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- カンテフラメンコ奥の細道 on WEB no.42
(lunes, 11 de noviembre 2024) 文/エンリケ坂井 Texto por Enrique Sakai Joaquín el de la Paulaのソレアー④ アルカラーのソレアーを代表するホアキン・エル・デ・ラ・パウラ(1875~1933)のスタイル④を取り上げます。 実を言えば、この④をホアキンのスタイルとする人もいればアントニオ・マイレーナの創作だという人もいて意見は分かれているのですが、一応ホアキンのスタイルという事にしておきましょう。 マイレーナはホアキンやアルカラーのヒターノ達との交流からアルカラーのスタイルを知り尽くした人であり多くの録音を残しているのですが、このスタイルもいくつかの歌詞で歌っています。 という事で例に取り上げるのは、もちろんアントニオ・マイレーナです。 (Letra) Yo te tengo〈compará〉 con la que está en el Castillo del Águila de Alcalá. (訳) お前をアルカラー城の アギラの聖母様と 比べてみた。 ◎compará ⇒ comparada(比べられた) ◎águilaは鳥の鷲(ワシ)。アルカラーはCerro del Águila(アギラの丘)にあり、ここの城にアギラの聖母が祀られている。 8音節から成る3行詩。このスタイルがマイレーナ作だと言われる理由は、ホアキンのファミリーの歌い手達(マノリートやタレーガ)の録音に残されていない事、そしてマイレーナがこの地味なスタイルを4種類もの歌詞で歌い録音した事がひとつ。 しかもマイレーナはこの歌をアルカラーのソレアーと題して録音しているので何らかの関係があるのでしょうが、いろいろな推理ができそうです。 そしてよく聴いてみると、この歌はセルネータのあるスタイルによく似ており、恐らくはその影響を受けています。 このようにスタイルの見極めはなかなか難しいのですが、ひとつ言える事はひとつのスタイルが何の影響も受けずにある日突然全く新しいものが生まれるという事はあり得ず、すべての歌はそれまでの長い歴史の積み重ねの中で大なり小なり影響を受けつつ生まれてきたという事なのです。 【筆者プロフィール】 エンリケ坂井(ギタリスト/カンタオール) 1948年生まれ。1972年スペインに渡り多くの著名カンタオールと共演。帰国後カンテとパルマの会を主宰。チョコラーテらを招聘。著書『フラメンコを歌おう!』、CD『フラメンコの深い炎』、『グラン・クロニカ・デル・カンテ』vol.1~35(以下続刊)。 ※CD『グラン・クロニカ・デル・カンテ』シリーズを購入ご希望の場合は、アクースティカ( https://acustica-shop.jp/ )へお問い合わせください。(編集部) >>>>>
- Golpe 2024
ARTE Y SOLERA 特別公演 (sábado, 9 de noviembre 2024) 2024年6月15日(土) ところざわサクラタウン ジャパンパビリオン HALL A 写真/川島浩之 Fotos por Hiroyuki Kawashima 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko フラメンコ舞踊家、鍵田真由美と佐藤浩希の両氏が率いるフラメンコ舞踊団「ARTE Y SOLERA(アルテイソレラ)」による特別公演『Golpe2024』が上演された。2020年と2021年に上演して以来3年振り、3回目の開催となるこの公演。特別出演として踊り・芝居・歌とマルチに活躍するアーティストの今井翼を迎えるということでも大きな注目を集めた。 オープニングは、鍵田を中心とする和装でのシギリージャの群舞。活気あふれる一体感で舞台を盛り上げる。続く工藤のソロでは、浅野の日本語の歌をしなやかに美しく舞う。また、あまりライブで上演されることのないという「ロシオ巡礼」の曲をフラメンコ・アレンジで披露。三人三様の音色豊かな女声カンテを、鍵田が優雅に踊る姿が愛らしい。 そして、今井のソロによるファルーカ。丁寧で力強い踊りには成熟した貫禄が感じら、回転のキレの良さはさすが長年のステージで培った賜物だろう。曲の後半では工藤とパレハでタンゴを披露し、ソロとは違う魅力を楽しませてくれた。 今回の公演はフラメンコにあまり馴染みのない観客が多かったようで、MCでは佐藤がハレオや手拍子のやり方を観客に楽しくレクチャーする場面も。すると、佐藤のソロのアレグリアスのときに、足技の場面で客席から自然発生的に手拍子やハレオが沸き起こった。これには佐藤も満面の笑顔になり、踊りを途中で止めて(通常の舞台では滅多にない)、その嬉しさと感動を正直に表した。 舞踊団と縁の深いピアノ&ボーカルの中島は、自身の作曲による「久遠の花」を新バージョンで披露。 透き通るような悲しげな歌を女性群舞で表現。 今井と男性舞踊手ら4人による群舞から始まるカーニャは、鍵田のソロのシーンやマントンを使った女性群舞による場面なども交え、様々な舞踊シーンが楽しめる見応えのある作品となった。 浅野の三味線ソロから始まる佐藤のシギリージャ。軽快でありながら高い熱量が感じられる速弾きは、まさに超絶技巧の域だ。その熱い演奏に髪を振り乱して踊る姿は、文字通り渾身の舞踊であった。 舞踊団としてこれまで培ってきた技術と表現力、そこに日本のエンターテイメント界で活躍するスター性を持つ今井が加わったことで、舞台全体がショーとしてより華やかで彩り豊かな作品に仕上がっていた今回の公演。この舞台をきっかけに、まだ知られていないフラメンコの魅力を多くの人に知ってもらえたなら何よりだ。 [出演] 鍵田真由美、佐藤浩希 東陽子、工藤朋子、中里眞央、矢野吉峰、三四郎 関祐三子、柴崎沙里、小西みと、辻めぐみ、辻陽満里、山﨑嬉星、小野寺麻佑 中島千絵(ピアノ/ボーカル) 斎藤誠(フラメンコギター) 白澤美佳(バイオリン) 浅野祥(津軽三味線) [特別出演] 今井 翼 [主催] 【埼玉公演】KADOKAWA 【石川公演】北國新聞 ======
- 鈴木敬子《フラメンコに生きる》
Flamencofan インタビュー (jueves, 7 de noviembre 2024) この度自身にとって5年ぶりの大きな公演となる、カデーナフラメンカ創立30周年記念公演 『VIVIR EN FLAMENCO フラメンコに生きる』 を主催するフラメンコ舞踊家、鈴木敬子さん。本番を今月下旬に迎えるというご多忙な中、これまでの道のりや特別ゲストのギタリスト、ファニ・デ・ラ・イスラの魅力、この公演の見どころなどを語っていただきました。 聞き手/金子功子 Entrevista por Noriko Kanek o 【INDEX】 ・スタジオ創立30年の歩み ・ファニ・デ・ラ・イスラの魅力 ・30周年記念公演の見どころ ――スタジオ創立30周年おめでとうございます。これまでを振り返って、今のお気持ちはいかがでしょうか。 「ありがとうございます。カデーナフラメンカというスタジオを作ったのが30年前でした。その前から、スペインにいた時から教える機会はありましたが、日本に帰国したときに「教えてください」という方がいらして、スタジオを借りて教え始めたのが最初です。次第に生徒さんたちが集まってくれるようになり、たくさんスタジオも借りていました。それと同時進行で、当時は自分のリサイタルなど舞台公演も毎年やっていたんですが、28か29歳のときに一番大きな節目として、アントニオ・カナーレスを初めて招聘することになりました。そのときにスペイン人アルティスタも7、8人くらい呼ぶことになって、これはスタジオが無いと思うようにリハができないなと思って。また生徒さんも増えてきたので、自分のスタジオを借りたいとも考えていたんです。その時にちょうど生徒さんで不動産屋に勤務している人がいて、渋谷区富ヶ谷にある物件を紹介してもらいました。賃料は少し高かったけど、床が木だったのでリフォーム代は低く抑えられるかな、と。そういう巡り合わせと、公演を成功させたいという強い気持ちがあって、思い切ってカデーナフラメンカというスタジオを作りました。そのおかげでリハも無事にできて、公演も成功しました。その後もカナーレスを何度も呼んだり、ハビエル・バロンも招聘したり、エル・フラメンコ(現ガルロチ)が呼んだアーティストとは毎回必ず1回は組ませてもらって、スペイン人と共演して自分を鍛えていきました」 ――舞踊活動に教授活動にと、精力的に活動を続けられてきました。今のスタジオに移転したきっかけは。 「建替えでの立ち退きの話があって、今のスタジオに移転しました。でもその後はスタジオを維持することが最優先になったので、スペイン人を招聘しての大きな公演はなかなかできなくなりました。