセキエル・ベニテスのリサイタル、18日にはフロレンシア・オス、20日にはアルベルト・セジェスの舞踊公演も。 2019年コルドバのコンクール優勝者であるフロレンシアは1987年チリのサンティアゴ生まれで2007年からセビージャ在住。ヘーレン財団に学び、アンダルシア舞踊団で活躍した彼女は超テクニックで、シギリージャとアレグリアスを披露。とにかく上手いのだけど、それ以外に伝わってくるものがほぼありません。シギリージャという曲が持つ重みや深みも、彼女の思いも、なーんにも見えなくて、足の練習を見させられているような気分。休憩挟んでのアレグリアスはバタ・デ・コーラにマントンで。おそらく小さい舞台で踊ったことがあまりないのでしょう、マントンで最前列の観客を引っ叩きそうな勢い。技術はありますが、マントンも忙しく振り回すような感じ、スポーツみたいでアルテが全く感じられなく残念。歌のマヌエル・パハレスがよかったのが救いでした。 反対に20日に登場したアルベルト・セジェスはアルテてんこ盛りの舞台を見せてくれました。私は基本、歌の時に足を入れてくる踊りは好みではないのですが、彼の場合、何故かそれすら気にならないのです。一部のタラントでは、タラントらしい抑制された色調の中、重苦しいやるせなさだったり、何くそというコラへだったり、彼自身のフラメンコを愛する気持ちだったり、常に何かが伝わってくるのです。二部のアレグリアスは歌いながら登場し、途中から歌い手で出演していたミゲル・アンヘル・エレディアとコプラ、スペイン歌謡曲の歌いあい、踊りあいになっていくのは、昨年ヘレスで二人が上演した作品を思い出させます。歌謡曲でもめちゃフラメンコに歌い踊るので最高に楽しかったのであります。 うん、フラメンコはコミュニケーション。自分の思いをいかに相手に伝えるか、っての、すごく大切、だと思います。 この日も熱唱のマヌエル・パハレスは5月24日の田村陽子公演 ( https://www.flamencofan.net/post/【news】la-negra-ある烏の孤独 )に、アルベルト・セジェスは8月29、30日の野村眞里子プロデュース公演( https://www.flamencofan.net/post/【news】ロルカフェスティバル-2025-2027 )に出演予定とのことなので、日本の皆様もぜひお出かけくださいませ。     【セビージャのビエナル マエストランサ劇場での公演 記者会見】 今年のビエナルは9月9日から10月3日まで、とまだ5ヶ月以上ありますが、3月25日、ビエナルのプログラムの中でマエストランサ劇場で行われる公演についての記者会見がありました。記者会見ですが、正確にはテルトゥリア、おしゃべり会ということで、記者以外の参加もOKだったようです。 劇場ロビーで出演アーティストたちと監督、セビージャ市観光文化担当官(前列)、劇場支配人(後列左から2番目)Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León   マエストランサ劇場でのビエナル公演は9月11日から3公演が行われるサラ・バラスの新作『インフィニータ』に始まり、閉幕公演のカルメン・リナーレスまで8演目10公演が行われます。この日は仕事の関係で来られなかったアーティストが半分ほどいましたが、それぞれの公演について語ってくれました。 カニサーレスは9月19日セビージャ交響楽団との共演で『アル・アンダルース協奏曲』を上演予定。長年共演していたパコ・デ・ルシアの葬儀の時の悲しみとその日の曇り空から光が差してきた思い出を語り、その二つの気持ちが曲に込められていると語りました。 このビエナルのために制作される『ア・カネラ・イ・クラボ』は、ギタリスト、ペドロ・マリア・ペーニャによるヒターノたちのフラメンコへの功績へのオマージュ作品で、ニーニャ・デ・ロス・ペイネス、カマロンやレブリハーノなどにも触れるとか。この日同席したエスペランサ・フェルナンデスやペペ・トーレスの他、ホセ・バレンシアやドゥケンデも出演するそう。ビエナルならではの公演になりそうで楽しみです。 マリナ・エレディアもセビージャ交響楽団との共演で、スペイン到着から600年を迎えたいうヒターノたちの歴史を辿るというもので、グラナダ大学教授であるいとこが協力したといいます。昨年、グラナダでグラナダのオーケストラとの共演で初演されたそう。 閉幕を飾るカルメン・リナーレスは、マリナやマリア・テレモート、ラファエラ・カラスコと、今も多くの人がお手本にしているアルバム『ラ・ムヘール・エン・カンテ』30周年を記念するコンサートを、ということでこちらも楽しみです。   他にも、マエストランサ劇場では、イスラエル・ガルバンによる、ラヴェルのボレロとヒターノ歌手モンチョが歌うボレロ(ラテン・バラード)を組み合わせた公演(9月19日)、ホセ・メルセのリサイタル(20日)やマヌエル・リニャンが自分のアイデンティティを追求した作品(24日)、ファルキートが昨年公開された映画と同様に自らの道を振り返る『セラ・ファルキート』(28日)もあります。 すでに入場券は発売中。売り切れになる前にぜひ。 ◇ビエナル マエストランサ劇場での公演 9/11(金)20時、12(土)20時、13(日)20時『インフィニータ』 [出]〈b〉サラ・バラス 9/19(土)20時『カニサーレス・シンフォニコ』 [出]〈g〉カニサーレス、セビージャ交響楽団 9/20(日)20時『トケン・ア・レバト』 [出]〈c〉ホセ・メルセ 9/22(火)20時『バイラオル/ラ』 [出]〈b〉マヌエル・リニャン 9/24(木)20時『ア・カネラ・イ・クラボ』 [出]〈c〉エスペランサ・フェルナンデス、ドゥケンデ、ホセ・バレンシア、〈b〉ぺぺ・トーレス、ナサレ・レジェス 9/28(月)20時『セラス・ファルキート』 [出]〈b〉ファルキート 10/1(木)20時『エン・リベルタ!エル・カミノ・デ・ロス・ヒターノス』 [出]〈c〉マリナ・エレディア、セビージャ交響楽団 10/3(土)20時『ペルラス・ア・ミジャレス』 [出]〈c〉カルメン・リナーレス、マリナ・エレディア、マリア・テレモート、〈b〉ラファエラ・カラスコ [場]セビージャ マエストランサ劇場 [問] https://www.labienal.com/     【筆者プロフィール】 志風恭子(Kyoko Shikaze) /1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。   =====

