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  • リレー連載:私の新人公演 -2022年の挑戦- 1

    第1回 鈴木旗江 【バイレソロ部門/奨励賞】 (viernes, 21 de abril 2023) フラメンコを志し、さらに高みを目指すために目標として掲げられる大舞台、新人公演。 昨年の入賞者に、挑戦へのきっかけや本番までの道のり、自身の経験や思いを振り返ってもらいました。 第1回目は、バイレソロ部門で奨励賞を受賞した鈴木旗江さんです。 編集/金子功子 Edición por Noriko Kaneko あれは2018年初頭か2017年末だったか、生徒さんの一言。 「先生は新人公演には出ないのですか?」 そうだ…新人公演。それまで2回出ていたのだがチャレンジの火が消えていた。 長く教室もプロ活動もしていての新人公演再チャレンジ。これはもう覚悟を決めて取り掛かるしかない。自分の弱点を曝け出して踊りを変えていこう。 新人公演といえば、稲田進さんという指導者が有名…かつみんさん(通称)とエスペランサで話した時に、絶対上手くなるから習った方がいいよと言っていたことを思い出し、2018年2月に門を叩く。前日から緊張でフラフラで、初めての個人レッスンを迎える。 最初のレッスンで怒られるかと思ったが、つとめて冷静なアドバイス。データに基づいた指導に納得。もうこの指導についていく覚悟を決めた。 ついていくと決めたら、とにかく稲田先生の言う通りにできることを常に課題にした。 内圧と間のメソッドが最初の頃は全然わからず、とにかくお腹に力を入れて踊っていたらみるみる痩せていき(内圧ブートキャンプと私は呼んでいた)、会う人ごとに大丈夫かと心配されて、いや充実っぷりすごいんですけど緊張しすぎてレッスン前とレッスン後は食べられないんです、と答えていた。 レッスン中は必ず動画を撮り後で観る。アドバイスを帰りの電車でメモに書く。ダメ出しは次回レッスンには潰していく。その繰り返し。 すると、エスペランサに出た時に故田代さんから、旗江ちゃん踊り変わったね!すごく良くなったよと言われた。本当に嬉しかった。 2018年、19年と自分が踊ってきた振付に稲田先生の指導演出で新人公演には出たのだが、次は稲田先生の振付で出て賞を取ることを目標にしたくなってきた。それはますます自分を追い込むことで、それが趣味だと思うしかない状況になってきた。 そこにまさかのパンデミック…2020年に世界が大混乱になるとは。新人公演は中止になり、社会活動も危うくなってきた。そんな中、練習場所を提供してくださった管理人さん…ありがたくて涙が出た。生徒さんたちも動画でレッスン継続してくれて、本当に感謝だった。 日々練習していても、昨日より今日の自分が伸びているのか?疑問だった。そのさなか、次回の新人公演は稲田先生の振付で出ると決心した。 2021年、練習しても練習しても振付は自分から遠くなっていくばかり。できることもできなくなり悶々としたまま本番を迎え撃沈…。帰り道ビールを1缶奢ってくれて、良かったですよ…とマスク越しの小さな声で励ましてくれた先生。 そこから奮起。2022年は猛烈チャレンジの年にしようと、別のコンクールへの出演も決心。レッスンが佳境に入るのとほぼ同時期に、母の具合が悪くなり…、まさにシギリージャだった。稲田先生も、シギリージャを身体に染み込ませ、滲み出させるための指導をトップギアに。この時期に心掛けたのは、自主練は時間を長く取ることがいいのではなく、体力とメンタルのバランスを考えてやること。いい感触の時に終わらせて、マイナスな感情を残さないようにした。 全日本コンクールは予選から本選まで2週間しかなく別の曲を踊る。そのスーパーハードな時期をオンライン飲みで支えてくれた(古屋)美枝ちんに感謝。 本番直前1週間は、自主練はひたすら踊って撮って観てダメ出し。本番の照明どおり真っ暗な中に自分だけ明るくして踊る。あとはメンタル。自信を持てる状態にすること。私はもし振りを間違えても納得した踊りができる自信があった。身体の真ん中に炎が灯った感覚があった。炎が燃え続けた。 自分に合った指導と演出が大事。それは自分自身でもいいとは思うし、私には稲田進師匠の指導がすごく合っているのだと思う。 (写真)本番後の1枚 【プロフィール】 鈴木旗江(Hatae Suzuki)/学生演劇から唐十郎の劇中フラメンコに感銘を受け鈴木眞澄氏に師事。2018年より稲田進氏に師事。第2回Webフェス三冠、第3回全日本フラメンココンクールファイナリスト、第31回新人公演奨励賞&ANIF会員賞W受賞。 【新人公演とは】 一般社団法人日本フラメンコ協会(ANIF)が主催する、日本フラメンコ界の発展向上のため、次代を担うフラメンコ・アーティストの発掘および育成の場として、1991年から毎年夏に開催されている舞台公演。 プロフェッショナルへの登龍門として社会的に認知される一方、「新人公演は優劣順位をつけるためのものではなく、新人へのエールを送るために存在する」という当初からの理念に基づき、すべての出演者が主役であるとの考えから順位付けは行われません。 バイレソロ、ギター、カンテ、群舞の各部門に分かれ、若干名の出場者に奨励賞、またはその他の賞が与えられます。 (*一部、ANIF公式サイトより引用) >>>>>

  • ★フラメンコnews☆

    GWは立川フラメンコで楽しもう! 今年で20回目となる立川フラメンコが、5月2〜3日の2日間にわたり開催されます。 1日目は前夜祭としてフラメンコステージが行われ、2日目はJR立川駅南口から続くすずらん通りでのストリート・セビジャーナスパレードや、特設ステージやライブハウス会場でもフラメンコライブが楽しめます。 今年も感染防止対策を徹底しての開催のため、飲食を伴うことは控えていますが、このイベントの発起人の1人でフラメンコダンサーの堀江朋子さんからは、「今年も『立川フラメンコ2023』が近づいて来ました!メインイベントの約300人によるセビジャーナスを初め、各会場でのフラメンコライブなど、フラメンコ盛り沢山の一日を楽しみにぜひお越しください!」とのコメントを頂きました。 お近くの人はぶらりと、そうでない人はわくわく遠足気分で、GWは立川へGO! 【第20回立川フラメンコ】 2023年5月2日(火)1日目 17時~20時50分/JRAウインズ立川A館 5月3日(水祝)2日目 11時~16時/ ●フラメンコライブ(すずらん通り特設ステージ、JRAウインズ立川A館、ライブハウスBABEL、ライブハウス立川HeartBeat) ●すずらん通り路上セビジャーナスパレード(予定:12時~13時20分) [URL] https://flamenco-tachikawa.tokyo/

