top of page

検索結果

空の検索で569件の結果が見つかりました。

  • フラメンコ公演『TSUNA 〜鬼の腕〜』

    (miércoles, 2 de julio 2025)   [日時]2025年4月16日(水) [会場]渋谷区文化総合センター大和田6階 伝承ホール 写真/佐藤尚久 Fotos por Naohisa Sato 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko 毎回独自の視点でテーマを選び舞台作品を創作するフラメンコ舞踊家、公家千彰の劇場公演が行われた。 今作のテーマは、平安時代中期の武将、源頼光の四天王の筆頭として活躍した武将、渡辺綱(わたなべのつな)。その華々しい鬼退治ぶりは『御伽草子』などでも語り継がれているという。公家にとっても縁があるこの人物が今年、2025年に没後千年という節目の年を迎えるにあたり、その鬼退治の物語を作品の主軸にしたと言う。 作品はストーリーの展開に沿って5章で編成される。 渡辺綱(公家)と幼馴染であった茨木童子(奥濱)は、金色の瞳を持っていたことから周囲に虐げられ、その果てに鬼へと変わり果ててしまう。 その後、鬼退治を命じられた綱は仲間と共に、酒吞童子(エル・プラテアオ)をはじめ次々に鬼たちを討ち取るが、茨木童子は腕を切り落としたものの、とどめを刺すことができなかった。 切り落とした鬼の腕は持ち帰りその力を封印したが、綱の母の姿に化けた茨木童子によって奪い返されてしまう。腕を取り返し本来の力を取り戻した鬼に翻弄された綱は、挙句の果て大切な仲間を刃にかけてしまう。 孤独になった綱は意を決し、最後の鬼退治へと向かう。そして目的を果たし、鬼たちは黄泉の国へ旅立ち、邪悪な魂も浄化されるという願いを込めて舞台は幕を閉じた。 (写真)鬼の腕を見張っていたのだが… 今作の見どころはやはり、主役の公家と奥濱との二人の場面だ。幼馴染という間柄だったのに討つ者討たれる者という関係性に変わり、仲睦まじい時代から対決の場面まで、それぞれの葛藤や苦しみを渾身の踊りや迫真の演技で表現。また二人ともパリージョの名手でもあり、その腕前も素晴らしかった。 部下の役として出演した小谷野と山下も、公家と共に鬼退治のメンバーとして多くの場面で躍動感のある表現豊かな踊りを披露した。 ミュージシャンたちは演奏だけでなく、鬼役として配役も行われた。鬼退治の場面でひとりずつ討ち取られていく演出はなかなかユニークだった。 津軽三味線の二人は作品の鍵となる場面で深みのある音色を響かせ、物語の世界観を見事に演出した。 また歴史的史実がベースになっていることから、語り役として自身もフラメンコやパリージョに親しむ活動写真弁士の山崎バニラを起用。物語の時代背景や状況設定を理解するのに大きな助けとなった。 最後の鬼退治の場面では、観客にも加勢してもらうためにカスタネットを持参するよう告知があり、会場のあちこちからパリージョが鳴り響いていた。観客が参加する面白い演出だったが、やるのであればもう少し人数が多かった方が、もっと迫力が出て盛り上がったのではないかと思う。 渡辺綱の物語を通して、千年という時を経ても変わらない人間の本質や、戦いの無い世の中を願う思いなどをこの作品に込めたと公家は言う。 ひとつの物語や題材をどのようにフラメンコで表現するか、その構成や演出は舞踊家の腕の見せ所だろうし、その創作過程は産みの苦しみを伴うものの、まさに作品作りの醍醐味だろう。 日本の歴史や文化といった固有の題材をフラメンコで表現するとき、そこで発揮されるユニークなアイデアや独創性にはあっと驚かされることも多い。一見フラメンコと結びつかないような題材から思いがけない傑作が誕生する可能性は、十分にある。 【プログラム】 第一章 砕かれた魂 ~Alma rota~ ・越天楽 ・Polo ・Zambra 第二章 "大江山の鬼退治" 毒を盛る ~Veneno~ ・Bulerías de “Pepe Maya” ・Amma immi ・津軽甚句 ・Tangos ・祇園小唄 ・Tango de Triana 第三章  一条戻橋 ~En el puente~ ・Martinete   第四章 鬼の腕 ~Mano de Demonio~ ・Tanguillo ・六段~小山貢隼オリジナルソロ ・Siguiriyas 第五章 最後の鬼退治 ~Al final~ ・Taranta ~ Soleá por Bulerías ・Finale 【出演】 (踊り)公家千彰 奥濱春彦 小谷野宏司 山下美希  (ギター)ぺぺ・マジャ"マローテ" カルロス・パルド (カンテ)ミゲル・デ・バダホス エル・プラテアオ (津軽三味線)小山貢隼 小山隼乃 (フルート)Mashiro (語り)山崎バニラ =====

