タマラ・ラボ代表 タマラ
(viernes, 10 de mayo 2024)
フラメンコをテーマにした動画をインターネット上で一般公開し、全ての視聴者の投票でその成果を競うコンテストとして開催された、第4回フラメンコWebフェスティバルの各賞が発表されました。
最優秀賞を受賞したタマラ・ラボの代表、タマラさんに受賞の喜びや作品作りの舞台裏など、お話を伺いました。
【第4回フラメンコWebフェスティバル最優秀賞】
エントリーNo.5
出演者:タマラ・ラボ
動画タイトル:Violín Siguiriya ~バイオリンのシギリージャ~
曲名:モリアーティのテーマ「シャーロックホームズ」オリジナルサウンドトラックより(作曲:平松加奈)
撮影/編集:「写真はエステ」
*カサアルティスタ賞も同時受賞
主催/Flamenco2030フラメンコWebフェスティバル実行委員会
聞き手/金子功子
Entrevista por Noriko Kaneko
――この度は第4回フラメンコWebフェスティバル最優秀賞受賞おめでとうございます。
今の率直なお気持ちを聞かせていただけますか。
タマラ:最高の賞をいただけて、とてもうれしいです。今回はバイオリニストの平松加奈さんの素敵な曲をお借りしたので、やはりある程度の結果は出したいと思っていました。作品はもちろん頑張って作りましたが、審査は投票制なので結果については受け身で待つしかありませんでした。だからこのような結果をいただけて、参加したみんなも喜んでいたし、加奈さんにも良い報告ができました。撮影についても、第2回Webフェスティバルでも撮っていただいた「写真はエステ」さんに今回もお願いしましたので、写真を担当してくださったMiCHiCOさんと、動画撮影と編集を担当してくださった利根川健一さんにも良い報告ができてうれしいです。
――平松さんの曲を採用した理由について、初めてこの曲を聞いたときから「この曲を踊りたい!」というアイデアが芽生えていたと聞きました。
タマラ:2021年にクラシックバレエの富永典子先生が企画されたバレエ&フラメンコの舞台公演が東京の大井町きゅりあんホールでありまして、そこでこの曲が使われていました。当時はバレエダンサーだけで踊っていたんですが、その曲がすごくかっこいいと思って。公演が終わってから加奈さんにこの曲で踊りたいのですがとお願いしたところ、実は原曲があって、それをこの公演用にシンプルにアレンジしたものだと教えていただきました。使用許可はいただけたので、さっそく原曲のNHK人形劇「シャーロックホームズ」のサントラ盤を買いました。じっくり聞いてみると繰り返しの部分が多くて、これはソロで踊るよりも群舞の方が合うかも、と思いました。それにせっかく憧れの曲で踊るのなら、生の舞台で一回きりよりも作品として残したいと思って、それならWebフェスでやろう、と決めました。原曲の長さも3分20秒くらいなので、ちょうどよい感じでした。
――今回は参加メンバーが合計14人と、なかなか大人数での群舞でした。
タマラ:最初にメンバーを決める時に、これをやるなら普段のクラス以外の時間がかなり必要になるだろうから、本人のやる気を大事にしたいと思って立候補制にしました。そうしたらうれしいことに、これだけ多くの生徒さんが手を挙げてくれました。皆さんそれぞれ違う場所(自由が丘と東新宿)と違う時間帯でクラスを受けていますから、合同で練習する時間もそんなには取れないので、クラスの中で作品用の時間を少しずつ取り入れて、少しずつ振付を進めていきました。準備期間は3~4か月くらいで、全体練習も2回しかできませんでしたが、みんなあの曲をかっこいいと思ってくれていて、それで踊れることを楽しんでくれました。
――準備していて大変だったことや、想定外のハプニングはありましたか。
タマラ:一番大変だったのは、実はスタジオ探しや撮影場所探しでしたね。本当は黒いイメージの空間でやりたかったのですが、背景が黒くて広さのある部屋というのがなかなか見つからなくて。黒くていい感じでも、広さが足りないとか……。14人が踊って、しかもその全体をカメラで映すとなると、かなりの広さの空間が必要なんですね。だから最終的には広さ重視で、恵比寿にあるリノリウムを敷いたバレエスタジオを借りました。そこは壁が1面以外白で、床もグレーだったので、照明を工夫してどうにか黒に近いイメージを演出しました。これは「写真はエステ」さんにご尽力頂き、とても感謝しています。
――衣装も統一感があって素敵でしたが、人数が多いから大変ではなかったですか。
