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- 新・フラメンコのあした vol.10
(lunes, 4 de diciembre 2023) 20年以上にわたりスペインで活動するジャーナリスト東敬子が、今気になるスペインフラメンコのあれこれを毎月お届けします。今月は、「フラメンコの日」に開催されたファルキートのマスタークラスについてのリポートです。 2023年国際フラメンコ・デー記念 ファルキート マスタークラス スペイン国立バレエ団 2023年11月16日より配信 TALLER FARRUQUITO. DÍA DEL FLAMENCO 2023. Ballet Nacional de España https://youtu.be/CAK3MZcl-AQ?si=0gifZUSalE5TsMMB 文: 東 敬子 Texto: Keiko Higashi 画像: 宣材写真 Fotos: material promocional 皆さん11月16日は何の日か知っていますか? 実はこの日はフラメンコの日なんです。 2010年にユネスコの世界無形文化財としてフラメンコが認定されて以来、全世界のフラメンコたちは、毎年この日を「国際フラメンコ・デー」として祝ってきました。昨今では大小のイベントが行われる以外にも、個人個人がメッセージを発信したりと、SNS上でも盛り上がりを見せています。 今回は先日、2023年のフラメンコ・デーを記念してスペイン国立バレエ団が行った、ファルキートのマスタークラスの模様をレポートします。 その実際の様子はスペイン国立バレエ団のチャンネルで配信されていますので、ぜひそちらもあわせてご覧ください。今回は同舞踊団員のみを対象に行われましたが、上級者だけでなく、まだ始めてまもない練習生にもぜひ観てほしい、学ぶことがてんこ盛りのおすすめ動画です。 「フラメンコは、彼の名前なしでは語れない」 同世代であり、子供の頃はご近所さんだったと言うスペイン国立バレエの現監督ルベン・オルモがそう語る、ファルキートことフアン・マヌエル・フェルナンデス・モントージャは、1982年セビージャに生まれました。 祖父は言わずと知れたバイレ・ヒターノ界の巨匠ファルーコ。長男ファルキートも踊り手としての未来を期待されていましたが、18歳のとき交通事故で他界。傷心のファルーコは、同じく踊り手の娘ラ・ファルーカと歌い手エル・モレーノの長男、自身の孫となるフアンにその望みを託します。 芸名「ファルキート」を受け継いだフアンは才能を発揮し、祖父と映画『フラメンコ』(カルロス・サウラ、1995)に出演するなど、次第に頭角を表しました。しかし、まだ少年のあどけなさを残す彼に待ち受けていたのは突然の祖父の死でした。その後15歳で座長となった彼は、懸命に一座を引っ張ります。そしてまた最愛の父もその4年後、42歳の早すぎる死を迎え、ファルキートは19歳にして一族の長となり、母を、三人の弟妹を、従兄弟たちを、その家族を、支えていくことになるのです。 そんな背景があってか、ファルキートは非常に優れたリーダーシップがある人だというのが、このマスタークラスを見ていても良く分かります。ここにいた三十人ほどの踊り手全体に目がいっている。声を荒げることもなく、穏やかに、そして的確に、彼らに何が足りないかを指示する。みんなが頑張っていれば盛り上げ、さらに先に、さらに高みに連れて行ってくれる。この人に学ぶのは楽しい、そしてもっと学びたいと思わせる、最高の指導者だと思いました。でも決して、いわゆる「先生」ではないんです。強いて言えば「お父さん」でしょうか。非常に包容力があるんですね。彼は言います。知っていることは人と分け合うのだと。 例えば、エバ・ジェルバブエナは生徒とずっと一緒に踊って、ここはこんな感じと、常に自身の動きを見せて学ばせる印象が強かったのですが、ファルキートはみんなに踊らせて(振付は事前に行われていますが)、その様子を見ながら、気になるところを指示して直していく。エバはちょっと意味深な感覚的な部分が大きいけど、ファルキートは「こういう時のコツは」というように、とても具体的で、説明も全て理路整然としている。しかも「念の為、これもやっておこう」とか、すごく丁寧。見ていて非常に興味深かったです。 音の取り方が違う二つのパソをリンクするときは、誰でもちょっとその瞬間は緊張してテンポが早くなってしまう。一人で踊るならそれほど気にならないけど、大人数で踊るならそこはピタリと合わせなければいけない、など、彼はとにかくリズムを重視する指導をしていて、彼の踊りの核を、今更ながら実感しました。そして、自分はこれだけの大人数で踊ったことはないから、とても興味深いと語ります。私もファルキートの群舞をぜひ観てみたいと思いました。 彼の11歳の息子で踊り手デビューを果たしたエル・モレーノもレッスンに参加して頑張っていました。考えてみれば11歳で舞踊団団員とのレッスンにも遅れを取らないというのは驚異的なことですが、彼は何食わぬ顔で、お父さんの隣で黙々と励んでいました。ワークショップの最後にはファルキートのブレリア、そしてモレーノもパタイータを披露してくれた大満足のワークショップでした。 【筆者プロフィール】 東 敬子 (ひがし けいこ)/フラメンコ及びスペインカルチャーのジャーナリストとして、1999年よりマドリード(スペイン)に在住し執筆活動を続ける。スペインに特化したサイト thespanishwhiskers.com(https://spanishwhiskers.com/?page_id=326)を主宰。 >>>>>