  • リレー連載:私とフラメンコ -新人公演を通して- 6

    第6回 諸藤ふみ 【バイレ・ソロ部門 奨励賞】   (sábado, 28 de junio 2025)   あなたにとってフラメンコとは何ですか――。 仕事として関わっている人、趣味として楽しんでいる人、自身の生きがいとして無くてはならない人など、その向き合い方は人それぞれ。 そうしたフラメンコへの思いを、昨年の日本フラメンコ協会主催「第33回フラメンコ・ルネサンス21『新人公演』」の入賞者の方々にエッセイとして綴っていただき、リレー連載という形式でご紹介します。 フラメンコとの出会い、新人公演を通して得たものや感じたこと、自身にとってのフラメンコへの思いなどを語っていただきました。 第6回目は、バイレ・ソロ部門で奨励賞を受賞した諸藤ふみさんです。   編集/金子功子 Edición por Noriko Kaneko [撮影]川島浩之  [写真提供]一般社団法人日本フラメンコ協会 フラメンコを始めたきっかけは、軽い気持ちで体験レッスンに参加したのが最初です。 私はダンス未経験で、当時は右も左もわからずでした。ダンス心もなく、コンパスや体の動かし方がちんぷんかんぷんでした。 まさか、ここまで長く続くフラメンコとの関係の始まりになるとは夢にも思っていませんでした。 フラメンコを学ぶうちに、フラメンコはカンテ、ギター、バイレとの三位一体であり、スペイン・ヒターノの歴史や文化も奥深いものだと知っていきました。 フラメンコをもっと知りたい観たいの気持ちで、ライブやクルシージョに通うようになり、自分の憧れるフラメンコが少しずつ見えてくるようになりました。 そんな中、現在所属しているスタジオの主宰である奥野裕貴子先生、SIROCO先生と出会い、私のフラメンコ人生はガラッと変わったと思います。 フラメンコを続けていくうちに、新人公演は憧れの舞台となりました。 挑戦したのは今回で4回目になります。 結果が出ない悔しさも重なり、挑戦すること自体に迷いや不安が生まれた時期もありました。 それでもやっぱり「この舞台を目指したい」という気持ちが消えることはなく、4度目のエントリーを決めました。 カンテはフアン・ビジャール・イホさん、ギターは徳永健太郎さん、パルマはSIROCOさんと、最高のメンバーにお願いすることができました。 当日のリハーサルでは、普段ならしないようなミスをしてしまい内心かなり動揺していました。 でも本番にフアン・ビジャールさんのサリーダを聴いた瞬間に、全てが吹っ飛びました。 恐れも、不安も、自分を良く見せたいというエゴも全部消えていきました。 終わった後に不思議な幸福感があった舞台でした。 そんなことは初めてで、そんな舞台に奨励賞という結果を頂けたことはとても嬉しかったです。 フラメンコの魅力は、人の感情や生き様がむき出しになる瞬間にあると思います。その奥底から湧き上がるような爆発力に、私は心を奪われ続けています。 私にとってフラメンコは、異文化であり、畏敬の対象であり、そして果てしないものです。 学べば学ぶほど、自分の知らなさに気づかされます。 でも、その奥深さがあるからこそ、続けていきたいと思えるのかもしれません。 どこまで行っても完成はなく、常に学び、人生と共に変化し続けられる場所が、私にとってのフラメンコです。 新人公演に挑戦するという過程で、たくさんの学びがありました。 遠回りと思えたことも、今は無駄なことは何もなかったと思います。 まだまだ道半ばですが、またいつかあの舞台のような幸福感を感じることを夢見て、フラメンコを学び続けていきたいと思っています。 【プロフィール】 諸藤ふみ(Fumi Morofuji) /2007年フラメンコに出会い、京都にて始める。奥野裕貴子氏、SIROCO氏に師事。2019年全日本フラメンココンクールで優勝という快挙を成し遂げる。そして、2020年スペイン・セビージャの老舗タブラオ『Los Gallos』に出演を果たし、日本フラメンコ界の歴史の1ページにその名を残した。現在関西を中心に活躍し、また京都校ロス・タラントスにて講師を務め育成にも力を入れる。 【新人公演とは】 一般社団法人日本フラメンコ協会(ANIF)が主催する、日本フラメンコ界の発展向上のため、次代を担うフラメンコ・アーティストの発掘および育成の場として、1991年から毎年夏に開催されている舞台公演。 プロフェッショナルへの登龍門として社会的に認知される一方、「新人公演は優劣順位をつけるためのものではなく、新人へのエールを送るために存在する」という当初からの理念に基づき、すべての出演者が主役であるとの考えから順位付けは行われません。 バイレソロ、群舞、ギター、カンテの各部門に分かれ、若干名の出場者に奨励賞、またはその他の賞が与えられます。 (*一部、ANIF公式サイトより引用) 〈参照URL〉 https://www.anif.jp/ctt_anif_event_shinjin.htm =====

  • ファッションSnap:立川フラメンコ2025編

    (miércoles, 25 de junio 2025) フラメンコは踊るのも楽しいけれど、素敵な衣装を見るのもまた楽しいもの。 今回のフラメンコ・ファッションSnapでは、立川フラメンコ2025のセビジャーナス・パレードの会場で撮らせていただいた写真や、教えてもらったファッションのポイントなどをご紹介します。 写真・編集/金子功子 Fotos y edición por Noriko Kaneko ●赤と白の鮮やかなコントラストがひと際目を引いたルミさん。実はスタッフとして参加していて、パレードの前のオープニングステージでちょうど踊ってきたところだったそうです。 「(ステージでは)アレグリアスという明るい曲を踊ってきました。アレグリアスには喜びという意味があるので、紅白でめでたく、と赤と白でまとめました。帽子は夏っぽい陽気に合わせてコルドベスでなく麦わら帽子で。でも普通のままではちょっとと思って、衣装に合わせてフラメンコっぽい布を巻いてみました」 ●フラメンコダンサーの片野佳加さん(写真中央)と生徒さんたち。右の彼女は、黒ベースの衣装に鮮やかなピキージョ&エプロンとの組み合わせ。ピキージョのパイピングの色に揃えて選んだ黄緑のイヤリングが可愛い。 左の彼女はフラメンコを始めたばかりだとか。何も分からないのでいろいろ調べて研究したとのこと。ファルダはメルカリで購入、家にあったきれいなショールを合わせて上品な組み合わせに。 中央の片野さんは、フラメンコではちょっとレアな青の花柄ツーピース衣装。お祭りなので髪にいっぱい飾りなど付けてきたのですが、写真でお見せできなくて残念。 ●フラメンコダンサー鵜野沢武美さん(写真右)の衣装は、アトリエグラシアさんでオーダーしたもの。ムイフラメンコなオレンジ×黒のデザインで、大小の水玉生地を組み合わせたりフリルの間にレースをはさんだりと、さりげない工夫がオシャレ。マンサニージャさんでかつて購入した大好きな緑のシージョとのコントラストもきれい。 左側の女性は、先生でもあるフラメンコダンサー堀江朋子さんから譲り受けた衣装。生地の柄が人物画というなかなか個性的なデザイン。ポイントは、日焼けしないように背中を隠すために着たというチャレコ(ベスト)。後ろ身ごろの水玉が印象的! ●東京・国分寺のスタジオマグダレーナの生徒さんたちとフラメンコダンサー川田久美子さん(写真中央)。「毎年参加していますが、今日は天気も良くて例年以上にさわやかで過ごしやすいので、いつも以上にみんなで張り切って盛り上げたいと思います」と川田さん。 ●赤の双子コーデがオシャレなお二人。 ●今回初参加の横浜青葉台ボンボンフラメンコ教室の皆さん。写真中央は主宰のフラメンコダンサー、ボンボンこと津幡友紀さん。 ●東京・国立のチャフェイフラメンコ教室の生徒の皆さん。現地で初めてお会いした方もご一緒に。 ●フラメンコダンサー土合幸江さん(左から二番目)と歌い手の土井康子さん(一番左)も参加。 ●フラメンコダンサー松下ひろみさん(一番右)と主宰する教室スエニョフラメンコの生徒さんたち。 ●フラメンコダンサー島崎リノさん(一番右)と主宰するフラメンコスタジオDaiDaiの生徒さんたち。 ●ジャマキートこと山本将光さん(一番右)のグループ。息子さんで同じくフラメンコダンサーの涼さん(中央)も参加。 ◎立川フラメンコ2025の特集記事はこちらから =====