自分が主催の公演としては、5年前に上演した25周年記念公演『CARMEN CARMEN CARMEN』が一番大きかったです。大きな公演だったので、文化庁の助成金を申請したりいろいろと大変なことを乗り越えて、この公演も無事に終わったんですが、その2か月後に今度はコロナ禍が始まったんです。生徒さんも来れなくなってスタジオも一時期閉めて…、この4年間はスタジオを維持するのも本当に大変でした。ここ1年前くらいからようやく戻ってきましたけど、それまでの間はどん底まで落ちて、スタジオも閉めようかと追い詰められたりもしました。でも、だからこそやっぱり自分がやりたいのはこれだ、と思って今回の30周年公演に行き着きました。《フラメンコは音楽である》と。自分にできる範囲で、これまでやってきたことを凝縮して舞台を作っていきたいです」 ――今回の特別ゲスト、ギタリストのファニ・デ・ラ・イスラとは以前に共演されていますね。 「ファニとは6~7年前、25周年公演の前に舞台で共演しました。当時日本に住んでいたアルバロ(アギラール・デ・ヘレス)の甥っ子で、家系的にもギターの腕前も素晴らしいんですが、日本ではこれまでソロで正式に呼ばれていないんです。CDもたくさん出していて良い音楽を作っているので、ここで日本に紹介したいな、と。同時にまた、平松さんと海沼さん達と私がやっていた曲をギターのパートで加わってもらうことで、今までの集大成ができるのでは、と思っています。彼のギターの魅力は、技術はもちろんですがパワーがあって、作曲する作品にも芯が通っていて、骨太な音楽を聴かせてくれるところです。根本的にフラメンコの土台がしっかりしているので、踊り伴奏も素晴らしいんです。直接聴いてもらうのがきっと一番伝わると思います」 ――今回は草月ホールとガルロチ、会場のスタイルを変えて2公演行われます。 「草月ホールでは、大きな舞台でファニの曲での大群舞を見せたいと思いました。ガルロチでは大人数は舞台に乗れないけど、近い距離で臨場感のあるフラメンコを感じてほしいと思っています。それぞれ違う方向から見せたいと思っているので、伴奏形態や音楽もちょっと変えてもらう予定です。また先日決まった話ですが、草月ホールでは歌い手のマヌエル・デ・ラ・クーラが出演します。かつてカナーレスのグループで彼のファミリアを呼んだことがあるので、歌が上手いのは間違いないですから、きっと盛り上がると思います。こんな感じで草月とガルロチとで舞台が変わってくるので、ぜひ2種類を味わってほしいと思います」 ――今回の公演についてSNSの動画で、《Bulería del Jazz》という曲で踊られてましたね。 「これは平松加奈さんの曲で、そこにカスタネットを入れて振り付けました、自分のリサイタルで10年前に初めて披露しましたが、今回はさらに深く練り込んで、そこにファニのギターが加わります。平松さん、海沼さん、進藤さんの3人がいないとできない曲なので、彼らの音楽との共演をぜひ楽しんでいただきたいです。プログラムは、最初にプレセンタシオンで《Esencias》というファニの曲を、踊りも入れて全員でやります。群舞は草月が9人で、ガルロチでは3人です。形態はブレリアと最後に少しシギリージャが入って、それに振付を行いました。2曲目はギターソロをたっぷり聴いてもらって、さらに加奈さん達の曲を楽しんでもらって、群舞や私のソロで締めます。後半となる2部は、最初がファニのタンゴの曲で、ブレリア・デル・ジャズ、そしてもう1曲ブレリアをやって、最後はシギリージャでフィナーレとなります。大枠の流れは決まっていますが、音楽の詳細な部分は彼が来日してから話し合うことになります」 ――最後に、読者の皆様に一言お願いします。 「かつての公演では、当初ファニの音楽中心のライブに私が加わる形でしたが、その1週間前にアルバロが亡くなり、もう一人お願いしていた歌い手も出演できなくなって、代わりのミュージシャンをお願いしたりと、困難が重なって大変な思いをしたけどやり抜いたライブでした。今回はそういう時期を一緒に乗り切ったメンバーと一緒に《フラメンコは音楽である》というテーマでお届けしたいと思っています。観ている人がワクワクするような、そして終わった後に爽快な気分になるような、そういう舞台にしたいです。ここまで簡単に来たわけではなかったし、いくつもの困難を乗り越えてここまで来ているので、それを全部出して、自分というものを伝えられるように、それがフラメンコなので、本当に大勢の人に観ていただきたいです。草月ホールとガルロチで、ぜひお待ちしております」 *スタジオ創立30周年記念公演のチケット情報などは、 こちらをチェック! 【プロフィール】 鈴木敬子(Keiko Suzuki) /フラメンコ舞踊家。高校卒業と同時に渡西しスペイン舞踊全般を6年間学ぶ。20歳でスペインにてプロデビュー。国立劇場でのサルスエラ主演を皮切りに、各地の劇場・タブラオ・テレビ等で活躍。1988年フラメンコ最大の祭典「ビエナル・デ・アルテ・フラメンコ」にソリストとして出演した。帰国後は、スタジオ「カデーナ フラメンカ」を主宰し、同時に公演活動を展開。1993年・1996年アントニオ・カナーレス、1998年ハビエル・バロン等、著名なアルティスタと多数共演する。2011年~2019年にアントニオ・カナーレスと6度の共演を果たす。2019年11月にはスタジオ創立25周年記念公演「CARMEN CARMEN CARMEN」において好評を博す。その他、多くの教則ビデオを出し、テレビ・CM・舞台などにも多数出演。日本フラメンコ協会理事。 [公式サイト] https://cadenaflamenca.jp ======
- 新・フラメンコのあした vol.21
(lunes, 4 de noviembre 2024) 20年以上にわたりスペインで活動するジャーナリスト東敬子が、今気になるスペインフラメンコのあれこれを毎月お届けします。今月は、間もなく開幕するスペイン国立バレエ団の来日公演に先駆け、今年7月にマドリードで上演された劇場公演についてのリポートです。 スペイン国立バレエ団 『へネラシオネス』 サルスエラ劇場、マドリード、スペイン 2024年7月21日 Ballet Nacional de España, "Generaciones” Teatros de la Zarzuela, Madrid. 21 de julio 2024 文:東 敬子 画像:宣伝素材 Texto: Keiko Higashi Fotos: Promoción 待望の来日が11月に迫ったスペイン国立バレエ団。6年ぶりとなる今回の公演は、A、Bプログラムに分かれ、バラエティに富んだスペイン舞踊の数々を堪能することができます。 今回は来日公演に先駆け、2024年7月マドリードにて、10日間に渡って上演された『へネラシオネス』公演の模様をお届けします。こちらは日本公演のAプログラム(「時代を超えて〜Generación〜」)とほぼ同じですが、日本公演では追加作品があり、日によって作品の変更もありますので、ご確認ください。 タイトルにある通りこの作品では、各ジェネレーションを代表する舞踊家による、時代を切り取った名作を一度に見ることができます。また、スペイン舞踊のスタイルの違いも同時に楽しむことができます。 「スペイン舞踊」は、スペインで生まれた4つの舞踊ジャンルの総称で、フラメンコの他、クラシックバレエの影響を受けたエスクエラ・ボレラ、スペインのクラシック音楽で踊られるクラシコ・エスパニョール(ダンサ・エスティリサダ)、そして土着の民族舞踊があります。音楽も舞踊技術も異なるこれら全てのスタイルを網羅した公演を行う、それが難しいのは、言わずもがな。しかし、それを行い、そして観客を存分に楽しませてくれるスペイン国立バレエ団は、だからこそ世界中で愛されているのです。 まずはアルベルト・ロルカがいにしえの名舞踊家ラ・アルヘンティニータへのオマージュとして振り付けた『リトモス』(1984)。これは同バレエ団の歴史を語る際、必ず名が出る作品で、正に同舞踊団の代表作の一つと言えるでしょう。私はリアルタイムで観ることはかないませんでしたが、今観ても、全く色褪せない華やぎであったり、新鮮なひらめきがあります。丈が今より少し短いファルダやシンプルな靴が、すごく可愛かった。パレハ、トリオ、女性の群舞、男性の群舞など、クラシックな構成や振付も面白かったし、何より技術が素晴らしい。オーケストラによる生演奏、カスタネット演奏も圧巻でした。 コンテンポラリーダンスの鬼才アントニオ・ルスとのコラボレーションは以前『エレクトラ』(2017)でもありましたが、新作『パストレラ』(2022)でも、その斬新さが光ります。インマクラダ・サロモンのソロで踊られるこの作品は、同バレエ団の現監督ルベン・オルモが打ち出すスペイン舞踊の未来を見据えた独特の世界観があります。