  • LOS TUDOR

    ~チューダー・ローズたちの叶わなかった恋の行方~ 森山みえフラメンコ舞踊団公演 (viernes,14 de abril 2023) 2022年10月26日(水) 東京・日本橋公会堂 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko 写真/荻久保次郎 Foto por Jiro Ogikubo 歴史的史実や文学作品など様々なテーマを題材に、2016年より劇場公演を創作してきたフラメンコ舞踊家、森山みえの第6弾となる舞踊団公演が昨年10月に上演された。 今作品の舞台は、16世紀のイングランドを統治していたチューダー王朝。女王エリザベス1世を中心に、その両親である前国王ヘンリー8世とアン・ブーリン、異母姉のメアリー1世や王位の座を狙うメアリー・スチュアートなど、それぞれの人物の愛や苦悩に焦点を当て、バリエーションに富んだストーリーに仕立てられている。富と美貌に恵まれながらも政治と権力に翻弄された女たちのドラマをフラメンコの音楽で彩り、踊りや演奏とともに物語の展開も楽しめる作品だ。 登場人物のキャスティングは、女性の役には出演経験が豊富な舞踊団員が配され、それぞれの役の場面でソロやパレハ、または群舞と組み合わせて人物の心情や情景を表現した。 エリザベスの実母アン・ブーリン(冨田英子)が処刑を受け入れる場面では、ティエントの曲でアンの絶望と覚悟を深い悲しみに満ちた表情で好演。また、「ブラッディ・メアリー」として悪名高いメアリー1世(永井祐里)のシーンでは、赤のドレス姿のメアリーに対し黒の衣装でそろえた群舞はフラメンコ感に満ち迫力があった。 エリザベスが自身のはとこであるスコットランド女王メアリー・スチュアート(富松真佑子)と対峙するシギリージャのシーンでは、互いの青と赤の衣装に合わせて照明でも美しいコントラストを演出。バタ・デ・コーラの衣装とパリージョの音色もまた、フラメンコ舞踊の醍醐味を楽しませてくれた。 男性の役では、エリザベス1世の実父であるヘンリー8世役にコンテンポラリーダンサーであり俳優の神睦高を起用。アストゥリアスの曲に乗せソロの舞踊を披露し、高い身体能力と柔らかい身のこなしで権力者の苦悩や激しさを表現した。 また、エリザベス1世を支える寵臣にして恋人とされるロバート・ダドリー(レスター伯爵)役は三枝が務め、エリザベスと同じ時期にロンドン塔に投獄されていた場面の二人きりのシーンでは、カルタヘネラとタラントの素晴らしいカンテを聴かせ、また最後の場面のソレアでは、エリザベス1世を演じる森山とのパレハで印象的なシーンを演出した。 音楽面でも、定番のフラメンコの曲種の随所にピアノを採用したことで、音色に厚みが増し多彩な表現が楽しめた。普段はフラメンコに触れることが無い観客にとっても、自然と楽しみながら鑑賞できたに違いない。観客には男性客も多く、実際にこの公演を毎回楽しみにしているお客様も多数いるというのもうなずける。 ストーリーも楽しめ、曲種も多く展開にメリハリがあり、バラエティーに富んだ舞台作品となった今回の公演。様々な題材から毎回適したテーマを選び、ソロや群舞のそれぞれの長所を生かしながら構成を組み立て演出し、1つの劇場作品に仕立て上げる森山の構成力や演出力は相当なものである。 次の作品でもまた、多くのお客様を楽しませてくれることであろう。 【出演】 ギター:エミリオ・マジャ カンテ:マヌエル・デ・ラ・マレーナ パーカッション:橋本容昌 ピアノ:野口杏梨 コンテンポラリーダンサー/俳優:神睦高 バイレ/カンテ:三枝雄輔、 バイレ:山本海、ドミンゴ、森山みえフラメンコ舞踊団、森山みえ 声優:Wakana Doy >>>>>

  • 新連載:カンテフラメンコ 奥の細道 on WEB No.23

    (lunes, 10 de abril 2023) 文/エンリケ坂井 Texto por Enrique Sakai 昨年12月号で休刊した月刊パセオに連載した「カンテフラメンコ奥の細道」をWEBで続ける事になった。No.23からの再出発となるが、新たな気持ちで続けてみようと思う。 CD『グラン・クロニカ・デル・カンテ』vol.4より ㉓ Niña de los Peines(ニーニャ・デ・ロス・ペイネス) の Rumba(ルンバ) 前回ミロンガを取り上げたが、中南米から逆輸入されてフラメンコ化したカンテス・デ・イダ・イ・ブエルタ(往って帰ってきたカンテ)の続きでルンバを取り上げよう。 厳密に言えば、ルンバはアフリカから中南米へ、そしてスペインに入った音楽だが、17世紀の終わりから18世紀の初頭にフラメンコ化して歌われるようになった。 残された古い録音は非常に少ないが、その中でも1918年のパストーラ(*編集部注/ニーニャ・デ・ロス・ペイネスの本名)の録音は初期のルンバ・フラメンカの姿を再現していて非常に興味深い。 大きな特徴は、現在のようにカンシオンをルンバのリズムに乗せて歌うのではなく、アレグリアスやソレアーのように短い歌詞をいくつか歌う事によってルンバスという形式のアイレ、グラシアなどを表現している事だ。最初のレトラを書き出してみる。 (歌詞) Cuando yo miro, cuando yo veo los ojitos negros, lo mismito que mi suerte, yo no sé por qué me mareo, y creo yo que me dan la muerte; creo que me dan la muerte, yo creo que me darán la muerte, cuando yo miro los ojitos negros lo mismito que mi suerte. 私が見ると…、 あんたの黒い瞳を見ると、 私の運命と同じ黒い瞳、 なぜか知らぬが目眩がする。 きっと私を殺してしまう、 きっと私の心を殺すでしょう、 きっと私を殺すふたつの眼、 私の運命と同じの あんたの黒い瞳を見ると。 さて、歌った通りに書いたこの歌詞の繰り返しや、強調のための余分な単語や縮少辞を取ると、以下の通りの詩の原型が見えてくる。 Cuando miro los ojos negros lo mismito que mi suerte, no sé por qué me mareo y creo que me dan la muerte. つまり4行詩+4行目+4行目+1行目+2行目という構成になっている。このルンバでパストーラは5つのコプラ(短い詩)を歌っているが、基本的な構成は変わらない。 パストーラという天才がこの録音を残した事によって、初期のルンバがフラメンコ的な形式であった事や、その雰囲気を伝えてくれる素晴らしい手本となっている。 明るいながらも重量感を持ち、その中にグラシアや渋みを持ったこの曲は聴けば聴く程味わいが増してくる。 例によって直訳を付けたが、この詞の死は「私の心を殺す→私を参らせる、とりこにする」と考えれば良いと思う。日本語にも「悩殺」という言葉があるが、今や死語かも知れない。 相手の黒い瞳を見ると私の運命と同じ、という事は二人が恋をして同じ運命の道を歩む、という事なのだろう。伴奏のギターがもう少し中南米のルンバの感じを出すとよりルンバらしくなると思うのだが、何せ100年以上も前の録音だから奏法も確立していなかったのだろう。現在の奏法になるのは、1960年くらいからだ。 【筆者プロフィール】 エンリケ坂井(ギタリスト/カンタオール) 1948年生まれ。1972年スペインに渡り多くの著名カンタオールと共演。帰国後カンテとパルマの会を主宰。チョコラーテらを招聘。著書『フラメンコを歌おう!』、CD『フラメンコの深い炎』、『グラン・クロニカ・デル・カンテ』vol.1~32(以下続刊)。 >>>>>