- 発表会ファッションSnap:岡田麻里フラメンコ教室
(domingo, 3 de diciembre 2023) フラメンコを楽しんで踊っている皆さんにとっての晴れ舞台、発表会。 どんな衣装を着ようかなぁ…と、踊り以上に(?)気合が入っている人も多いはず。 そんな皆さんの参考になればと思い、一足お先に発表会に出演した生徒さんたちの 衣装をご紹介します!こだわりポイントなども教えていただきました。 編集/金子功子 edición por Noriko Kaneko 写真提供/岡田麻里フラメンコ教室 第2回岡田麻里フラメンコ教室発表会 [開催日]2023年11月4日(土) [会場]富山・オーバード・ホール 中ホール 1.ティエント 衣装:マリキータ 「最初にこの生地のスカートに一目惚れして、メンバーに相談したら気に入ってくれて、気づいたらみんなで買うと決めてました。軽くて踊りやすく、曲に合っててかっこいい衣装でした」 2.カンティーニャス 衣装:マリキータ 「つぼみのポーズから始まり、曲の終わりは花咲くこのポーズ。綺麗な花の刺繍がついた豪華なシージョと、上品で彩りきれいな大柄の花柄のスカート。とっても華やかでした」 3.ソレア 衣装:(シージョ)ソニアジョーンズ 「ソレアは黒の衣装にゴールド×紫をポイントに。シージョ留めはブルーのカメオで形が少しずつ違うものを選びました。フローレスも大輪の紫のバラで統一感を演出しました」 4.グアヒーラ(写真:箱井鉄男) 衣装:ソニアジョーンズ 「大人なグアヒーラ、気だるい婦人をイメージしてコーディネートしました。アバニコとヘッドドレスを白にして、大きなヘッドドレスがポイントです」 5.ティエント 衣装:マリキータ・ソニアジョーンズ 「それぞれがティエントのイメージで選びました」 6.ファルーカ 「ソニアジョーンズさんにイメージを伝えて作ってもらいました。写真ではわかりにくいですが、スリットの位置とか長さとかシンプルに美しく見えるように考えて頂きました」 7.セビジャーナス 衣装:マリキータ、他 「華やかなイメージで選びました。このチームはフラメンコお初の衣装です」 8.カンティーニャス(写真:箱井鉄男) 衣装:ソニアジョーンズ、(シージョ)マリキータ 「カンティーニャスはカディスの太陽をイメージしました。シージョを色違いにして個性をアピール」 9.オープニング(写真:箱井鉄男) 「赤い衣装で大人セビジャーナスを踊りました。赤のバタ・デ・コーラと、マントンは黒、アバニコは赤黒でコーディネート」 10.キッズ 「それぞれ手持ちの衣装に元気なイメージの黄色を入れてコーディネートしました」 11.タラント (写真:箱井鉄男) 岡田麻里先生の衣装:ソニアジョーンズ 「タラントをイメージして作ってもらいました。チャケタ(ジャケット)や袖の大きめのフリルが上半身に重みをもたらしてくれて、色味も綺麗でお気に入りの1着になりました」 取材のご協力ありがとうございました! >>>>>
- 『アンヘリータ・バルガス追悼会〜偲び、想い、集う』
(viernes, 1 de diciembre 2023) 先日急逝したフラメンコの歴史に残る偉大なバイラオーラ、アンヘリータ・バルガスの追悼会が日本の有志らの協力により大阪と東京で開催されることになりました。 大阪:12月3日(日)17:30~20:30 ペーニャフラメンカ・カサグロリア伽琉駝門カフェ (zoom参加受付は12/1まで) 東京:12月9日(土)18:30~21:30 高円寺タブラオ・エスペランサ (zoom参加受付は12/6まで) この度の追悼会の開催にあたり、有志のひとりRhina元川里菜さんより以下のメッセージをいただきました。 (※参加についての問合せはEmail:rhina.motohkaw@gmail.com、又はメッセンジャーにて) ***** この会はどなたでもご出席可能です。みなさんお忙しいとは思いますが、5分でも良いのでお立ち寄りください。 直接オンラインもご予約を承っております。時間が許す限りのご参加で大丈夫です。参加費などは一切ないです。 この会を進行中に、スペインのアルティスタ達にビデオ電話で直接連絡をとって、アンヘリータにまつわる自分たちの経験談、逸話を聞かせていただいたり、一言いただくという予定もしています(通訳いたします)。新しい発見や学びがあると思われます。 参加に同意してくれたアルティスタ達を下に記載しました。 フラメンコの歴史に残るこの巨匠を思う気持ちは、色々だと思います。知り合いだった方、生徒さんだった方、ファンだった方。彼女のことを知らなかった方やこれからビデオなどでファンになるあなたも、「私なんて行っていいのー?」みたいに思わず、是非ご出席ください。 参加予定アルティスタ: エル・ボケロン カルメン・レデズマ マヌエラ・バルガス(姪) トロンボ ルイス・ペーニャ ハビエル・エレディア 返事待ちアルティスタ: フアン・デル・ガストール ぺぺ・トーレス モイ・デ・モロン …あと数人にも声をかけるつもりでおります。 ちなみに御香典や寄付金をご家族に渡したいという方のためには、お問い合わせ先があるのでご利用ください。 香典・寄付金関連お問い合わせ先: 望月 恵理 latorre1878@gmail.com *恐縮ですが大阪は場所代の割り勘があります。 大阪のFacebookイベントページはこちら: https://fb.me/e/eVwRQDaYB >>>>>