  • わが心のスペイン vol.19

    (jueves, 26 de junio 2025)   南房総と南スペインで田舎暮らしを楽しむ、石井崇が描くスペインの情景。 『マヨルカ島のオリーブ畑』 スペイン中どこにいってもオリーブ畑が見受けられます。 マヨルカ島は平地が少なく、海岸の傾斜地を使って畑が見受けられますが、 ほとんど石垣を摘んで大事に育てています。 スペイン人はオリーブの漬物と油無しには料理にならないのかもしれません。 ( 写真はフェレイローラ村 ) 【プロフィール】 石井崇(Takashi Ishii) /画家。1942年東京・京橋生まれ。東京芸術大学卒業後、1975年単身スペインに渡り、村祭りを回るテキヤ業などでしのぐ。セビリア郊外アルカラ・デ・グアダイラに居住。1989年よりグラナダ・アルプハーラ(Alpujarra)地方にあるフェレイローラ村(Ferreirola)にアトリエを構え、今はフェレイローラ村と南房総館山をふたつの故郷とし、田舎暮らしを楽しんでいる。著作は「おれたちがジプシーだったとき」、「詩画集プラテーロとわたし」、「スペイン四季暦」、「南スペイン、白い村の陽だまりから」、画集「イシイタカシの世界」など。2004年「館山親善ふるさと大使」に任命、全国大学フラメンコ大会を企画。 ホームページ「イシイタカシの世界」 http://www.oliva2004.net/index.html =====

  • 特集:立川フラメンコ 2025

    (miércoles, 25 de junio 2025)   2025年4月28日(月)前夜祭/29日(火祝)メインイベント 文・写真/金子功子 Texto y fotos por Noriko Kaneko 前日の雨模様から一転、本番当日はすっかり晴れ上がり爽やかな陽気となったGWの前半、第23回 となる立川フラメンコが開催されました。   メインイベントとなる路上でのセビジャーナス・パレードには、約500人にのぼる参加者が集合。色とりどりの衣装に身を包み、生演奏によるセビジャーナスを楽しみました。沿道は大勢の人が行き交い、立ち止まって初めて観るフラメンコを楽しむ一般の人や、出演している仲間に声を掛けたり写真を撮る人もいたりと、とても賑やかな様子でした。   * セビジャーナス・パレードのファッションSnap特集はこちらから。 もう一つの注目イベント、屋外特設ステージで行われるフラメンコライブ「堀江朋子と仲間たち」では、今回初めてスペイン人アーティストが出演。折よく来日中の踊り手エレナ・ラ・モレとカディスの歌い手のエミリオ・フロリードの二人が加わり、本場スペインの香りをたっぷりと届けてくれました。 ステージ正面にセッティングされた客席はもちろん満席。ステージや客席の回りも黒山の人だかりで、ライブ中はあちこちからハレオ(掛け声)や拍手が上がり盛大に盛り上がりました。 《スペシャルステージ「堀江朋子と仲間たち」》 踊り:堀江朋子 土方憲人 エレナ・ラ・モレ 歌:エミリオ・フロリード ギター:北岸麻生 堀江朋子/タラント 土方憲人/アレグリアス エレナ・ラ・モレ/ソレア *ライブの最後に行われたフィン・デ・フィエスタ(Fin de Fiesta) フラメンコライブは屋外特設ステージ以外にも、ライブハウスなど3カ所で行われ、どこもたくさんの観客で立ち見も出るほどに。また昨年に続いて駐車場ビルの屋上には、スペイン・セビージャの春祭りで並ぶ小屋を意味するカセタ(caseta)風のスペースをオープン。テーブルエリアでは飲食を楽しんだり、またステージエリアでは愛好家たちが自由に踊ったり歌ったりと、リラックスした時間をみなさん楽しんでいました。 (写真)ライブハウス会場でのステージ (写真)駐車場ビル屋上にオープンしたカセタのステージエリア 開放的な青空の下、仲間や友人たちとワイワイおしゃべりしながらフラメンコを楽しめるって、やっぱり最高! まだ参加したことのない人は、ぜひお友達を誘って足を運んでみては? [立川フラメンコ2025公式サイト] https://flamenco-tachikawa.tokyo/ 主催:立川南口すずらん通り商店街振興組合 共催:立川南口いろは通り商店街振興組合 後援:立川市、立川市商店街振興組合連合会、立川商工会議所、 (一社)立川観光コンベンション協会、(一社)日本フラメンコ協会、スペイン大使館観光部、公益財団法人日本スペイン協会 協力:立川南口商店街連合会、JRAウインズ立川、東京都信用農業協同組合連合会、在日本大韓民国民団西東京地方本部、多摩都市モノレール(株)、立川フラメンコ倶楽部セビージャ、大原簿記公務員医療福祉保育専門学校立川校、星槎国際高等学校、ほか =====

