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スペインNews 5月号・2025

  • norique
  • 5月6日
  • 読了時間: 9分

更新日:5月7日

(martes, 6 de mayo 2025)

 

文/志風恭子

Texto por Kyoko Shikaz

 

4月28日12時半を回った頃から、スペイン全土をおそった大停電。日本でも報道されたこの停電、4月30日現在、その理由はまだ解明されてはいません。人為的なミスや大気の状態など気候によるものなどいろんな説がありますが、スペイン政府はどんな仮説も可能性はあるという見解のようです。各市町村、また同じ市内でも地区によって回復までの時間はさまざまだったようですが、携帯電話も使えない状態が長く続いたため、大方の市民はラジオで情報を得るなどしていたようです。信号が動かないので交通も混乱、電車も止まり、フラメンコ・アーティスト達も長い時間列車に閉じ込められるなど、大変な思いをしたようです。

 

《INDEX》

 

【ロンドン・フラメンコ・フェスティバル】

4月10日、セビージャのスペイン著作権者協会アンダルシア支部において、今年のロンドンで行われるフラメンコ・フェスティバルのプログラム発表の記者会見が行われました。

2505志風_image001ロンドンフラメンコフェスティバル
©︎FFL Manu Sua

これは毎年3月頃に行われるニューヨークのフラメンコ・フェスティバルと同じく、プロデューサー、ミゲル・マリンによってオーガナイズしているもので、今年で20年目となるそうです。5月27日から6月8日まで、ロンドンのダンス公演のメッカ、サドラーズウエルズ劇場を中心に、サラ・バラスやマヌエル・リニャンにファルキート、アンダルシア舞踊団など、選び抜かれたフラメンコ・アーティスト達が次々に登場します。

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©︎FFL Manu Sua

記者会見では今回のフェスティバルの出演者の一人、アルバロ・マルティネーテの演奏もありました。


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◇フラメンコ・フェスティバル

5/27(火)~31(土)19時30分、6/1(日)15時『ブエラ』

[出]〈b〉サラ・バラス舞踊団

6/2(月)19時30分『ムエルタ・デ・アモール』

[出]〈b〉マヌエル・リニャン・カンパニー

6/3(火)19時30分『ロマンセーロ・デル・バイレ・フラメンコ』

[出]〈b〉メルセデス・ルイス舞踊団

6/4(水)19時30分『コン・シエルト・フラメンコ』

[出]〈b〉ファルキート

6/6(金)19時30分、7(土)15時と19時30分『ピネーダ』

[出]〈b〉アンダルシア舞踊団

[場]英国 ロンドン サッドラーウエルズ メイン・ハウス

 

6/8(日)19時30分『レタブロ・エクスペリメンタル・ソブレ・エル・バイレ・フラメンコ』

[出]〈b〉エステベス/パーニョス・イ・コンパニア

[場]英国 ロンドン サッドラーウエルズ イースト

 

5/29(木)19時30分『ミラーダス』

[出]〈g〉アレハンドロ・ウルタード、〈〈b〉〉インマクラーダ・サロモン

5/30(金)19時30分『ラス・トレス・オリージャス』

[出]〈g〉マヌエル・バレンシア、〈b〉エル・チョロ

6/8(日)19時30分『アルモニア・フラメンカ』

[出]〈g〉アルバロ・マルティネーテ、〈b〉クラウディア・ラ・デブラ

[場]英国 ロンドン キングス・プレース

 

5/31(土)18時『レフレクシオン・ソブレ・ラス・パルカス』

[出]〈b〉パウラ・コミトレ、フロレンシア・オス、カルメン・アングロ

5/31(土)20時30分『マタンセラ』

[出]〈c〉ラ・トレメンディータ

6/5(木)18時『フラメンコ・ポル・カンタオーラ』

[出]〈c〉アルヘンティーナ

6/5(木)20時30分『エン・アクースティコ』

[出]〈c〉ケラルト・ラオス

6/6(金)18時『エル・フエゴ・ケ・ジェボ・デントロ』

[出]〈c〉レラ・ソト

6/6(金)20時30分『エン・コンシエルト』

[出]〈c〉アンヘレス・トレダーノ

[場]英国 ロンドン リリアン・ベイリス・ストゥディオ

 

5/31(土)20時『フラメンカス』

[出]ラス・ミガス

6/7(土)17時と20時『ロネオ・ファンク・クルブ』

[出]ラ・プラスエラ

[場]英国 ロンドン ジャズ・カフェ



【動画】


【エバ・ジェルバブエナにローレンス・オリヴィエ賞】

そのロンドン、フラメンコ・フェスティバルに昨年登場し、作品『ジェルバグエナ(オスクーロ・ブリジャンテ)』を上演したエバ・ジェルバブエナが、英国で最も権威のある舞台芸術への賞、ローレンス・オリヴィエ賞で舞踊部門、傑出した功績賞を受賞しました。4月6日、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行われた授賞式にはエバは出席できず、サドラーズウエルズ劇場の人が代理で受け取ったトロフィーを、フェスティバルの記者会見の時に、監督、ミゲル・マリンから手渡されました。