  • 【特集】第30回フェスティバル・デ・ヘレス

    (viernes, 3 de abril 2026)   今年で第30回の節目を迎えたスペイン・ヘレスで開催されるフラメンコの祭典『Festival de Jerez』。 2月20日から3月7日まで16日間にわたり、ビジャマルタ劇場をはじめ各会場で数々の作品が上演され、日本からはもちろん海外からも多くのフラメンコ愛好家が訪れました。 今年のフェスティバルの模様を、初回から取材を続けているセビージャ在住のフラメンコ研究家、志風恭子さんがリポートします。   文/志風恭子 Texto por Kyoko Shikaze   【INDEX】 ・ VIVA LA DANZA! ・ フラメンコ! ・ ヘレス!   ヘレスのフェスティバルも今年で30年。第1回から欠かさずヘレスを訪れているので感慨もひとしお。なお、最初のフェスティバルは1997年。当時は4月の開催で、初日の公演はマリア・パヘスが監督を務めていた時代のアンダルシア舞踊団でした。今のような一般向けのクルシージョはなかったのですが、アンダルシア舞踊団の団員とヘレス在住の踊り手を対象に、マノレーテやアンヘリータ・ゴメスらが、アンダルシア舞踊団員だったフェルナンド・ロメロやラファエル・カンパージョ、ラモン・マルティネス、ヘレスのメルセデス・ルイスらが受講していました。 1997.04 マノレーテを囲んで。Centro Andaluz de Flamenco ©︎ Kyoko Shikaze   ヘレスのフェスティバルは、フラメンコ舞踊とスペイン舞踊のフェスティバルとして始まりました。コルドバのギター・フェスティバルをモデルに、第一線で活躍する踊り手たちによるクルシージョを開講しその受講者に劇場公演切符を付与するというシステムで、ヘレスの外から人を集め、ホテルやレストラン、タクシーなどの利用も含め、市の経済に貢献できるように、ということで、元から地元のフラメンコ・ファンを対象に始まったフラメンコ祭ではありません。そしてその目的は30年後の今、見事に達成されています。当初は、フラメンコ祭なのにカンテがない、など文句を言っていた地元の人も、今ではフェスティバルに集まってくるスペイン各地や外国からの観客を相手にクラスを開講したり、イベントを行ったりとすっかりフェスティバルはヘレスという土地に根付いています。なお、フラメンコ舞踊とスペイン舞踊に特化したフェスティバルというのは私が知る限り世界で唯一のもので、それも成功の秘訣でしょう。30年の歴史の中で、マティルデ・コラル、ビクトリア・エウヘニア、ホセ・グラネーロといった歴史的な教授陣から、初回のクラスを受講していたアリシア・マルケスやウルスラ・ロペスらをはじめ、フェスティバルがきっかけでフラメンコの道に進んだレオノール・レアルら、若い世代へと世代交代が進みました。劇場公演も同じです。マリオ・マジャやアントニオ・ガデス、マノレーテも亡くなりメルチェ・エスメラルダらも引退し、かつてカナーレスのクルシージョを受講していたというロシオ・モリーナらがトップスターに、また最初はサラ・コンパニアの小さな舞台で公演していたマヌエル・リニャンやマルコ・フローレス、アルフォンソ・ロサらもビジャマルタ劇場で素晴らしい作品を上演してくれています。短いようで長い、長いようで短い、30年。時代の変化を感じます。   さて2026年のフェスティバル、プログラム発表が11月下旬と遅かったのですが、内容についても例年に比べて地味だという印象をおおかたの人がもったようです。たしかに、マリア・パヘス、エバ・ジェルバブエナ、サラ・バラス、イスラエル・ガルバン、ファルキート、ロシオ・モリーナといった、現代フラメンコ舞踊界の今をリードする、人気舞踊家たちの名前はプログラムにはありません。また、ビジャマルタ劇場公演だけでいえば、アンドレス・マリン/アナ・モラーレスの作品は2024年ビエナルで、オルガ・ペリセ、マリア・モレーノの作品はセビージャのセントラル劇場で上演したもので、セビージャ在住者ならすでに観ている人も多かったと思います。また前述のマリア・モレーノの作品を含め、ベレン・ロペス、ホセ・マジャなどマドリードで初演された作品も多く、今回初演という作品は、初日マヌエラ・カルピオ、中日のメルセデス・ルイス、レオノール・レアル、サロメ・ラミレスらによる特別ガラのほかは、エステベス/パーニョスの『ドンセージャス(フエルガ・ペルマネンテ)』のみでした。それでも結果的には、それほど悪くないフェスティバルだったと思います。サラ・カレーロら、ホセ・マジャらソロではビジャマルタ劇場初登場の人の作品も多く、またサラ・コンパニアやセントロ・ソシアル・ブラス・インファンテでも意欲的な作品がたくさん上演されました。全作品を観た訳ではありませんが、今年も印象に残った作品などについて記していきましょう。   【VIVA LA DANZA!】 今年30周年ということで第1回から来ている人ということでインタビューされたのですが、その時にあった創設者パコ・ロペスがこのフェスティバルは「ダンサ・フラメンカとダンサ・エスパニョーラのフェスティバル」と言っていて、ダンサもバイレも日本語にするとどちらも舞踊なのですが、スペイン語で言うと少しニュアンスが変わってきます。バイレ・フラメンコが伝統的なフラメンコ舞踊で、ダンサ・フラメンコとダンサ・フラメンカというと、タブラオで見るような、伝統的な、基本、一人で伝統曲を踊るフラメンコ舞踊だけでなく、パレハや群舞も含み、また、筋書きやコンセプトのもと制作された舞台芸術としてのより自由なフラメンコ舞踊、というイメージになると思うのです。そう言われてみれば、現在のフラメンコ舞踊作品は、伝統的なフラメンコ曲以外の音楽をフラメンコのテクニックで踊ったり、フラメンコ曲をフラメンコ以外のコンテンポラリーダンスやバレエのテクニックを使って踊ったりしているものが多く、確かにバイレというよりダンサなようにも思います。 今年のヘレスのフェスティバル、ビジャマルタ劇場公演で最も印象に残った作品は エステベス/パーニョス・イ・コンパニアの『ドンセージャス(フエルガ・ペルマネンテ)』 でした。 ジャンプしているのはバレリアーノ。ラファエルは左奥のヒゲの人。ギターはアレハンドロ・ウルタード。