- 沖仁 21年目の現在地
Flamencofanインタビュー (miércoles, 29 de noviembre 2023) 昨年デビュー20周年という節目を迎え、11月からスタートしたオリジナルアルバム発売記念ツアーを今年7月に完走したフラメンコギタリスト、沖仁。最近ではソロやコラボの演奏活動や楽曲制作に加えて、アコーディオン奏者cobaとのユニット活動を立ち上げたり、またワークショップを通して後進の指導にも精力的に取り組むなど、さまざまな活動に力を注いでいる。 そんな多忙な日々を送る中、最近の活動やこれまでのキャリアの分岐点、さらには好きなギタリストの話など、活動21年目となる今について語ってくれた。 聞き手/金子功子 Entrevista por Noriko Kaneko ――20周年アルバム発売記念ツアーを終えてのご感想はいかがですか。 沖:2002年の7月から数えて20周年を迎えました。ツアーは去年11月の第一生命ホール東京公演から始まり名古屋大阪、仙台はやむを得ず中止になってしまいましたが、福島、そして7月のブルーノート東京でのアフターパーティーと、かなり長い期間にわたったので、全てが同じ内容でもないしずっと同一メンバーでもないので、そういう意味ではツアーと言っても最初と最後ではずいぶん変わりました。ツアーの途中でどんどん変えていきたいという思いや新しいアイデアも生まれてきて、曲自体を変えたり、同じ曲でも編成やアレンジを変えたりもしました。必然的に変わったことなどもありましたが全て含めて、このツアーで自分がすごく成長させられたし学び取る物も多かったです。 ――その中でも印象深い公演はありますか。 沖:最初の東京公演ですね。一番大きい会場でしたし出演者も一番多くて、通常の公演ではできないことをたくさんやらせてもらえました。 また最後のブルーノート公演も、お店側から「フラメンコ然としたことをやってほしい」というリクエストを頂き、それが割とうれしい内容でした。他の公演だと「一般の音楽ファンが楽しめる内容を」と望まれることが多いのですが、この時は「沖さんならではの尖ったフラメンコを見せてほしい」と言っていただいたので、カバー曲なども入れずにフラメンコの曲種に基づいたものを中心にやりました。演奏後はお客様からスタンディングで盛大な拍手をいただけたので、20周年ツアーを終えてこれからの自分のいろんな方向性の中で、今後の1つの方向を指し示してもらえたようで非常に良かったです。 ――ブルーノート公演では、いつも同行される伊集院史朗さんに加えて三枝雄輔さんが参加されていましたね。新鮮な組み合わせだな、と感じました。 沖:三枝君とは去年からご一緒する機会が増えて、自分たちのライブをタブラオ・エスペランサでやったときに久しぶりに顔を合わせました。これまでも会ったことはありましたが、実は共演したことは無くて。僕のステージはどちらかというとフラメンコを拡大解釈したものが入っているから、三枝君のような硬派なタイプの人の好みではないだろうと思い込んでいたんです。でも実際に話してみると共感してもらえそうな部分もいろいろ見えてきました。それで、今年のホセ・ガルベスとのビルボードツアー公演で初めて一緒に回ったら、想像以上にビシッとはまってくれて。次に「塩谷(哲)さんとの舞台があるんだけどどう?」と試しに聞いたら乗ってくれて。そしてブルーノート公演についても恐る恐る聞いてみたら「光栄です」と快く引き受けてくれました。実際にやってみたらここでも想像以上の展開に僕も刺激を受けて、三枝君も面白がってくれるのが伝わってきたからすごく良かったです。 三枝君は日本人でしかも同年代でありながら、フラメンコの一番核になる部分を大事にしているアーティストなので、とてもリスペクトしています。彼のそういうかけがえのない部分と、僕自身の創作的な部分とが噛み合う形で今後もうまく共演できたら素晴らしいなと思います。 ***** ――沖さんのこれまでの音楽活動を振り返ってお聞きしたいと思います。20年間の活動の中で、ターニングポイントとなった出来事や思い入れの強い作品などはありますか。 沖:アルバムなどの作品については、毎回自分なりの思いの丈を詰め込んで作っているので比べられないけど、僕自身のキャリアとしてのターニングポイントという意味で言えば、2010年にスペインのコンクールで優勝したことですね。あの当時はこのままやっていても難しいかなと精神的に追い詰められていて、賞が取れなかったら方向性を変えなければ、という覚悟で臨んだコンクールでした。 ――当時の様子はTV番組「情熱大陸」で放送されましたね。 沖:番組サイドからコンクールを題材に撮りたいと言われ、決まったのもコンクールの2~3週間前と直前でした。もともと僕はコンクールに一人で行くつもりだったのですが、事務所やレコード会社が動いてくれて「情熱大陸」に結び付けてくれて。急遽、連日取材やインタビューが入るようになって、プレッシャーもあったけどチャンスでもありました。後にも先にもこんなプレッシャーを感じる事はなかなか無いかと思います。 ――コンクールの後、環境は変わりましたか。 沖:何かが変わったということはないけど、番組がすぐオンエアされて、それに伴ってテレビやラジオ、新聞といろんなメディアに取り上げられました。そうすると、番組をきっかけに興味を持ってくれた人がコンサートに来てくれたりと、波及するように反響が活性化していきました。