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- EL CARTERO スペイン旅行記 2016 /3
[期間]2016年2月14日~3月14日 (domingo, 12 de octubre 2025) 昨年2024年10月にこの世を去ったカンタオール、瀧本正信さん。 日本のフラメンコ界に本場のカンテの種をまき、強い信念と歯に衣着せぬ率直な物言いで周囲に大きな刺激を与え、何人もの後進を育て多大な功績を残しました。 約10年前に瀧本さんが教え子たちとともにスペインを巡った旅行記が、当時メンバーの一人として同行した、現在歌い手として活躍する金高荘子さんの手により記されていました。 現地で出会った様々な人たちとの、フラメンコへのアフィシオン(愛情)に溢れた交流の記録を、たくさんの写真とともにご紹介します。 【金高荘子さんより】 ここに綴る旅の記録には、今はもう会うことのできない大切な友人たちも登場します。 彼らを偲び、心からの感謝と祈りを込めて記します。 また、時の流れの中で、この記録に登場するお店のいくつかはすでに営業を終えています。 失われたものへの想いと共に、ここに残された記憶を紡ぎました。 当時の旅を歩む"El Cartero"こと瀧本正信氏の姿を思い浮かべながら読んでいただければ幸いです。 文・写真/金高荘子 Texto y fotos por Soko Kanetaka 【第3回】 ◆2月19日 14:00 バスに乗ってSevilllaへ。 ◆Postigoのギター店へ。 店にはライブスペースがあり、雑談をしているうちにPostigoとCarteroの即興が始まる。 Solea、Bulerias、 初めて聞くPostigoの伴奏に感動。 (追記)この時の動画が、瀧本さんのFacebookにアップされていました。 https://www.facebook.com/share/v/1AUTfNP3UU/ ◆Puente de Triana 友繁さんとマリアさんのライブを見に行くために、この素敵な場所でお二人と待ち合わせる。 唄の歌詞によく出てくるTrianaの美しい夜景…! そこから10分ほど歩いてライブ会場へ到着。 ライブの最後はCartero、ホセ(大西)、カネタカも参戦。 ◆ライブの後はペーニャPeña lo alto de la Fuenteへ。 マイクロバスでペーニャ会場へ向かう。 バスは高速をかなり走った後、少し山道を登って目的地に到着した。なんだか寂しいところに連れて来られた?と思ったが、建物の中に入ってみると人が溢れていて驚いた。 お客さんは全員スペイン人で、初めての雰囲気にみんなドキドキ。 Soleá、Tiento、Sevillanas、Bulerias、Taranta… お客さんの中から色んなアフィシオナードたちが出てきては唄う。 私達も全員エントリーさせてもらい、ペーニャは深夜2時をまわる頃まで続いた。 (* 第4回に続く ) ©近藤佳奈 【筆者プロフィール】 金高荘子(Soko Kanetaka) /幼少期から音楽に触れ、学生時代にはロックなどのバンド活動を通し音楽に親しむ。2002年にフラメンコと出会い、2010〜2024年に瀧本正信氏に師事。短期渡西を繰り返しながら現在も研鑽を重ねている。 =====
- 【news】南風野香スペイン舞踊団《僕の耳の中のシレーナ》
(sábado, 18 de octubre 2025) これまで数々のフラメンコ舞台作品を主催・出演し活躍する舞踊家、南風野 (はえの) 香さんが手掛ける劇場公演が11月に東京・すみだパークシアター倉で上演されます。 この作品はひとりの男性と人魚との恋を描いたファンタジーによるオリジナルストーリーで、ゲストダンサーとしてパブロ・セルバンテスさんと谷淑江さんが出演します。 音楽にはフラメンコの様々な舞台で活躍するミュージシャンが参加し、舞踊と音楽に加えて映像や美術による演出で幻想的な舞台作品が楽しめます。 『フラメンコが紡ぐ人魚伝説。波間に揺れる幻想と恋。』 東京の夜、男の耳に響くのは人魚の唄声。 そこから、時空を越える旅が始まる──。 本作《僕の耳の中のシレーナ》の大きな見どころは、バタ・デ・コーラとマントンを駆使し、人魚のイメージを舞台に立ち上げていくことにあります。 さらに、スペイン国立舞踊団指導教師マリベル・ガジャルドによるクラシコの振付が、作品に一層の深みを与えます。 フラメンコの根源である「唄」を軸に、多彩なジャンルの曲が織り込まれることで、男と人魚の物語は鮮やかに広がっていきます。 幻想的な世界を生み出すのは、衣裳やメイク、映像マッピング、照明が一体となって描き出す総合芸術としての力です。 観る者は、幻想の海を漂いながら、スペイン舞踊の未来を心に描くことでしょう。 (美術・総合アートディレクター彼末詩郎さん) 南風野香スペイン舞踊団 《僕の耳の中のシレーナ 人魚×フラメンコ》 【日時】 2025年11月8日(土)18:30開演 2025年11月9日(日)17:00開演 *開場は開演30分前より 【場所】すみだパークシアター倉 (東京都墨田区横川1-1-10) 【出演】 南風野 香(演出・構成・振付・衣装) パブロ・セルバンテス(ゲスト出演、バイレ) 谷 淑江(ゲスト出演、バイレ) 南風野香スペイン舞踊団 鶴川奈津子 河田 麗 相澤喜代美 菊池ゆき 玉塚映里加 橋梅希代子 原 琴江 遠藤佳子 藤田奈津美 ニーニョ・カガオ(カンテ) 井上 泉(カンテ) 鈴木淳弘(ギター) 菅沼聖隆(ギター) 平松加奈(バイオリン) 朱雀はるな(パーカッション) 【公演チケット】全席指定10,000円(税込) *オンライン配信:11月16日(日) 4,400円(税込) 【予約・問】 スタジオスィー 南風野香フラメンコスタジオ URL: www.studio-si.com Email: coloridomail@ybb.ne.jp =====