  • アーティスト名鑑 vol.24

    (sábado, 21 de junio 2025)   スペイン在住30年以上、多数の一流フラメンコ・アーティストらとも親交のあるフラメンコ・ジャーナリスト志風恭子が、歌・踊り・ギターそれぞれの代表的アーティストらのプロフィールをピックアップ。過去の取材で撮影した写真や、チェックしておきたい動画などもご紹介します。   文/志風恭子 Texto por Kyoko Shikaze   *名鑑登場アーティスト一覧は こちらから ラ・マカニータ(カンテ) フアナ・アマジャ(バイレ) チクエロ(ギター)   Tomasa Guerrero Carrasco "La Macanita" Jerez de la Frontera, 6-1968   ラ・マカニータ 本名トマサ・ゲレーロ・カラスコ 1968年6月 ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ生まれ  ©︎ Kyoko Shikaze 1992年セビージャ万博アンダルシア館にて ヘレスのカンタオーラといえばこの人。誰よりもフラメンコな響きを持つ声でヘレスらしいフラメンコを堪能させてくれるマカニータ。サンティアゴ街出身で、4歳で歌い踊る姿がスペイン国営放送の伝説的フラメンコ番組『リト・イ・へオグラフィア・デル・カンテ』に収録されている。自然にプロの歌い手としての道を歩み、マヌエル・モラオ主宰の子供たちのグループでスペイン中を周る。ヘレスのビジャンシーコ(クリスマスソング)集『アシ・カンタ・ヌエストラ・ティエラ・エン・ナビダ』シリーズに数多く参加するなどして頭角をあらわし、1989年に初のソロアルバムをリリースしたのを皮切りにこれまで7枚のソロアルバムを発表。カルロス・サウラ監督の映画『フラメンコ』にも出演。2009年にはフアナ・ラ・デル・ピパ、ドローレス・アグヘータとの『ムヘレス』にも参加。   【ビデオ】 『リト・イ・へオグラフィア・デル・カンテ』の少年少女特集。 26分30秒あたりから登場しブレリアを歌い踊る。このほかにもモライートやレメディオス・アマジャら多くのアーティストの子供時代の姿を見ることができる。 https://www.rtve.es/play/videos/rito-y-geografia-del-cante/rito-geografia-del-cante-ninos-cantores/5500924/   アンダルシアの放送局、カナルスールのフラメンコ番組でブレリアを歌う。伴奏はニーニョ・ヘロ。1991年。 https://youtu.be/Au65uiYhTwc?si=tmrqSBagk0G-1J-G   2002年のソレア。伴奏はディエゴ・デ・モラオ。 https://youtu.be/02zxZ20Nlnk?si=JnY29HdZdX1CYgc4   2004年のタンゴ。伴奏はビジャンシーコのシリーズで長らく共演したパリージャ・デ・ヘレス。 https://youtu.be/e7obJHDR4ck?si=d3nIOxeerSSrwOo2   ©︎ Kyoko Shikaze 1992年セビージャ万博アンダルシア館にて   Juana García Gómez “Juana Amaya” Moron de la Frontera(Sevilla) 7-11-1968   フアナ・アマジャ 本名 フアナ・ガルシア・ゴメス 1968年11月7日セビージャ県モロン・デ・ラ・フロンテーラ生まれ   子供の時から踊り始め、9歳、13歳の時にはコンクール優勝し、ビエナルにも出演。14歳でマリオ・マジャに見出され、相手役として初来日。後、クンブレ・フラメンカ舞踊団でクリストバル・レジェスやアントニオ・カナーレスと共演したりと舞台経験を積む。96年の劇団クアドラの『カルメン』に主演するなど活躍。現在もセビージャで教授活動の傍ら、各地の舞台で活躍。娘ナサレ・レジェス(父はクリストバル・レジェス)も踊り手。なお、アマジャは母方の苗字で、ディエゴ・デル・ガストールやカルメン・アマジャにも繋がる血筋なのだとか。 ©︎ Kyoko Shikaze 1997年 Los Gallos Sevilla 【ビデオ】 1989年のロマンセ。歌はクーロ・フェルナンデス、フアン・レリダ、ルイス・フェルナンデス、ギターはカルロス・エレディア。 https://www.youtube.com/watch?v=WVO_4rUfTaQ   1999年のシギリージャとタンゴ。シギリージャの後にタンゴっていうのはカナーレスがよくやっていた。一緒に踊っていたこともあったから、その影響かも。 https://youtu.be/MYMnuyRkyig?si=ka51cZ_GWChGStDw   2008年のソレア。 https://www.youtube.com/watch?v=TW4NpDxha_c ©︎ Kyoko Shikaze Japón 1991   Juan Gómez Gorjón "Chicuelo" Barcelona, 16-8-1968    チクエロ 本名 フアン・イグナシオ・ゴメス・ゴルホン 1968年8月16日 バルセロナ生まれ ©︎ Kyoko Shikaze 2018 Jerez ソロ、歌伴奏、舞踊伴奏。作曲もフラメンコ作品だけでなくミュージカルや映画音楽も手掛け、ジャズミュージシャンやワールドミュージックとも共演を重ねるマルチな才能で活躍する得難い存在。12歳でギターを習い、19歳でバルセロナのタブラオ“カルメン”のレギュラー、アンヘリータ・バルガスやベレン・マジャ、ジェルバブエナなど数多くのアーティストを伴奏。また、同郷のドゥケンデやミゲドゥケンデの歌伴奏も長らく務めたほか、エンリケ・モレンテやカルメン・リナーレス、マイテ・マルティンらの歌伴奏、チャノ・ドミンゲスらジャズミュージシャン、ヨーヨーマとも共演。ソロアルバム3枚の他、ジャズピアニスト、マルコ・メスキダとの共演でも3枚、また歌伴奏でも多数の録音がある。長年、小島章司作品の音楽監督を務め、数えきれないほど来日している。   【ビデオ】 2003年アンダルシアの放送局フラメンコ番組『ジャマ・ビバ』でブレリアを演奏。 https://youtu.be/sEjVDE1xXBo?si=t81LF1GlOq_06Uzu   2010年ミゲル・ポベーダを伴奏 https://www.youtube.com/watch?v=-VoAcVDzQbo   2016年マドリードのサラ・ガルシア・ロルカでドゥケンデのタンゴを伴奏。 https://www.youtube.com/watch?v=CZVeNlo5G7g   2024年国営放送の音楽番組より。ソロでアレグリアス。 https://youtu.be/N50ZDsRlvAg?si=Yi2uDv762i58uzhh ©︎ Kyoko Shikaze 2010 La Unión con Miguel Poveda, Juan Ramón Caro 【筆者プロフィール】 志風恭子(Kyoko Shikaze) /1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。   =====