18世紀後半に活躍したセビージャ出身の作曲家マヌエル・ブラスコ・デ・ネブラの曲のピアノ演奏で踊られるこの作品は、18世紀の音楽と21世紀の舞踊表現の出会い、すなわち、過去と現代の風景の出会いであり、時空を飛び越える内なる感動でもありました。 そして最後はアントニオ・カナーレス振付の『グリート』(1997)。当時のフラメンコのトレンドは、カナーレス一色だったと言っても過言ではありません。いや、彼のフラメンコのスタイルは、もはや現代フラメンコの基礎だと言えるので、観ていても、25年も前の作品である感覚は全くありませんでした。皆さんも普通に違和感なく「良い作品」という印象を受けるのではないでしょうか。 『グリート』は、カナーレスの真骨頂と言えるでしょう。マルティネーテに始まりセギリージャ、ソレア、アレグリアス、ティエント、タンゴと、フラメンコ一色。ソロやパレハが常のフラメンコにおいて、群舞をこんなに面白く見せられる振付は他に類を見ない。そして作品の中で少しずつ高まっていく高揚感と最後の爆発は、フラメンコそのものの表現であると思います。 でも、この作品はただ単に名作と言うだけでなく、現代のフラメンコが今探すべきものを私に再確認させてくれました。『グリート』は「現代フラメンコ」のスタート地点であり、今と繋がっている。だからこそ見えてくるのです。25年後の今を生きる現代の若いアーティストは皆、内なる感情をこめて踊ります。それはむしろ昔より強くなっている。しかし、それを観客と共有し、みんなと一緒のこの空間に昇華しようとする想いはどうでしょうか。皆さんに、ぜひこの名作を体験してほしい。そして現代フラメンコに今必要なものとは何かを探して欲しいと思うのです。 【筆者プロフィール】 東 敬子 (ひがし けいこ) /フラメンコ及びスペインカルチャーのジャーナリストとして、1999年よりマドリード(スペイン)に在住し執筆活動を続ける。スペインに特化したサイト thespanishwhiskers.com を主宰。 ======
- 特集:第23回ビエナル・デ・フラメンコ
(sábado, 2 de noviembre 2024) 2年ごとに開催されるスペインを代表するフラメンコの祭典、第23回ビエナル・デ・フラメンコが9月12日から10月5日までセビージャで開催されました。今年は24日間にわたり全64公演、バイレ、ギター、カンテそれぞれに様々なプログラムが上演されました。セビージャ在住のフラメンコ研究家、志風恭子さんがフェスティバル全体を振り返りつつ、強く印象に残った作品の数々を紹介してくれました。 文/志風恭子 Texto por Kyoko Shikaze ・印象に残った舞踊作品 ・エスパシオ・トゥリナでのギター公演 ・今年のカンテ公演 ・イスラエル・ガルバン『カルメン』 ・素晴らしい作品の数々 今はマラガやオランダなど、各地でビエナルを名乗るフラメンコ・フェスティバルが開催されていますが、本家本元はこちら、セビージャのビエナルです。1980年に第1回が開催されました。ビエナル(bienal)とは、2年に一度という意味。イタリア語でビエンナーレというのも同じ意味で、ヴェネツィアの美術展が有名で、日本でもビエンナーレをうたう美術展が各地で開催されていますが、こちら、セビージャのビエナルは偶数年の秋に1ヶ月前後の長きにわたって行われるフラメンコ・フェスティバルです。 ビエナル以前は、フラメンコのフェスティバルといえば、アンダルシアの各町で行われる夏のフェスティバルのことで、一夜にカンテを中心に多くの歌い手が出演し、それぞれが2、3曲くらい歌い、一人の踊り手もしくはクアドロなどのグループが出演するというものでした。 ビエナルでも最初の頃は、舞踊団公演やパコ・デ・ルシアなどごく少数のアーティストのコンサート以外はほぼそういった形式の公演でしたが、90年代から、アーティストの企画作品が増えます。そのことはスペイン国内外でのフラメンコ公演数の増加にも繋がりました。フラメンコという漠然としたくくりではなく、タイトルのついた作品ということで、フラメンコをよく知らないところでも受け入れやすくなったのです。 また、アンダルシア各地のフェスティバルも、ビエナルの影響を受けて、多数のアーティストが出演する一夜限りのものではなく、少数のアーティストが数日間にわたって登場するタイプのものにスタイルが変わってきました。そんな風にフラメンコの流れを変えた歴史的にも重要なフェスティバルが、セビージャのビエナルなのです。 ©︎ Kyoko Shikaze 10月8日、出演アーティストたちも集まりアルカサルで行われた記者会見では、市長が「64公演中39公演が入場券売り切れ、トータルで39,000人の観客を集め、入場券売り上げは100万ユーロに達した」と、その成功を発表しました。また調査によると、セビージャ市在住者が54.3%、市外から日帰りで来た人が13.4%、外から来た人は6割が国内からで、外国からはフランスが11.7%、ドイツ7.6%だったそうです。かつて、ビエナルといえば、で、開演前のアナウンスでもスペイン語、英語に続いて日本語がありましたが、それも今年はなかったのも当然と言えそうです。 今年のビエナルは24日間、64公演。カンテ、バイレ、ギター、ベテランから若手まで、伝統派から前衛的なものまで、どんなフラメンコファンでも観に行きたくなるような公演がある、非常にバランスの取れたプログラムだったと思います。前回のビエナルが伝統派の公演が少なく、未来志向だったのに比べると、後戻りしているような感じもありましたが、より幅広いファン層、もっと言うと前回不満を表していたペーニャ関係者に合わせた公演も取り入れたものとなっていたように思います。 ただ。1日に3公演ある日も多く、時間がかぶっていることや、19時開演の公演を最後まで見ていると次の20時半からの公演には間に合わないということなどもあり、すべての公演を最初から最後まで観るということは不可能です。そんな中でもプレス関係者や各地のフェスティバルの関係者などは1日に数公演観るなどして、30公演以上、40公演観ている人もいました。私が観たのは34公演。当初は40公演観る予定でしたが、途中で体力不足、気力不足を実感し、減らしました。本当なら全部観たい。でも無理でした。そんな中、頑張って観た公演の中で印象に残ったものなどについてお話ししたいと思います。 今回のビエナルで最も完成度の高かった作品は文句なく、パトリシア・ゲレーロが監督を務める アンダルシア舞踊団『ピネーダ』 でしょう。 Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León 新作初演が多い中、すでにグラナダ、アルハムブラ内の野外劇場での3週間の公演に加え、パンプローナでも公演しているということも、もちろんあるでしょう。でも、もともとの作品の構成、振付、音楽、演出、衣装、装置、照明、そして出演者たちのクオリティの高さで、長いビエナルの歴史にも残るべき、屈指の作品だったのではないかと思います(ちなみに私は90年以降、ビエナルの大部分の公演を見ています)。これはおそらく演出家の手腕ゆえだと思うのですが、衣装や音楽で役柄を表現するなど、うまいなあ、と唸らせられました。主役のマリアナ・ピネダを踊るパトリシアはもちろん、反政府主義者役のエドゥアルド・レアル、取り締まる仇役のアルフォンソ・ロサ、それぞれの存在感もあって、物語を詳しく知らない人でも話の流れはなんとなくわかって楽しめたのではないかと思います。 【動画】 ビエナルのオフィシャルビデオよりも、グラナダ公演のこのプロモーション動画が作品を一番よく表現しているので、こちらを。 https://youtu.be/IaBPnSMY53o?si=S5wPULRy4YCnqTh8 作品の規模はずっと小さいのですが、演出の手が光っていたということでもう一作品、挙げておきましょう。 ハビエル・バロンとロサリオ・トレドの 『カプリチョス』 。こちらはこれが初演。ゴヤの版画シリーズ『カプリチョス』に想を得て綴っていく短編集みたいな作品。二人の実力派の才能を見極め、想いを汲んでユーモアあふれるフラメンコで楽しい作品へと作り上げました。最後に二人で踊ったアレグリアス、88年のビエナル、ヒラルディージョのコンクールで優勝した振付。30年以上前のものなのに今見ても新鮮で、本当にいいものは時がたってもいいことを改めて証明してくれました。 Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León 根っからのバイラオーラ、ラファエラ・カラスコの舞台 『クレアビバ』 も強い印象を残しました。彼女の最高の作品、というわけではないのですが、とにかく形と動きの美しさで、涙が出てくるほどでした。コンテンポラリー的なことをしても、伝統がより洗練された形で今を映しているような最後のカンティーニャスの素晴らしさが心に残ります。 Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León と、まずは舞踊から始めましたが、今回もっともうれしい驚きをくれたのはエスパシオ・トゥリナでのギター公演でした。その全てが質の高いコンサートだったのですが、特に印象に残ったのは三つ。 ペドロ・シエラ のソロ・リサイタル、 ダビ・デ・アラアル のコンサート、そして マヌエル・バレンシア の作品です。 ペドロはパルマも無しの全くの一人で、若い頃のスピードもテクニックも衰えるどころかさらに強化されているという感じで、突っ走る、という感じ。すごかった。 Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León ダビは多分おっとりした性格なのでしょう。ゆったりと構えて、特にソレアでは音を出さずにコンパスを回す、などという超絶技まで見せて、若さに似合わぬ落ちつきぶりで、しっかり聴かせてくれました。歌伴奏(サンドラ・カラスコ、マヌエル・デ・トマサ)、舞踊伴奏(カナーレスなど)、そしてソロと三つを並行してやっているからこそ、ということもあるのかもしれません。 Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León ファルキートの伴奏もしていたヘレスのマヌエル・バレンシアは歌のダビ・カルピオ、踊りのチョロと3人で、フラメンコギターの世界を見せる完璧な作品を見せてくれました。特に歌伴奏、ソロ、舞踊伴奏で演奏が全く変わっていくシギリージャが素晴らしかったです。 Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León また、トマティートの息子ホセ・デル・トマテと今年のウニオンの覇者ジョニ・ヒメネスと歌い手イスマエル“ボリータ”とのリサイタルも、リハーサルなし、本番当日楽屋で合わせただけと言いながらナチュラルなムイ・フラメンコで、若手の底力、フラメンコの明るい未来を見せてくれました。 Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León 他にも、マノロ・フランコ、ミゲル・アンヘル・コルテスとホセ・マリア・ガジャルド、フアン・カルロス・ロメーロ、リカルド・モレーノとニーニョ・ホセーレが登場したこのホール。ロペ・デ・ベガ劇場が改装準備とかで使用できない今年、一番、舞台と客席の一体感もあったということもあるのかもしれません。 ギターでは他にも、アラメーダ劇場でライムンド・アマドールとのジョイントコンサートに出演したカラカフェの超フラメンコ性が忘れられません。ギターで歌う、というのはこの人のトーケのことでしょう。 Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León どんどん前を向いて進んでいく舞踊やギターに比べ、カンテはちょっと停滞しているようにも思いました。作品を意識してか、複数のギタリストなど多数のミュージシャンを登場させたり、舞台で歌う位置を変えたり、テーマに沿ってプログラムを組んだり、と色々試行錯誤しているのですが、そのことによってカンテ本来の持つ力が薄まってしまっているようにも思えました。 そんな中、トレメンディータがカイータと共演した 『マタンセーラ』 が印象に残りました。トレメンディータが演奏するエレキベースとドラムスの伴奏は、普段ギター伴奏で歌っているカイータにとっては新しいものなはずですが、その彼女が気持ちよく歌っていたということは、そのためにトレメンディータがどれだけ頑張ったかということで、トレメンの愛と敬意ゆえの結果ではないかと。 Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León フラメンコは未来へと進んでいきます。 閉幕を飾った イスラエル・ガルバン『カルメン』 もその一つの形。オーケストラでオペラ歌手の歌う『カルメン』も含め、『カルメン』が象徴するものを全てネタにして笑い、換骨奪胎する中で、固定観念から脱却し、本当のカルメン、本当のスペイン、本当のセビージャ、本当のフラメンコのエッセンスが浮かび上がっていく、のかもしれない。というのはともかく、パッと、腕を上に上げたその形の美しさ。フラメンコ性。その姿を思い出すだけで幸せになります。 Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León イスラエルはフラメンコを超えるフラメンコなのであります。 この他にも素晴らしい瞬間がたくさんありました。パコ・デ・ルシアへのオマージュである開幕ガラでのトマティート。 Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León ミゲル・ポベーダのコンサートにゲスト出演したエバ・ジェルバブエナのバンベーラ。 Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León リニャンのミュージカル風作品『ムエルタ・デ・アモール』のスペイン舞踊(ボレーラとムニェイラ)の素晴らしさ。 Archivo fotografico La Bienal de Flamenco_ @Laura León_ イネス・バカンのシャーマン性。 Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León アントニオ・カナーレスに即興で歌いかけるペレ。 Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León エスペランサがファルキートに歌ったシギリージャ。 Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León たくさんの素晴らしい瞬間と、もう忘れてしまった居心地のよくない時間。 フラメンコは楽しむもの。不満は忘れて、いいものだけを心に残すことと致しましょう。 【筆者プロフィール】 志風恭子(Kyoko Shikaze) /1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。 ======
- わが心のスペイン vol.11
(lunes, 28 de octubre 2024) 南房総と南スペインで田舎暮らしを楽しむ、石井崇が描くスペインの情景。 『ぶどう酒』 「詩画集プラテーロとわたし」からの一点です。 実際にはロッハの街のカフェバルです。 詩のタイトル、「エルリアリスタ」から その名を壁面に描きました。 元はアニス酒の銘柄でした。 【プロフィール】 石井崇(Takashi Ishii) /画家。1942年東京・京橋生まれ。東京芸術大学卒業後、1975年単身スペインに渡り、村祭りを回るテキヤ業などでしのぐ。セビリア郊外アルカラ・デ・グアダイラに居住。1989年よりグラナダ・アルプハーラ(Alpujarra)地方にあるフェレイローラ村(Ferreirola)にアトリエを構え、今はフェレイローラ村と南房総館山をふたつの故郷とし、田舎暮らしを楽しんでいる。著作は「おれたちがジプシーだったとき」、「詩画集プラテーロとわたし」、「スペイン四季暦」、「南スペイン、白い村の陽だまりから」、画集「イシイタカシの世界」など。2004年「館山親善ふるさと大使」に任命、全国大学フラメンコ大会を企画。 ホームページ「イシイタカシの世界」 http://www.oliva2004.net/index.html ======
- faroles para futuros flamencos 〜未来への道標〜 vol.6