また、コンクール直前に作っていたアルバムが偶然この時に重なって発売されたのですが、賞を取った直後にセールスにつながって、メディアの力はすごいと思いました。 ――その後芸能界でのお仕事が増えてきて、様々なミュージシャンや歌手の方との共演もあったかと思います。その中で沖さんが音楽面で影響を受けたことはありますか。 沖:歌手の玉置浩二さんからは、たくさんの事を学ばせていただきましたね。2013年頃に初めてお会いして、一時期頻繁にお仕事する機会がありました。僕はカンテ伴奏をヘレスに住んでいた頃から真剣に取り組んできて、アグヘータの伴奏もやらせていただいたりしましたが、カンテ伴奏について自分なりに体得したことが玉置さんにもそのままあてはまるんだなあと思いました。他にもすごい歌い手さんたちとも共演させていただいてますし、僕が天才と思っている人はたくさんいますけど、やはり1人だけ挙げろと言われたら真っ先に思い浮かぶのは玉置さんです。ミュージシャンとして大きな影響を受けた方です。玉置さんはアコースティックギターも弾くけど、弾き語りでナイロン弦のギターを使う時はフラメンコギターを弾いてますね。 ***** ――ワークショップの活動についてもお聞きしたいと思います。何年か前から始められて、昨年の東京公演では生徒さんも出演されましたね。 沖:ワークショップは実は10年以上やっていまして、1回完結のスタイルでいつもやっていました。初めのうちは僕のスケジュールの時間が取れるときに不定期にやっていましたが、気づいたらレギュラーで受けてくれている人も増えて定着してきていました。それがコロナで途切れちゃうかなと思ったけどリモート形式で乗り越えてこれたので、これは何か形にしたいなと。僕としては初期の頃からみんなで合奏をしたいという思いがありました。フラメンコギターのソロは高度なテクニックが求められるので、踊り伴奏10年、歌伴奏10年でやっとソロが弾けるなんて言われるけど、それではハードルが高すぎるから、合奏ならもう少しハードルを下げられるのではと思い、合奏をキーワードとして掲げています。これまでフラメンコギター・アンサンブルとしてやっていましたが今は「エル・トーケ」という名前に変えて、来年3月に演奏会も予定しています。目標がある方がみんな張り切るだろうと思い、そこに向けて今年はこれまでよりペースや頻度を上げてやっています。 ――発表会をやると決まって、生徒さんたちのモチベーションは変わりましたか。 沖:前から皆さん真剣にやってくれているので特に変化はないですね。ただ、これまでよりペースが早くなったので大変になったとは思います。それでもついてきてくれているのはうれしいですね。僕は来る者は拒まずなので、大変そうなときは一旦休んでまた戻ってくればいいし、遠方から来てくれてる方もいるので、それぞれの事情に合わせて楽しくできるのが一番ですよ、と伝えています。無理すると続かないですから。 フラメンコギターにはいろんな付き合い方があると思うんです。毎日弾く人もいればたまにしか弾かない人もいる。そんな人たちが集まってみんなで楽しめるような場があったらいいと思っています。フラメンコギターって求められるものが大きいですが、気軽に取り組む人がいてもいい。いろんな付き合い方でいいよ、というのをすごく大事にしています。 ***** ――音楽活動では最近cokibaというユニット活動を始められましたね。きっかけや、今後の予定など教えてください。 沖:去年の夏ごろに、アコーディオニストのcobaさんからお話があって「ユニットやってみない?」とお誘いを受けました。僕は音楽ユニットをやったことがなくて、例えばジャズギタリストの渡辺香津美さんとはコラボとして一期一会の気持ちでいつもやらせてもらっていましたが、これはユニットではないので「コラボとユニットの違いが分からない」と伝えたところ、「曲をどんどん作ろうよ」と。一期一会のセッションだと、カバー曲やお互いのオリジナル曲を持ち合ってのステージになることが多いので、ユニットを意識したオリジナル曲を作ろう、と。 僕はこれまで演奏家のアコーディオニストとしてのcobaさんしか知らなかったのですが、作品を聴かせてもらったらハープの曲を書いたりクラシックギタリスト荘村(清志)さんのアルバムを全曲アレンジしたりと、作家としても幅広く活動されていて。そんな作家性の強いcobaさんと一緒にやることで、自分の作家としての部分も掘り下げていきたいと思い賛同しました。 今後についてはライブもいくつか決まって、レコーディングも始まってアルバムを出せるくらいの曲数が溜まってきました。自分が弾くのを前提で作るのでなく、人が弾くのを前提で作るというのは刺激的ですね。 ***** ――最近注目しているギタリストや、沖さんが好きなギタリストなど教えていただけますか。 沖:最近だと、日本では徳永兄弟が活躍してますね。彼らとは世代も辿ってきた道も全然違うし、フラメンコギターの捉え方や表現の仕方も違うので、良い意味で大きく刺激をもらっています。彼らがどんどん世に出てフラメンコを広げていくことを陰ながら応援しています。 スペインのアーティストでは、職業柄つい研究として聴いてしまったりもするのですが、僕個人のアフィシオンとしてはヘレスのカンテ物をよく聴きます。より詳しく言うと、そこで弾いてるギターを聴いたり、カンテとギターの絡み合いやコミュニケーション具合を聴いている、という方が正しいです。そういう点では、身近な人でもあるけど、ホセ・ガルベスのカンテ伴奏は一級品ですね。 