- Punto84《道程 そして、ここから。》
*スペイン舞踊振興MARUWA財団 令和7年度助成事業 (lunes, 13 de octubre 2025) 2025年8月7日(木) セシオン杉並(東京) 写真/大森有起 Fotos por Yuki Omori 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko 1984年、昭和59年生まれ。同い年の二人のフラメンコダンサーによる劇場公演が開催された。 互いに違う環境の中でフラメンコと出会い、ともにそれぞれの舞踊団に所属する中で、フラメンコとスペイン舞踊の技術と表現力を磨いてきた。 フラメンコ歴は20年以上という中堅世代だが、主催公演は実は今回が初めて。とはいえ作品の構成や出来栄えは、とても初作品とは思えないほどの秀逸さだ。 始まりはピアノのメロディーから始まるナナ。薄桃色のベールに包まれて踊る二人。 その動きはコンテンポラリーのようでもあり、これから新しい命が誕生するかのような躍動感に満ちている。 そこから姿を現すヴォダルツのグアヒーラ。伸びやかな身体使いで、幼少の頃から舞踊や舞台に親しんできたという自身の原風景を表現。純粋に踊ることを楽しんでいるようなその表情には、少女の面影が重なる。 松田のソロは故郷である山形の有名な民謡、花笠音頭とフラメンコのコラボレーション。衣装は着物をまとい、花笠を小物として使った踊りも実にうまい。三味線奏者の浅野が弾き語りで歌う民謡にギターが加わり、音楽も12拍子のリズムにアレンジされ、フラメンコの舞踊技術を取り入れた民謡の踊りは松田の素晴らしいオリジナリティだ。 赤い衣装にパリージョを使って披露するパレハはダンス・エスティリサーダ。森川の中世フィドルの演奏に合わせてよく揃ったパリージョの音色を奏で、フォーメーションの展開もバリエーションに富んで楽しい。パレハの魅力たっぷりの一曲だ。 ピアノと津軽三味線のコンチェルトによる「里桜」は浅野のオリジナル曲。懐かしいような温かみのあるメロディーと、後半のドラマティックな演奏に思わず引き込まれる。 ペテネーラでのパレハは、互いに惹かれ合いながらもすれ違う関係性を表現。人間の内面的な世界観を、身体を使う舞踊で表現する技術は流石の一言。 ヴォダルツのシギリージャは気迫あふれる渾身の踊りを披露。一心不乱に全力で踊り切った姿が印象に残った。 続いて松田のティエント。美しい姿勢と、力強さの中にふと見える柔らかさに踊り手としての成熟ぶりが伺える。カンテ二人との掛け合いで踊る姿も実に楽しそうだった。 ミュージシャンのソロは、この公演に欠かせないメンバーとして参加した徳永兄弟のオリジナル曲を特別編成で披露。バイオリンと津軽三味線とともに、この日限りの四重奏を会場に響かせた。 最後は二人が得意とするバタマントンによるアレグリアス。爽やかな青のグラデーションに彩られた衣装が美しい。同志としての仲の良さと信頼が伝わってくるような、観ていて気持ちの良い舞台だった。 今回のプログラムにはvol.1という文字が記されていた。ということは、これから第2弾へと続いていくのでは、という期待も芽生える。もし実現するなら、それもまた二人が歩み続けていく道程となるだろう。 (追記)この公演の 配信視聴が現在公開中 だ( *配信チケット購入は10月26日まで )。 現地で鑑賞した人も行けなかった人も、この作品の素晴らしい瞬間の数々を味わってほしい。 【プログラム】 1.「Nana」 2.~母娘の想い~「Guajira」 3.~山形への想い~「ふるさと讃歌」 4.「Folias」ダンサ・エスティリサーダ 5.「里桜」 6.「Petenera」 7.「Siguiriya」 8.「Tientos」 9.「Viajero del Alma ~魂の旅人~」 10.「Alegrías」 【出演】 バイレ:ヴォダルツ・クララ バイレ:松田知也(小島章司フラメンコ舞踊団) ギター:徳永健太郎 ギター:徳永康次郎 バイオリン・中世フィドル・ピアノ:森川拓哉 津軽三味線:浅野祥 カンテ:有田圭輔 カンテ:中里眞央(アルテ イ ソレラ所属) =====
- ArtistaЯ ~表現者☆~ ep.22
ep.22 野村眞里子 Mariko Nomura (jueves, 16 de octubre 2025) 写真家・大森有起が、今を輝くフラメンコ・アーティストたちの真の姿を写す 2026年に設立15年を迎えるエルスール財団。 ”未来のために”と掲げ、文化芸術を創作し続けています。 野村さんの事績は実に多岐に渡りますが、 財団の一事業として毎年新人賞を顕彰し、後に育成を伴う劇場公演があります。 主催・作・演出(出演)と、プロセスには歳月がかかり一朝一夕に出来ることではありません。 現在ロルカフェスティバルを開催中ですが、来年3月にスペイン公演、8月は都内で劇場公演を控えてます。 進取果敢、その熱意はどこから湧いてくるのか。 野村さんにお聞きしてみました。 ©Yuki Omori 「フラメンコへ注ぐその『源』とは?」 両親が習い事をさせてくれなかったので、私がフラメンコを始めたのは大人になってから。 でも、仕事と学業の両立がハードだった時期で、長続きしませんでした。 そんな私が再開したのは、30歳の時のこと。 小島章司フラメンコ舞踊団の公演『カディスの女 vol.2』を観て、創作フラメンコの世界に魅せられたのでした。 猛練習の甲斐あって、念願の『カディスの女 vol.3』に出演。 タブラオやイベント出演ができるようになると、当時のフラメンコの環境がひどいことに気づきました。 カンテがないのはあたりまえ、大理石やカーペットの上で踊る…など。 そこで私は「フラメンコの仕事環境を変えること」を目指して、 1988年にアトリエ・エルスールを作り、コンサートやフェスティバルの主催を始めました。 2010年の大怪我、2011年の東日本大震災後には、さらに公益性の高いエルスール財団を設立。 日本の「詩」「ダンス」「フラメンコ」の未来を担うアーティストを支えてゆきたいと思っています。 =====