© Festival de Jerez/Rina Srabonian   フラメンコ・ギターのソロ演奏を確立した稀代のギタリスト、ラモン・モントージャをテーマに、彼が生きた時代、そしてそのフラメンコの宴を、当時の時代背景なども反映させつつ現代に置き換えたりなどもしつつ、ラモンのソロ作品、ニーニャ・デ・ロス・ペイネスやアントニオ・チャコンらへの伴奏なども散りばめて綴った作品。ラファエルとバレリアーノを含めた9人の踊り手がとにかく最初から最後まで踊りまくる。純フラメンコもあれば、ボレーラの跳躍、民俗舞踊系やコンテンポラリーのような動きもあり、またクラブ音楽的なリズムと伝統のカンテをあわせたりなど決して飽きさせません。ラモン・モントージャの演奏を見事に再現したアレハンドロ・ウルタードは作品音楽賞を受賞しています。 きっとラファエルが仕込んでいるはずのいろいろなディテール、見逃しているのがあると思うので、もう一度見て発見してみたいものです。   この日18時半からサラ・コンパニアで観た ディエゴ・イ・ウーゴ・アギラールによる『クエスティオン・デル・ティエンポ』 という作品も、国立バレエとアンダルシア舞踊団で活躍中のバジャドリード出身の兄弟の踊りが本当に素晴らしく、最高の1日でありました。聴けば、アルフォンソ・ロサの指導を受けたとのことで、そうか、あの間合い、回転の間の良さはアルフォンソ譲りかと納得したことでした。 © Festival de Jerez/Esteban Abión また、以前、エステベス/パーニョスのカンパニーやスペイン国立バレエ団のダンサーとしてなどでフェスティバルには出演しているものの、自分の名前がメインの初めての公演がビジャマルタという セルヒオ・ベルナルの『ロダン』 は、ロダン自身とその彫刻数点を彼が踊るというもの。 考える人になるセルヒオ  © Festival de Jerez/Rina Srabonian   完璧な身体での完璧な動きとかたち。国立ダンスカンパニーのダンサーとの2曲はネオ・クラシコな作品でほぼバレエだけど、靴を履いてのサパテアードはスペイン舞踊。時代はクロスオーバー。バレエもフラメンコもスペイン舞踊も全てダンスとして楽しめばいいのかもしれません。腕をすっと伸ばしただけで、たとえようもなく美しくて。軽快な跳躍、精確な回転。技術がそのままアート。   クロスオーバーといえば、コンテンポラリーのダンサーと共演した作品が二つ。 オルガ・ペリセ『ラ・マテリア』 と © Festival de Jerez/Rina Srabonian ラ・ルピ『ロ・イネディト』 。 © Festival de Jerez/Rina Srabonian   オルガはダニエル・アブレウと垣根を超えた踊りを見せ、ルピはイバン・バルガスとコンテンポラリー風とフラメンコを混ぜて。伝統的なフラメンコ曲をストレートに踊るだけでは表現しきれないものがあって、より自由な表現を探しているのでしょう。   他にも、コンテンポラリーダンスの影響が色濃い作品は幾つか。 ダビ・コリアの『バベル』 はバベルの塔の話をテーマにしていることもあって、アメリカ、スペイン、アルゼンチン、イスラエル、ロシア、そして日本(瀬戸口琴葉)と国籍の違う踊り手たち8人が出演し、実際に各国語を使ってセリフをも言ったりする作品。サーカスのように肩の上に人が立ったり、全員で一つの形を作ったりするコンテンポラリーのような動きも多いのですが、ダビ・ラゴスの歌でフラメンコ味もキープ。初演は7月フランスで、ということでまだまだ変わっていくのかもしれませんが、完成した作品もぜひ観てみたいものです。 © Festival de Jerez/Rina Srabonian   ヘスス・カルモナの、マドリードで初演したばかりの新作『テンタティボ』 もいろんな舞踊の要素を自由に使ってイメージを膨らませて展開する独自の世界。ダンサーたちの個性を活かしたソロもいいけれど、盛りだくさん過ぎという感じも。あと照明が暗すぎて見づらかったのもマイナス。なんか今年は、観客賞受賞のマリア・モレーノ、ビジャマルタ初登場のベレン・ロペス、ホセ・マジャなど、特に照明が暗めな作品が多かった印象です。 © Festival de Jerez/Rina Srabonian ラファエルとバレリアーノにしても、オルガやダビ、ヘススにしてもおそらくフラメンコ作品を、という意識はなく、自分の作品を作ろうとしているのであって、彼らの中にあるものが多岐にわたっている、彼らがフラメンコ以外の言葉も話せる、ということなのだと思います。自分の持っている身体言語、見聞きすることで蓄えた知識などを総動員して自分の表現を作っていっているのでしょう。   【フラメンコ!】 そんな中、伝統的なフラメンコをソレア、シギリージャ、アレグリアスと3曲、カンテソロ、ギターソロを挟んで踊った ファルーのサラ・コンパニアでの公演 が本当に最高でした。祖父ファルーコを彷彿とさせるソレア。祖父ほどには太っていないのにお腹がグッとせり出して見えてくるほど貫禄と風格。品位がある。 © Festival de Jerez/Esteban Abión   バストンのシギリージャも一族伝統の一曲。 © Festival de Jerez/Esteban Abión そして華やかなアレグリアスでは、歌もギターもなしで踊るところがあったのですがそこでもまるで音楽が聞こえてくるような見事さでした。兄ファルキートも得意としている曲だけど、いや、ファルーのアレグリアスも最高。 記者会見で「公演のための練習もしていない、打ち合わせもやってない。でも30年かけて準備してきたようなものなんだ。アフィシオン(フラメンコ愛)があるから何を歌わなくちゃいけない、弾かなくちゃいけない、踊らなくちゃいけないかをみんな知っている。ブレリア踊れるからってプロじゃない。プロになるためにはアフィシオンと知識が必要」と言っていたファルーだけど、『ナトゥラル』というタイトル通り、彼の中にある、自然に出てくるフラメンコをいい形で見せてくれました。 © Festival de Jerez/Esteban Abión どれも曲が持つキャラクターを伝統と自身の解釈で踊り、古くさい、埃にまみれた伝統ではなく、今を生きる伝統のフラメンコへと昇華させてくれました。