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©︎FFL Manu Sua

【動画】

受賞理由となった作品


【ロルカ賞】

アンダルシアの舞台芸術アカデミーによる、舞台芸術への賞、ロルカ賞。全国区の舞台芸術の賞では、フラメンコは通常、舞踊部門になるのですが、さすがフラメンコのアンダルシア。舞踊部門とは別に、フラメンコ/スペイン舞踊部門が設けられています。

今年の授賞式は4月9日、セビージャのセントラル劇場で行われました。今年も昨年同様、一作品に集中することなく、さまざまな作品、アーティストが受賞しました。今年の受賞者は以下の通りです。それだけ高いレベルの作品、アーティストが目白押しだということかも知れませんね。

2505志風_image013ロルカ賞
©︎ Academia de las Artes Escénicas de Andalucia

○フラメンコ/スペイン舞踊作品賞 『オルビダダス(ア・ラス・シンソンブレロ)』


○フラメンコ/スペイン舞踊女性ダンサー賞 パウラ・コミトレ『アプレ・ヴ、マダム』


○フラメンコ/スペイン舞踊男性ダンサー賞 エル・チョロ『プレンデル、ウン・アクト・デ・コンブスティオン』


○制作賞 『カプリチョス』(ハビエル・バロンとロサリオ・トレド主演)

 

【マドリードのビエナル】

4月22日には5月23日から開催される、第一回マドリードのビエナルのプログラム発表の記者会見が開催されました。


ビエナルといえば、フラメンコ・ファンにとってはセビージャのビエナル。1980年に始まった、世界最大規模のフラメンコ・フェスティバルです。が、もともとビエナルとは2年に1度という意味。イタリア語のビエンナーレという言葉は、有名なベネチアのビエンナーレ、国際美術展を通して日本でも知られているかも知れません。今では、セビージャの他にもマラガ県が主催して、県内各地で公演が行われるビエナルのマラガ、また、オランダのビエナルなど、フラメンコのビエナルも各地で行われています。


そこに加わったのがこのマドリードのビエナル。マドリードのフラメンコ祭といえばスーマがありますが、これは県主催。こちらのビエナルは市の主催で、かつてラ・ビジャ文化センター(フェルナン・ゴメス劇場)で開催されていたマドリード、フラメンコ祭を引き継ぐもののようです。初日公演からしてセビージャのビエナルと肩を並べる充実のプログラムのように思います。スペイン広場を北に行ったところにあるコンデ・ドゥーケを中心に、市南部のマタデーロや博物館などでも公演が予定されています。

2505志風_image015マドリード・ビエナル

【動画】

 

◇マドリードのビエナル

5/23(金)~6/6(金)

5/23(金)20時開幕ガラ『フィエスタ・デ・ラ・ブレリア・デ・ヘレス』

[出]〈c〉トマシート、フアナ・ラ・デル・ピパ、ヘスス・メンデス、〈g〉ぺぺ・デル・モラオ、ルベン・マルティネス、〈fl〉フアン・パリージャ、〈perc〉ペリーコ・ナバロ、〈クアドロ〉マヌエル・デ・ラ・ニナ、ペドロ・エル・チャンキータ、ルイス・チャンキータ、フアナ・デル・モノ、ロシオ・バレンシア、サンドラ・リンコン、ピルロ、マルコス・カルピオ、〈b〉ティア・ジョジャ、ティア・クーラ

[場]マドリード シルコ・プリセ


5/24(土)21時30分『デ・ライス』/『エル・フエゴ・ケ・ジェボ・デントロ』

[出]〈perc〉バンドレーロ、ゲスト〈g〉パケテ、ルイス・アビチュエラ、〈c〉モンセ・コルテス、〈b〉ニノ・デ・ロス・レジェスほか/〈c〉レラ・ソト、〈g〉ルベン・マルティネスほか