(viernes, 25 de octubre 2024) 大阪を拠点に活動し、劇場公演からタブラオライブまで日本各地で活躍する今人気急上昇中の若手フラメンコダンサー、ファロリート(Farolito)こと出水宏輝さんのエッセイを2か月毎に全6回、1年間にわたりお届けしています。 第6回となる今回はついに最終回。この連載エッセイを通して改めて感じたというフラメンコへの思いについて語っていただきました 。 文/出水宏輝 Texto por Kouki Demizu いつもご覧いただきありがとうございます。 「faroles para futuros flamencos 〜未来への道標〜」ついに最終回を迎えました。 このエッセイは、フラメンコを志したきっかけや、留学時代の話、ダンサーとしての現在の話などを執筆いただきたい、と担当の金子功子さんからご依頼いただきました。 実は僕自身「エッセイ」にトラウマがありまして…(笑) 大学の卒業論文でフラメンコについて書いた際に、大学教授から「エッセイが多すぎる! 卒業論文に自分のこと書きなさんな!」って怒られながらも卒業させてもらった出来事がありました。(笑) ですが、この執筆を続けている間にもライブや公演、クルシージョなどで地方へ行かせていただいたときに「ファロさんのエッセイ拝見してます!」「Flamencofan毎回楽しみにしています!」と言っていただく機会が多くなりまして、日本語が下手な割には続けてきてよかったなと感じています。 ついに最終回。タイトルにもあり、自身のフラメンコにも直結することについてお話ししたいと思います。 『faroles para futuros flamencos 〜未来への道標〜』というタイトル。 「今度エッセイを書くんやけど興味惹かれるような読み甲斐のある内容、かつ誰かのために役に立つ情報を書きたいんやけど、良いスペイン語ある?」 意図にピッタリ当てはまるスペイン語に悩んだ僕は、当時、スペイン在住であった瀬戸口琴葉さんに相談しました。 悩みに悩んで綴られたタイトルは、 【街灯(faroles)が未来のフラメンコ/フラメンカたちのために(para futuros flamencos)たとえ小さな灯でも一助となるように。】 そんな意味が込められました。 読んでくださる方がいるから、書くことができる。 フラメンコも同じで、 見にきてくださるお客様がいるから、より良いクオリティで披露することができる。 フラメンコというナマモノならではの熱さや迫力を伝えるには、1人で動画を撮って披露しても仕方がなく、現地にお客様がいるからこそフラメンコの良さを感じ取ってもらえる=伝えることができる。 小さな行動の重要性と、感謝を改めて実感させていただいたエッセイでした。 思っていることや感じていることを言葉にするのは難しいけれど、この経験も今後のフラメンコ活動において役立つことだと感じています。 昔から「誰かの何かになりたい」 そう思いながら日々、フラメンコの練習に励んでいます。 喜んで、怒って、哀れになって、楽しんで。 時には泣いて、悔しくなって、切なくもなって儚くもなってほしい。 忘れ去られていた感覚を取り戻したり 新しい感情を身に感じてもらえたり 胸ぐら掴まれるように心を掴まれたり。 そんな人間という動物の新鮮な感情を、 それぞれの魅力を、 フラメンコを通してお伝えできたらいいなと思っています。 誰かのために光を灯せるように、これからも頑張ります! 最後になりますが、ここまで読んでいただいた読者の皆様、Flamencofanの金子さん、関係者の皆様方、本当にありがとうございました。 (写真)クラスの様子 内田好美フラメンコスタジオCasa Rábanoにて *お知らせあります!下まで見てね↓ 【プロフィール】 出水宏輝(Kouki Demizu) /10歳の時に石川敬子フラメンコ教室にてフラメンコを始め、田中光夫氏にギター・カンテを、舞踊・パルマを棚原美和氏に師事。14歳のときにタブラオ ロス・ヒターノスで男性舞踊手としてプロデビュー。2014年、官民協働海外留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」の1期生として1年間スペイン留学。2018年第1回全日本フラメンココンクールで努力賞、2019年日本フラメンコ協会第28回フラメンコ・ルネサンス21「新人公演」で奨励賞、2021年第10回エルスール財団新人賞(フラメンコ部門)を受賞。 また、2018年摂南大学入学宣誓式にて、在学生300名以上とフラメンコのフラッシュモブを大阪城ホールにて実施。 現在、大阪を拠点としながら全国各地で精力的に活動している。 ☆活動情報はこちらから。 https://lit.link/farolitoflamenco 【次回予告!】 連載期間中、大好評をいただきましたこのエッセイも今回が最終回となります。 「ファロさんの連載が終わってさみしい…」と思っている皆様に朗報です! 12月20日(予定)から出水さんの新連載 「Dr.ファロのフラメンコ・クリニック」 がスタートします。 ソロや群舞の踊りの事はもちろん、パルマやコンパス、練習方法や留学のことなど、フラメンコにまつわる様々なお悩みにファロさんがナイスな!?アドバイスを処方してくれます。 その新連載スタートにあたり、皆様の質問を大募集します! ご質問を採用させていただいた方には、500円のギフトカードをプレゼント☆ 練習生・プロ・セミプロ問わず、ファロさんにお悩み事を診察してほしい方は《質問内容・お名前(&ペンネーム)・電話番号》をご記入の上、 info@flamencofan.net までご質問お待ちしています!(編集部) ======
- アーティスト名鑑vol.11 アントニオ・ナハーロ
(miércoles, 22 de mayo 2024) スペイン在住30年以上、多数の一流フラメンコ・アーティストらとも親交のあるフラメンコ・ジャーナリスト志風恭子が、代表的なアーティストらのプロフィールをピックアップ。過去の取材で撮影した写真や、チェックしておきたい動画などもご紹介します。 今月は特別版として、スペイン国立バレエ団の芸術監督を8年間務め、舞踊家としても振付家としてもその才能が世界から注目を集め、今年7月には自身の舞踊団を率いての初来日公演が予定されるアントニオ・ナハーロをフィーチャーします。 * アントニオ・ナハーロ舞踊団公演の情報はこちらから 文/志風恭子 Texto por Kyoko Shikaze Antonio Rodríguez Najarro “Antonio Najarro” Madrid, 22-11-1975 アントニオ・ナハーロ 本名アントニオ・ロドリゲス・ナハーロ 1975年11月22日 マドリード生まれ 現代スペインを代表する舞踊家の一人アントニオ・ナハーロ。古典舞踊エスクエラ・ボレーラ、民族舞踊、フラメンコ、そしてそれらの技術を使って表現するエスティリサーダというスペイン舞踊の4ジャンルに精通し、スペイン舞踊以外の舞踊表現も取り入れて、エンターテイメント性の高い作品の数々を世に送り出してきた。2011年から8年間スペイン国立バレエ団芸術監督を務めたほか、フィギュアスケートやアーティスティックスイミングの振付、ファッションショーとのコラボ、国営放送での舞踊番組の企画司会など、多彩な活動で知られる。 【経歴 Biografía】 1981年 6歳 マラガのフェリアがきっかけで舞踊に興味を持つようになる。 1983年 8歳 マドリードの教室で舞踊を習い始め、後、舞踊学院に学ぶ。 1990年 15歳 マドリード、マリエンマ王立舞踊学院の学生でありながらラファエル・アギラールに抜擢されアギラール舞踊団オーストリア公演に参加。同バレエ団では92年にソリスト、93年には第一舞踊手の役を踊る。 以後、アントロヒア舞踊団、アントニオ・マルケス舞踊団などで活躍。 1995年 20歳 マドリード、スペイン舞踊とフラメンコ振付コンクールに『ススピロ・デ・モロ』で参加。翌年同コンクールに『モビミエントス・レベルソス』で再び参加。 1996年 21歳 ホセ・アントニオ振付作品のイタリア、ヴェローナのアリーナ公演にソリストとして出演。 1997年 22歳 スペイン国立バレエ団入団 1998年に初演されたハビエル・ラトーレ振付『ポエタ』では、ビセンテ・アミーゴの名作を踊る若き日のアントニオの姿を観ることができます。 https://youtu.be/ZpfP_Th-4JQ?si=oVePdhfQWaqPCTCs 1999年 24歳 マドリード、スペイン舞踊とフラメンコ振付コンクールにおいて作品『ネレイダス』で最優秀振付賞受賞、スペイン国立バレエ団ソリストに昇格。 1991年スペイン国立バレエ団日本公演のプログラムから。 隣にルベン・オルモ現スペイン国立バレエ監督がいるというのが面白い。演目は『ボレロ』ですね。 2000年 25歳 スペイン国立バレエ団第一舞踊手に昇格。5月、セビージャのマエストランサ劇場でスペイン国立バレエ団『ネレイダス』初演。 国立バレエ団版『ネレイダス』2001年の録画。日本公演でも上演されました。 https://youtu.be/jxzq9jqKtrg?si=KSqXFTryGt7DhNav また、この年からフィギュアスケートの振付協力を開始。 アニシナとペーゼラのフラメンコ/タンゴは、2002年のソルトレイクシティ冬季五輪で金メダルを獲得。 https://www.youtube.com/watch?v=eT968f7Q4oA 2001年 26歳 スペイン国立バレエ団退団 2002年 27歳 アイーダ・ゴメス舞踊団『サロメ』でヨカナーンを踊る。 パセオの表紙にもなりました。 同年、自らのカンパニーを立ち上げ、『タンゴ・フラメンコ』を初演。 『タンゴ・フラメンコ』 https://youtu.be/6sZcsSN2-Ww?si=ol-jBDX--4JvHGj- 以後、数々の作品を創作。 