今年のヘレスで観た中で、最上のフラメンコでありました。あらすじも何もなく、シンプルな構成で自らのフラメンコを過不足なく見せることに成功。本当はこういうのをもっと観たい気もします。   フラメンコ性ということでは、 ビジャマルタ劇場で初めてソロ公演を行ったホセ・マジャ もすごかったです。特に最後に歌い、踊ったソレアには心を鷲掴みにされました。めっちゃフラメンコ!でも最初の方で見せたコンテンポラリーダンス風な動きは合っていないように思われたし、音楽でもコーラスぽい感じを入れたりしてるのはあまり好感が持てなかった。ギターの、地元ヘレス出身マルコ・デ・シルビアはまだ10代?二十歳?と思えない好演でフェスティバルのギター賞受賞。 © Festival de Jerez/Rina Srabonian そう、フラメンコ・フラメンコも、もっと観たい! セントロ・ソシアル・ブラス・インファンテという、ヘレス市内中心部からはちょっと離れたところにある公会堂みたいなところで行われた公演でも コンチャ・バルガスとイネス・バカン という日本のコアなファンが喜びそうな公演や、 コンチャとイネス。レブリーハの宝。 © Festival de Jerez/Esteban Abión   ロシオ・モリーナやエバ・ジェルバブエナの舞台でパルメーロとして活躍しているエル・オルーコやダビ・ラゴスとレオノール・レアルの公演も行われました。 中でも エル・オルーコの公演 にはエル・トロンボやカルメン・レデスマ、ロシオ・モリーナがゲスト出演、エバも演出で協力という豪華さ。オルーコの重厚なフラメンコ、トロンボやカルメンの、ほんの少しの動きで見せる、この人たちならではのアルテ、ロシオの異次元フラメンコと、これはぜひビジャマルタで観たい作品でした。ビジャマルタ劇場の公演前ということで時間が気になり、後半、思うように楽しめなかったことが残念でなりません。作品としても形が整っていましたし、歌(ぺぺ・デ・プーラ、ホセ・アンヘル・カルモナ、ペチュギータ)もギター(フアン・カンパージョ)、パーカッション(パコ・ベガ)も素晴らしかったです。いい音楽としてのフラメンコがあってこそいい踊りも生まれるというものです。 衣装に鏡が縫い付けられていてミラーボールのような効果を見せて踊るオルーコ © Festival de Jerez/Esteban Abión   【ヘレス!】 フェスティバルの初日の入場券はクルシージョ受講料についてきません。また、クルシージョとクルシージョの合間である中日も、この日に開催される集中クラスを受講しない限り購入する必要があります。すなわち、この二日間は通常の公演よりも入場券を売る必要があるということもあり、地元の一般の人の集客も見込めるサラ・バラスのような人気アーティストや地元出身者、もしくは仕込みに時間がかかるアンダルシア舞踊団や国立バレエ団のような規模の大きな公演が起用されることが多く、今年も 初日にマヌエラ・カルピオ、中日には30周年記念ガラとしてメルセデス・ルイス、レオノール・レアル、サロメ・ラミレスによる公演 が行われました。 フィエスタのブレリアの一振りの名手マヌエラは歌にエストレメーニョ、ラビ、タニェ、コンパスにトロンボとオルーコ、ギターにホセ・ガルベスとフアン・レケーナとバックは万全の態勢。その上、ゲストにマカニータ、ホセ・バレンシア、バルージョ、アンへリータ・モントージャら大勢のゲストを迎えたこともあって2時間以上の長い長い公演となり、観ているこちらの体力も限界。彼女の魅力を活かすためには他に方法があったように思います。 バタとして引きずっていた部分をマントンのように使う。 © Festival de Jerez/Esteban Abión   30周年ガラは、かつてフェスティバル生みの親であり現在はオペラ演出家として活躍しているパコ・ロペスと数々の作品をフェスティバルで上演してきたメルセデスがパコの手を借りることなくきちんとした作品を作り上げていました。 女の子3人が大きくなってメルセデス、レオノール、サロメになるというイメージで、伴唱もメルチョーラ・オルテガら女性3人。それぞれのソロや共演を経て最後はアンへリータ・ゴメス、アナ・マリア・ロペス、チキとヘレスのベテラン舞踊教授が登場。ヘレスの舞踊を、フェスティバルを支えてきた女性たちの姿に胸が熱くなります。 © Festival de Jerez/Esteban Abión © Festival de Jerez/Esteban Abión 昨年のラ・ウニオンのコンクールの覇者サロメはサラ・コンパニアでも公演し、今年の新人賞を受賞しました。 © Festival de Jerez/Rina Srabonian 他にも、 アンドレス・マリンとアナ・モラーレスによる、2年前のビエナルで初演した『マタリフェ/パライソ』 は作品にリズムが出てきて、初演時より良かったし、 © Festival de Jerez/Esteban Abión ビジャマルタ劇場初登場のサラ・カレーロ 、 © Festival de Jerez/Esteban Abión ベレン・ロペス © Festival de Jerez/Rina Srabonian をはじめ、 ヌエボ・バレエ・エスパニョール © Festival de Jerez/Rina Srabonian などマドリード在住勢も多数出演。でもビジャマルタ劇場にふさわしい公演とまでは思えなかったというのが正直なところ。 カディス出身らしい明るさで観客を楽しませた マリア・モレーノが観客賞を受賞 したのも理解できます。 © Festival de Jerez/Esteban Abión   来年、2027年の第31回ヘレスのフェスティバルは2月19日から3月6日まで。次回はぜひあなたも! ◎公演ごとの詳しいレポートはこちら https://noticiaflamenca.blogspot.com/search/label/ヘレスのフェスティバル2026   【公式サイト】 https://www.festivaldejerez.es/   【筆者プロフィール】 志風恭子(Kyoko Shikaze) /1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。   =====

