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アーティスト名鑑vol.11 アントニオ・ナハーロ

(miércoles, 22 de mayo 2024)

 

スペイン在住30年以上、多数の一流フラメンコ・アーティストらとも親交のあるフラメンコ・ジャーナリスト志風恭子が、代表的なアーティストらのプロフィールをピックアップ。過去の取材で撮影した写真や、チェックしておきたい動画などもご紹介します。


今月は特別版として、スペイン国立バレエ団の芸術監督を8年間務め、舞踊家としても振付家としてもその才能が世界から注目を集め、今年7月には自身の舞踊団を率いての初来日公演が予定されるアントニオ・ナハーロをフィーチャーします。


 

文/志風恭子

Texto por Kyoko Shikaze


Antonio Rodríguez Najarro

“Antonio Najarro”

Madrid, 22-11-1975

 

アントニオ・ナハーロ

本名アントニオ・ロドリゲス・ナハーロ

1975年11月22日 マドリード生まれ

 

現代スペインを代表する舞踊家の一人アントニオ・ナハーロ。古典舞踊エスクエラ・ボレーラ、民族舞踊、フラメンコ、そしてそれらの技術を使って表現するエスティリサーダというスペイン舞踊の4ジャンルに精通し、スペイン舞踊以外の舞踊表現も取り入れて、エンターテイメント性の高い作品の数々を世に送り出してきた。2011年から8年間スペイン国立バレエ団芸術監督を務めたほか、フィギュアスケートやアーティスティックスイミングの振付、ファッションショーとのコラボ、国営放送での舞踊番組の企画司会など、多彩な活動で知られる。

 

【経歴 Biografía】


1981年 6歳 マラガのフェリアがきっかけで舞踊に興味を持つようになる。


1983年 8歳 マドリードの教室で舞踊を習い始め、後、舞踊学院に学ぶ。


1990年 15歳 マドリード、マリエンマ王立舞踊学院の学生でありながらラファエル・アギラールに抜擢されアギラール舞踊団オーストリア公演に参加。同バレエ団では92年にソリスト、93年には第一舞踊手の役を踊る。

以後、アントロヒア舞踊団、アントニオ・マルケス舞踊団などで活躍。

 

1995年 20歳 マドリード、スペイン舞踊とフラメンコ振付コンクールに『ススピロ・デ・モロ』で参加。翌年同コンクールに『モビミエントス・レベルソス』で再び参加。


1996年 21歳 ホセ・アントニオ振付作品のイタリア、ヴェローナのアリーナ公演にソリストとして出演。


1997年 22歳 スペイン国立バレエ団入団


1998年に初演されたハビエル・ラトーレ振付『ポエタ』では、ビセンテ・アミーゴの名作を踊る若き日のアントニオの姿を観ることができます。



1999年 24歳 マドリード、スペイン舞踊とフラメンコ振付コンクールにおいて作品『ネレイダス』で最優秀振付賞受賞、スペイン国立バレエ団ソリストに昇格。

アントニオ・ナハーロ 志風恭子アーティスト名鑑vol.11
アントニオ・ナハーロ 志風恭子アーティスト名鑑vol.11

1991年スペイン国立バレエ団日本公演のプログラムから。

隣にルベン・オルモ現スペイン国立バレエ監督がいるというのが面白い。演目は『ボレロ』ですね。

 

2000年 25歳 スペイン国立バレエ団第一舞踊手に昇格。5月、セビージャのマエストランサ劇場でスペイン国立バレエ団『ネレイダス』初演。


国立バレエ団版『ネレイダス』2001年の録画。日本公演でも上演されました。



また、この年からフィギュアスケートの振付協力を開始。

アニシナとペーゼラのフラメンコ/タンゴは、2002年のソルトレイクシティ冬季五輪で金メダルを獲得。



2001年 26歳 スペイン国立バレエ団退団


2002年 27歳 アイーダ・ゴメス舞踊団『サロメ』でヨカナーンを踊る。

アントニオ・ナハーロ パセオ表紙2002年5月号

パセオの表紙にもなりました。

 

同年、自らのカンパニーを立ち上げ、『タンゴ・フラメンコ』を初演。


『タンゴ・フラメンコ』



以後、数々の作品を創作。

2006年 31歳 自らの舞踊団で『フラメンコリエンタル』を初演。



2006−2007年シーズンにフィギュアの王者ステファン・ランビエールに振り付けた『ポエタ』は、ビセンテ・アミーゴのドラマチックな曲とともに、フラメンコ・ファンを増やすきっかけにもなりました。