2006年 31歳 自らの舞踊団で『フラメンコリエンタル』を初演。 https://youtu.be/PT86Ygvhut4?si=EA8BmsqUBZ5AEams 2006−2007年シーズンにフィギュアの王者ステファン・ランビエールに振り付けた『ポエタ』は、ビセンテ・アミーゴのドラマチックな曲とともに、フラメンコ・ファンを増やすきっかけにもなりました。 https://www.youtube.com/watch?v=VCM9bAfa7SE&t=73s 2008年 33歳 セビージャ、スペイン舞踊とフラメンコ国際コンクール最優秀振付家賞受賞 『ジャジング・フラメンコ』初演。 https://youtu.be/nPkS6Akt-xA?si=lUGQEOPLwW_BULKG 2009年 34歳 2009年度アルレクイン若き振付家賞受賞 2011年 36歳 1月、自らの舞踊団で『セビリア組曲』初演。 https://youtu.be/YUp3CmhTtRo?si=mmaH6aXPl306Zopx 同年4月、スペイン国立バレエ団芸術監督に任命、9月に就任。 2012年 37歳 3月、サルスエラ劇場で監督としての初公演。ハビエル・ラトーレ、ラファエラ・カラスコ、マヌエル・リニャン、ルベン・オルモ、オルガ・ペリセ、ロシオ・モリーナという現代フラメンコを代表する舞踊家たちの振付で構成された『アンヘレス・カイードス』と、自身の舞踊団で前年に初演された『セビリア組曲』。 https://youtu.be/7C3orvmsCpA?si=A5hHCJPgexwqhnRC アンヘレス・カイードスは「堕天使たち」という意味で、ヴィム・ヴェンダースの映画『ベルリン、天使の詩』に想を得た作品で、演出はエバ・ジェルバブエナ作品なども手がけたハンセル・セレサ。 現監督ルベンによる振付で本人がバレエ団と共に踊っている場面。 https://youtu.be/Veek00F97aM?si=rmeu2ZczeQqpKsTn オルガとロシオの場面 https://youtu.be/akK-r6h-MPg?si=FJcE7f6Bh5sKir4S 2013年 38歳 2月、国立バレエ団監督としてバレエ団を率いて来日。『セビリア組曲』『メデア』『ホタ』などを上演。 同年6月、アントニオが一部の振り付けを手がけた国立バレエ『ソロージャ』初演。ソロージャはバレンシア出身の画家で、そのスペイン各地を描いた絵画(ニューヨークのスペイン・ソサエティ蔵)を舞踊にした作品。民族舞踊やフラメンコ、そしてエスティリサーダとバラエティに富んだスペイン舞踊で綴る舞踊絵巻。 これはその王立劇場公演のためのプロモーション映像。 https://youtu.be/VBPs8_PqNTs?si=MBl31DYTQOWLbBMz 2015年 40歳 6月、国立バレエ『アレント』初演。前作『セビリア組曲』に続き、エンターテイメント性の高いスペイン舞踊作品。 https://youtu.be/B609Gypqrmk?si=orqQcmWlIXVY1DHB 2017年 42歳 12月、国立バレエ『エレクトラ』マドリード、サルスエラ劇場で初演。コンテンポラリー・ダンサー、アントニオ・ルス振付のこの作品で、主人公の母の情夫役で久しぶりに舞台復帰。 https://youtu.be/vJLGqQZNISk?si=XfP6COOBx4eF5iS1 2018年 43歳 スペインのデザイナー、オタイサ(OTEYZA)の2019春夏コレクションのファッションショーを国立バレエメンバーをモデルに振り付け、演出し話題を呼ぶ。 https://youtu.be/reBMh2PDqI8?si=jBIk4UwhW-3hHhoG 2019年 44歳 5月、ムルシアで国立バレエへの振付作品『エテルナ・イベリア』初演。今年(2024)秋のスペイン国立バレエ団日本公演で上演予定。 https://youtu.be/v6QUuVBIePQ?si=Xfzugc4hj_58VsYz 2020年 45歳 7月、コロナ禍の中、ようやく開催されたグラナダ国際音楽舞踊祭で新生ナハーロ舞踊団『アレント』初演。国立バレエ版との大きな違いは、音楽がミュージシャンたちによる生演奏であること。また衣装も新しくなっているし、新曲も追加されている。 https://youtu.be/6hEEKwOGg5M?si=_5svvWH5hoN45fLU 2021年 46歳 国営放送でアントニオが発案し、監督、司会を務めるスペインのさまざまな舞踊や舞踊家たちを紹介する舞踊番組、『ウン・パイス・エン・ダンサ舞踊の国』が放映される。 https://www.rtve.es/play/videos/un-pais-en-danza/ https://youtu.be/7uuR2l3h3no?si=yb9xxHos_SCgvNqn 国際フラメンコの日を記念して、プラド美術館でフラメンコ舞踊家たちが踊る作品を演出。 https://youtu.be/VVgts8bHZU0?si=HbEqTOHM_y0Qu7xT 2022年 47歳 『ウン・パイス・エン・ダンサ舞踊の国』第2シーズンも放映される。 https://www.rtve.es/play/videos/un-pais-en-danza/pais-danza-segunda-temporada/6753227/ 7月、新生ナハーロ舞踊団の新作『ケレンシア』を、オーケストラの生演奏の伴奏で、マドリード、コンデ・ドゥーケにて初演。エスクエラ・ボレーラ、民族舞踊、フラメンコ、そしてエスティリサーダとスペイン舞踊の美を堪能させてくれる作品。 https://youtu.be/CdY9C7McWvA?si=HOUlewU6VT8BnYPQ 同年、フランスのバレエ団やスコットランドのオペラなどの振り付けを手がける。 2023年 48歳 オペラ『アイナダマル』の振り付けを手がける。デトロイトやウエールズで上演された。 https://youtu.be/4LidSTvY5OM?si=JtyAjmj4C0dFTeM8 また、この年公開されたディズニー映画『ウィッシュ』の振り付けを手がける。 https://youtu.be/xBRjVnll26k?si=eimTvxIx4uE9n_wj 2024年 49歳 2023年度スペイン文化省による芸術功労名誉章受章 1月、マドリードで『パリのラ・アルヘンティーナ』を初演。スペイン舞踊を確立し、日本で初めて踊ったスペイン人であるアントニア・メルセ“ラ・アルヘンティーナ”が1928年にパリで上演したスペイン・バレエに想を得て制作された。 https://youtu.be/RgiG6Vsb5e0?si=vsTwM6-VtZQpKmfO * アントニオ・ナハーロ舞踊団公演の情報はこちらから 【筆者プロフィール】 志風恭子(Kyoko Shikaze) /1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。 >>>>>
- アルテの泉 ~La Fuente del Arte~Ⅵ
(viernes, 24 de noviembre 2023) フラメンコダンサーとして様々な舞台で活躍し、また舞踊作品の振付や演出、さらには教室を主宰するなど多才な活動を行っている田村陽子さんの連載を、毎月1回この半年間にわたりお届けしています。 最終回となる今月は奇数月のテーマ「バイレの現場から」として、先日上演されたフラメンコ公演についてのエッセイをご紹介します。 文/田村陽子 Texto por Yoko Tamura Side B:バイレの現場から 「劇場公演を終えて」 いつもお読みいただきありがとうございます。連載最終回となりました。ちょうど終えたばかりの公演『La Serpiente~蛇になった女~』についてのご報告で締めたいと思います。 11月3日文化の日にセシオン杉並ホールにて無事に終了いたしました。 会場へお越しくださった皆様、応援を寄せてくださった方々、キャスト、スタッフ、家族その他ご協力いただいたすべての方にお礼申し上げます。安珍清姫を元にフラメンコアレンジを加えたオリジナルストーリー。構想10年温めてきてよかった。念願だった情念の世界と蛇、そして炎の激しさを表現いたしました。 コロナ禍を経てスペインアーティストと久々に共演できたのも刺激を受けました。2020年に上演予定だった公演、今年発表となったのには意味があるのだと思います。スペインアーティストと話しているとよく耳にする言葉、"Todo pasa por algo" (全ては起こるべくして起こる)。色々なことがあるといつもこの言葉を思い出します。生きていく上で経験すること、出会う人、辿り着いた場所…すべてに価値がある。そう思えます。今回の公演延期に関して言えば、3年待ったことで更にアイデアを熟成させ深みを持たせることが出来たのではないかと思います。