長年好きなのは、ちょうど今年来日したカニサレスさんですね。ファーストアルバムの頃から聴いていますし、スタイルが変わっていく具合も含めて素晴らしいなと思ってます。 また、ビセンテ・アミーゴは僕にとってフラメンコギターを志すきっかけとなった人で、普通にファンみたいな心理で聴いています。実は、10代の頃クラシックギターで留学していたカナダから日本に一時帰国していて、その後アメリカの音楽院へ留学してホームステイ先も教授のところでお世話になることまで決まっていたんです。その時に、ビセンテ・アミーゴを初めて聴いて、衝撃を受けて。もしかしたらこっちが自分のやりたい音楽なんじゃないか、と急に悩み始めてしまって…結果としてアメリカ行きをやめてしまったのです。そのきっかけをくれたのはビセンテだったので、忘れ難いですね。 【プロフィール】 沖仁(Oki Jin)/1974年、長野県軽井沢町生まれ。 14歳より独学でエレキギターを始める。カナダで1年間クラシックギターを学び、その後スペイン・アンダルシアに居を移す。生きたフラメンコを吸収しながら日本とスペインを往復し20代を過ごす。 1997年、一時帰国中に日本フラメンコ協会主催新人公演奨励賞を受賞。 2000年5月に帰国。2002年にデビュー作となる1stソロアルバム『Una manana en Bolivia(ボリビアの朝)』を自主制作盤としてリリース。 2006年11月、3rdソロアルバム「Nacimiento[ナシミエント]〜誕生〜」でEMI MUSIC JAPANよりメジャーデビュー。NHK大河ドラマの紀行テーマ曲を担当したりフジロック・フェスティバルに出演するなど、その活動の幅を広げていく。 2010年、スペイン三大フラメンコギターコンクールのひとつ「第5回ムルシア “ニーニョ・リカルド” フラメンコギター国際コンクール」国際部門でアジア人として初めて優勝。その模様をTBS系「情熱大陸」でオンエアされ大きな反響を呼び、その後EXILEに楽曲提供、フジテレビ系「ヨルタモリ」へ常連客として出演するなど、その名が広く知られることになる。 2022年、デビュー20周年記念アルバム『20 VEINTE』をリリース、全国ツアーを展開する。 近年はフラメンコギター・アンサンブルを立ち上げ、後進の育成にも力を入れながら楽曲提供、プロデュース、執筆にも力を注ぎつつ、唯一無二のフラメンコギターの追求を続けている。 [公式HP] https://jinoki.info/ *cokiba/アコーディオニストcobaとフラメンコギタリスト沖仁が、二人でしか作り出せない新たな音楽を目指して2023年に立ち上げたユニット。このユニットのために書き下ろす互いのオリジナル曲を提げて、まだ見ぬ新しい音楽境地を目指している。 ※沖仁さんの今後のライブ情報などは、こちらをチェック! >>>>>
- 徳永兄弟 OCTET - NEO FLAMENCO
(martes, 28 de noviembre 2023) 2023年6月23日(金) 紀尾井ホール(東京・四谷) 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko 写真/田頭真理子 Fotos por Mariko Tagashira クラシックホールとして有名な紀尾井ホールが、この日フラメンコに染まった。 昨年のメジャーデビューアルバム発売からホールツアーを経て、その目覚ましい活躍で大きな注目を集めるフラメンコギターデュオ徳永兄弟のコンサートが行われた。 テーマは「音とリズムのバトル」。共演には、昨年の夏にスペイン最大のフラメンココンクール、カンテ・デ・ラス・ミナスでセミファイナル出場という快挙を成したベーシスト森田悠介や、パーカッショニストとして様々な音楽ジャンルで活躍するKAN、同じくパーカッションで現在米バークリー音楽大学へ奨学生として留学中で、スペインの一流フラメンコアーティストらのツアーにも参加するラファエル・モイセ・エレディア、そして日本のみならず世界でも活躍するタップダンサーSAROと、フラメンコ界で今最も注目されている若手のホープ中原潤と鈴木時丹がパルマとダンスで出演という、贅沢なメンバー構成。OCTETの名が示すように、8人の精鋭による音とリズムの“八重奏”に期待が高まる。 真っ暗な舞台の左側に置かれた1台のテーブル。それを囲むようにしてフラメンコアーティストの5人が立ち、各々の拳でテーブルを叩きながらリズムを刻み始める。これはヌディージョと呼ばれるフラメンコの演奏方法の1つで、テーブルとか壁など物を拳で叩いたり指で弾いたりして音を鳴らしながらリズムを奏でるもの。モイセが音の変化を加えながらリズム遊びをリードし、グルーヴの輪が熱く盛り上がっていく。純粋なフラメンコの楽しみ方だ。 そのリズムの波に乗るように、中原と鈴木がテーブルから離れ、ひと振りずつ踊りステップを刻む。それに続いてタップダンサーのSAROが舞台中央に登場し、自慢のステップを披露する。 リズムと足音による音楽の中で、次は森田がベースソロを聴かせ、そこにもう一人のパーカッショニストKANが打楽器のリズムを添える。こうして全員が己の技を挨拶代わりに披露。役者が揃った。 そして徳永兄弟がギターを手に、改めて舞台へ登場する。彼らの代表曲「ブレリア・デ・パドレ」から演奏は始まった。活動初期から弾き続けているこの曲は、自身の成長とともに常に進化を重ね続け、今の自分たちにとっての最上級の形で演奏を聴かせてくれる。 