2008年 33歳 セビージャ、スペイン舞踊とフラメンコ国際コンクール最優秀振付家賞受賞

『ジャジング・フラメンコ』初演。



2009年 34歳 2009年度アルレクイン若き振付家賞受賞


2011年 36歳 1月、自らの舞踊団で『セビリア組曲』初演。



同年4月、スペイン国立バレエ団芸術監督に任命、9月に就任。

 

2012年 37歳 3月、サルスエラ劇場で監督としての初公演。ハビエル・ラトーレ、ラファエラ・カラスコ、マヌエル・リニャン、ルベン・オルモ、オルガ・ペリセ、ロシオ・モリーナという現代フラメンコを代表する舞踊家たちの振付で構成された『アンヘレス・カイードス』と、自身の舞踊団で前年に初演された『セビリア組曲』。



アンヘレス・カイードスは「堕天使たち」という意味で、ヴィム・ヴェンダースの映画『ベルリン、天使の詩』に想を得た作品で、演出はエバ・ジェルバブエナ作品なども手がけたハンセル・セレサ。


現監督ルベンによる振付で本人がバレエ団と共に踊っている場面。



オルガとロシオの場面



2013年 38歳 2月、国立バレエ団監督としてバレエ団を率いて来日。『セビリア組曲』『メデア』『ホタ』などを上演。

同年6月、アントニオが一部の振り付けを手がけた国立バレエ『ソロージャ』初演。ソロージャはバレンシア出身の画家で、そのスペイン各地を描いた絵画(ニューヨークのスペイン・ソサエティ蔵)を舞踊にした作品。民族舞踊やフラメンコ、そしてエスティリサーダとバラエティに富んだスペイン舞踊で綴る舞踊絵巻。


これはその王立劇場公演のためのプロモーション映像。



2015年 40歳 6月、国立バレエ『アレント』初演。前作『セビリア組曲』に続き、エンターテイメント性の高いスペイン舞踊作品。



2017年 42歳 12月、国立バレエ『エレクトラ』マドリード、サルスエラ劇場で初演。コンテンポラリー・ダンサー、アントニオ・ルス振付のこの作品で、主人公の母の情夫役で久しぶりに舞台復帰。



2018年 43歳 スペインのデザイナー、オタイサ(OTEYZA)の2019春夏コレクションのファッションショーを国立バレエメンバーをモデルに振り付け、演出し話題を呼ぶ。



2019年 44歳 5月、ムルシアで国立バレエへの振付作品『エテルナ・イベリア』初演。今年(2024)秋のスペイン国立バレエ団日本公演で上演予定。



2020年 45歳 7月、コロナ禍の中、ようやく開催されたグラナダ国際音楽舞踊祭で新生ナハーロ舞踊団『アレント』初演。国立バレエ版との大きな違いは、音楽がミュージシャンたちによる生演奏であること。また衣装も新しくなっているし、新曲も追加されている。



2021年 46歳 国営放送でアントニオが発案し、監督、司会を務めるスペインのさまざまな舞踊や舞踊家たちを紹介する舞踊番組、『ウン・パイス・エン・ダンサ舞踊の国』が放映される。




国際フラメンコの日を記念して、プラド美術館でフラメンコ舞踊家たちが踊る作品を演出。



2022年 47歳 『ウン・パイス・エン・ダンサ舞踊の国』第2シーズンも放映される。


7月、新生ナハーロ舞踊団の新作『ケレンシア』を、オーケストラの生演奏の伴奏で、マドリード、コンデ・ドゥーケにて初演。エスクエラ・ボレーラ、民族舞踊、フラメンコ、そしてエスティリサーダとスペイン舞踊の美を堪能させてくれる作品。



同年、フランスのバレエ団やスコットランドのオペラなどの振り付けを手がける。

 

2023年 48歳 オペラ『アイナダマル』の振り付けを手がける。デトロイトやウエールズで上演された。



また、この年公開されたディズニー映画『ウィッシュ』の振り付けを手がける。



2024年 49歳 2023年度スペイン文化省による芸術功労名誉章受章


1月、マドリードで『パリのラ・アルヘンティーナ』を初演。スペイン舞踊を確立し、日本で初めて踊ったスペイン人であるアントニア・メルセ“ラ・アルヘンティーナ”が1928年にパリで上演したスペイン・バレエに想を得て制作された。





 

【筆者プロフィール】

志風恭子(Kyoko Shikaze)/1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。


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