- EL CARTERO スペイン旅行記 2016 /2
[期間]2016年2月14日~3月14日 (domingo, 5 de octubre 2025) 昨年2024年10月にこの世を去ったカンタオール、瀧本正信さん。 日本のフラメンコ界に本場のカンテの種をまき、強い信念と歯に衣着せぬ率直な物言いで周囲に大きな刺激を与え、何人もの後進を育て多大な功績を残しました。 約10年前に瀧本さんが教え子たちとともにスペインを巡った旅行記が、当時メンバーの一人として同行した、現在歌い手として活躍する金高荘子さんの手により記されていました。 現地で出会った様々な人たちとの、フラメンコへのアフィシオン(愛情)に溢れた交流の記録を、たくさんの写真とともにご紹介します。 【金高荘子さんより】 ここに綴る旅の記録には、今はもう会うことのできない大切な友人たちも登場します。 彼らを偲び、心からの感謝と祈りを込めて記します。 また、時の流れの中で、この記録に登場するお店のいくつかはすでに営業を終えています。 失われたものへの想いと共に、ここに残された記憶を紡ぎました。 当時の旅を歩む"El Cartero"こと瀧本正信氏の姿を思い浮かべながら読んでいただければ幸いです。 文・写真/金高荘子 Texto y fotos por Soko Kanetaka 【第2回】 ◆2月17日 9:00 am 日本では夜行性(?)のCarteroだが、スペインではなぜか早起き。 まだ時差ボケか? 在りし日のCamaronが マドリードでデビューしたというタブラオ "Torres Bermejas" の前を通る。 表に貼ってあるポスターによるとちょっとお値段高めだな…、今回はお店を眺めるだけで良いことにする。 Camaronに思いを馳せながらTorres Bermejasのすぐそばにある広場でひとときを過ごす。 ◆SOFIA美術館 4階から順に降りることにしたが、 広過ぎて2階の本命ゲルニカに辿り着く頃には みんな疲れ果てていた…。 が、ゲルニカを目の前にしたらその迫力に疲れもどこかに行ってしまった。 Carteroは、ン十年前の若かりし頃に一度見たらしい。 「今回はその時と印象が全然違うな~」と言って感動していた。 (ちょっとオトナになったってことですかね) 美術館のすぐ近くのレストランでみんなで食事ができた。 マドリードの美しい街並みを楽しみながら、アトーチャ通りのゆるやかな登り坂をホテルまでゆっくり歩いて帰る。 ◆2月17日 Tablao Flamenco Villa Rosa 一度は行ってみたかったタブラオへ。観光客の多いお店。 唄、ギター、踊り、華やかで賑やかで、さすがスペインだな~!と楽しんだのだけれど、私達が見たかったものとはちょっと雰囲気が違っていた。 Enrique Pantojaがぼやいていた「プーロなフラメンコは最近はもう誰もやらない」って、こういう事なのかもな。これはこれで楽しいけれど。 お食事付でお値段高め。食事は美味しかったが、パエジャがいまいち…。 びちゃびちゃのバエジャにクレームをつけるCarteroとホセ(大西)。 作り直してもらったけれど、やっぱり美味しくなかったらしい。 それでも、みんなで行けたことは嬉しく楽しい夜だった。 ◆2月18日 JEREZへ! アトーチャ駅のCAFÉで昼食。 Atocha駅からRenfeに乗って憧れの地、JEREZへ向かう。 Renfeに乗り込んだら荷物置き場は既に他のお客さんの荷物でいっぱいになっていた。私たちの荷物が置けない。 詰めれば乗るかなぁ? 巨大スーツケース達を置くためみんなで協力して荷物の積み替えテトリスに挑む。 同じ車両の乗客はみんな心配そうにその様子を伺っていたが、最後の荷物が収まった瞬間その車両の全員が拍手喝采。スペインっていい国だ~と思った。 ◆駅からタクシーに乗り、ピソに到着。荷物を置いて散策に出る。 夜のJerezは街燈の色が心地よい。全員で中心街へ。 歩いているとどこからともなくFlamencoが聞こえてくる! 28日にCarteroがライブをする予定の Tabanco Pasaje へ行ってみると、Jose MendezとJuan Moneoのライブが行われていた。 すごい唄に圧倒される。 ライブが終わるとCarteroは、Jose Mendezに声をかけ再会をよろこび合う。 そしてまたそこでフラメンコが始まる。 残っていたお客さん達大喜び。 私達はもっと大喜び。 Ana Maria Lopezが唄ったBuleríaにも感動。 Jose Mendezはギターも上手だった。 みんな何でもできるんだなぁ。 ギターはCartero。 Ana Maria Lopez が唄い、ホセ(大西)が踊る。 https://youtu.be/zA1vZOqT4QQ ピソに帰り、Carteroがみんなにラーメンを作ってくれた。 日本から持ってきてくれたチャルメラ醤油味かきたま入り。美味しかった。 (* 第3回に続く ) ©近藤佳奈 【筆者プロフィール】 金高荘子(Soko Kanetaka) /幼少期から音楽に触れ、学生時代にはロックなどのバンド活動を通し音楽に親しむ。2002年にフラメンコと出会い、2010〜2024年に瀧本正信氏に師事。短期渡西を繰り返しながら現在も研鑽を重ねている。 =====
