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アーティスト名鑑 vol.25

  • norique
  • 7月21日
  • 読了時間: 4分

(lunes, 21 de julio 2025)

 

スペイン在住30年以上、多数の一流フラメンコ・アーティストらとも親交のあるフラメンコ・ジャーナリスト志風恭子が、歌・踊り・ギターそれぞれの代表的アーティストらのプロフィールをピックアップ。過去の取材で撮影した写真や、チェックしておきたい動画などもご紹介します。

 

文/志風恭子

Texto por Kyoko Shikaze

 

*名鑑登場アーティスト一覧はこちらから

 

Juan José Villar Jiménez

“Juan Villar”

Cádiz 9-12-1947

 

フアン・ビジャール

本名 フアン・ホセ・ビジャール・ヒメネス

1947年12月9日 カディス生まれ

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Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León 2024

カディスの旧市街ビーニャのフラメンコファミリーに生まれ育ち、子供の頃から舞台に立つ。若くしてマドリードに出て、ファルーコやエル・グイトらへの舞踊伴唱でタブラオや劇場の舞台で活躍。1973年には日本で非常に人気があった踊り手ホセ・ミゲル(荻野リサさんのお父様)とセラニートのグループでの公演で初来日。その後70年代後半から80年代前半にかけては、チケテテやパンセキートらとともに、パコ・セペーロらの伴奏でコアなフラメンコファン以外にも親しみやすいアルバムを多くリリースしたが、81年にはカディスに帰り、カディスの伝統の歌を中心にフェスティバルなどで活躍、そのフラメンコな響きは健在である。息子は歌い手、孫は踊り手とその血筋も未来へと続いている。


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©︎ Kyoko Shikaze

2009年10月カディスの彼のペーニャで平野さん公演後に平野さん、エンリケ坂井さんらと

 

【動画】

1992年のブレリア。伴奏はモライート・チーコというのも珍しい。


1996年のアレグリアス。伴奏はニーニョ・ヘロ。このコンビは長らく続いた。

 

2024年のビエナルでのタンゴ


Manuel Santiago Maya

“Manolete”

Granada 15-10-1945 12-9-2022

 

マノレーテ

本名 マヌエル・サンティアゴ・マヤ

1945年10月15日グラナダ生まれ、2022年9月12日同地で没


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正統派男性舞踊の巨匠。日本との縁も深いマノレーテ。兄はギタリストのフアン・マジャ“マローテ”、ぺぺ・マジャというグラナダのフラメンコの名門マヤ家の出身。7歳で洞窟の舞台に立ち、15歳でマドリードへ。タブラオやマヌエラ・バルガスらの舞踊団で活躍。またスペイン国立バレエ創立時にエル・グイトとともにソリストとして参加した。新宿『エル・フラメンコ』には1972年、78年、80年、89年と出演、また碇山奈々と共演を重ねるなどたびたび来日。マドリードのスタジオ、アモール・デ・ディオスでクラスも持ち、男性舞踊の規範そのもののような存在だった。晩年はグラナダに戻り、マノレーテ国際フラメンコ舞踊学校を開校。現在は娘フデアが受け継いでいる。


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2007年ロンダ闘牛場で ©︎ Kyoko Shikaze

【動画】

1991年のアレグリアス。歌はカンカニージャとトニ・マジャ。ギターはホセ・マジャとアントニオ・サフラ

 

1998年のファルーカ。ギターはホセ・マジャとフェリペ・マジャ。


2007年ヘレスのフェスティバル出演のルポ


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1997年へレスにて、ソルデーラと ©︎ Kyoko Shikaze

Diego Torres Amaya

“Diego de Morón”

18-4-1947

 

ディエゴ・デ・モロン

本名 ディエゴ・トーレス・アマジャ

1947年4月18日 セビージャ県モロン・デ・ラ・フロンテーラ生まれ

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©︎Javier Fergo Festival de Jerez

伯父である伝説的ギタリスト、ディエゴ・デル・ガストールの流派を受け継ぐ唯一無比、孤高のギタリスト。父は歌い手ホセレーロ。デビュー間も無くはディエギート・デル・ガストールという名でも知られた。父の伴奏で75年2枚のアルバムを録音。同じ頃ソロアルバムもリリース。94年に日本フラメンコ協会の招きで来日。その様子がライブCDとして98年に発売された。現代的な超絶技術とは一線を画す、心の奥底に届く、ある意味プリミティブなフラメンコの魅力に溢れている、一種神がかった演奏が特徴的。


1977年発表のソロアルバム
1977年発表のソロアルバム

【動画】

ギター弦のノブロック社による短いドキュメンタリー。2020年公開。「アートの中の感情は非常に強いから、人も強くなくちゃならない、そうじゃないと感情に殺されかねない」などと語っている。

 

1990年のブレリア。叔父ディエゴ・デル・ガストールの有名なファルセータやラテンのスタンダード「ソラメンテ・ウナ・ベス」などを挟みつつギターの中に入り込んだように演奏する。

 

2017年3月のブレリア。マドリード、シルクロ・フラメンコでの演奏。パルマを叩くのは甥の踊り手、ぺぺ・トーレス。


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日本でのライブ盤

【筆者プロフィール】

志風恭子(Kyoko Shikaze)/1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。

 

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