[場]マドリード コンデ・ドゥーケ


5/25(日)13時

[出]〈c〉アントニア・ヒメネス

[場]マドリード サン・イシドロ博物館

5/25(日)20時『プレセンテ』

[出]〈b〉フアン・トマス・デ・ラ・モリア

[場] マドリード アウディトリオ・カハ・デ・ムシカ

5/25(日)21時30分『マタンセラ』

[出]〈c〉ラ・トレメンディータ、ラ・カイータ

[場]マドリード コンデ・ドゥーケ


5/26(月)20時『サクラトゥス』

[出]〈c〉アントニオ・カンポス、〈g〉ホセ・フェルミン、〈オルガン〉アントニオ・リナ~レス

[場]マドリード レアル・バシリカ・デ・サン・フランシスコ・エル・グランデ


5/27(火)20時『ベンゴ・ホンド』

[出]〈b〉マルコ・フローレス、〈c〉エル・キニ・デ・ヘレス、〈g〉ホセ・トマス

[場]マドリード マタデーロ ナベ・ウナ

5/27(火)21時30分『ア・オリージャス・デル・カンテ』

[出]〈c〉アントニオ・レジェス、エスペランサ・フェルナンデス、〈g〉ジョニ・ヒメネス

[場]マドリード コンデ・ドゥーケ


5/28(水)20時『インタンヒブレ』

[出]〈b〉サラ・カレーロ

[場]マドリード マタデーロ ナベ・ウナ

5/28(水)21時30分『ディエシオチョ・クエルダス』

[出]〈g〉ヘラルド・ヌニェス、ダニ・デ・モロン、ジョニ・ヒメネス

[場]マドリード コンデ・ドゥーケ


5/29(木)20時15分『アルパオラ』

[出]〈ハープ〉アナ・クリスマン

[場]マドリード パロキア・デ・ヌエストラ・セニョーラ・デル・ペルぺトゥオ・ソコーロ

5/29(木)21時30分『金継ぎ』

[出]〈b〉エル・ファルー、〈g〉ホセ・ガルベス、〈c〉アントニオ・ビジャール、エセキエル・モントージャ、〈perc〉エル・ロロ

[場]マドリード コンデ・ドゥーケ

 

5/30(金)21時30分

[出]〈piano〉チコ・ペレス、〈フルート、サックス〉セルヒオ・デ・ロペほか

[場]マドリード コンデ・ドゥーケ


5/31(土)13時

[出]〈g〉カルロス・デ・ハコバ

5/31(土)21時30分『プルソ・リブレ』

[出]〈b〉エドゥアルド・ゲレーロ

[場]マドリード コンデ・ドゥーケ


6/1(日)12時『カンテ・デ・ムヘール』

[出]〈c〉ナイケ・ポンセほか、〈g〉テレサ・エルナンデス

[場]マドリード セントロ・セントロ パティオ・デ・オペラシオン

6/1(日)13時

[出]〈g〉ビクトル・フランコ

[場]マドリード サン・イシドロ博物館

6/1(日)20時

[出]〈b〉パウラ・コミトレ、フロレンシア・オス、カルメン・アングロ

[場]マドリード マタデーロ ナベ・ウナ

6/1(日)21時30分『インセルソ・ホンド』

[出]〈c〉フアン・ビジャール、ビセンテ・ソト、ホセ・デ・ラ・トマサ、ラ・マカニータ、〈g〉ノノ・レジェス、マヌエル・バレンシアほか

[場]マドリード コンデ・ドゥーケ


6/2(月)21時30分『ロルカ!』

[出]〈c〉カルメン・リナーレス、〈b〉ラファエラ・カラスコ

[場]マドリード コンデ・ドゥーケ


6/3(火)20時『アルサ、テオリア・デ・ロ・エスポンタネオ』

[出]〈b〉エル・チョロ、〈c〉ヘスス・コルバチョ、〈管楽器〉フランシスコ・ロカ

[場]マドリード マタデーロ ナベ・ウナ

6/3(火)20時『ラ・ファミリア』

[出]〈b〉フリオ・ルイス、ゲスト〈c〉ぺぺ・デ・プーラほか

[場]マドリード コンデ・ドゥーケ 劇場

6/3(火)21時30分『ロス・マグニフィコス』

[出]〈c〉サンドラ・カラスコ、〈piano〉アンドレス・バリオス、〈b〉ベレン・ロペス、〈g〉ダビ・デ・アラアル

[場]マドリード コンデ・ドゥーケ


6/4(水)20時『マグニフィカ』

[出]〈b〉マリア・モレーノ、〈g〉ラウル・カンティサノ、〈c〉ミゲル・ラビ

[場]マドリード マタデーロ

6/4(水)20時『クアルテタ』

[出]〈b〉ロサリオ・トレド、〈c〉インマ・ラ・カルボネラ、エバ・ラ・レブリ

[場]マドリード コンデ・ドゥーケ


6/6(金)22時 閉幕ガラ

[出]〈c〉イスラエル・フェルナンデス、〈g〉ディエゴ・デル・モラオ、カルロス・デ・ハコバ、〈perc〉アネ・カラスコほか

[場]エンリケ・ティエルノ・ガルバン、アウディトリオ


 

【筆者プロフィール】

志風恭子(Kyoko Shikaze)/1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。

 

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