  • 【news】『Puente 〜架け橋〜フラメンコが繋ぐ日本とスペイン』

    兵庫・東京公演 (jueves, 2 de abril 2026)   関西を中心に舞踊・教授活動を行う溝畑直子さんが、9年ぶりとなる自主公演を自身の拠点でもある兵庫・宝塚と東京の2都市で開催します。 今回の公演では2017年に溝畑さんが初共演したフラメンコ・アーティストで、昨年の大阪・関西万博でスペイン館のアンダルシア州のイベントに州の代表として来日したホセ・ルイス・ペレス・ベラ(Jose Luis Perez-Vera)が再び来日します。 作曲家の父を持つホセ・ルイスはフラメンコ歌手として活躍する一方、ピアノの弾き語りや作曲活動、さらには踊りまで踊る類い稀な才能を持つアーティストで、スペイン国内でもメディアに取り上げられるほど注目を集めています。 各公演とも素晴らしいアーティストらを共演に迎え、舞踊と音楽で紡ぎ出す幻想的なスペインとフラメンコの世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。 【兵庫公演】 [日時]2026年4月25日(土) 13時開場 13:30開演 [会場] 宝塚ベガ・ホール (阪急宝塚線清荒神駅前) [出演] ホセ・ルイス・ペレス・ベラ(シンガー・ピアノ・ダンサー) 溝畑直子(ダンサー) 向 京子(ダンサー) 徳永健太郎(ギター) Kan(パーカッション) 山本美恵(ソプラノ) 長島優子(ピアノ) [料金]*全て税込 前売:A席6,500円/B席5,500円/高校生以下2,500円 *当日券は前売の+500円 *高校生以下のチケットは当日に年齢証明資料をお持ちください。 [予約フォーム] ◎ご予約はこちらから 【東京公演】 [日時]2026年4月28日(火) 18:30開場 19:15開演 [会場]小金井 宮地楽器ホール (JR中央線「武蔵小金井駅」南口駅前) [出演] ホセ・ルイス・ペレス・ベラ(シンガー・ピアノ・ダンサー) 溝畑直子(ダンサー) 浅見純子(ダンサー) 小池朱美(ダンサー) 徳永健太郎(ギター) 徳永康次郎(ギター) Kan(パーカッション) [料金]*全て税込 前売6,500円/当日7,000円 高校生以下(前売・当日とも)3,500円 *高校生以下のチケットは当日に年齢証明資料をお持ちください。 [予約フォーム] https://eplus.jp/puente0428/ [問]Emociones Email: live.info.2025@gmail.com =====