  • ★フラメンコnews☆

    日本各地で舞踊・教授活動を展開するフラメンコ舞踊家、鈴木眞澄さんの活動50周年を記念するソロライブが開催されます。踊りはもちろん、これまでの様々なエピソードを交えたトークも楽しめるとのこと。こちらは配信視聴も受付中です。 また、フラメンコと共に歩んだ自身の足跡をつづったエッセイ集も、このたび発売されることになりました。かつて月刊パセオフラメンコで連載したエッセイや思い出深いスペイン旅行記、さらには60歳から始めた俳句や, お料理のことなど、盛りだくさんな内容になっています。 ●鈴木眞澄フラメンコ50年記念ソロライブ [日時]2023年4月23日(日) 13時開場/14時開演 [会場]高円寺タブラオ・エスペランサ(東京) [料金]7,000円(ワンドリンク+タパス付) [出演] 鈴木眞澄 (ギター)鈴木英夫/山﨑まさし (カンテ)永潟三貴生/ダニエル・リコ ●エッセイ集「よかったさがし」 -フラメンコと歩んだ人生- 鈴木眞澄 著 2023年4月22日発売 税込3,850円 [予約・問] 鈴木眞澄 mamimayor0115@gmail.com

  • スペイン発☆志風恭子のフラメンコ・ホットライン

    (miércoles,5 de abril 2023) 文/志風恭子 Texto por Kyoko Shikaze 恒例、ヘレスのフェスティバルも無事開催。詳細は特集でご覧いただけると幸いです。日本人参加者もだいぶ戻ってきたようです。全部のクルシージョが世界38ヵ国からの参加者で満員。最も多かったのはフランスからの参加だそうですが、コロナ前までは毎回首位だった日本からの参加も、米国に次いで3位になる程、戻ってきたそうです。国立バレエなど3公演が満席になり、劇場公演も小劇場も含め8割の入りで、期間中は市内のホテルも7割方埋まっていたそうです。もう、コロナ前にほぼ戻ってきたと言っていいでしょう。劇場でも街中でも、「3年ぶりにヘレスに帰ってこられた」と喜ぶ声を何度も聞きました。 【セビージャのフラメンコ】 なお、フラメンコ公演があるのは何もヘレスばかりではありません。マドリードの王立劇場では3 月14日にホアキン・コルテスの公演が行われたそうですし、セビージャでも多くのフラメンコ公演が行われています。老舗ペーニャ、トーレス・マカレーナでは毎週複数の舞踊公演が行われていますし、セビージャのオペラ・ハウスであるマエストランサ劇場でも複数のフラメンコ関連公演が行われました。3月17日にはアルカンヘルがクラシックギタリスト、ホセ・マリア・ガジャルドらとの共演でサルスエラやオペラの名曲などを歌うリサイタルが開催されました。 ©︎Teatro de la Maestranza /アルカンヘルとホセ・マリア・ガジャルド 翌日からの二日間はマヌエル・デ・ファリャのオペラ『はかなき人生』公演があり、カンタオールのセバスティアン・クルスとギタリスト、マヌエル・エレーラまた、スペイン国立バレエ団やアントニオ・ガデス舞踊団で活躍したフアン・ペドロ・デルガードらも出演していました。 ©︎Teatro de la Maestranza /『はかなき人生』モダンな外人目線な演出はマリオ・デル・モナコの息子のジャンカルロ・デル・モナコ なお、23日、24日にはアントニオ・ガデス舞踊団版『恋は魔術師』である『炎』の公演が行われました。 【カルメン・リナーレスに名誉博士号】 3月15日、セビージャ大学より、ベテランのカンタオーラ、カルメン・リナーレスに名誉博士号が贈られました。大医学講堂で行われた式典では、トーガと呼ばれるガウンをまとったカルメンがスピーチの中で一節、歌う一コマも。 「これは偉大な音楽、アートであるフラメンコ全体を認めてくださったということだと思います。フラメンコの偉大さを、その価値を認めてくださったということで本当に嬉しく思います」とコメント。 セビージャ大学はフラメンコとの関係で言えば、61年にフラメンコを取り上げたカディス大学に次いで、古くから関係がある大学で、1963年にフラメンコ週間を開催しニーニャ・デ・ロス・ペイネスを招き、72年には医学部ペペ・マルチェーナが講演したそうです。そういえば、カディス大学も2007年、パコ・デ・ルシアに名誉博士号を贈っていますね。昨年秋には、これもパコ・デ・ルシアについでフラメンコのアーティストとしては二人目のアストゥリアス皇女賞を舞踊家マリア・パヘスとともに受賞したカルメン。アルカンヘルやミゲル・ポベーダや彼女の伴奏ギタリストの一人でもあるサルバドール・グティエレスらも授賞式に駆けつけ、受賞を祝っていました。 ©︎Universidad de Sevilla 【訃報】 今月も悲しいお知らせです。3月10日、ヘレスでこの街出身のギタリスト、ニーニョ・ヘロが亡くなりました。まだ68歳の若さでした。 本名ペドロ・カラスコ・ロメーロは1954年、ヘレスのサンティアゴ街の生まれ。父マノリートは伝説のフラメンコ番組『フラメンコの祭儀と地理』にも出演したフェステーロで、母は歌い手ロメリートの姉妹というフラメンコの血筋。ラファエル・デル・アギラにギターを学び、プロに。地元ヘレスの歌い手たちだけでなく、セビージャのローレ・イ・マヌエルやファミリア、モントージャのアルバムにも参加するなど長年、第一線で活躍してきました。近年もカディスのベテラン、フアン・ビジャールの伴奏でフラメンコらしさ溢れる演奏を聴かせていました。 4人の子供たちも、長男マヌエルが父と同じギタリストで、カプージョの伴奏を引き継いでいるほか、次男アントニオは歌とギター、長女マヌエラは歌、三男ルイスはパーカッション奏者でプロデューサーと、子供たち、またその子供たち、つまり孫も舞台に立っています。90年代の初めには子供たちとバンドを組んでビエナルに出演したりもしました。 いつもニコニコしていて幸せを周囲にお裾分けするような感じの人でしたが、時に、どす黒く深い、人間の手によるものとは思えないような、ある意味悪魔的とも言える音をも聴かせてくれることがありました。真の意味で、大向こうを唸らせる、そんなアーティスト。昨年のフェスティバルの時には夜、劇場近くのバルにドミンゴ・ルビチと一緒に現れて歌い弾き踊り、と最高のフラメンコな瞬間を見せてくれました。 ©︎KYOKO SHIKAZE/左は2007年。右は昨年のフェスティバル時の、夜中のフィエスタ。 【筆者プロフィール】 志風恭子/1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。 >>>>>