タマラ:ベスト着用が5人いましたが、それは教室で持っていた発表会用の衣装で揃えました。下に着ているものもダーク系の私物の衣装や私服などで統一感が出せたと思います。初級の生徒さんには黒ファルダとキャミソールと、あとシースルーのトップスは生徒さんが探してきてくれたものをまずひとり試しに買ってもらって、それが良かったのでみんなで揃えました。それとピアスは全員お揃いにして。衣装はスムーズに決まりましたね。
――今回は動画作品という事で、カメラワークや編集のクオリティも見どころのひとつでした。
タマラ:撮影前に打ち合わせをした時に、動画の撮影・編集の担当の方が前もって曲をかなり聞き込んでいてくれたので、いろいろ細やかに提案をしてくれました。バイオリンでメロディーではない特殊な音を出す演奏の部分をどう表現しようかというときに、撮影の人がマントンを使って踊ることを提案してくれて、結果的にいい演出になりました。
撮影当日はすべてお任せしましたが、編集の構成は私が考えました。全体の構成を魅せつつも一人一人をクローズアップできるようにしたいと思って、細かすぎず動きのつながりなど大きな流れを見せるようにしました。また床がリノリウムだったこともあり、音響面では現場の音だけでは弱かったので、足音やパルマの音はスタジオで別取りをしました。
実際に映像を作ると、納得いく作品を作るのは相当難しいですね。自分のイメージがしっかりしていることが必要だと痛感しました。難しい作業ではあったけれどひとつの作品として形に残るので、できあがった喜びは大きいです。
――最優秀賞を受賞して、メンバーの皆さんの反応はどうでしたか。
タマラ:撮影は10月末で発表は2月と、3か月もたっていたんですが、うれしい報告にみんな喜んでくれていました。撮影当日は集中力を切らさずに休憩無しで長時間撮影していたので、そのまま打ち上げもせずに現地解散でした。みんな楽しんだかなぁとちょっと心配だったんですが、後日生徒さんたちから「撮影楽しかったです」とメールが来てうれしかったです。今回はメンバーの大半が練習生でしたが、みんなよく覚えてきてくれました。途中で振りの変更もありましたが、それにもついてきてくれて、頑張ってくれたと思います。
――次回作のテーマはありますか。
タマラ:例えばこういう曲を映像にしたいな、というアイデアはありますが、作品としてはまだ具体的にはこれからですね。また映像作品ではないですが5月18日に東京・中目黒で、前回の第3回フラメンコWebフェスティバル最優秀賞受賞記念としてライブを予定しています。その時に出演したルナ・クレシエンテ(*Luna Cresiente/武田泉・タマラ・鶴幸子の3名によるユニット)としては4回目のライブで、今回は集大成として今まで踊った曲の中から選曲してプログラムを組んでいます。新曲も1曲予定しています。みんなそれぞれ忙しいですが、合わせ物もあるので今年に入ってからは週1回のペースで集まって準備をしています。思い出し作業から練習まで、こまめに集まるとかなり進捗が違いますね。新曲はパリージョでやりますので、もしご興味がありましたらぜひ観に来てください!
[受賞作品]
【プロフィール】
タマラ(Tamara)/フラメンコダンサー、神奈川県横浜市出身。幼少の頃よりモダンバレエ、クラシックピアノを学び、音楽と舞踊に親しむ。 大学在学中には競技ダンス(ラテンダンス)を二ッ森亨氏、由美氏に師事。その後フラメンコに出会い、日本、スペインで数々の著名なアーティストの指導を受ける。
2017年日本フラメンコ協会第26回新人公演バイレソロ部門にて奨励賞受賞
2018年タマラフラメンコラボ始動
【フラメンコWebフェスティバルとは】
フラメンコWebフェスティバルとは、フラメンコをテーマにした動画をWebに一般公開し、全ての視聴者の投票で成果を競うコンテストです。
作品のテーマは自由ですが「フラメンコの要素(フラメンコのリズムやテクニック)」が動画内にあり、未発表の動画であれば、どんな動画でもOK。スマホ一発取りの動画でも、編集をいっぱいされた動画でも、過去に撮った自信作の動画でも、参加・エントリー可能です。
フラメンコを知らない人にフラメンコの素晴らしさを知ってもらう。フラメンコを生業としている人に元気になってもらう。受賞者にはプロフィールの経歴に自信をもって記載していただける。日本のフラメンコ界がもっと元気になってもらえるよう、全てボランティア運営にて開催するフェスティバルです。
(*公式ページより引用)
【フラメンコ2030 公式サイト】
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