  • KOJIMA Shoji 《叫び The Scream》

    (viernes, 27 de marzo 2026)   2025年5月2日(金) グランシップ 中ホール・大地(静岡) 写真/大森有起 Fotos por Yuki Omori 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko     SPAC(静岡県舞台芸術センター)が主催する「SHIZUOKA せかい演劇祭」のための特別上演として披露された今作品は、2016年にノルウェーの画家ムンクが描いた「叫び」をオスロで見たときの衝撃からインスピレーションを受けたという。長年にわたり小島の心を駆り立て続けているフラメンコの歌い手たちの「叫び」、カラコールやマイレーナ、パケーラ、カマロン、フェルナンダ、チョコラーテなど、先人たちの強い叫びや小さなささやきにも思いを馳せ、これまで芸術の力を信じて生きてきた全てのものを舞台に捧げたいという願いを込めた作品だ。   オープニングは歌い手3人によるパルマとブレリア。互いにハレオを掛け空気を温め、チクエロのタパオがグルーヴ感を沸き立たせる。ひとりずつ歌い繋ぎ、ドゥエンデは踊りもひと振り披露するなど、濃厚で純粋なフラメンコの世界に引き込まれる。   5人の群舞は、前年に小島の舞台「蒼茫」で上演された作品の再演。さらに熟成され自然な一体感が感じられ、広い舞台を生かしたバタとマントンでのスケールの大きい群舞を展開する。   チクエロのソロはグラナイーナ。豊かな響きを奏でながら曲調はスローからミディアムテンポへと変化し、軽快な明るさも楽しませてくれるような一曲だった。   柳谷と松田が踊るパレハでのソレア。ベージュの揃いの生地のベストに紫のシャツとピンクのブラウスというコーディネートが印象に残る。姿勢良く整った踊りには小島の美学がしっかりと受け継がれ、二人でのポージングも随所で練られ構成の美しさが光った。 二人の歌い手によるカンテソロは、深い嘆きを歌い上げるミゲルのマラゲーニャと、味のあるハイトーンの歌声でアバンドラオを聞かせるドゥエンデ。それぞれの個性がまた楽しい。 知念、漆畑、石川ら3人のユニット、アルモニアによるファルーカはフォーメーションや振付もよく考えられていて、男性によく踊られる曲ではあるが女性らしい動きもセンス良く取り入れられている。 ロンドロが歌うアレグリアス。抑え気味の声質にはいぶし銀の魅力が光り、むせぶような歌いぶりには内面に溢れるエネルギーを湛えながら喜びをかみしめるようだった。 ユンケの鐘の音が響く中、舞台の中央に立ち全霊を込めて歌うミゲルのマルティネーテ。ドゥエンデもまた、心からの嘆きを歌い上げる。舞台に登場した小島は内面からみなぎる力に集中し、パルマと歌を確実に捉えて足を打ち踊る。胸の前で抱えるファルダや足の連打に、溢れる思いが表れる。 小島の叫びは全てに宿っていた。その足に、腕に、手首や指先に、ファルダに、そして全身をまとう空気に。舞台にしゃがみ込み、全てを飲み込むような沈黙の後、内なる叫びは祈りへと昇華し天に向けて捧げられた。 約1時間という限られた時間の中に凝縮された、この日限りの今回の作品。フラメンコ舞踊という表現方法に切なる願いを込め、真摯に踊った小島の姿は観客の心に刻まれたことだろう。 [出演] 小島章司(作・構成・演出・踊り) チクエロ(音楽監督・ギター) エル・ロンドロ(歌) ミゲル”エル・ラビ”(歌) ホアキン・ゴメス”エル・ドゥエンデ”(歌) 知念響 漆畑志乃ぶ 石川慶子〈以上、アルモニア〉(踊り) 柳谷歩美 松田知也〈以上、小島章司フラメンコ舞踊団〉(踊り) =====

  • 石井智子スペイン舞踊団公演『ちはやふる』

    第72回文化庁芸術祭大賞受賞作品 (miércoles, 18 de marzo 2026) 2026年 2月6日(金)・7日(土) 浅草公会堂(東京) 写真/川島浩之 Fotos por Hiroyuki Kawashima 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko 日本人ならほぼ誰もが知る「百人一首」をテーマに、スペイン舞踊家の石井智子が日本の伝統楽器とともにフラメンコやスペイン舞踊のリズムと音楽で創り上げた舞台作品『ちはやふる』が上演された。この作品は2017年の初演時に「第72回文化庁芸術祭大賞」を受賞し、今回はそこに新たに歌を追加し、演出や構成、振付なども練り直して作品を熟成させた9年ぶりの再演だ。 今作では特別ゲストに、重要無形文化財「日本舞踊」の総合指定保持者として古典の継承・普及に努めるとともに海外文学などを題材とした意欲的な創作活動も行う日本舞踊家の藤間蘭黄を迎えた。 作品は前半をスペイン舞踊の音楽、後半をフラメンコ音楽による演出とした2部構成。 二十五絃箏の前奏から始まる序章。舞台上の紗幕にはプロジェクションマッピングで題字を映し出され、続いて次々と現れる和歌の文字が紙吹雪となり、散り去ったかと思うと今度は一面に並べられたかるたに変化するなど、映像演出にも風雅な趣向が凝らされる。 舞台には小野小町を演じる石井、在原業平を演じる藤間、そして中央には百人一首を選定した藤原定家役として寶林寺住職の光澤雄弘が立ち、幽玄な世界観が会場を包み込む。 石井は十二単の着物に仕立てたバタデコーラを身にまとい、小野小町の「花の色は 移りにけりな」で始まる有名な歌の世界を箏の重奏の中で雅やかに表現する。 藤間は業平が詠んだ「ちはやふる 神代もきかず 竜田川」の世界を、尺八の音色の中で幽玄に舞う。赤い衣装を着た唐紅(からくれない)の女性群舞は、太鼓隊ととともに美しい紅葉と自然への感動を表現。太鼓の音と踊りの足音が地響きのように客席まで伝わってくる。 夏の訪れへの喜びを歌った「天の香具山」では客席から太鼓隊が登場し、臨場感ある演出で会場の空気も高揚する。6人の太鼓の揃った音が迫力を増し、黄色と若草色の群舞は生命の躍動感や喜びに満ちていた。 会いたいのに会えない男女の切なくも美しい場面を表現した石井と藤間のデュオ。アストゥリアスの音楽を奏でるチェロと尺八による音の共演も美しい。 前半最後の曲は、「天つ風 雲のかよひ路 ふきとぢよ」と天女への憧れを詠んだ和歌を表現。風を表現する水色の群舞と雲を表現する白色の群舞が様々なフォーメーションを展開し、天女を演じる石井を中心に幻想的なシーンを演出した。 休憩をはさんで後半のフラメンコ音楽による場面では、和歌に込められた心情や作者の人間味がより深く濃く表現される。通い婚の男を待つ女の嘆きを詠んだ歌では、石井がティエントの音楽に乗せて情感のこもった渾身のソロを舞う。 雨が通り過ぎた後の霧が立ち込めた山の神秘的な姿を詠んだ歌を表現するのは、山の妖精たちによるセラーナの群舞。川島が日本語の歌詞で歌い、日本的な情緒がより感じられる一曲だ。 若くして出家した西行法師の孤独を詠んだ歌を、藤間が日本舞踊で踊るファルーカ。その佇まいには静かな迫力があり、足を踏みしめるように鳴らし扇子とともに舞う姿はなまめかしくも凄みが感じられた。 最後の曲は、日本の象徴とも言える富士山を詠んだ「田子の浦に うち出でてみれば 白妙の」で始まる歌を表現するアレグリアスの群舞。白と青のコントラストを基調とした色彩の演出が美しく、また太鼓隊と石井とのリズム遊びなど祭りの要素も盛り込み、華やかに舞台を締めくくった。 古の時代の日本を生きた人々の心の機微を詠んだ百人一首の中から選んだ10篇の歌を、音楽と舞踊で表現した今回の作品。衣装や映像、照明とそれぞれが鮮やかな色彩美を見せ、音楽面でもフラメンコの音楽に和楽器が加わることで音色の豊かさがより一層深まった。日本の古典作品をスペイン舞踊という異国の伝統芸能で表現するという挑戦に再び取り組み、日本の美とスペインの美を丁寧に紡ぎ合わせて生まれたこの芸術的な作品は、多くの人々に感動を与え、その記憶に深く刻まれたことだろう。 【プログラム】 序章 1.Melancolía〈憂い〉 2.Pasión〈情熱〉 3.Brisa〈そよ風〉 4.Destino〈宿命〉 5.Firmamento〈天空〉 6.Lamento〈嘆き〉ティエント 7.Lirismo〈叙情〉セラーナ 8.Soledad〈孤独〉ファルーカ 9.Gloria〈荘厳〉アレグリアス 終章 【出演】 石井智子 特別ゲスト:藤間蘭黄(日本舞踊家) 石井智子スペイン舞踊団 松本美緒、小木曽衣里子、清水真由美、福田慶子、杉浦桃子、樋口万希子、岡田美恵子、梅澤美緒子、藤丸莉沙、森友美、早川幸、鏑木優子、栁沼芽以 外部出演:吉田芽生、新田晶野、新田恵野 藤原定家役:光澤雄弘(寶林寺) ギター:鈴木淳弘、菅沼聖隆 カンテ:川島桂子、井上泉 バイオリン:三木重人 チェロ:海野幹雄 パーカッション:朱雀はるな 二十五絃箏:佐藤亜美、吉葉景子、櫻井珠鈴美、金子展寛 尺八:佐藤亜美、佐藤將山 和太鼓:批魅鼓 (喜多村純子、須永彩未、森奈那子、佐藤美心、藤井陽向、山碕浩晶) 書・墨象作家:桃果 =====