  • ★フラメンコnews☆

    昨年のメジャーデビューアルバム発売を記念するコンサートホールツアーを先日完走した、フラメンコギター・デュオ徳永兄弟がさらにパワーアップしたフラメンコライブを東京・大阪の2都市で開催します。 共演には注目の若手フラメンコダンサーや、各ジャンルで活躍する実力派アーティストらを迎え、音とリズムの白熱したバトルを繰り広げます。 魂ゆさぶる情熱的なフラメンコギターと、凄腕パフォーマーたちによる夢の競演をぜひライブでお楽しみください! 【徳永兄弟OCTET -NEO FLAMENCO-】 [日時]2023年6月23日(金) 18時開場/18:30開演 [場所]東京・紀尾井ホール [出演] 徳永健太郎(フラメンコギター) 徳永康次郎(フラメンコギター) 森田悠介(ベース) ラファエル・モイセ・エレディア(パーカッション) KAN(パーカッション) SARO(タップダンス) 中原潤(パルマ&ダンス) 鈴木時丹(パルマ&ダンス) [料金]全席指定 6,500円(税込) [予約]ローソンチケット、イープラス、CNプレイガイド、MITT TICKET [問]Mitt TEL:03-6265-3201(平日12~17時) ※コンサート情報はこちらへ 【徳永兄弟 NEO FLAMENCOⅡ】 [日時]2023年6月30日(金) 18:30開場/19時開演 [場所]大阪・あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール [出演] 徳永健太郎(フラメンコギター) 徳永康次郎(フラメンコギター) ラファエル・モイセ・エレディア(パーカッション) 中原潤(パルマ&ダンス) 鈴木時丹(パルマ&ダンス) [料金]全席指定 5,500円(税込)/ザ・フェニックスホール友の会価格5,000円(税込) [予約] イープラス、ローソンチケット、チケットぴあ、ザ・フェニックスホールチケットセンター、MITT TICKET [問]Mitt TEL:03-6265-3201(平日12~17時) ※コンサート情報はこちらへ

  • 新・フラメンコのあした vol.2

    (lunes, 3 de abril 2023) 文/東敬子 Texto por Keiko Higashi Foto por Merche Burgos Vídeo por Ballet Nacional de España https://youtu.be/7sICQWr3zeA 20年以上にわたりスペインで活動するジャーナリスト東敬子が、今気になるスペインフラメンコのあれこれを毎月お届けします。今月は、去る3月8日の国際女性デーに公開されたスペイン国立バレエ団の動画作品についてご紹介します。 スペイン国立バレエ団 国際女性デー2023 『センブラモス・イグアルダ』 Ballet Nacional de España “Sembramos igualdad” Día Internacional de la Mujer 2023 先日3月8日、スペイン国立バレエ団より、一通のメールが届きました。 しかしそこには、特に何か説明があるでもなく、動画へのリンクと出演者の名前、作中に読まれるナレーションが記述してあるだけ。そしてその動画を見て、私はさすがだなと思いました。3分半ほどの短い作品でしたが、非常に意義のある、そしてある意味、予想を裏切る構成に、非常に心惹かれました。 皆さん、3月8日が「国際女性デー」と呼ばれていることを、知っていましたか。 1910年、デンマークのコペンハーゲンで行われた国際社会主義女性会議によって提唱されたこの「国際女性デー」は、1977年に国連によって3月8日と定められ、現在も毎年、世界各国で祝われています。 その一環として制作された今回の動画は、ステージに現れた同バレエ団現監督ルベン・オルモ扮するひとりの男性が、一輪の花を床に突き刺す場面から始まります。それに続く女性たちが、それぞれ手にした花を、想いを込め力強く床に突き刺し、その刺した花が風に揺れ、たおやかに咲き乱れるように空気を愛撫します。 「同等の権利、地位、尊厳をまもりたい」ならば一緒にと、皆が歩き出します。一輪の風に揺れる花も、集まれば美しい庭になるように。女性だけではなく、男性も入り混じり、それぞれが飾らない普段着で、様々な色やスタイルの靴で、同じステップを踏みます。そして最後に、男性と女性が手を取り合い、一輪の花を床に突き刺します。彼女は言います。「私たちに平等を」。そして男性が言います。「私たちはあなたの側に」。 短くシンプルですが、分かり易く的確に表現された作品だと思います。女性の権利をテーマにした作品の場合、往々にして女性だけが登場するものですが、予想に反し、ここでは男性も一緒に登場する。女性だけがその権利を主張するのではなく、男性も彼女たちの権利を守るために、その主張を共有していくべきであると言うメッセージが織り込まれていたこと、それは新しい着眼点であると共感しました。 また、女性・男性を超えた、1人の人間としての権利・尊厳をも訴えるそれは、ルベン・オルモ監督の問題意識の高さであり、鋭さだと感心しました。多様性を尊重しようとする現代のよりリアルな問題定義を感じさせました。そう、これは女性だけの問題ではない。それは私たち全ての人間が一緒に解決していく、変えていく、発展させていく問題なのです。 こういったメッセージ性の強いものは、深刻な表現に陥りがちですが、この作品は非常に美しく、強い芯を保ちつつも、最後には軽やかな味わいが残ります。そこも、非常にセンスが良いと感じました。 日本では、舞踊団は踊りというパフォーミング・アートを表現するだけのもの、という考えが一般的な世間の認識なのかなと思うのですが、ヨーロッパでは、アートを通して社会問題に取り組む・貢献する事は、その活動の一部だと考える文化があります。この舞踊団のような国立の団体であれば、そうする事に尚さら意義がある。 昨今ではSNSの普及で、より多くの人々にその活動を知ってもらう手段が増えました。今回の作品は、ただ皆んなが集まって動画を作ったわけではないのです。ちゃんと構成し、振付し、リハーサルもやって、完璧に演じ撮影された作品なのです。そうやって、利益に直結しなくても、社会の一員としての活動に、手間を惜しまない。それは必要なことであると思うし、日本の舞踊団やアーティストの方々にも、ぜひやって欲しい。そういう意識が門戸を広げ、また、世界とつながる、世界と想いを分かち合う術になると思うのです。 別に社会性が無くても良いんです。例えば国際ダンスデーでも良いし、フラメンコの日でも、何でもいい。芸術は個人的な表現手段にとどまらない、人々の心を一つに出来る素晴らしいものである。それをぜひ、実感し、共有して欲しいと思うのです。 【筆者プロフィール】 東 敬子 (ひがし けいこ) フラメンコ及びスペインカルチャーのジャーナリストとして、1999年よりマドリード(スペイン)に在住し執筆活動を続ける。スペインに特化したサイト thespanishwhiskers.com を主宰。 >>>>>