- カンテフラメンコ奥の細道 on WEB no.53
(sábado, 11 de octubre 2025) 文/エンリケ坂井 Texto por Enrique Sakai Malagueña de Chacón ① エル・メジーソ、ラ・トゥリニと並んでよく歌われるのがチャコンのマラゲーニャですが、今回からその数々のスタイルを取り上げます。 Antonio Chacón García (アントニオ・チャコン・ガルシーア)は1869年ヘレス・デ・ラ・フロンテーラに生まれ1929年マドリーで亡くなった、「カンテの皇帝」と呼ばれ“ドン”の敬称を付けられた大カンタオールです。 ヘレスのもう一人の歴史に残る大物、マヌエル・トーレとよく比べられますが、片やカンテ・ヒターノ、片やカンテ・アンダルーの名人としてそのレパートリーも正反対にいる二人の名人と言えるでしょう。 マヌエル・トーレは理屈抜きに人間の根元にある野性や悲しみ、遥か昔からの遺伝子に残る懐かしい記憶、恐れなどの様々な感情を我々の心の中から想い起こさせてくれます。 まさにヒターノ達が持っている声の響き、その発声による色合い、人間性によって深い悲哀を表現できる稀な人なのです。 一方でチャコンはハイテノールと言える高い声、完璧な技術、その非凡な音楽性と創作力でカンテの世界をよりいっそう豊かなものに創り上げた歌い手で、その功績は計り知れない程大きなものです。 カラコレス、ミラブラーなどのカンティーニャ類、マラゲーニャ、グラナイーナ、そしてカンテ・デ・レバンテなどなど…、今も受け継がれる多くのスタイルにチャコンの名が冠されています。 私の考えではマヌエル・トーレは現代人にも解り易い、つまり野性の香りや渋み、深みは我々東洋人が伝統的に持っている、あるいは持っていた美の精神を思い出させてくれストレートに感じる事ができますが、チャコンはなかなか難しいのではないでしょうか。 それをうまく書き表すだけの文章力を私は持ち合わせていませんが、次回私がチャコンに目覚めたきっかけを書いてみます。 ではまずそのスタイル①の歌詞を。 【Letra】 (que tienes por mi persona …) ¿ A qué niegas el delirio que tienes por mi persona ? le das martirio a tu cuerpo y tú te estás matando sola y yo pasando tormento. 【訳 】 (俺に夢中だということを…) 俺に夢中だということを どうしてお前は否定するんだ? お前は自分を苦しめながら 独りで自分を殺していく、 俺も辛い思いをしてるんだ。 チャコンは蠟管(ろうかん)の時代からこのマラゲーニャを何回も録音しています。始めの録音から聴いてみると、この1913年の録音がほぼ完成しているので採用しました。※の~部分は採譜し難いメリスマなので、歌う人の自由に任せます。 【筆者プロフィール】 エンリケ坂井(ギタリスト/カンタオール) 1948年生まれ。1972年スペインに渡り多くの著名カンタオールと共演。帰国後カンテとパルマの会を主宰。チョコラーテらを招聘。著書『フラメンコを歌おう!』、CD『フラメンコの深い炎』、『グラン・クロニカ・デル・カンテ』vol.1~36(以下続刊)。2025年1月Círculo Flamenco de Madridから招かれ、ヘスス・メンデスと共演。 ※CD『グラン・クロニカ・デル・カンテ』シリーズを購入ご希望の場合は、 アクースティカ(https://acustica-shop.jp/) へお問い合わせください。(編集部) ======
- 【news】小島章司《Flamenconauta -フラメンコナウタ-》
(miércoles, 8 de octubre 2025) 日本を代表するフラメンコ舞踊家の一人で文化功労者の小島章司さんが2018年のフェスティバル・デ・ヘレスで上演した《Flamenconauta -フラメンコナウタ-》が、この10月に東京・銀座ブロッサムで上演されます。 この作品の初演時は、スペインを含めた12ヶ国(メキシコ、チリ、アルゼンチン、ブラジル、ロシア、中国、台湾、日本、オランダ、フランス、カナダ、スペイン)の舞踊家による『フラメンコナウタス(Flamenconautas)舞踊団』が結成され、小島さんは同団の特別協力者兼招待アーティストとして参加。 今回の公演では当時のメンバーの招聘に加えて、日本で活躍する次世代のアーティストも参加するという特別編成での上演となります。 世界の融和とフラメンコの融和が平和につながる事を祈念し舞踊・創作活動を続ける、小島さんの深い想いが込められた舞台が期待されます。 《Flamenconauta -フラメンコナウタ-》 小島章司 FLAMENCO 2025 日時:2025年10月30日(木) 開場 17:30 / 開演 18:00 場所:銀座ブロッサム中央会館 (東京都中央区銀座2-15-6) 出演: 小島章司[バイレ] チクエロ[ギター] カレン・ルゴ[バイレ] ミゲル 'エル・ラビ’[カンテ] ホアキン・ゴメス 'エル・ドゥエンデ'[カンテ]、 アルバ・アロ[チェロ]、 ハコボ・サンチェス[パーカッション] 客演: 小谷野宏司[バイレ] Farolito(出水宏輝)[バイレ] 小島章司フラメンコ舞踊団: 柳谷歩美 松田知也 山形志穂 鳥坂麗 チケット:全席指定 S席 15,000円 A席 10,000円 チケット購入・問合せ: 小島章司公演事務局 Tel. 03-3498-0923/Fax. 03-3498-5442 E-mail: kojima@shojikojima.com 【参照URL】 https://www.shojikojima.com/ja/news/flamenconauta.shtml =====
