top of page

リレー連載:私の新人公演 -2023年の挑戦- 7

第7回 片野佳加

【バイレソロ部門/準奨励賞】

 

(jueves, 28 de marzo 2024)

 

フラメンコを志し、さらに高みを目指すために目標として掲げられる大舞台、新人公演。

昨年の入賞者に、挑戦へのきっかけや本番までの道のり、自身の経験や思い、これから挑戦する人に伝えたいことなどを語ってもらいました。

第7回目は、バイレソロ部門で準奨励賞を受賞した片野佳加さんです。

 

舞台写真/一般社団法人日本フラメンコ協会 提供 

編集/金子功子

Edición por Noriko Kaneko

 

片野佳加 第32回新人公演バイレソロ部門準奨励賞

 私が新人公演に出ようと思ったきっかけは、コロナ禍の影響で2020年の新人公演が中止になった事です。

 何年か前からいつかは出てみたいと思っていた新人公演。でもまだ先でいいかな…、と漠然と思っていました。ですが中止になった事で、当たり前の事が当たり前でなくなる事があるんだと思い、思い切ってチャレンジしようと思ったのが最初のきっかけです。

 2021年の無観客の年が初めての新人公演でした。次の年は申し込んだけど出られず、次年度の優先枠をもらえた事で2023年は2度目のチャレンジが出来ました。


 新人公演の指導は稲田先生にお願いし、振り付けしてもらう所からのスタートでした。期間に余裕が無かったので、振り付けをすごい勢いで付けてもらいました。ですが、難しい振り付けを覚えて自分のものにしていくのにかなり手こずり、気持ちも体力的にも余裕が無くなり焦る日々が続きました。

 これは要領よく練習していかないと練習し過ぎによる怪我につながりかねないと思い、例えば体を動かしての練習と動かさない練習とに分けたり、練習内容を考えて取り組んでいました。先生からは、練習は録画してチェックしないといけないよと言われて、一番苦手な自分の動画を見るという事も頑張りました。先生の的確で、具体的な指導方法には迷いが無く、あれこれ悩んでしまう自分には合っていました。


 そしてカンテのチェマとギターの斎藤さんに加わってもらってからは、皆で作り上げていく過程がとても楽しくて、一気に曲のイメージも広がりました。

 音楽と共に自分のイメージをもっと表現したいと思い始め、その為にどこをどう動かすのがいいのか、など細かい動きにこだわりながら作り込みました。


片野佳加 第32回新人公演バイレソロ部門準奨励賞
(写真)本人提供

 本番前日はほとんど眠れませんでした。本番は出番が早かったので、ゲネの後は体を休めて過ごしました。

 本番はもちろんあそこをもっとこうすればよかった!とか今でもいろいろ思いますが、本番が終わった日は今現在の自分の実力なりに、ベストを尽くせたかなと思いました。

 共に舞台に立ち、支えて下さったアーティストの皆様の存在感が有り難く、とても心強かったです。有難う御座いました!


 発表のメールを見た時は、奨励賞の所に名前が無く、ダメだったか。と思いましたが、その下に文がまだ続いていて、準奨励賞の所に自分の名前を見つけた時は、不意打ちだったので動揺して汗が吹き出ました!

 ですが、その後たくさんの人からお祝いのメッセージが届き、その気持ちが本当に嬉しくて、自分でも嬉しい気持ちになれました。あの時お祝いしてくれた皆さま有難うございます。


 新人公演に向けて体力的にもメンタル的にも追い込んでいる中、クラスメイトや昔からの友人が応援してるよ!と言って、悩んだり煮詰まったりしている私の相談に乗ってくれたり、ライブを観に来てくれたりした事は大きな支えになりました。

 また、私のやりたい事を快く応援してくれて、いつでも帰って来ていいよと言ってくれる、私のオアシスであり太陽のような堀江朋子先生の存在や、どんな様子?頑張ってね!と声をかけてくれた歴代の先生方も心強い味方でした。

 そして何より、家族に応援してもらえた事が本当に有り難くて、それらが私の一番の動力源になりました。


 これから新人公演に出られる方へのメッセージになるかわかりませんが、私が心掛けてる事は、人と比べず自分を信じるという事です。

 フラメンコを続けていくのは大変な事も多くて、気持ちの中でどこに向かっているかわからず、よく迷子になっています。

 それでも好きという気持ち、上達したいという気持ちを大事にしながら、新人公演に限らず、これからも自分だけのフラメンコを探していきたいと思っています。



【プロフィール】

片野佳加(Yoshika Katano)/高校生から大学を通して地元大阪の市川惠子帝塚山スタジオで学び、舞踊団に所属して経験を積む。その後フラメンコから離れ東京で就職、結婚、出産。フラメンコを再び始める。東京にて松本もとよ氏、堀江朋子氏、稲田進氏らに師事。

 

【新人公演とは】

一般社団法人日本フラメンコ協会(ANIF)が主催する、日本フラメンコ界の発展向上のため、次代を担うフラメンコ・アーティストの発掘および育成の場として、1991年から毎年夏に開催されている舞台公演。

プロフェッショナルへの登龍門として社会的に認知される一方、「新人公演は優劣順位をつけるためのものではなく、新人へのエールを送るために存在する」という当初からの理念に基づき、すべての出演者が主役であるとの考えから順位付けは行われません。

バイレソロ、ギター、カンテ、群舞の各部門に分かれ、若干名の出場者に奨励賞、またはその他の賞が与えられます。

(*一部、ANIF公式サイトより引用)


>>>>>

bottom of page