  • Dr.ファロのフラメンコ・クリニック vol.4

    (viernes, 20 de junio 2025)   大阪を拠点に活動し、劇場公演からタブラオライブまで日本各地で大活躍中の若手フラメンコダンサー、ファロリート(Farolito)こと出水宏輝さんが、フラメンコを愛する皆様の様々なお悩みに、親切&丁寧にアドバイス。 その処方箋は、もしかしたらあなたの役にも立つかもしれません。 尚こちらのクリニックは、2か月毎に診察いたします。 文/出水宏輝 Texto por Kouki Demizu ©小河貴士 Q1. 踊るための体づくりとしてどんなことをされていますか? 特に意識して鍛えている部位や、効果的なストレッチなどあれば教えてください。 (ペンネーム NNさん) ▶︎ 踊るためにこれしてる!ってことをしたことないので、回答になるかわかりませんが…(笑) 体幹トレーニングは必ずやってます。前回の内容とも重なるところがありますが、プランクをしたり身体の主軸にラインを通すように心がけています。 胴体を引き上げる時に肩やブラソが目立たないように、肋骨などから引き上がれるように「身体で呼吸」することを心がけています。 できるだけ、ストレッチは寝る前とフラメンコシューズを履く前には必ずやるようにしています。身体を伸ばすことをメインとして、腕・肩・首まわり・肩甲骨・骨盤・脚なども伸ばすようにしています。 ===== Q2. レッスンで習った振り付けを格好良く真似することが苦手で、他のクラスメイトが上手くみえて落ち込みます。 スペインで修行中、落ち込んだりしましたか?もしあれば、どうやってモチベーションを保ったか知りたいです。 (ペンネーム おぐらトースト子さん) ▶︎ 真似するのではなくて、先生が何を伝えたいのか、を考えることが大切かと思います。 この振付は ・なんで?その流れでやってきたの? ・ブラソつくときの胴体の流し方はどうやって? なんでもいいのでそういうものを分析したあとに、自分への問いかけを行うべきかと思います。 ・自分ならどうできる? ・自分に合うものは何なのか。 それを考えていると、周りを見ている余裕がないかと思います。 スペインでレッスンを受けるときも、そういう内容で落ち込んだりはしなかったので常に過去の自分との戦いかと思います! ポジティブなのかネガティブなのかわかりませんが、体重が増えたり身長が伸びたりしても「成長」だと考えるようにしています…(笑) 【アナタのお悩み募集中!】 フラメンコについて何かお悩みはありませんか?ソロや群舞の踊りの事はもちろん、パルマやコンパス、練習方法や留学のことまで、ファロさんがナイスな!?アドバイスを処方してくれます。 ご質問を採用させていただいた方には、500円のギフトカードをプレゼント☆ 練習生・プロ・セミプロ問わず、ファロさんにお悩み事を診察してほしい方は、質問内容・お名前(&ペンネーム)・電話番号をご記入の上、 info@flamencofan.net までご質問お待ちしています!(編集部) ©Shigeto Imura 【プロフィール】 出水宏輝(Kouki Demizu) /10歳の時に石川敬子フラメンコ教室にてフラメンコを始め、田中光夫氏にギター・カンテを、舞踊・パルマを棚原美和氏に師事。14歳のときにタブラオ ロス・ヒターノスで男性舞踊手としてプロデビュー。2014年、官民協働海外留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」の1期生として1年間スペイン留学。2018年第1回全日本フラメンココンクールで努力賞、2019年日本フラメンコ協会第28回フラメンコ・ルネサンス21「新人公演」で奨励賞、2021年第10回エルスール財団新人賞(フラメンコ部門)を受賞。 また、2018年摂南大学入学宣誓式にて、在学生300名以上とフラメンコのフラッシュモブを大阪城ホールにて実施。 現在、大阪を拠点としながら全国各地で精力的に活動している。 ☆活動情報はこちらから。 https://lit.link/farolitoflamenco =====

  • 内田好美フラメンコソロ公演『孤独生 vol.3/10』

    《蒼叫 Gritar》 (jueves, 19 de junio 2025) [日時]2024年9月22日(日) [会場]中電ホール(愛知/名古屋) 写真/大森有起 Fotos por Yuki Omori 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko 孤を知り、独となり、生かされているこの命を生きる--、そうした自身の想いとあらゆるものへの感謝を込めて舞台作品として表現することに挑み続ける、フラメンコダンサー内田好美の年一回のシリーズ公演『孤独生』。 第3弾となる今回は龍と鬼をモチーフに、破壊と誕生の環をテーマとして創作。踊り・音楽・舞台演出とすべての要素で微に入り細にわたり、そのこだわりを貫いている。   緑が生い茂る舞台セット。まるで森の中にいるかのよう。そしてそこには龍のものと思われる大きな肋骨。 ピアノのメロディーが流れ、物語が始まる。 今作で内田は、天界から下界へ生命を吹き込む龍を演じ、その生涯を回想しながらたどっていく。 若い時代は希望と生命力に満ち溢れ、空から光が降り注ぐ森の中で、ローズ色のバタ・デ・コーラで野生的に力強くアレグリアスを踊る。 下界で次々と生命が誕生していくとその繁栄を喜び、青いヴェールが付いたアバニコを操り優雅に舞う。 足は鳴らさずモダンダンスのような滑らかな動きは、森の妖精が踊っているようで美しいシーンだ。 母性の象徴として赤子を抱くようにくるんだマントンを抱きながら子守唄を歌う川島との二重唱の場面では、龍が人間との違いを思い知る切なさが滲み出る。 やがて下界の人間たちが互いに争いを始めたり罪を犯すようになり、天界から見守ってきた龍に恐れと敵意を向けるようになる。理想として思い描いた世界との乖離や龍の孤独を、オーソドックスなタラントやソレア・ポル・ブレリアでドラマティックに表現。 それでも下界の生命を見守り、希望を抱き続ける龍の想いを表現するため、内田は音楽や詩の朗読の録音、舞台装置や照明、そして客席通路も演出に使うなど様々な要素を駆使してその世界観を表現した。 緑のライトを浴びて、きれいな澄んだ声で想いを込めて日本語の歌を熱唱する姿は、まさに蒼い叫びだ。 そして龍は自らを含め破壊を選び、再生へと希望を託す。覚悟を決めたような表情でもがきもだえ、うごめくように踊る姿に龍の生き様と強い想いが表れていた。 このソロ公演を支えるミュージシャン勢は、第1作目から同じメンバーで実に贅沢な布陣だ。作品の輪郭を鮮やかに際立たせる徳永のギター、多彩な音色と安定のリズムで音楽を支える容昌のパーカッション、物語を豊かに彩る森川のバイオリン。そして、慈愛に満ちたやさしく頼もしい川島のカンテ。 休憩無しの70分間。極上の音楽とともに、内田が描く独創的な世界を目と耳と心で堪能した。 この先日、次回作となる第4弾の開催が発表された。そちらもユニークな設定を打ち出している。 試行錯誤を重ね、自身の持つイメージを着実に舞踊作品として形にしてきた内田の『孤独生』。 彼女の創作意欲は、泉のごとく今なお湧き続けているようだ。 【プログラム】 1. 郷 [プロローグ] 2. Alegrías [豊潤] 3. Minué y Preludió [戯れ] 4. Tarara [誕生] 5. Taranto a Soleá por Bulería [望郷と乖離] 6. Poema [強き者へ] 7. 蒼叫 [祈り] 8. Rondeña [破壊と…]   【出演】 内田好美(バイレ) 川島桂子(カンテ) 徳永健太郎(ギター) 森川拓哉(バイオリン、ピアノ) 容昌(パーカッション) ======