- 鈴木舞 鈴木千琴 "hermanas" en GARLOCHÍ
(martes, 7 de octubre 2025) 2024年12月15日(日) Show レストラン ガルロチ(東京・新宿) 写真/フォトチョイス Fotos por Photo Choice 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko フラメンコ舞踊家である母、曽我辺靖子のもとで幼少から舞踊を学び、現在は母とともにフラメンコスタジオ”hermanas”(エルマナス)で講師として指導や舞踊活動を行う鈴木舞・千琴の姉妹による4年ぶりとなるガルロチでのライブが開催された。 最初の曲は、青とピンクの衣装のコントラストが美しいパレハ(ペア)のアレグリアス。明るく開放的な舞の踊りと、しなやかで柔らかい千琴の踊りと、個性の違いがそれぞれ魅力的だ。 途中からは千琴のソロとなり、緩急のメリハリが効いた踊りで観客を魅了する。 続いて、ブラウン基調の衣装に替えて登場した舞のソロはタラント。スピード感やダイナミックさといった持ち味を生かした踊りは存在感にあふれていた。 母娘そろって河上鈴子スペイン舞踊賞を始め数々の受賞歴に輝き、また舞台経験が豊富なことから二人とも舞台を大きく使って魅せるのがうまい。 尾藤のギターソロはグラナイーナ。音の粒がきれいな美しいアルペジオを奏で、音の響きを大切にしている演奏が印象に残った。 舞のファルーカは山﨑のギターと作り上げた一曲。郷愁を誘うようなメロディーに乗せて、長身を生かした踊りと力強い足技で表現する。 千琴のソロはマルティネーテ。カンテの二人が打ち鳴らすバストンの音に合わせて、巧みな足技とペジスコを効かせた踊りで見事な協演を魅せる。 ミュージシャンらによるソロはタンゴ。沸き立つグルーヴが会場の空気を盛り上げ、ムイフラメンコな時間を楽しませてくれた。 ラストはパレハでのカーニャ。好対照な互いの個性を見せながらも踊りの呼吸はぴったり。言葉は無くても一緒に舞台に立つだけで気持ちが通い合っているような二人の姿は、互いの信頼関係があるからこそだろう。 最後のフィン・デ・フィエスタでは、今回のライブを見守ってきた曽我辺もひと振りを披露。 フラメンコを通して深められてきた母娘の絆を、大勢の観客と分かち合った心温まる公演だった。 [出演] バイレ:鈴木舞 鈴木千琴 カンテ:大渕博光 有田圭輔 ギター:山﨑まさし 尾藤大介 =====
- スペインNews 10月号・2025
(lunes, 6 de octubre 2025) 文・写真/志風恭子 Texto y fotos por Kyoko Shikaze 《INDEX》 ・ アントニオ・ガデス舞踊団『カルメン』 ・ マノロ・マリン『流儀の継承』 ・ アマルガマ/メルチェ・エスメラルダとレオノール・レアルのトーク ・ ホセ・ルイス・オルティス・ヌエボ『ぺぺ・デ・ラ・マトローナ』 気がつくと今年も後残り3ヶ月。年ごとに月日の流れがどんどん早くなっていく気がするのは、これまで生きてきた期間が長くなるから、なのかな。日本に比べると時間の流れがゆっくりのように感じるスペインですが、何もしなくても時は過ぎ行き、浦島太郎の玉手箱を開けたかのように、気がつくと年だけとっていた、ということになっているような今日この頃。昔は良かったという年寄りに反発していたのがいつのまにか、ことにつけて前世紀の話に持っていってしまっていたりするのを反省。 日本では、秋といえば9、10、11月。最近は10月に入っても夏日ということもあったりするようですが、食べ物、落ち葉や虫の音などで、秋の訪れを感じますし、と思うのですが、スペインでは季節は暦通りに、秋分から秋、冬至から冬、と機械的に進むようで、Otoño Flamenco フラメンコの秋、というイベントが12月の初めに開かれたりします。セビージャの主な街路樹はオレンジで常緑樹ですし、シュロも、フィクスとよばれるゴムノキも、落ち葉とは無縁です。市内にはプラタナスもあるので落ち葉もあるはずなのですが、黄葉したりする木も落ち葉もあまり目にしないので日本の銀杏並木が懐かしくなったりもします。葡萄や栗が並ぶ八百屋さんの店先以外にセビージャでは秋の気分を感じる機会はあまりないような気がします。あ、食欲の秋だけでなく、芸術の秋がありましたね。夏休みが終わり、劇場シーズンも開幕。フラメンコ公演も帰ってきました。 オレンジの木はいつも緑。緑色の実がもうなっていたりします。 【 アントニオ・ガデス舞踊団『カルメン』 】 スペインの各都市を代表する劇場のほとんどは、7、8月は夏休みで公演がありません。セビージャのオペラハウス、マエストランサ劇場も夏休みを経て、2025/2026年シーズンの柿落とし公演として9月6日、7日の両日、アントニオ・ガデス舞踊団『カルメン』が上演されました。1986年以来、度重なる来日公演を劇場で観たことのある方も多い作品ではないかと思います。1983年初演以来、世界各地で上演され続けており、今年のヘレスのフェスティバルでも上演されましたね。メリメの小説、ビゼーのオペラのカルメンの主な舞台はここセビージャ。劇場のすぐそばにある闘牛場の正面にはカルメンの銅像もあります。ということでセビージャで観るカルメンはまた格別。42年も前の作品ですが、鏡と椅子と机というミニマムな小道具だけでいくつもの場面を構成し、聴き慣れたオペラの曲やフラメンコ曲の組み合わせで誰にでも親しみ深く、またわかりやすい作品だと改めて感じいりました。ドン・ホセを踊ったアルバロ・マドリードはセビージャ出身。 ©︎ Teatro de la Maestranza 今回はオペラ『カルメン』初演から150年ということでの上演だったようです。なお、セビージャは『カルメン』以外にも、『セビリアの理髪師』『フィガロの結婚』『ドン・ジョヴァンニ』など数多くのオペラの舞台になっており、9月25日から10月12日までオペラフェスティバルも開催されています。 【マノロ・マリン『流儀の継承』】 劇場だけでなく、ペーニャの公演も9月になって再開。セビージャで一番、公演数が多く、おそらくスペインで一番舞踊公演が多い老舗ペーニャ、トーレス・マカレーナも9月10日、マヌエラ・カルピオ公演で今シーズンの公演がスタート。12日にはオルーコが踊り、9月13日には長年セビージャはトリアーナにスタジオを構え、多くの踊り手たちを世に送り出した舞踊教授で、クリスティーナ・オヨス舞踊団やアンダルシア舞踊団、スペイン国立バレエ団など多くの舞踊団に振り付けている舞踊家、マノロ・マリン、1936年生まれというから今年で89歳の巨匠に、その教え子の一人でスタジオを引き継いだマヌエル・ベタンソスが企画した公演が行われました。イサベル・バジョン、アリシア・マルケス、マルコ・バルガス…客席にはいつも以上にアーティストたちが多く、舞台に立ったマノロのクラスレッスンを模して始まり、マノロのソレアへ。歌に最大限の敬意を払いマルカールしていく。サパテアードで評判だったマノロのクラスだったけど、歌を消すような足は決して入れない。勘所に決めるだけ。歌を踊るのはフラメンコの基本。 続いて登場した、長年代教を務めたピラール・オルテガのタラントも、歌に、地味でシリアスだけど深刻すぎない曲のキャラクターに敬意を払っています。 ベタンソスとのおしゃべりを挟んでタンゴ。息をするように自然な足取り。マノロにとってフラメンコを踊ることは毎日の散歩のように自然なことなのですね。 https://youtu.be/SyFIZpQq9rI マヌエル・ベタンソスのアレグリアスはマノロというより彼のもう一人の師匠、マリオ・マジャの影響をより感じたけれど、伸びやかで観ているこちらの気分も明るくなるようです。 フラメンコ舞踊の基本は歌を踊ること、ナチュラルに歌を踊ることが一番、と感じられた夜でした。私は踊らないのでマノロのクラスを受講したわけではないけれど、観ること会話することでマノロから多くを学んだんだなあ、と感じたことでした。そう、観るもの全部、聴くこと全部が肥やしになっていくのです。 【アマルガマ/メルチェ・エスメラルダとレオノール・レアルのトーク】 セビージャのビエナルが主催するフラメンコのアーティストたちのトークショー・シリーズ、アマルガマ。ビエナルはその名の通り、2年に1度、偶数年の開催なので今年は公演はありません。でもビエナル主催のイベントはあるのです。 アマルガマは、ジャーナリストの司会で世代の違うアーティストがおしゃべりをするというもの。歌や踊り手(ファルキートとカレーテ!)らだけでなく、画家や写真家なども登場します。 会場はセビージャのレアル・ファブリカ・デ・アルティジェリアというセビージャ市の施設で入場無料。4月1日、カルメン・リナーレスとアルカンヘルが登場して始まり、9回目の今回はメルチェ・エスメラルダとレオノール・レアルが登場。歌を習いにいったところで踊りも教えていたのではじめたメルチェ。フラメンコのメッカ、ヘレスに生まれながらバレエを習い、フラメンコを踊りはじめたのは遅かったレオノール。タブラオで鍛えられたメルチェ、アンダルシア舞踊団を経てソロになったレオノール。世代も経験も踊り方も違う二人、それぞれの話を引き出していくカナルスールで文化番組を持つレオ・サルディーニャ。 出かけていった甲斐あって二人とはアフタートークも楽しむことができました。尚、このシリーズ、全ての回がYouTubeにアップされていますので、スペイン語の聞き取りの練習にもぜひ。 https://youtu.be/hqALpk2KYjk?si=UzTQMmT0o921-9kC 【ホセ・ルイス・オルティス・ヌエボ『ぺぺ・デ・ラ・マトローナ』】 ビエナルの創始者で、詩人、フラメンコ研究家のホセ・ルイス・オルティス・ヌエボの著書 『ペペ・エル・デ・ラ・マトローナ。レクエルド・デ・ウン・カンタオール・セビジャーノ(セビージャの歌い手の思い出)』の新版のプレゼンテーションが、9月27日、セビージャのバル、カルボネリアで行われました。元々は1973年に出版されたものですが、50年以上の月日を経てもなお、いやだからこそ、1887年生まれの歌い手の記憶の価値は再評価されるべきものでしょう。 歌い手マヌエル・ロメロがペドロ・バラガンの伴奏で歌うぺぺ・デ・ラ・マトローナのレパートリーを挟みながらというのも楽しく、古いものを知ることで今も明日も、もっと楽しくなるんだろうなあ、と改めて感じたことでした。 左から司会のフランシス・マルモル、マヌエル・ロメーロ、ペドロ・バラガン、ホセ・ルイス https://youtu.be/cAbXv4rwp_8 【筆者プロフィール】 志風恭子(Kyoko Shikaze) /1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。 =====
- 【新連載】EL CARTERO スペイン旅行記 2016 /1