  • ★フラメンコnews☆

    今年のプリメラ・フェスティバルは、カンテ&バタ・デ・コーラ祭り! 「カンテの一曲入魂」では、日本各地からカンタオール43名が集結。「バイレの一曲入魂」ではバタ・デ・コーラの達人と名高い踊り手8名による華麗な競演が楽しめます。 チケットは現在発売中で、出演者またはプリメラギター社よりお求めください。 聴いて楽しい&観て楽しい、ボリューム満点の2日間です! 【プリメラ・フラメンコ・フェスティバル2023】 『カンテの一曲入魂』 [日時] 2023年6月15日(木) 16:30開場/17時開演 [出演者43名] 阿部真 有田圭輔 石塚隆充 市川えり 井上泉 今枝友加 遠藤郷子 エンリケ坂井 大沢玉紀 大橋範子 大渕博光 織田洋美 柏山美穂 川崎さとみ 川島桂子 鞍掛和子 小松美保 近藤裕美子 齊藤綾子 三枝雄輔 佐々木紀子 佐野三晴 須田隆久 高岸弘樹 高橋愛夜 ダニエル・リコ チャチャ手塚 土井康子 永井正由美 永潟三貴生 濱田吾愛 笛田剛史 福田加弥子 許有廷 松橋早苗 マヌエラ・ナランヒータ 三澤敦子 水落麻理 室田恵 元井祥雄 森薫里 吉田光一 レイコ・シミズ・サンギット 『バイレの一曲入魂 バタ・デ・コーラ夢の競演』 [日時] 2023年6月16日(金) 18:30開場/19時開演 [バイレ]井口裕香里 石井智子 井上圭子 EL CAYO池本佳代 片桐美恵 公家千彰 里有光子 林順子 [ギター]鈴木淳弘 尾藤大介 山﨑まさし [カンテ]大渕博光 川島桂子 永潟三貴生 笛田剛史 水落麻理 [パルマ]伊集院史郎 [バイオリン]三木重人 [会場]こくみん共済coopホール/スペース・ゼロ(東京・新宿) [問・予約]プリメラギター社 Tel.090-8948-3449 Email:primera-chico@navy.plala.or.jp