自身の公演としては実に6年ぶり。頭の中でずっと思い描いてきたシーンが舞台上で表せることの大きな喜びを久しぶりに味わうことが出来ました。 スペインと日本の取り組み方の違いも感じました。日本はじっくり時間をかけて少しずつコツコツ仕上げていく形。スペインは短期集中型。そんなイメージですかね。いろいろ事前に資料を送ったりしても、実際にやってみるとどんどん変化していく。もちろん良い方向へ。彼らの止まらぬアイデアとそれを受け入れ前に進む力、そして本番での瞬発力と集中力とエネルギーといったら。目を見張るものがあります。本公演では日本式とスペイン式の良いところが上手くブレンドされたように思います。何より一番大切なチームワークが最高でした。それぞれが自分の役割を素早く理解し、互いを助け合って仕事していました。群舞の皆さんも驚くべき集中力と柔軟な思考と行動力でステージに彩りを与えてくれました。 劇場公演は想像できないほどのお金と時間と労力がかかります。容易なことではありません。それだけに終えた時の達成感や喜びが大きく、またやりたくなってしまう。このループに嵌ってしまっています。出来れば皆さんにもどんどんチャレンジしていってほしいと思います。コロナ後の芸術を支援する補助金制度などありましたが本当にありがたかったですね。今回はスペイン舞踊振興MARUWA財団に助成いただき感謝しています。機会があればこれからチャレンジする方のお手伝いもしていきたいと思います。 終演後の感想で「もう一度観たい」「一回だけではもったいない」「再演してほしい」とのお声をいただき、とても嬉しくありがたく存じます。一人でも多くの方にご覧いただきたく、只今ビデオ配信の準備を進めています。近いうちにお知らせできると思いますのでご期待ください。 最後になりますがフラメンコへの理解を深めるため、練習生の助けになるよう、そして日本のフラメンコ界が明るくなるよう様々な情報をシェアしてくださるFlamenco Fanにありがとう!を捧げます。 Viva el Flamenco !!!!!!!! 【プロフィール】 田村陽子(Yoko Tamura) /フラメンコダンサー、フラメンコ教室「Estudio LA FUENTE」主宰。 幼少よりバレエ、バトントワリング、ジャズダンス等様々なジャンルの舞踊を習得。17歳のころより中井不二子、アントニオ・アロンソ、水村繁子らに師事した後2002年小松原庸子スペイン舞踊研究所に入所。同舞踊団の下、フラメンコやクラシコエスパニョールをスペインの著名アーティストらに指導を受け、国内外の公演に多数参加。2012年7月退団後は国内のタブラオ出演や多様なジャンルとのコラボレーション、テレビCM出演等多彩な活動をしている。また、スペイン留学を重ね多くの一流アーティストらに師事、研鑽を重ねつつ舞台やライブの創作活動にも意欲的に取り組む。 2011年第6回CAFフラメンコ・コンクール優勝。2015年フラメンコ生活20周年記念公演「Mirada∼Piano con Duende」にて平成27年度文化庁芸術祭新人賞受賞。 >>>>>
- アルテの泉 ~La Fuente del Arte~Ⅴ
(viernes, 27 de octubre 2023) フラメンコダンサーとして様々な舞台で活躍し、また舞踊作品の振付や演出、さらには教室を主宰するなど多才な活動を行っている田村陽子さんの連載を、毎月1回半年間にわたりお届けします。 第5回目となる今月は、偶数月のテーマ「プロに聞きたい!Q&A」として、フラメンコの踊りにまつわる様々なお悩みに答えていただきました! 文/田村陽子 Texto por Yoko Tamura Side A:プロに聞きたい!Q&A Q1. エスコビージャ(足技)を打ってるときに、身体がグラグラしたり上下に揺れたりしてしまいます。安定して打てるようになるには、どんな点に注意したらいいですか? A1. エスコビージャに限らず身体がブレてしまっては、見ている方も不安になります。まずはしっかりと体幹部に力を入れることですね。左右の腰骨を結んだあたりを意識して。背中の方にグッと引き寄せるような感覚を持つとよいでしょう。その時に股関節を固めないように注意しましょう。股関節の動きがロックされると前モモに力が入り、上手く足を打てなくなってしまいます。そして床の下から誰かに引っ張られているように密着させると安定感が出ます。余分な力が入りすぎていると余計にぶれるので、体幹以外の力を抜くことも必要です。 Q2. ブエルタが上手に回れません。どんな練習をしたらいいですか? A2. 先のエスコビージャとも共通しますが、力を入れすぎないことがとても重要です。一回転ならば「回る」というより「振り向く」という感覚の方が良いでしょう。顔が向いた方向に体は付いてきますので、顔と体が別々に動かせるように。誰かにトントンと肩を叩かれ振り返る時に体ごと向く人はあまりいないと思います。その感覚を思い出して。「回る!」と思うと途端にガチガチに固まってしまうパターンをよく見かけます。それでは体の各部位を別々に動かせません。顔を正面に残し体を先に旋回させもうこれ以上正面を向いていられないというところまで来たらクルッと振り返ります。それだけです。考えすぎずシンプルに。しっかりと床を押すことも忘れずに!最初はゆっくりコツコツと練習すればタイミングが合ってきます。 Q3. 本番前のリハーサル時間が十分に取れない時、ミュージシャンの方々と「これは絶対確認しなきゃダメ!」という大事なポイントはありますか? A3. まずパロ(曲種)は絶対に確認しないといけないですよね。 何を踊るのか伝えた後は構成ですね。唄がいくつあるのか、アレグリアス系ならばシレンシオを入れるのか、最後はポーズで終わるのか舞台袖に捌けるのか。もし途中にリズムのカンビオがある場合は、確認しておくと安心です。 ただ、リハーサル時間の長短に関わらず本番では何が起きるか分かりません。これは覚悟しておいた方が良いでしょう。フラメンコが生ものである以上避けられないことであり、むしろトラブルこそ面白い♪と思えるようになるのが理想なのかもしれません。はい、フラメンコ難しいですね……。 ただし今そこで起こっているその瞬間を皆で同時に分かち合えた時の「オレー」はこの上ない喜びです。やはりこの究極の幸せを目指していきたいと思います。一緒に頑張りましょう!! 【プロフィール】 田村陽子(Yoko Tamura) /フラメンコダンサー、フラメンコ教室「Estudio LA FUENTE」主宰。 幼少よりバレエ、バトントワリング、ジャズダンス等様々なジャンルの舞踊を習得。17歳のころより中井不二子、アントニオ・アロンソ、水村繁子らに師事した後2002年小松原庸子スペイン舞踊研究所に入所。同舞踊団の下、フラメンコやクラシコエスパニョールをスペインの著名アーティストらに指導を受け、国内外の公演に多数参加。2012年7月退団後は国内のタブラオ出演や多様なジャンルとのコラボレーション、テレビCM出演等多彩な活動をしている。また、スペイン留学を重ね多くの一流アーティストらに師事、研鑽を重ねつつ舞台やライブの創作活動にも意欲的に取り組む。 2011年第6回CAFフラメンコ・コンクール優勝。2015年フラメンコ生活20周年記念公演「Mirada∼Piano con Duende」にて平成27年度文化庁芸術祭新人賞受賞。 >>>>>
- アルテの泉 ~La Fuente del Arte~Ⅳ
(viernes, 29 de septiembre 2023) フラメンコダンサーとして様々な舞台で活躍し、また舞踊作品の振付や演出、さらには教室を主宰するなど多才な活動を行っている田村陽子さんの連載を、毎月1回半年間にわたりお届けします。 第4回目となる今月は、奇数月のテーマ「バイレの現場から」について、公演準備のために滞在中のスペインからのリポートをご紹介します。 文・写真/田村陽子 Texto y foto por Yoko Tamura Side B:バイレの現場から 「フラメンコの醍醐味」 公演の準備の為にスペインに来ています。 旅はいつだって楽しみがいっぱい。しかし、今はスペインが遠い。イベリアの直行便が無くなったので、必ずどこかで乗り継ぎが入ります。しかもロシア上空が通れないので何かと遠まわりしなくてはいけないので、フライト時間が長いこと…。 出来る限り歩いたりしながら身体を動かしましたが、なかなか厳しい旅でした。 こんな長旅を経て時差がある中で、演技を披露してくれるアーティスト達への尊敬の念がまた一つ増しました。 身体を動かしている時間が長い踊り手にとっては、ジッとしている時間はとても苦痛なもの。乗り継ぎの空港で歩いた時には幸せを感じました。 長旅を経て着いたセビージャはもう外国ではなくて、「Hola!! ただいま〜」と第二の故郷の様に感じます。着いて荷物を解いたら早速タブラオへ。すると偶然そこで、今回の公演に出演してくれるラモン・アマドールが弾いていました。