『森で出合ったおかしな話』
(domingo, 29 de septiembre 2024)
2024年4月20日(土)・21日(日)
スタジオ・グランビア(東京・日本橋)
写真提供/石井智子スペイン舞踊団事務局
文/金子功子
Texto por Noriko Kaneko
フラメンコの技術や音楽を使って現代演劇を演じたら、どのような作品が生まれるのか――。そんな実験的な舞台作品が2日間にわたり上演された。
原作、脚本、演出は現代演劇の分野で活躍する加藤直が担当し、その物語を石井をはじめいつも舞台で共演する南風野、井上、福島と舞踊団メンバーとで、踊りに台詞に演技にと、文字通り体当たりで挑む。
ストーリーは、ある日とある森に打ち捨てられた1脚の椅子を見つけたことで、木や花や実やいきものたちが思い思いの意見を語り合い、表現するというもの。時には相手に共感したり時には反発したりと、同じ森に生きる仲間たちの意見はさまざま。
そんな森の住人たち(本当は動物や植物なのだが、あえて住人と呼ばせていただく)の役を、踊りと演技で生き生きと表現するのだ。
すっかりそれぞれの役になり切った、出演者たちの表情がいい。台詞や全身で表現する演技も、その役柄の個性が自然に表れている。そして、その役を演じながら踊るソロや群舞は、不思議とどこか肉厚で豊かな輪郭を表現していた。
公演後には、演出家と出演者らによる「アフタートーク」も開催。稽古や本番を通して感じた事や身体表現の持つ可能性など、興味深いテーマについてそれぞれの意見が交わされた。
公演を観終わった後で、「できれば小学生の時に観たかったな」と思った。各出演者の生き生きとした姿がとても印象深く残り、大人でさえそう感じるのだから子どもだったらもっと深く心に刻まれたのではと思う。
演劇という表現方法をさらに体得したことで、フラメンコの舞踊表現にもいっそう奥行きや深みが増していくことだろう。
[作・演出]加藤 直
[出演]石井智子(イロハモミジ)
南風野香(イチイの木)
井上圭子(シャクナゲ)
中島朋子(オオカミ)
石井智子スペイン舞踊団:
松本美緒(ヒゲオババ)
小木曽衣里子(ブナの木)
清水真由美(ヤドリ木)
福田慶子(キリの木)
樋口万希子(スミレ)
角谷のどか(仔鹿)
藤丸莉沙(アナグマ)
藤浪典子(ガマガエル)
内海ゆかり(杏の木)
鏑木優子(杏の実)
◆声の出演:岩崎 滋
◆ギター:松本美緒
◎石井智子フラメンコスタジオ
>>>>>
Comments