  • 特集:第27回ヘレスのフェスティバル/フラメンコの多様性

    (domingo, 26 de marzo 2023) 文/志風恭子 texto por Kyoko Shikaze 今年も2月24日から3月11日までの16日間、ヘレスのフェスティバルが開催されました。2020年のフェスティバルの頃から感染拡大が話題になり終了後すぐにスペインは外出禁止になりました。翌年は開催時期を2月から5月に変更して開催したものの、海外からの参加は、あっても欧州内で、それでも帰国時にはPCR検査が義務だったりしました。21年は2月開催に戻りましたが、まだ日本は渡航自粛を呼びかけていたこともあって、日本をはじめとするアジア、そして南北アメリカからの参加はほとんどありませんでした。感染状況も落ち着き、スペインの入国制限も撤廃、公共機関でのマスク義務も無くなった今年、ようやく世界中からフラメンコを愛する人々がヘレスに再び集うことができるようになったのです。 開幕は国立バレエ 開幕はスペイン国立バレエ団『エル・ロコ』、2004年に初演された作品で昨年12月マドリードにて再演されたもので、フェスティバルの初代監督パコ・ロペスの原案、台本、演出、ハビエル・ラトーレの振付。ハビエルは関係者限定だった第1回から今まで毎回欠かさず短期クラスの講師を務めている唯一の存在。ということもあってか、初演時にもヘレスで上演されたこの作品がまたビジャマルタ劇場に帰ってきたのも当然のことかもしれません。ダンサーたちの技術レベルの向上、また構成や振付の見直しの成果もあって、よりわかりやすく、より完成された作品となっていたと思います。 © Festival de Jerez/Esteban Abión ビジャマルタ劇場公演 40人以上が舞台に立つ、国立バレエのような大所帯の翌日は、踊り手はたった一人というヘマ・モネオの公演でした。踊り手一人という作品は他にもあって、ビジャマルタ劇場公演ではエドゥアルド・ゲレーロ、オルガ・ペリセ、マリア・ホセ・フランコ、マリア・ホセ・フランコがそうでした。さらに言えばパウラ・コミトレとエバ・ジェルバブエナの共演者はコンテンポラリーダンサーだし、ピニョーナとイスラエル・ガルバン、マリア・デル・マルの共演ダンサーは一人だけだし、少人数で、主役が踊りまくる公演が多かったように思います。コロナ禍で人との交わりが減ったせい? 経費削減? 実際問題、大人数は移動等の経費もかかるし、地方公演も行いにくいという点があるのだろう。それでもラファエラ・カラスコ、マリア・パヘス、パトリシア・ゲレーロが舞踊団での公演を続けているのは素晴らしいと思います。 © Festival de Jerez/Tamara Pastora 中でも作品のクオリティという点で、ラファエラの作品『ノクトゥルナ』は群を抜いていました。昨年のビエナルでの初演よりパワーアップし、とにかく美しいのです。動きも、静止も、音楽も、照明も、コンパスとのやりとりも、レマーテも。振付家としてのラファエラは語彙が豊かで一つとして同じ振りがないという感じ。ニュアンスの付け方やちょっとした身体づかいでより雄弁に語りかけてきます。イスラエル・ガルバンとはマリオ・マジャ舞踊団仲間ですが、最先端のイスラエルとはまた違うアプローチで、フラメンコの地平を拓いていっているという気がします。 白髪をそのままにしたマリアはマリア・パヘスを演じているというか、かつての自分をなぞっている感じ。自らのスタイルを確立したからこそ、なのではありますが、かつての勢いや新しい試みなどは影を潜めているような気がしました。作品としての完成度で目を引いたのはエドゥアルド・ゲレーロ。コンテンポラリーのダンサーを共同演出に迎え、照明で作る空間の見事さや音楽の素晴らしさは特筆ものでした。またオルガ・ペリセもコンテンポラリーぽいオープニングには賛否両論あったようですが、男装でのファルーカが絶品だっただけでなく、カスタネットやボレーラのパソなども見せ、舞踊家としての実力をナチュラルに、改めて感じさせてくれました。 © Festival de Jerez/Tamara Pastora © Festival de Jerez/Esteban Abión フラメンコの自由、自由なフラメンコを常に指し示すイスラエルの『セイセス』はイスラエルによる生まれ故郷セビージャへの愛憎入り乱れたオマージュ。最高傑作ではないが、彼ならではのコンパス感、ユーモアで楽しませてくれました。一方、伝統派というのか、ヘレスの二人、マリア・ホセ・フランコとマリア・デル・マル・モレーノは、共演者で新味を出そうとするものの、踊り自体は今まで通り。見慣れたものが見たい人にはいいのかもしれません。 © Festival de Jerez/Tamara Pastora そのほかの公演 ビジャマルタ劇場以外での公演は今回、あまり見ることができなかったのですが、日本公演が好評だったヘスス・カルモナ『ゲーム』、ダビ・コリア『ロス・バイレス・ロバードス/ワーク・イン・プログレス』が印象に残りました。二人とも抜群の身体能力! 国立やラファエラ・カラスコ舞踊団などの若手たちも彼らに続くようなテクニックなのですが、そこから自分のスタイルを、個性を発揮して、ヘススやダビのような存在になるには時間がかかるかもしれません。そういえば二人とも国立バレエ出身ですね。 © Festival de Jerez/Esteban Abión 日本人の活躍 2011年『ラ・セレスティーナ』でヘレスのフェスティバルに初登場した小島章司。その後、『ファトゥム』、「中国人には歌わない」、『フラメンコナウタ』、『ロルカxバッハ』とビジャマルタ劇場での公演を続けてきましたが、今回はスペイン以外の国出身のアーティストが主役となる公演シリーズ『デ・ラ・フロンテーラ』の一環としてアタラジャ博物館での公演。『フラメンコナウタ』で共演したメキシコやブラジル出身らの踊り手たちとタイトル通り『トダ・ウナ・ビダ(一生)』をフラメンコに捧げた小島へのオマージュのような公演でした。長年の仲間であるギタリスト、チクエロや歌い手ロンドロ、そして今回は踊りのソロも披露した今枝友加らのサポートも万全で、80歳を超えたとは思えないサパテアードを聞かせ、最後は観客全員でのスタンディングオベーションとなりました。 © Festival de Jerez/Esteban Abión またフェスティバルに先駆け行われたイタリア、トリノから始まったフラメンコ・プーロ国際舞踊コンクールでは、ソリスト/ノンプロ/シニア部門で相坂直美が優勝、押野由紀子が準優勝、ソリスト/プロ/アダルト部門で瀬戸口琴葉が優勝、土方憲人が3位、ソリスト/プロ/シニア部門で宇根由佳が優勝するなど大躍進。相坂、瀬戸口、宇根はフェスティバルのプログラムとして行われたガラ公演にも出演しました。また公式プログラムではないですが、ライブハウスで行われたオフ・フェスティバルやタバンコと呼ばれるバルでの公演にも多くの日本人が出演しました。またオフ・フェスティバルやタバンコには他にもスペイン以外の国出身のアーティストが出演していました。 ©︎ Concurso Internacional de Baile Flamenco Puro Enrico Manzana 伝統、古典、ネオクラシコ、モダン、コンテンポラリー、前衛…フラメンコにはさまざまなスタイルがあり、フラメンコはさまざまなバックグラウンドを持った人が自由に自らを表現できる、無限の可能性を持ったアートだということを改めて感じさせてくれたフェスティバルでした。それにしても、こんなにたくさんの全く違った個性を持った才能が、百花繚乱、咲き乱れているフラメンコ舞踊、そしてスペイン舞踊はまさに黄金時代なのではないでしょうか。来年のフェスティバルも楽しみです。 【各公演のダイジェスト動画】 国立バレエ『エル・ロコ』 https://vimeo.com/802157433 ラファエラ・カラスコ『ノクトゥルナ』 https://vimeo.com/802499367 小島章司フラメンコ国際舞踊団『トダ・ウナ・ビダ』 https://vimeo.com/803638411 オルガ・ペリセ『ラ・レオナ』 https://vimeo.com/804936245 イスラエル・ガルバン『セイセス』 https://vimeo.com/806135111 マリア・デル・マル・モレーノ https://vimeo.com/807141660 【筆者プロフィール】 志風恭子/1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。 >>>>>