  • ArtistaЯ ~表現者☆~ ep.18

    ep.18 小島慶子  Keiko Kojima (lunes, 16 de junio 2025) 写真家・大森有起が、今を輝くフラメンコ・アーティストたちの真の姿を写す パロマさんとはパセオ取材で知り合いました。 弾丸の如く跳ね、音厚パルマを叩き、ときに唄う。 全身全霊で踊る姿が大好きで、もう20年余になります。 お付き合いは撮影依頼から始まることが殆どです。 たくさんの機会とチャンスをいただき、 真剣勝負で撮影、現場叩き上げで現在があります。 パロマさんもその御一人。 撮る機会は減りましたが脳裏にしっかり記憶があります。 踊る人・撮る人。 終えない限り、この関係性は未来永劫続きます。 ©Yuki Omori 「見つけた自分」 踊りはもちろんのこと、 でも今はそれだけに限らず興味もったものを 間接的な方法で表現することに喜びを見い出しています。 自分の身体で表現する偽りのない自分と、 踊り以外の写真は違うことのように見えて、 全て自分自身を表現することだと今更ながら気づいたのです。 自然と触れ合い身を置くことで、 気持ちがリセットされより前向きになります。 踊りも写真もいろんな表現を身につけながら、 自分のできることを見つけていきたいと思います。 =====

  • 12 DOCE del FLAMENCO

    【ショップ訪問】 ドセデルフラメンコ(福岡) (viernes, 13 de junio 2025)   文・写真/金子功子 Texto y fotos por Noriko Kaneko 可愛くてリーズナブルな衣装にワクワク フラメンコ衣装をインターネットで探したことがある人なら、おそらく一度はその名前を見た事があるのでは、という12 DOCE del FLAMENCO(ドセデルフラメンコ)。 九州・福岡の博多駅から地下鉄で10分くらいというアクセスの良い立地で、オリジナルデザインの可愛くてリーズナブルなフラメンコ衣装を提供する衣装専門店です。 2010年に創業し、今年が15周年目。マンションの一室からはじめ、福岡空港の近くに倉庫兼店舗という形での営業を経て、現在の店舗に移りました。 明るくオシャレな店内にテンションもUP お店を始めたきっかけは、店長を務める𠮷原由里さんが当時通っていたスペイン語教室で、自営業を営む現会社の社長と知り合ったことから。共通の友人たちと一緒にベトナムへ旅行した時に、現地でオーダーメイドで衣装を作っている所がたくさんある事を知り、そこでフラメンコ衣装を作っている人がいると教えてもらったそうです。そして帰国後、友人でもあるその社長が衣装づくりを仕事にしたいと言い、そこにたくさんの人との出会いが重なって、ドセデルフラメンコが誕生しました。 衣装づくりについては、デザインは日本で行い、サンプルをベトナムに持っていって現地で製作。生地はスペイン製のものを使うこともあれば、現地で調達したり福岡から近い韓国で探したりもするそうです。HPの充実ぶりからネット販売の印象が強いけれど、発表会シーズンなどは実際に来店するお客様も結構多いとか。 HPでも紹介されているこちらのバタデコーラは、スペイン在住の堀江啓子さんが製作するブランドLuna Luneraのもの フラメンコ衣装をデザインする上で大切にしているのは、現場ならではの声や「今」の空気感だと𠮷原さんは言います。スタッフは全員フラメンコを踊るので、自身や仲間が必要としているものが商品ラインナップに反映されているそうです。また、ライブや発表会にも積極的に足を運び、舞台を客席から見ることも衣装製作のヒントになっているとのこと。 そして年に一度程度は本場スペインへ、「今」のフラメンコと衣装のモードを仕入れに行くことも欠かせません。現地でタブラオやペーニャ、舞台を見たり、街を歩いていろいろな話を聞いたり。そこで感じる香り、光、乾いた音と声、ウキウキ感、そして仕入れた情報を少しでもドセから届けられたら――、そういう思いが込められています。ちなみに、ドセの店内にはセビージャのオレンジの花AZAHARの香りが漂っているそうです。 アンダルシアの街角のようなディスプレイ 「HPで紹介している衣装も、実際にお店で見てもらえたらその可愛さが絶対によく分かってもらえると思います。店頭ではおしゃべり好きなスタッフが待っていますので、もしお近くに来る機会がありましたらどうぞ気軽にお越しください!そしてネットを通じてご利用いただくお客様も、疑問に思うことや心配なことはお気軽にお問い合わせください」と𠮷原さん。 プロのこだわりが詰まったたくさんのアイテムと、フラメンコ愛溢れるスタッフたちのサポートが頼もしいドセデルフラメンコ。来店でもネット注文でも、フラメンコの「今」のモードにぜひ触れてみてください。 限定デザインのチロルチョコも発見! 【ショップDATA】 12 DOCE del FLAMENCO (ドセ デル フラメンコ) [住所]〒810-0022  福岡県福岡市中央区薬院3丁目13-22 新宝ビル2F [電話番号]092-525-1212 [アクセス]福岡市営地下鉄七隈線「薬院大通」駅徒歩2分 [営業時間]*毎月のカレンダーをHPでご確認ください。 [公式HP] https://12-del-flamenco.com/ [Email] 12doce.del.flamenco@gmail.com お店が入ったビルの1階にあるこの看板が目印 =====