[期間]2016年2月14日~3月14日 (sábado, 27 de septiembre 2025) 昨年2024年10月に闘病の末この世を去ったカンタオール、瀧本正信さん。 日本のフラメンコ界に本場のカンテの種をまき、強い信念と歯に衣着せぬ率直な物言いで周囲に大きな刺激を与え、何人もの後進を育て多大な功績を残しました。 約10年前に瀧本さんが教え子たちとともにスペインを巡った旅行記が、当時メンバーの一人として同行した、現在歌い手として活躍する金高荘子さんの手により記されていました。 現地で出会った様々な人たちとの、フラメンコへのアフィシオン(愛情)に溢れた交流の記録を、たくさんの写真とともにご紹介します。 【金高荘子さんより】 ここに綴る旅の記録には、今はもう会うことのできない大切な友人たちも登場します。 彼らを偲び、心からの感謝と祈りを込めて記します。 また、時の流れの中で、この記録に登場するお店のいくつかはすでに営業を終えています。 失われたものへの想いと共に、ここに残された記憶を紡ぎました。 当時の旅を歩む"El Cartero"こと瀧本正信氏の姿を思い浮かべながら読んでいただければ幸いです。 文・写真/金高荘子 Texto y fotos por Soko Kanetaka 【第1回】 ◆2月14日 羽田発エールフランス ~PARIS経由 ~9:00 am MADRID 着 El Cartero武者修行(?)の旅に同行するのは、 瀧本正信"El Cartero"カンテ教室の有志9名。 シャルル・ド・ゴール空港で乗り換え。 ◆2月15日 Madrid 到着! ホテルへチェックイン後Barで決起会をして、マドリードの街を散策。 Madridに行ったら行ってみたいと話していたCASA PATASの前を通り、アモール・デ・ディオスのあたりまで行ってみることに。 Carteroのずっと以前からの知人であるEnrique Pantojaは確かこの辺に住んでるはず。 「Enrique Pantojaに会えんかな~、会えたらええんやけどな~」 と、話しながら歩いてAnton Martinあたりまで来た時、私達とすれ違ったおじさんが!なんと! Enrique Pantojaだった! 「エンリケ~ !!!」 突然のCarteroの叫び声に全員びっくり。 再会を喜び合い、アモール・デ・ディオスに一緒に行くことになった。 Carteroは歩きながらSoleáを唄い、Enriqueはその度に「Oleeee~!」 アモール・デ・ディオスの中を案内していただく。 CarteroがSoleáとMartineteを唄うと、EnriqueはOleee!とハレオ。Carteroのカンテを喜び、「最近はそういうプーロなフラメンコをやる人が少なくなってしまった。日本人も大勢ここに習いに来る。私はいつも愛情を持って教えるけれど、ここで学んだことを忘れてしまう人が多くて寂しい」などと、最近のスペインでのフラメンコ事情をぼやきながら、二人で熱くフラメンコを語りあっていた。 クラスでギターを弾かせてもらえないか?と、Carteroがお願いすると、そこにたまたま居合わせたテレサ西塚さんが、 「それなら明日、みなさんでブレリアクラスやってもらったら?」と提案してくださった。 ◆夕方 「CASA PATAS」へ この日の踊り手はMistela。 CarteroはMistelaと、なんと20年ぶりの再会だそう。 何年か前に新宿のナナで会ったという人がCarteroのことを覚えていて声をかけられ挨拶をしていた。 ライブの前に食事をし (ちょっと高め。ライブ込みで1人50ユーロ。でもとても美味しかった) その後、奥のライブ会場へ案内される。映像でしか見たことのない舞台にみんなワクワク。 Mistelaの踊りは美しく正確で気持ちが良かった。コンパス心地良くちょっと睡魔に襲われたけど(時差ボケ&お腹もいっぱいで…)素晴らしい時間だった。 ◆2月16日 Enrique Pantojaクルシージョ 生徒9人全員参加。 テレサ西塚さんも同席してくださり、楽しすぎるBuleríaのクルシージョとなった。 Enriqueが唄う。Carteroも唄って弾く。 EnriqueはCarteroのギターにOleee!とハレオしながら、汗だくになりながら、私たちにフラメンコを見せてくれた。その間別室にいた人達が何人もクラスを覗きにきてはCarteroの唄とギターに驚いていた。 クルシージョの後、Entiqueが下の階のBarで一緒に飲もうと誘ってくれた。 Carteroが再びギターを弾きはじめフエルガが始まる。Enriqueは、近くで飲んでいた若者達にも仲間に入れと誘う。そして「今日は特別な日だ」などと言いながら、Carteroのギターで沢山唄ってくれた。 Soleá、Bulería、Farruca、Alegrías、Sevillanas…。 私たち生徒も勉強中のカンテを唄った。緊張しながら唄う私達だったが、Enriqueのハレオは本当に気持ち良く、まるで会話をするかのよう。導かれるように唄えてしまう。カンテの未知の楽しさを知った気がした。 彼があまりにもフレンドリーに接して下さるので、かのEnrique Pantojaだということを忘れそうになるが、やっぱりすごい人なんだと思う瞬間が何度もあった。 ホセ(大西)はこの日、何度ブレリアを踊ったかわからないほど大活躍だった。 クラス帰りの踊り手さん達が何人も通りかかっては Enriqueに挨拶をし、そのままパルマやハレオで参加する。どの人からもEnriqueへの敬意が感じられた。そしてみんなFlamencoが大好き。 ふと見るとMerche Esmelardaがそこにいて、素敵オーラに感激してしまった。 ◆クルシージョの後、Carteroが今回どうしても行きたかったという場所に向かった。 Carteroが10年以上前に通いつめていたというBar Solea 。 (これが当時のヤングなCarteroとお店の様子↓) 店を探しウロウロするが見つからない。記憶違いか?と近所の人に尋ねてみると、何年か前に閉店したとのことだった。 私たちはCarteroからその店でのアフィシオナードたちとの話を色々聞いていて、今回そこに行くのをとても楽しみにしていた。 なくなっていたとは本当に残念。 がっかりしてホテルに帰った。 ( *第2回に続く>> ) ©近藤佳奈 【筆者プロフィール】 金高荘子(Soko Kanetaka) /幼少期から音楽に触れ、学生時代にはロックなどのバンド活動を通し音楽に親しむ。2002年にフラメンコと出会い、2010〜2024年に瀧本正信氏に師事。短期渡西を繰り返しながら現在も研鑽を重ねている。 =====