  • 【news】La Negra ~ある烏の孤独~

    【田村陽子とFlamenco 30周年記念公演 vol.2 】 (sábado, 21 de marzo 2026)   フラメンコ舞踊家、田村陽子さんが活動30周年を記念する公演の第2弾が来る5月に開催されます。 昨年11月に東京・新宿のフラメンコレストラン、ガルロチで行われたvol.1公演に続き、今回はオリジナルストーリーによる劇場作品を上演。長年の舞踊パートナーであるヘスス・オルテガをはじめ信頼を寄せるアーティストらをスペインから招き、また共演にアルテイソレラ舞踊団の工藤朋子さんを迎えます。 フラメンコの伝統とモダンが融合する、田村さんのこれまでの感謝の気持ちが込められた舞台作品をぜひ劇場でお楽しみください。 [あらすじ] 忌み嫌われる孤独な烏(からす)。 自由の象徴である白鳥にも拒まれる。 そんな烏を自分の世界へ引き込もうとする死神。 ある朝、美しく咲き誇る薔薇と出会う。 烏を唯一受け入れてくれる薔薇と友情を育むがやがて薔薇は枯れる。 再び孤独に苛まれる烏に死神が忍びより… [日時] 2026 年 5 月 24 日(日)  17:30 開場/ 18:00 開演 [場所] セシオン杉並ホール(東京) https://www.sesion-suginami.jp/access [チケット] S 席 11,000 円 A 席 9,000 円 ◎ チケット予約フォームはこちらから [出演] ◼︎Baile 踊り  烏:田村陽子  死神:ヘスス・オルテガ  白鳥:クリスティアン・ペレス  薔薇:工藤朋子 ◼︎Cante 唄  エル・プラテアオ  マヌエル・パハレス ◼︎Guitarra ギター  ミゲル・イグレシアス ◼︎Violín バイオリン  平松加奈 ◼︎Percusiónパーカッション  大儀見元 ◼︎Tongue Drumタングドラム  朱雀はるな [後援] スペイン大使館 公益財団法人 スペイン舞踊振興 MARUWA財団 一般社団法人 日本フラメンコ協会 インスティトゥト・セルバンテス東京 一般社団法人 現代舞踊協会 [問] la.fuente.stage@gmail.com =====