  • リレー連載:私とフラメンコ -新人公演を通して- 5

    第5回 岡田麻里 【バイレ・ソロ部門 準奨励賞】   (sábado, 14 de junio 2025)   あなたにとってフラメンコとは何ですか――。 仕事として関わっている人、趣味として楽しんでいる人、自身の生きがいとして無くてはならない人など、その向き合い方は人それぞれ。 そうしたフラメンコへの思いを、昨年の日本フラメンコ協会主催「第33回フラメンコ・ルネサンス21『新人公演』」の入賞者の方々にエッセイとして綴っていただき、リレー連載という形式でご紹介します。 フラメンコとの出会い、新人公演を通して得たものや感じたこと、自身にとってのフラメンコへの思いなどを語っていただきました。 第5回目は、バイレ・ソロ部門で準奨励賞を受賞した岡田麻里さんです。   編集/金子功子 Edición por Noriko Kaneko [撮影]川島浩之  [写真提供]一般社団法人日本フラメンコ協会  フラメンコに、出会ってしまった。 もともと踊りが好きだった。高校生の頃にヒップホップを始めて、ダンスにのめり込んでいく。もっと踊りたい。そんな時に。 最初は、根拠のない自信があった。すぐに踊れそう! でも、音楽も、リズムも、動きも、まったく知らない世界。 あまりにできなさすぎて、逆にどんどんハマっていった。 舞台で輝く先生や先輩たちへの憧れが、やがて「新人公演」での受賞という目標に変わっていった。日本フラメンコ界屈指の舞台。その舞台に立つには、フラメンコの奥深さと正面から向き合わなければならなかった。 結婚、ベトナム駐在、出産育児。ライフステージの変化で思うように踊れない時期もあった。それでも、何度も新人公演へ挑戦した。 できなくて、悔しくて泣いて、それでもやり続けた。 新人公演に挑戦し続けた理由。 何より、フラメンコを学び続けたかったから。 ひとりで続けるのは難しい。だからこそ、先生やギタリスト、歌い手から学び、経験を積みたかった。目標がある方が、途中で諦めずに踏ん張れる。 そしてもうひとつは、誰かに認めてもらいたかった。 正解のない世界で、このやり方でいいのか。私はちゃんとフラメンコになっていっているのか…それを、何かの形で確かめたかった。 今回は1年かけて、SIROCOさんにソレアを学んだ。 マルカールの基礎から、ソレア、フラメンコ、人生についてまで…迷って立ち止まる私を、熱く真っ直ぐに導いてくれた。 ギターの徳永健太郎くんは、力強い絶対的なフラメンコで、表現しきれない私の踊りも、繊細に拾い、加速させてくれた。 カンテの川島桂子さん。深いフラメンコ愛で、コンプレックスだらけの私を優しく包んでくれた。 京都へのレッスン通い、新人公演応援ライブの企画、もちろん毎日の子育てと仕事との両立。無我夢中で駆け抜けた。今思えば大人の青春だった。 新人公演当日。 緊張で全く眠れないまま楽屋へ。 ご飯も喉を通らない。 それでも踊り切るためにと無理やり食べたおにぎりは砂の味がした。 ゲネプロ。 全く踊れなかった。 床を踏ん張れない。 足と床の間に薄い膜があるようで、 何をしてもふらふらしている。 心が、浮いていた。 SIROCOさんから最後の喝が入る。 最後の場当たりで、床の感覚・目の前に広がる景色を何度も焼き付けた。 本番直前。 やっと気づいた。 これは私の舞台なんだ。 今更ながら覚悟を決めた。 今までSIROCOさん・健太郎くん・桂子さんにずっとひっぱってもらっていた。 それじゃダメなんだ。実力とかキャリアとかじゃない。 私の意志で踊るんだ。 伝えなきゃ。 舞台に上がる直前、一緒にステージに上がるSIROCOさん・健太郎くん・桂子さん一人ひとりに『やるから!』と声をかけた。 板付き。 暗い舞台のセンターに立つ。 ギターの音がなるのを待つ間、怖さなのか、怒りなのか。 『もう二度と出ない!』 心の中で強く叫んだ。 本番中、覚えているようで覚えていない。 確実に覚えているのはみんなのハレオ。 終わった後、みんな笑顔で迎えてくれた。 みんなと一緒にひとつのソレアをつくれた気がした。 今の自分を出し切った。後悔はない。これまでも手を抜いていたわけじゃない。それでも、今回ほど全部を出し切ったことはない。 「新人公演」という舞台で自分の全てを燃やし尽くせた。 これは私の財産となりました。 そして今回、やっと準奨励賞をいただきました。 正直、嬉しいというより、ようやく次のステージのスタートラインにたてた…そんな気持ち。 賞をいただいても、なお遠くに感じる。 フラメンコは、まだ、ずっと先にいる。 少しでも、近づきたい。 賞は一瞬。 でも、積み上げてきた時間は、これからの財産。 私がここまで来られたのは、 いつも誰かがチャンスをくれ、支えてくれたから。 今まで習った先生方はもちろん、一緒にいろんな舞台で共に戦ってきた仲間たち、家族、応援してくれた人たちのおかげ。 あらためて、胸の奥に刻まれた。 フラメンコは、ひとりでは踊れない。 ギターがいて、カンテがいて、仲間がいて、見てくれる人がいて。 そうやって舞台は生まれる。 今度は、私がそのバトンを渡したい。 恩返しがしたい。 私が、今までいろんな人からもらったように情熱のバトンを、繋げていきたい。 賞をいただいても、まだまだ追いかけている。 私のフラメンコは、きっと一生、完成しない。 でも、私はその不完全が好きなんだと思う。 不器用で、迷って、揺れながら、 それでも向き合う—— そんな自分を、ようやく少しずつ、愛せるようになってきたから。 これからも、今の私が持っている全部を込めて踊ります。 【プロフィール】 岡田麻里(Mari Okada)/ 福岡県福岡市出身。2003年フラメンコを習い始める。2006年よりアルマデフラメンコ福岡校に講師として所属。短期スペイン留学を繰り返し、多数のアーティストに師事する。結婚を機に富山へ。2013年から約4年ベトナム駐在。帰国後、2019年4月に南富山駅前に自身のフラメンコスタジオを開設。積極的に教授活動・ライブ活動・地域のイベント企画を行なっている。 【新人公演とは】 一般社団法人日本フラメンコ協会(ANIF)が主催する、日本フラメンコ界の発展向上のため、次代を担うフラメンコ・アーティストの発掘および育成の場として、1991年から毎年夏に開催されている舞台公演。 プロフェッショナルへの登龍門として社会的に認知される一方、「新人公演は優劣順位をつけるためのものではなく、新人へのエールを送るために存在する」という当初からの理念に基づき、すべての出演者が主役であるとの考えから順位付けは行われません。 バイレソロ、群舞、ギター、カンテの各部門に分かれ、若干名の出場者に奨励賞、またはその他の賞が与えられます。 (*一部、ANIF公式サイトより引用) 〈参照URL〉 https://www.anif.jp/ctt_anif_event_shinjin.htm =====