やった♪やっぱり良いなぁ〜力強く美しいメロディはもちろんの事、踊りへの寄り添い方が最高です。歌い手はインマ・リベロとファン・カンタローテ。迫力のパルマに息ピッタリのハーモニーに蕩けます。このミュージシャン達だったら踊り手が乗らない訳がありません。それは素晴らしいショーでした。いきなりフラメンコのパワーを浴びました。 それから日本在住の歌い手、エル・プラテアオ企画のステージへ。若手の日本舞踊手達が地元の観客の前で踊ります。私もスペインでは機会をいただき踊った事が何度かありますが、お客様達がとても温かいのです。きっと遠く離れた日本まで自国の文化が届き大切にされているのが嬉しいのでしょう。この日も皆がそれぞれの持ち味を生かして踊りきって、会場はスタンディングオーベーションでなんとも温かい空気で満たされました。この様な機会を下さるプラテアオ、ペーニャの皆さまに感謝の気持ちでいっぱいです。観に来ていたスペイン人アーティストと私も呼ばれて、フィンデフィエスタに参加しました。楽しいなぁー。 本場のスペインで踊りを披露するというのはとても大きな事で、足が震えるほど緊張してしまうものです。その度に支えてくれるミュージシャンや仲間たちがいて「ひとりじゃない」と思える所がフラメンコの素晴らしさの一つ。みんなで支え合う雰囲気と、それを実感できた時の何とも言えない一体感はやみつきになります(笑) それは練習生も同じだと思います。 発表会やお教室ライブでパルマやハレオで互いを応援し合い同じステージをシェアする事は、勉強になるのはもちろんの事フラメンコの楽しさを更に深く味わえる大切な機会だと思います。どんどん色々な事に挑戦してみると、知らない世界に出会ったり新たな発見があったり、今まで知らなかった自分にも会えるかもしれません。たくさんの方にフラメンコの醍醐味をもっと味わってほしいなと思います。 【プロフィール】 田村陽子(Yoko Tamura) /フラメンコダンサー、フラメンコ教室「Estudio LA FUENTE」主宰。 幼少よりバレエ、バトントワリング、ジャズダンス等様々なジャンルの舞踊を習得。17歳のころより中井不二子、アントニオ・アロンソ、水村繁子らに師事した後2002年小松原庸子スペイン舞踊研究所に入所。同舞踊団の下、フラメンコやクラシコエスパニョールをスペインの著名アーティストらに指導を受け、国内外の公演に多数参加。2012年7月退団後は国内のタブラオ出演や多様なジャンルとのコラボレーション、テレビCM出演等多彩な活動をしている。また、スペイン留学を重ね多くの一流アーティストらに師事、研鑽を重ねつつ舞台やライブの創作活動にも意欲的に取り組む。 2011年第6回CAFフラメンコ・コンクール優勝。2015年フラメンコ生活20周年記念公演「Mirada∼Piano con Duende」にて平成27年度文化庁芸術祭新人賞受賞。 【公演情報】 Flamenco 公演 『La Serpiente ~蛇になった女~』 原案:安珍と清姫 <日時> 2023年11月3日金曜日 文化の日 17:30 開場 18:00 開演 <場所> セシオン杉並ホール https://www.city.suginami.tokyo.jp/shisetsu/bunka/kyouiku/1014907.html <助成> スペイン舞踊振興MARUWA財団 令和2年度 助成事業 <後援> スペイン大使館 一般社団法人 日本フラメンコ協会 一般社団法人 現代舞踊協会 <チケット> S席12,000円 A席11,000円 <Cast> Baile 踊り 女:田村陽子 男:Jesús Ortega 炎:Cristian Pérez 妻:浅見純子 正木清香 ヴォダルツ・クララ 久保田晴菜 脇川愛 松田知也(小島章司舞踊団所属) 中原潤 Cante 唄 : Rosario Amador/Paco El Plateao Guitarra ギター:Ramón Amador Violín バイオリン:平松加奈 Percusión パーカッション:海沼正利 <Staff> 構成・演出・振付・題字:田村陽子 振付:ヘスス・オルテガ/クリスティアン・ペレス 舞台監督:葛西伸一 音響:三上修次(東京音研) 照明:石島奈津子(東京舞台照明) 題字指導:柏木白光 へメイク:渡部圭依子 写真撮影:武重到 衣装デザイン:甲賀真理子(Mariko Kohga) チラシ制作:今井悦子 主催・運営:エストゥディオ・ラ・フエンテ <チケット予約・問い合わせ> laserpiente1103@gmail.com >>>>>
- アルテの泉 ~La Fuente del Arte~Ⅲ
(viernes, 25 de agosto 2023) フラメンコダンサーとして様々な舞台で活躍し、また舞踊作品の振付や演出、さらには教室を主宰するなど多才な活動を行っている田村陽子さんの連載を、毎月1回半年間にわたりお届けします。 第3回目となる今月は、偶数月のテーマ「プロに聞きたい!Q&A」として、フラメンコの踊りにまつわる様々なお悩みに答えていただきました! 文/田村陽子 Texto por Yoko Tamura Side A:プロに聞きたい!Q&A Q1. 「踊ってる姿がフラメンコっぽくない」と言われてしまいました…。「フラメンコっぽい踊り」って、どんなものなのでしょうか? A1. 「フラメンコっぽい踊り」ではなく、コンパスを感じて踊る事を目指しましょう。歌やギターをしっかり聴いて、パソをメロディーのように歌えるように。 不安定な姿勢にならないようにテクニックを練習するのはもちろんですが、その上でいかに曲の持つ空気を感じながら心から踊れるかがポイントではないでしょうか。特に音と音との間を意識しながら動くようにすると、自ずと見た目はついて来ます。形の美しさや表面上の流れだけにとらわれないようにしましょう。 目、耳、心。全ての感覚を研ぎ澄まして、体の中心部からエネルギーを放出してみてください。 その姿は芯からの「フラメンカ」になっているでしょう。 Q2. パリージョがなかなか上達しません。どんな練習をしたらいいですか? A2. 基礎練習をみっちり地道に続けると良いと思います。私は高校生の時にフラメンコを始めましたが、先生に毎日練習するように言われ、本当に毎日家で練習していました。何か消音になるもの(ゴムや靴下など)をはめて、鏡の前でしっかりブラソを正しい位置に構えて、一本一本指を動かす事から始めましょう。レッスンで教わった事の復習で構いませんので、とにかく触れ続ける事が大切です。サパテアードと同じで余計な力が入ると上手くいきませんので、なるべく力を抜いて指の付け根から動かしてみてください。 一回カレティージャ(連打)が出来るようになったら、そうそう出来なくなる事は無いと思います。また、リズムを奏でる上では左手が重要になってきますので、左手もしっかり練習しましょう。 Q3. どうしても本番前は緊張してしまうのですが…。緊張をほぐすために、何かやっていることはありますか? A3. 緊張は誰しもするもの。それをプラスのエネルギーに変えていけると良いですね。月並みですが深呼吸をする、温かい飲み物を飲むなどするとホッとします。これまで積み重ねた事に自信を持って! 本番前に「これだけ練習したのだから大丈夫」と自分に言い聞かせられるくらい、準備をしっかりすれば安心です。ステージの上はひとりではありません。歌、ギター、パルマ、そしてお客様が応援団です。仲間を信じて思い切って身を任せましょう。終わらないステージはありません(笑) 実は私も、踊る前は毎回緊張します。そうは見えない、とよく言われますがドキドキです。それでも一旦始まってしまえば、集中してやり切るのみ。 せっかくのステージ、楽しんで踊りましょう♪ ¡¡¡¡¡¡ Vamooooooooos !!!!!! 【プロフィール】 田村陽子(Yoko Tamura) /フラメンコダンサー、フラメンコ教室「Estudio LA FUENTE」主宰。 幼少よりバレエ、バトントワリング、ジャズダンス等様々なジャンルの舞踊を習得。17歳のころより中井不二子、アントニオ・アロンソ、水村繁子らに師事した後2002年小松原庸子スペイン舞踊研究所に入所。同舞踊団の下、フラメンコやクラシコエスパニョールをスペインの著名アーティストらに指導を受け、国内外の公演に多数参加。2012年7月退団後は国内のタブラオ出演や多様なジャンルとのコラボレーション、テレビCM出演等多彩な活動をしている。また、スペイン留学を重ね多くの一流アーティストらに師事、研鑽を重ねつつ舞台やライブの創作活動にも意欲的に取り組む。 2011年第6回CAFフラメンコ・コンクール優勝。2015年フラメンコ生活20周年記念公演「Mirada∼Piano con Duende」にて平成27年度文化庁芸術祭新人賞受賞。 >>>>>