  • 東北" 2 Mi amada tierra TOHOGU 2

    中田佳代子フラメンコ舞踊公演2022 (domingo,19 de marzo 2023) [大阪公演] 2022年10月2日(日) 世界館 [東京公演] 2022年10月7日(金) 野方区民ホール 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko 写真/Takahiro Fujiwara Foto por Takahiro Fujiwara 2021年暮れに岩手と東京で上演され好評を博した、中田佳代子フラメンコ舞踊公演『東北゛』。今回はその再演として、大阪・東京の2か所で開催された。 日本人として東北の地に生まれ、現在はスペイン人フォトジャーナリストの夫と息子と共に家族でバルセロナに暮らし、2つの文化とともにフラメンコダンサーとして生きる中田。その自身の人生での体験を通して生まれたさまざまな想いと、それぞれのルーツへの敬意や愛情をこの舞台作品に込めたという。 プロローグでは、舞台上のスクリーンに現れる「TOHOGU」の文字。続いて、険しい岸壁で一心に踊る中田の映像が映し出される。その踊りに合わせて力強く叩く和太鼓の音が、魂の鼓動のように会場に響き渡る。 映像が終わると、尺八や箏、三味線の演奏の中で中田が舞台に立つ。白のジャケットに黒のパンツスタイルで踊るのは、2011年の東日本大震災で犠牲となった人々へ捧げる「Requiemレクイエム -祈り-」。岩手の三陸海岸と同じリアス式海岸の地形を持つスペイン・ガリシア地方発祥の曲であるファルーカを元に、岩手民謡奏者らと時間をかけて作り上げたという。歌詞も今回の作品用にアレンジし、演奏もオール岩手民謡奏者で編成された。和楽器が奏でる深い旋律を、万感の思いを込めて踊る。その姿は凛として潔く、観ていると勇気や希望が自然と湧いてくる。 シギリージャのリズムによる「Orgullo -誇り-」は、子供の頃によく聞いた民謡でフラメンコを踊りたい、という純粋な望みから生まれ、10年以上熟成させてきたという作品だ。自身のルーツ、そして自分は自分であることの誇りを胸に、この地に生まれた感謝を込めて中田は踊る。井上のカンテと民謡唄の吉田、二人の熱唱を全身で受け止め舞踊に昇華していく姿は、堂々として気迫に満ちていた。 「無 -No soy nadie-」では、真紅のバタデコーラとマントンで燃えさかる炎のようにソレアの旋律を舞う。世界から見ると自分は本当に小さな存在だけど、東北とスペインという2つの根っこからたくさんの愛と栄養をもらって生かされている、強く生きる名もない花だと中田は言う。曲の終盤のブレリアでは全員が舞台に登場。みんなの手拍子と共に繰り返される「Viva! mi tierra amada(ビバ・ミ・ティエラ・アマダ) 東北!」の大合唱は、たくさんの小さな存在たちの生命の輝きに満ちていた。 東北への愛に溢れていたのは、共演者らのパフォーマンスも同様だ。青森県新郷村周辺に伝わる日本最古の盆踊り「ナニャドヤラ」をガロティンで演出した曲では、フラメンコギターとピアノの演奏にカンテと民謡の唄が調和し、花笠姿の三人娘が祭りの雰囲気たっぷりの踊りを楽しませてくれた。 ブレリアのリズムでアレンジした美空ひばりの名曲「リンゴ追分」は、中田がスペインで新型コロナウイルスによるロックダウンを経験したことで、より強くなったという祖国の家族や故郷への恋しさが込められていた。母との辛い別れを悲しむ娘の切なさを井上が歌い上げ、それを大切に踊る三枝の存在感が印象的だった。 最後の曲は「Dodarebachi -津軽じょんがら節-」。東北の美しい雪景色と、厳しい自然。そうした環境で育まれた力強い伝統文化から生まれたとうほぐの祭りを讃え、謳歌する一曲となった。横笛の旋律を白のマントンで踊る姿は雪女のように神秘的で、タンゴの音楽になると生き生きとした躍動感を見せた。演奏も岩手民謡奏者とフラメンコ・ミュージシャンらの協演で熱く盛り上がり、ジャンルや文化の違いを越えた一体感が広がる。ラストは黒のアバニコを使って三枝と島崎と3人で、たくましさや希望の象徴である東日本大震災で残った陸前高田市の奇跡の一本松を表現した。 東北への愛、そしてスペインへの愛を惜しみなく表現した今回の公演。最後のあいさつで中田は、日本の文化や自然を継承してこれからも活動を続けていきたい、という思いを語った。 フィナーレでは、出演者らが公演オリジナルの半被を羽織って登場。その背中にプリントされた「東北゛」の文字が、誇らしげに輝いていた。 【プログラム】 1. Requiemレクイエム -祈り- 2. ナニャドヤラヨ! -伝説- 3. Orgullo -誇り- 4. Ringo Oiwake -母へ- 5. 無 -No soy nadie- 6. Dodarebachi -津軽じょんがら節- 【出演】 中田佳代子(踊り) 三枝雄輔(踊り・唄) 島崎リノ(踊り) 井上 泉(踊り・唄) 佐藤真知子(踊り) 石井奏碧(ギター) 北田了一(ピアノ) 藤沢東清(尺八・横笛) 二代目 井上成美(津軽三味線) 三代目 井上成美(津軽三味線) 吉田やす子(民謡唄) 髙橋美香(十七絃箏) 佐比内金山太鼓 高橋 環(和太鼓) 佐比内金山太鼓 高橋 徹(和太鼓) 【プロフィール】 中田佳代子(KAYOKO NAKATA) フラメンコダンサー 希望郷いわて文化大使 学生時代にバルセロナオリンピック閉会式でのフラメンコを見て感激したのがきっかけで単身スペインへフラメンコ留学し、極寒のマドリッドでフラメンコ人生をスタートさせる。 2001年現代舞踊協会河上鈴子スペイン舞踊新人賞 。 2002年日本フラメンコ協会新人公演奨励賞。文化庁在外芸術家派遣員として2年間スペイン・セビージャへフラメンコ留学。数々の著名なアーティストのもとで研鑽を積み、帰国後は日本各地で舞踊活動および教授活動を行う。 2007年地元岩手県盛岡市にカヨコフラメンコスタジオを設立と同時に、スペイン人フォトジャーナリストとの国際結婚しバルセロナに拠点を移す。 2008年スペイン・カディスの「アレグリアス舞踊コンクール」で外国人初の第二位を受賞。 現在、国籍、国境問わず舞台・教授活動しながら、自身のフラメンコを追求している。 (※HPより抜粋) >>>>>