  • ArtistaЯ ~表現者☆~ ep.27

    ep.27 鬼頭幸穂  Yukiho Kito (lunes, 16 de marzo 2026) 写真家・大森有起が、今を輝くフラメンコ・アーティストたちの真の姿を写す 幸穂ちゃんが過去にフィギュアスケートをやっていたことは周知の通り。 競技として筋力強化、柔軟性、バレエの身のこなし等を習得、小柄な体型は体軸安定に有利とされています。 素人目に彼女は適格な気がしますが「二回転ジャンプ全部跳べるようになったらやめるって言って、ダブルアクセル跳んだらあっさり辞めました」とのこと。 以前、オリンピック代表最終選考会に高校の後輩(本田武史くん)の招きで観戦に行きました。 有能な選手が重圧の中で限界に挑戦し続ける姿に心から敬服。 全身で音楽を表現し、様々な要素が求められる大変な競技です。 氷上を滑るブレード音、ジャンプのエッジ音、着氷の重音...リアルな"音"にも驚きました。 フラメンコはスポーツではありませんが演者として必要な要点は多々あります。 幸穂ちゃんの体幹は常に安定しており、踊りのポテンシャルも非常に高い。 フォギュアスケートで培った身体操作+加藤おりは先生の学びで身に付けたフラメンコ。 幼少からの経験が一本の線でリンクしているように思います。 ©Yuki Omori 「踊ることと表現することの違い」 私にとって ”踊ることは表現すること” ”表現することは踊ること” そういえばこの2つをあまり分けて考えてこなかったことに気付きました。 ただ考えてみるとそれぞれを磨くために重ねる努力は、違うことに気付きました。 私にとって『踊ること』とは、音楽やリズムの上に自分の身体を乗せていくような感覚です。 フラメンコのコンパスを知りメロディを楽しみ、その中でリズムに乗り音に体を預ける。 自分が音楽の中で自由に泳げるように、身体のあらゆる関節の可動域を広げ、ブラソや上半身の美しく見えるポジションを研究し、様々なスピードや打ち方で足をコントロールできるように足技のテクニックを磨き、体幹を付けより俊敏に、よりダイナミックに回転できるように、日々の基礎練習が欠かせません。 自分の体を考え知り計算し、限界点と動きの精度を音楽と共に練り上げていく。 毎日欠かさない鍛錬によって成り立つものだと思います。 対して『表現する』ということは、何かの媒体を通じて普段言葉にできない思いや感情を伝えることなのではないかと思います。 私たちは、毎日様々な感情と向き合っています。 小さな喜び、抱えきれない悲しみ、抑圧された怒り、溢れんばかりの幸福。 そして観客はそれらの思いを音楽、舞踊、絵や作品を通して共感し、普段抑えている感情が溢れ出し感動します。 これは私の主観ですが、表現をする側は人一倍感受性豊かに繊細に一瞬一瞬の感情を大切にすることによって、表現を受け取る側により深く伝わるようになるのではないのかと思います。 だからこそ、表現者は沢山の芸術や人の想いに触れて、心が豊かな人間になる必要があるのだと思います。 その上で、私やフラメンコを踊る皆様にとって、どちらか片方が欠けてしまってもいけないものだと思います。 だからあまり分けて考えてこなかったのかもしれません。 どれだけ踊る技術があっても、そこに思いがなければただの運動。 思いがあっても、踊る技術が無ければ伝える術がないのと同じ。 「踊ることと表現すること」は、別の努力の仕方が必要ですが切っても切り離せない関係。 そのどちらも同じように大切にこれからも精進していきたいと思います。 =====

  • カンテフラメンコ奥の細道 on WEB no.58

    (miércoles, 11 de marzo 2026) 文/エンリケ坂井 Texto por Enrique Sakai Malagueña de Chacón まとめ編 続、チャコンの後半生  チャコンは1912年にマドリードへの移住を決心し、首都を本拠として活動する事にしました。 当時から1980年頃まではアンダルシアのアルティスタ達がこぞって仕事や名声を求めて首都に移動し、マドリードはまさにフラメンコの中心地という雰囲気があった時代でした。  そしてチャコンの名声が不動のものとなるにつれ、彼のアルテを愛する人達、マヌエル・センテーノ、ペペ・デ・ラ・マトローナ、ペリーコ・デル・ルナール…etc.といった人達も続々とマドリードにやってきたのです。  活動は多岐にわたり、劇場公演、フェスティバル、カフェ・カンタンテ、コルマーオでは「ガブリエーレス」後には「ビジャ・ロサ」などでのフエルガ、時には国王のレセプションに招かれて歌っています。  その評判は南米にも届き、1914年船でアルゼンチンに渡りブエノス・アイレスを始めモンテビデオなどで30以上の公演を行い大きな成功を収めました。  1922年にはグラナダのカンテ・ホンド・コンクールの審査員や客演、翌年にはウエルバの同様のコンクールにもゲストとして招かれ、マドリードのコンクールではバジェーホに「カンテの金の鍵」を渡しています。  どんな催し物でもチャコンはフラメンコの大看板として発展に尽くし、1929年1月21日にマドリードで没しました。   チャコンが録音した他のマラゲーニャなど    これまでチャコンの5種類のマラゲーニャを取り上げましたが、スタイル①には他に A dar gritos me ponía (叫ばずにはいられなかった)と De aquella campana triste (あの悲しい鐘の音)、②はひとつの歌詞のみ、③には Que te quise con locura (お前を熱愛した)、④は No me habías de conocer (知り合うべきではなかった)、そして⑤には同じ歌詞ですがニーニョ・デ・カブラ版があります。  さてチャコンが歌ったもので現在ではこれがチャコン作か、ガジャリート、又はカナリオかマヌエル・トーレか未だに不明のスタイルがあり、今回はそれを取り上げます。    【Letra】 (se me apareció la muerte,) Cuando intenté el〈olviarte〉 (a mí)se me apareció la muerte, como la〈vía〉amable yo volví de nuevo a quererte.   【訳】 あんたと別れようとしたら 死神が私の前に現われた、 しかし人生は優しかった、 再びあんたを愛することができたの。      このスタイルはぺイネスの全集でもモレンテの録音、その他の録音でも今までチャコンのスタイルとタイトルが付けられてきましたが、最近の研究で恐らくチャコンのスタイルではないという事が解ってきました。  何故チャコンのスタイルと信じられてきたのかは定かではありませんが、恐らくはチャコンに非常に近かったマヌエル・センテーノといった人達が歌っていたので、周りがこれをチャコンの作だと信じたのではないかと思われます。   【筆者プロフィール】 エンリケ坂井(ギタリスト/カンタオール) 1948年生まれ。1972年スペインに渡り多くの著名カンタオールと共演。帰国後カンテとパルマの会を主宰。チョコラーテらを招聘。著書『フラメンコを歌おう!』、CD『フラメンコの深い炎』、『グラン・クロニカ・デル・カンテ』vol.1~37(以下続刊)。2025年1月Círculo Flamenco de Madridから招かれ、ヘスス・メンデスと共演。   ※CD『グラン・クロニカ・デル・カンテ』シリーズを購入ご希望の場合は、 アクースティカ(https://acustica-shop.jp/) へお問い合わせください。(編集部)   ======

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