続く「魂の旅人」は、ダブルパーカッションで音の厚みを増し多彩な音色を演出。 「アランフェス協奏曲~スペイン」では重厚なビート感溢れるベースが骨太な土台を固め、ソロパートでも深く渋い音色が存在感を放った。 「アスーカル・モレーノ」は一転して陽気なサウンド。カホンやコンガ、パルマも叩いて二人のパーカッショニストによる白熱したリズム・バトルが繰り広げられた。 後半ステージは、3人のダンサーによるダンス・バトルからスタート。タップとフラメンコ、踊りのスタイルは違うけど三者三様の凄技の連発には目を奪われた。 「カルメンフラメンコファンタジー」では曲の構成に合わせて前半と後半でパーカッションをスイッチ。演奏の変化に合わせて照明も替わり、音楽とライティングが織りなすハーモニーが広がる。 照明が暗くなると、今回初披露となる「ネオフラメンコ」へ。ベースソロから始まり、兄弟それぞれのギターソロから踊りのソロへと続く。しなやかでいて力強い中原の踊り、鈴木は自然と内から湧き上がるようなシンプルな踊りで魅了する。彼らの舞踊表現に、これから目指すフラメンコの新境地を見た。 「ダマ・デ・ノーチェ」ではSAROのタップダンスにフォーカス。飛んだり跳ねたり全身を駆使して自在にステップを刻み、ベースとダブルパーカッションが生み出すグルーヴとともに熱いステージを演出。 ギターデュオの「アレグリアス」は、ホールの素晴らしい音響と相まってフラメンコギターの美しい音色に酔いしれた。 ここで挨拶とメンバー紹介。この場面でこの日初めてマイクを持ち、第2弾もこの形式でやりたいと今後への意気込みを語った。 ラストの曲は8人全員による「リベルタンゴ」。ボリューム感のあるサウンドの中、タンゴでは3人が鮮やかなステップを披露。 アンコールは「シェイプ・オブ・マイハート~コーヒールンバ」、そして最後はやはりこの曲「ブレリア・デ・パドレ」。6人のパルマに支えられ、熱い演奏でステージを締めくくった。 「音とリズムのバトル」を様々な対戦スタイルで楽しませてくれた今回のコンサート。観客はもちろんだが、一番楽しんでいたのは何といっても出演者本人たちだろう。互いのプレイをリスペクトし、心の底から楽しむ彼らの熱量が観客にも伝わり、客席とステージが一体となって熱く沸き立つような時間を堪能させてくれた。 【出演】 徳永健太郎(フラメンコギター) 徳永康次郎(フラメンコギター) 森田悠介(ベース) ラファエル・モイセ・エレディア(パーカッション) KAN(パーカッション) SARO(タップダンス) 中原潤(パルマ&ダンス) 鈴木時丹(パルマ&ダンス) 【プログラム】 イントロダクション ブレリア・デ・パドレ 魂の旅人 アランフェス協奏曲~スペイン アスーカル・モレーノ ア・カペラ カルメン フラメンコ ファンタジー Ⅰ:アラゴネーズ Ⅱ:ハバネラ~闘牛士 ネオフラメンコ ダマ・デ・ノーチェ アレグリアス リベルタンゴ (アンコール) シェイプ・オブ・マイハート~コーヒールンバ ブレリア・デ・パドレ >>>>>
- ANIF全国公演『フラメンコのちから』
(lunes, 27 de noviembre 2023) 一般社団法人日本フラメンコ協会(ANIF)主催による劇場公演『フラメンコのちから 〜The Power of Flamenco〜』が、2023年12月~2024年1月に全国6都市(仙台・札幌・富山・徳島・大阪・千葉)にて上演されます。 プロ、アマ、性別、年齢、国籍といったあらゆる垣根を超えて、すべての人々にポジティブなエネルギーを伝えることができる「フラメンコのちから」を、全国各地の多くの方々に伝えたいとの思いで、日本を代表する重鎮・中堅・新鋭という三世代のアーティストたちが集結し、史上初の全国公演ツアーを展開します。 振付演出には、歌舞伎、宝塚、吉本新喜劇などのフラメンコ振付演出で活躍する佐藤浩希氏を迎え、日本フラメンコ史上類をみない規模と多様性をもった作品として、全国のフラメンコ・アーティストたちを交えた「現地作品」と共に各地で上演されます。 また、全ての子供たちに芸術鑑賞を楽しんでほしいと、全公演とも小・中学生は無料招待となっています(※公式サイト内に受付リンク有)。 迫力溢れる情熱的なフラメンコの舞台を通して、生きることの喜びやポジティブなエネルギーをぜひ劇場で体感してください! 【公演概要】 一般社団法人日本フラメンコ協会 全国公演 『フラメンコのちから 〜The Power of Flamenco〜』 【仙台公演】 公演日:2023年12月11日 (月)19時開演 、12月12日 (火)14時開演 会場:トークネットホール仙台(仙台市民会館)小ホール(宮城県仙台市青葉区桜ヶ岡公園4-1) 【札幌公演】 公演日:2023年12月14日 (木)19時開演、12月15日 (金)14時開演 会場:共済ホール(北海道札幌市中央区北4条西1丁目1共済ビル6F) 【富山公演】 公演日:2023年12月19日 (火)19時開演 、12月20日 (水)19時開演 会場:富山オーバード・ホール 中ホール(富山県富山市牛島町9-28) 【徳島公演】 公演日:2024年1月15日 (月) 19時開演、1月16日 (火)14時開演 会場:阿南市文化会館 夢ホール(徳島県阿南市富岡町西池田135-1) 【大阪公演】 公演日:2024年1月17日 (水) 19時開演、1月18日 (木)19時開演 会場:クレオ大阪中央ホール(大阪府大阪市天王寺区上汐5-6-25) 【千葉公演】 公演日:2024年1月23日 (火)19時開演 、1月24日 (水)14時開演 会場:千葉県南総文化ホール 大ホール(千葉県館山市北条740-1) <総合演出> 佐藤浩希 <出演> 小島章司 岡本倫子 小林伴子 齋藤克己 鈴木眞澄 曽我辺靖子 手塚真智子 渡邊薫 石川慶子 大槻敏己 伊集院史朗 鍵田真由美 鍜地陽子 三枝雄輔 三四郎 鈴木敬子 堀江朋子 本間静香 宮内さゆり 荒濱早絵 川松冬花 鬼頭幸穂 佐藤陽美 JURINA 鈴木時丹 中里眞央 脇川 愛 山崎嬉星 山本海 市川惠子 森田志保 [ギター] 鈴木英夫 今田央 片桐勝彦 北岸麻生 福嶋隆児 [カンテ] 有田圭輔 石塚隆充 川島桂子 中里眞央 嶽北慎二 山田あかり ※会場によって出演者は異なります。 ※仙台、札幌、富山、徳島、大阪、館山の各地で活躍するフラメンコ・アーティストによる「現地作品」とゲスト出演者は、各公演のチケット販売ページに記載されています。 <チケット> 自由席:6,000円(税込) 取扱い:カンフェティ(http://confetti-web.com/flamenco-anif/)、チケットぴあ、イープラスにて ※各公演の指定席(追加2,000円税込)の予約や、小・中学生無料招待券の申込みは、公演公式サイト内の受付リンクから手続きできます。 <公演公式サイト> https://www.anif.jp/information/announce/thepowerofflamenco.html <スタッフ> [舞台監督] 飴谷圭介 [照明]有限会社キングビスケット 諏訪幸子、河西みのり、有賀まどか [音響・大道具]音屋飴谷 出西 光、佐藤陽美、杵渕三朗 [演出助手] 末木三四郎、中里真央 [映像撮影配信]oreodacci, Inc. 小田裕貴 [宣伝写真]ステージフォト 川島浩之 [宣伝美術]moyuru design [プロデューサー]日本フラメンコ協会 瀬戸雅美 [アシスタントプロデューサー]日本フラメンコ協会 望月素子 <助成> 文化庁 令和4年度補正予算 文化芸術振興費補助金 統括団体による文化芸術需要回復・地域活性化事業(アートキャラバン2) <後援> 駐日スペイン大使館 スペイン政府観光局 インスティトゥト・セルバンテス東京 (公財)日本スペイン協会 (公財)スペイン舞踊振興 MARUWA財団 <主催/問合せ> 一般社団法人日本フラメンコ協会 公式WEB https://anif.jp 公式LINE @flamenco_anif TEL 03-3383-0413 >>>>>
- プリメラフェスティバル2023『フラメンコ魂』
(domingo, 26 de noviembre 2023) 2023年6月15日(木)・16日(金) こくみん共済coopホール・スペースゼロ(東京・新宿) 主催:プリメラギター社 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko 『カンテ・ソロの一曲入魂』 2023年6月15日(木) 写真/川島浩之 Foto por Hiroyuki Kawashima (写真)主催のプリメラギター社長チコさんを中心に、出演したカンタオーレスと伴奏したギタリストらとともに 毎年、様々な企画で私たちフラメンコ愛好家を楽しませてくれるプリメラフェスティバル。今年の主役のひとつは、カンテだ。「カンテ・ソロの一曲入魂」と題し、日本各地から実力・個性ともに際立つフラメンコの歌い手たちが集結した。その数なんと43名! 熱唱、名唱、ギター伴奏と共に歌い上げるオーソドックスなスタイルから、自らギターも奏でる弾き語り、さらには大勢のパルマとともにフィエスタ形式など、各出演者らの個性やこだわりがその一曲に詰まっている。ライブや公演でお馴染みの人から普段なかなかお目に(お耳に?)かかれない人まで、一人一人の素晴らしいカンテを堪能した。 終演後の挨拶で、主催のプリメラギター社長のチコさんこと吉田正俊氏は、日本におけるフラメンコの普及に大きく貢献した故・濱田滋郎氏がかつて「日本人にはカンテは難しいのではないか」と語っていたことに触れ、「今日のこの舞台を濱田先生に観てもらえていたなら、(その素晴らしさに)きっとビックリしたんじゃないかと思う」と誇らしさをにじませていた。 途中3回の短い休憩をはさみながらも、17時に開演したこの舞台が終わったのは22時目前! 通常の公演では考えられない長さだが、バラエティに富んだたくさんの歌が楽しめたので意外と長くは感じられなかった。やはり楽しい祭りはあっという間なのだ。 【出演】 齊藤綾子、笛田剛史、市川えり、柏山美穂、佐野三晴、鞍掛和子、室田恵、須田隆久、高橋愛夜、阿部真、三枝雄輔、大沢玉紀、大橋範子、佐々木紀子、濱田吾愛、元井祥雄、吉田光一、織田洋美、マヌエラ・ナランヒータ、福田加弥子、レイコ・シミズ・サンギット、近藤裕美子、土井康子、遠藤郷子、高岸弘樹、許有廷、小松美保、永井正由美、井上泉、チャチャ手塚、山田あかり、ダニエル・リコ、森薫里、大渕博光、川崎さとみ、永潟三貴生、水落麻理、有田圭輔、今枝友加、石塚隆充、川島桂子、三澤敦子、エンリケ坂井 『バイレ・ソロの一曲入魂』 2023年6月16日(金) 写真/松本青樹 Fotos por Aoki Matsumoto 今年のプリメラフェスティバルのもうひとつの主役は、ボリュームあるフリルと尻尾のように長い裾で大輪の花のように舞台を彩る、踊り手の憧れでもある衣装、バタ・デ・コーラだ。 