  • スペイン発☆志風恭子のフラメンコ・ホットライン

    (miércoles,1 de marzo 2023) 文/志風恭子 Texto por Kyoko Shikaze 【フラメンコ・フェスティバルが再開】 2月8日に、公共交通機関でのマスク着用義務が解除され、今やマスク必須なのは医療機関や薬局、老人施設のみ、ということになったスペイン。すっかりパンデミック前の日常が帰ってきたようです。とはいえ、ウクライナのこともあり、物価は上がったし、パンデミックの間になくなってしまったお店なども多く、全く一緒かというとそうではないような。フラメンコで言えば、パンデミック下で閉店したタブラオもあれば、その後に新しく開店したところもあり観光客で賑わっているようです。 また、ビエナルやヘレスのような大規模フェスティバルなども以前と同じように開催されています。2023年も、1月にはフランスのニームで、そして2月にはオランダのビエナルという、欧州の重要なフェスティバルが開催されています。イスラエル・ガルバン、ロシオ・モリーナ、トレメンディータらコンテンポラリー系中心のニームで閉幕を飾ったのはラファエル・リケーニのギターリサイタル。モダンと伝統が交差するオランダのビエナルでは、マリア・モレーノのコンテンポラリーっぽい新作(昨年セビージャのビエナルで初演)もあれば、ファルキートや歌い手イスラエル・フェルナンデスも登場するという具合。なお、この二つのフェスティバル両方に出演したのはアルフォンソ・ロサとコンチャ・ハレーニョの素晴らしい『フラメンコ。エスパシオ・クレアティーボ』。昨年ヘレスとビエナルでも上演されたものですが、フラメンコの伝統と今を感じさせてくれます。日本で上演されたらうれしいのですが。 なお、スペイン国内でもカタルーニャのフラメンコ・オン、ムルシアのフェスティバルなどが行われています。かつては、フラメンコ祭というと夏、冬はペーニャというイメージでしたが、今や1年中いつでも行われているように思います。2月24日に始まったヘレスのフェスティバルの様子は、また追ってお知らせできると思います。昨年は欧州からの参加者は戻っていたものの、アメリカや日本、中国からの参加はほとんどなく寂しかったのですが、今年はだいぶ戻ってきているのではないかと期待しています。 (写真:ラファエル・リケーニのギターリサイタル) © Sandy Korzekwa festival de nimes 【訃報】 パンデミックの嵐の中でもまたその後も、多くのアルティスタたちが亡くなりました。その流れはまだ続いているようで、2月もフラメンコを支えてきた人たちが惜しまれながら世を去りました。 アントニオ・ソレーラ(1952Madrid-2023.2.5Madrid) アントニオ・ガデス舞踊団で長らく活躍したギタリスト、アントニオ・ソレーラが亡くなったのは2月5日。70歳でした。2022年秋の日本公演に同行していなかったのであれ、と思っていた人もいることでしょう。1972年からガデス舞踊団に在籍というから半世紀に渡り、ガデスその人とその後継者たちを支えてきた名手です。生地はマドリードとなっていますが、出身はグラナダ、サクロモンテというヒターノ。ガデスの作品『カルメン』や『フエゴ』の音楽も手掛けています。(『血の婚礼』はエミリオ・デ・ディエゴですが)クリスティーナ・オヨスが退団後、ガデスの相手役に抜擢されたエステラ・アラウソ(現在、ガデス舞踊団芸術監督)と結婚しています。2007年の来日公演の時には、終演後に渋谷で火事に遭遇、避難を助けて表彰されニュースになり、スペインでも伝えられました。あまり表に出たがるタイプではないので、ちょっと困ったような顔をしていたように覚えています。 (撮影)©Lucrecia Díaz Fundación Antonio Gades カルロス・サウラ(1932.1.4Huesca-2023.2.10Madrid) 2月10日には映画監督カルロス・サウラが亡くなりました。91歳の誕生日を迎えたばかりでした。カンヌやベルリンの映画祭で受賞した、スペインを代表する映画監督の一人として有名ですが、フラメンコ好きにとってはアントニオ・ガデスとのフラメンコ三部作(『血の婚礼』『カルメン』『恋は魔術師』)、その後の音楽映画(『フラメンコ』『フラメンコ・フラメンコ』『ビヨンド・フラメンコ』)でおなじみでしょう。世界中どんなところでも見ることができる“映画”という形でフラメンコの魅力を世界中に改めて知らしめた功績は偉大です。かくいう私も、二本立てでお目当てじゃなく観た映画『カルメン』でフラメンコを知った一人です。夢中になったのはガデスの公演を観てですが、映画を観ていたから劇場公演に足を伸ばしたので、サウラは恩人の一人です。他にもアイーダ・ゴメスの『サロメ』や『イベリア』なども忘れられませんが、映画『フラメンコ』の撮影現場に毎日のように通い、アーティストのアテンドをしたりエキストラで出演したり、また監督にカメラまで覗かせてもらったのもいい思い出です。 (写真は映画『フラメンコ』撮影時のもの。志風撮影) パンセキート(1945La Linea de la Concepción-2023.2.17Sevilla) 2月17日朝、Facebookで訃報を見つけた時のショックは大きかったです。78歳、ベテランの歌い手。でも今年の夏の公演の予定などもあったし、最近も元気な様子をそれこそFacebookの投稿で見かけていたので信じられませんでした。他の誰とも違う響き、歌いっぷり。フラメンコで大切と言われる独自の個性、*セージョ・プロピオを持っている人。洒脱でダンディ。70年代にはスペインのヒットチャートに出るほどのヒットを飛ばしたそう。フアン・ビジャールやランカピーノ、パコ・セペーロなどが活躍していた時代。今頃、天国で子どもの頃から仲が良かったというカマロンとフィエスタ三昧でしょうか。歌い手アウロラ・バルガスとセビージャ郊外に暮らし、一緒に舞台を務めることも多く、その仲の良さはよく知られていました。ご冥福をお祈りします。 (写真:1992年パンセキート、伴奏はモライート。志風撮影) *セージョ・プロピオ/sello は「切手、スタンプ」の意味もあり、「自身の」という意味の形容詞propioがついて「その人ならではのしるし、独自の個性」ということになる。(筆者解説) 【筆者プロフィール】 志風恭子/1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。 >>>>>

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