- 来日クルシージョ体験記《Mercedes de Córdoba》
メルセデス・デ・コルドバ クルシージョツアー2025 in JAPAN (viernes, 3 de octubre 2025) のべ16日間、合計7都市、全55クラス。 スペインはもちろん世界各地でも絶大な人気を集めるフラメンコ舞踊家、メルセデス・デ・コルドバの来日クルシージョツアーが5月から6月にかけて開催されました。 このまたとない絶好の機会に、私もバイレ練習生のひとりとしてクラスに参加。 さらにツアー最終日には、メルセデスご本人へのインタビューという貴重な機会を得ることができました。 今回はクラスの体験リポートと、メルセデスへのインタビューをお届けします。 ・ Mercedes de Córdoba インタビューはこちら 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko 写真提供/松 彩果 Foto por Ayaka Matsu メルセデスのエッセンスを吸収しようと大人も子供も真剣なブレリアクラス メルセデス・デ・コルドバの今回の来日クルシージョ。私は横浜で行われた中級のシギリージャ・クラスを受講してきました。 練習生としての自分のレベルを考えると中級にも及ばないのですが、それは一旦置いておいて、「メルセデスが踊るシギリージャを間近で見たい」という強い思いから受講を決めました。 2日間のクラスでしたが、都合により初日のみ参加。 最初のジャマーダからレトラまでを習いました。 「大地からエネルギーを感じて」 「そう踊ると、嘘になるの」 「こう動きが続くと、自然でしょ?」 普段踊る時にやってしまいがちな、身体に力が入りすぎたり、間が持たなくて振りを詰め込みすぎたり、といった問題点をさりげなく、でもズバリ指摘してくる。 足の動きは、「まずは音を何度も聴いて覚えて」と言い、口三味線で何度も繰り返して、音とリズムのパターンを頭に染み込ませる。そうすると、一見難しそうなパソでも意外にも打ちやすくなる。 身体使い、マノやブラソのフォルム、表情、呼吸、そして醸し出す雰囲気…、全てが貴重な教えであって、得難い経験。 「目の前でメルセデスが踊ってくれてるんだ…」そんな夢のような出来事に感動しながら、つい我を忘れてしまう。 そしてギター伴奏で入ってくれた逸見豪さんの演奏に合わせて、メルセデスがシギリージャを本気で歌ってくれる。そのカンテを聴いて、私も真剣に踊りに集中する。 今回の招聘を実現し、メルセデスを師と仰ぐ松彩果さんがこの日は通訳も担当してくれました。やさしく分かりやすく、時には冗談まで訳してくれてクラスが笑いに包まれる瞬間も。 最後は、通しで踊る自分の姿を参加者同士で撮影し合って、この日教わった振付を大切に保存。あっという間の70分でした。 フラメンコを踊るために大切な事をたくさん教えてくれたメルセデス。それぞれのクラスにはレベルが指定されていたけれど、そんな事が気にならないくらい充実した、宝物になるような体験ができました。 【プロフィール】 Mercedes de Córdoba(メルセデス・デ・コルドバ) /舞踊家・振付師 古き良き時代のフラメンコの薫り、豊かで品格に満ちたフラメンコ舞踊家。 スペインで最も権威のあるコンクールで数々の優勝を重ね、自身のカンパニーで有望なキャリアをスタートさせる。『Sin Más』『Ser. Ni conmigo ni sin mi』『Si. Yo quiero』どの作品も観客、評論家、専門誌から最高の評価を得ている。 更には多くの現代の踊り手達が彼女に振付や芸術監督として公演を手掛けてもらっている。 パウラ・コミトレ『Cámara abierta』 フェルナンド・ヒメネス『Con-migo』 アンヘル・ロハス『Ya no seremos』 ラファエル&フアン・カンパージョ『Sangre』 アデラ・カンパージョ『Nacer para morir』『De Sevilla a Cádiz』 ヘマ・モネオ『Sonido de mi amor』 アゲダ・サアベドラ『Venero』 =====
- 【news】第34回「新人公演」選考結果発表
(viernes, 3 de octubre 2025) フラメンコのプロ・アーティストへの登竜門として注目される、一般社団法人日本フラメンコ協会の主催による第34回/2025年度 フラメンコ・ルネサンス21「新人公演」が、9月24~ 26日の3日間にわたり神奈川県立青少年センター 紅葉坂ホールにて開催されました。 その各部門賞について10月2日に「選考会議」が行われ、受賞者が決定、発表されました。 [カンテ部門] 奨励賞 該当者なし 準奨励賞 C-1 齋藤克己 [ギター部門] 奨励賞 該当者なし 準奨励賞 G-1 井本 錬/ G-2 上遠野 忍 [バイレ群舞部門] 奨励賞 Bg-1 Célula 準奨励賞 該当者なし [バイレ・ソロ部門] 奨励賞 Bs-16 JURINA/ Bs-30 中山みのり/ Bs-31 山本由紀/ Bs-37 堀口心太朗 準奨励賞 Bs-09 鈴木映留捺/ Bs-43 小林由佳 *選考過程の概要と総評は、以下のリンクから https://www.anif.jp/event/shinjin/new_shinjin/34th_result.html =====











