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アーティスト名鑑vol.13

(miércoles, 17 de julio 2024)

 

スペイン在住30年以上、多数の一流フラメンコ・アーティストらとも親交のあるフラメンコ・ジャーナリスト志風恭子が、歌・踊り・ギターそれぞれの代表的アーティストらのプロフィールをピックアップ。過去の取材で撮影した写真や、チェックしておきたい動画などもご紹介します。

 

文/志風恭子

Texto por Kyoko Shikaze


 

Francisca Méndez Garrido

“Paquera de Jerez”

Jerez 20-5-1934 a 26-04-2004

 

パケーラ・デ・へレス

本名フランシスカ・メンデス・ガリード

1934年5月20日カディス県ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ生、2004年4月26日ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ没


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1995年マドリードのビジャロサで行われた映画『フラメンコ』打ち上げで歌う。うっとり聴いているマリオ・マジャの顔も見える ©︎ Kyoko Shikaze

 

圧倒的な声量と熱血鉄火肌なフラメンコ性で唯一無比な存在、パケーラ・デ・ヘレス。カルロス・サウラ監督映画『フラメンコ』のオープニングを飾ったあのブレリアは見た人全てに強い印象を残したことだろう。子供時代、内戦後の貧しい時期から歌って稼ぎ、50年代初めにSPレコードで初録音。マドリードのタブラオだけでなく歌謡曲風ブレリアで人気を博し、59年には自らの一座で全国公演するなど活躍。71年にコルドバのコンクールで優勝。2002年小松原庸子の招きで来日、その様子はドキュメンタリー映画『ポル・オリエンテ・サレ・エル・ソル』として記録されている。

 

【動画】

国営放送のフラメンコ番組でのパケーラ回。伴奏は日本公演にも同行したパリージャ・デ・ヘレス。

 

これはすごい。ベルナルダ、フェルナンダ、パケーラと三巨匠が揃い踏み。トリをとったパケーラの迫力。嬉しそうなフェルナンダの表情にも注目。1990年カナルスールのスペイン歌謡番組での一コマ。フェルナンダを含め、必見。


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1995年映画『フラメンコ』プレミアのためマドリードに向かう電車の中でフィエスタとなり歌う ©︎ Kyoko Shikaze


 

Antonio Montoya Flores

“Farruco”

Pozuelo de Alarcón18-4-1935 Sevilla 17-12-1997

 

ファルーコ

1935年4月18日マドリード県ポスエロ・デ・アラルコン生まれ 1997年12月17日セビージャ没

 

瞬発力名ギタリスト、ラモン・モントージャの血筋。早逝した息子ファルキート、娘たちファルーカとピラール、孫たち、ファルーカの息子ファルキート、ファルー、カルペータら、そしてその子供達へと、その舞踊のDNAは今に続く。マノロ・カラコールらの一座を経てピラール・ロペスやホセ・グレコ舞踊団へ。フラメンコだけでなく民族舞踊も踊ったという。後、マティルデ・コラル、ラファエル・エル・ネグロとロス・ボレーコスとして活躍。息子を亡くし一時舞台から退いていたが、復帰後は最愛の孫ファルキートと映画『フラメンコ』や各地のフェスティバルなどで共演するなどしていた。

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1992年セビージャ万博アンダルシア館のタブラオに家族で出演。©︎ Kyoko Shikaze

 

【動画】

おそらく80年代のビエナルの録画と思われる映像。抑えて抑えて瞬時に爆発するエネルギー。観客の絶妙なオレのタイミングにも唸らせられる。



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©︎ Kyoko Shikaze


 

Manuel Moreno Jímenez

“Manuel Morao”

22-7-1929 Jerez de la Frontera

 

マヌエル・モラオ

本名マヌエル・モレーノ・ヒメネス

1929年7月22日ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ生まれ

 

ハビエル・モリーナ門下。ニーニャ・デ・ロス・ペイネス、アントニオ・マイレーナをはじめ錚々たる歴史的名歌手たちに寄り添ってきた伴奏の名手。1953年からグラン・アントニオ舞踊団でも活躍。来日公演にも参加している。66年からヘレスで公演シリーズ、フエベス・フラメンコスを初め、多くの若手を世に送り出すなどプロデューサーとしての腕も確か。87年からはマヌエル・モラオとヒターノス・デ・ヘレスというカンパニーを結成し、『エサ・フォルマ・デ・ビビール』などの作品で世界各地を公演して回った。

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©︎ Kyoko Shikaze

 

【動画】

『リト・イ・へオグラフィア・デル・カンテ』のテレモート回。フェルナンドの熱唱に熱いギターで伴奏しています。このほかにもペルラ・デ・カディスやティア・アニカなどの回でも伴奏しています。 

 

2019年のインタビュー。しっかりとフラメンコとヒターノについての自論を語るところはとても90歳とは思えないほど。




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2003年ヘレスのフェスティバル記者会見会場にて、甥のモライート・チーコと。©︎ Kyoko Shikaze


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1988年ヘレスにて『エサ・フォルマ・デ・ビビール』公演のフィン・デ・フィエスタでひと踊り。ギターはニーニョ・ヘロとモライート。歌っているのはマヌエル・モネオ。子供はメルセデス・ルイス。©︎ Kyoko Shikaze

 

【筆者プロフィール】

志風恭子(Kyoko Shikaze)/1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。

 

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