  • リレー連載:私とフラメンコ -新人公演を通して- 4

    第4回 脇川 愛 【バイレ・ソロ部門 奨励賞】   (sábado, 7 de junio 2025)   あなたにとってフラメンコとは何ですか――。 仕事として関わっている人、趣味として楽しんでいる人、自身の生きがいとして無くてはならない人など、その向き合い方は人それぞれ。 そうしたフラメンコへの思いを、昨年の日本フラメンコ協会主催「第33回フラメンコ・ルネサンス21『新人公演』」の入賞者の方々にエッセイとして綴っていただき、リレー連載という形式でご紹介します。 フラメンコとの出会い、新人公演を通して得たものや感じたこと、自身にとってのフラメンコへの思いなどを語っていただきました。 第4回目は、バイレ・ソロ部門で奨励賞を受賞した脇川愛さんです。   編集/金子功子 Edición por Noriko Kaneko   [撮影]川島浩之  [写真提供]一般社団法人日本フラメンコ協会 私がフラメンコを始めたのは、5歳の時でした。きっかけは、ディズニーキャラクターのミニーマウスが履いている「赤いヒールの靴」と「水玉のドレス」に憧れたからという子供らしい理由でした。 カルチャースクールのキッズクラスに通い始めた頃は、フラメンコよりも、そこで出会う同年代の友達と遊ぶことの方が楽しみでしたが、幼い頃から打楽器が好きだった私にとって、足で床を踏み鳴らしてリズムを刻むフラメンコは、すぐに夢中になれる魅力的なものでもありました。 ただただ楽しくて続けていましたが、気がつけば20年という月日が流れ、初めてコンクールに挑戦しました。コンクールではなかなか良い結果が残せず、ここ数年間は自分の踊りに迷いを感じ、「このままフラメンコを続けていいのだろうか」「人に感動を与える踊りとは何だろうか」「フラメンコとは...」と自問自答を繰り返す毎日でした。 そんな中、周りの多くの方からの温かい励ましや、的確なアドバイスが私の心の支えとなりました。スペインに短期留学に行った時には、唄い手と踊り手の家にホームステイをして踊り以外の事も学ぶことができました。 自分の踊りと真剣に向き合い、過去の映像を見返したり、尊敬するスペイン人の踊りを見て研究したりと、試行錯誤を重ねました。 そして、私のフラメンコ人生で大きな節目となった3度目の新人公演への挑戦を決めました。長年大切に磨いてきたパリージョ(カスタネット)を使ったシギリージャを多くの人に観ていただき、その表現を評価していただきたいという強い思いがあったからです。 本番までのリハーサルでは苦戦しましたが、「必ず受賞する」という強い覚悟を胸に、毎日自分の踊りと向き合う中で、ただ振りをなぞるだけでは、本当に伝えたい感情は観客には届かないということに気づきました。そこで、シギリージャという曲に、私自身の解釈による独自のストーリーを考え、一つ一つの表現に意味を持たせ丁寧に踊ることで、より自然で感情豊かな表現を目指しました。 本番前のリハーサルでは、ようやく自分の理想とする踊りに近づけたという手応えを感じることができ、自信を持って本番に臨むことができました。 ゲネプロでは、想定外のハプニングもあり動揺してしまいましたが、本番の舞台では、程よい緊張感の中で集中力を高め、その時感じたままを表現し最後まで踊りきった時は、言葉では言い表せないほどの喜びと、自分の中にある全部を出し切り、やり遂げたという大きな達成感でいっぱいでした。 審査基準が変わった初年度の受賞は、私にとって特別な意味を持つものでした。様々な覚悟を持ってこの舞台に挑んだこと、そして最後まで諦めずに積み重ねてきた努力は、決して裏切らないのだと、改めて強く実感しました。 この舞台や私を支えてくださいました全ての皆様に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。また、この経験を通して、私はパリージョという楽器の持つ魅力をより感じ、さらに極めて磨いていこうと思いました。 将来的には、踊り手としてだけでなく、パリージョ奏者としても活動していきたいと考えています。そして、多くの方々にパリージョの魅力を知っていただくために、パリージョクラスの開講も視野に入れています。私にとってフラメンコは、単なる踊りではありません。それは、言葉や文化を超えて、人と人とが心を通わせることのできる、大切なコミュニケーションの手段であり、私の日常生活に欠かせない、かけがえのない存在です。 これからも、フラメンコの伝統文化を大切にしながら、新しいことにも積極的に挑戦し、自身の表現の幅を広げ、フラメンコの魅力を少しでも多くの人に伝えていきたいと思っています。 赤い靴への憧れから始まった私のフラメンコの道は、これからも続いていきます。   【プロフィール】 脇川 愛(Ai Wakikawa) /5歳からフラメンコを始める。2018年日本フラメンコ協会 第27回新人公演バイレ・ソロ部門準奨励賞受賞、2024年第33回新人公演バイレ・ソロ部門奨励賞受賞。2025年現代舞踊協会 河上鈴子スペイン舞踊新人群舞賞とオーディエンス賞受賞。映像作品、劇場、タブラオ等で活動。近年はパリージョでの音楽活動も行っている。 【新人公演とは】 一般社団法人日本フラメンコ協会(ANIF)が主催する、日本フラメンコ界の発展向上のため、次代を担うフラメンコ・アーティストの発掘および育成の場として、1991年から毎年夏に開催されている舞台公演。 プロフェッショナルへの登龍門として社会的に認知される一方、「新人公演は優劣順位をつけるためのものではなく、新人へのエールを送るために存在する」という当初からの理念に基づき、すべての出演者が主役であるとの考えから順位付けは行われません。 バイレソロ、バイレ群舞、ギター、カンテの各部門に分かれ、若干名の出場者に奨励賞、またはその他の賞が与えられます。 (*一部、ANIF公式サイトより引用) 〈参照URL〉 https://www.anif.jp/ctt_anif_event_shinjin.htm =====

bottom of page