今回の「バイレ・ソロの一曲入魂」では、様々な舞台で活躍中のフラメンコ舞踊家8名が、美しくデザインされた自慢のバタ・デ・コーラを身にまとい、その魅力を存分に発揮。時に愛らしく、時に妖艶に、そしてダイナミックに、美しく個性豊かな踊りで観客を魅了し、華やかな夢の競演を繰り広げた。 1.井口裕香里 アレグリアス 白系のマントンと水色の衣装で爽やかな印象。重心が安定していて、優美でいて力強い。ボリュームあるコーラ(長い裾の部分)を自在に扱い多彩な表現を披露した。 2.片桐美恵 シギリージャ 黒の衣装に赤のフレコが燃えるように揺れる。円熟味を増した佇まいには気迫がみなぎり、低くうねるように動くコーラが曲の重厚感を演出する。 3.公家千彰 ペテネーラ 山吹色の衣装に黒のマントンのコントラストが印象的。パリージョと足音のコンビネーションが絶妙。曲の緩急に合わせたマントンさばきも見応えがあった。 4.里有光子 マルティネーテ 黒の衣装に身を包み、ぶれない体幹と柔軟な身体使いで安定した踊りを披露。正確なコンパス感と丁寧なコーラさばきで、落ち着いた優美さを表現した。 5.EL CAYO 池本佳代 アレグリアス 黒地に赤の差し色を取り入れたコーラはやはりフラメンコらしくて魅力的。柔らかい身体を生かし演じるように踊る場面やオリジナリティに富んだ構成で、創作舞踊のような一面も楽しめた。 6.林順子 グアヒーラ 青地に白の水玉、ピンクの縁取りがなんとも愛らしいバタ・デ・コーラ。優雅な雰囲気が漂い、美しい身体使いや軽やかなパリージョの音色にもうっとり。 7.井上圭子 アレグリアス 淡いグリーンの衣装にオレンジのマントンがよく映える。キレの良い踊りはギターとの呼吸もピッタリ。コケティッシュな雰囲気も彼女ならではの魅力。 8.石井智子 シギリージャ 大トリにふさわしい圧倒的な貫禄と存在感を醸し出す。ダイナミックなコーラさばきや粒のそろったパリージョも、圧巻の一言だった。 >>>>>
- 「ウクライナに平和とアートを!」クリスマスフラメンコライブ&パーティー
(sabado, 25 de noviembre 2023) 一般財団法人エルスール財団は、ロシアとの戦争から避難してきたウクライナ人を対象にレクリエーション支援活動を行うため、2023年5月「ウクライナに平和とアートを!」実行委員会を立ち上げました。 この支援はアート(特にフラメンコ)に特化したもので、レクリエーションを通してウクライナ人避難民の方に日本で少しでも楽しい時間を過ごしてもらえるよう、ウクライナ語で学ぶフラメンコダンスのクラスを開講したり、ウクライナ人は無料で楽しめるライブやイベントなど様々な活動を行ってきました。 そしてこのたび、フラメンコクラスを通して次第に上達してきた彼らのために、クリスマスライブ&パーティーが東京・恵比寿で開催されます。共演には数々の舞台で活躍中のフラメンコアーティストらを迎え、美味しいスペイン料理を味わいながらウクライナの皆さんのパフォーマンスやプロのステージが楽しめます。 クリスマスイブの前夜に、フラメンコを通してウクライナと日本との国際交流のひとときを過ごしてみませんか? 「ウクライナに平和とアートを!」 クリスマスフラメンコライブ&パーティー 日時:2023年12月23日(土)12:30~14:30 会場:恵比寿「サラ・アンダルーサ」 出演:永田健、伊藤笑苗、ウクライナ人生徒(踊り)/小松美保(歌)/今田央(ギター)/野村眞里子(MC) 内容:I部―ウクライナ人生徒による歌と踊り/II部―プロによるフラメンコショー 費用:10,000円(1ドリンク、タパスセット、パエージャ付き) ※この企画は、クラウドファンディングのリターンとしてご覧いただくこともできます。 https://camp-fire.jp/projects/view/704879?utm_campaign=cp_share_c_msg_projects_show [予約申込み/問]一般財団法人エルスール財団 info@elsurfoundation.com 電話/FAX:03-3325-5668 >>>>>
- 平富恵スペイン舞踊団公演《FLAMENCO ALEGRÍAS ~生きる喜び~》
(martes, 21 de noviembre 2023) 劇場公演を中心にフラメンコやスペイン舞踊の魅力を伝える様々な活動を続けている、平富恵スペイン舞踊研究所の創立25周年と舞踊団結成15周年の記念公演として、東京・大手町の日経ホールにて『FLAMENCO ALEGRÍAS ~生きる喜び~』が上演されます。 スペイン舞踊の有名な「エスパニア・カーニ」をはじめ、劇場版フラメンコやドラマティックな組曲など、新作や舞踊団定番の名作を新演出で上演するなど見どころ満載。 また、開演前にはプレトークショーも開催され、楽しくフラメンコの魅力をナビゲートしてくれます。 芸術的で情熱的な舞台を通して、「生きる喜び」をぜひ劇場で体感してください! 平富恵スペイン舞踊研究所創立25周年記念 平富恵スペイン舞踊団結成15周年記念公演 『FLAMENCO ALEGRÍAS ~生きる喜び~』 [日時] 2023年11月25日(土) 昼公演 12時15分開場/13時開演(12時40分~プレトークショー) 夜公演 17時15分開場/18時開演(17時40分~プレトークショー) [会場] 日経ホール(東京都千代田区大手町1-3-7 日経ビル) [出演] 【舞踊家】 平富恵、ルイス・オルテガ、ヘスス・ペローナ、リカルド・モロ、出水宏輝 [平富恵スペイン舞踊団] 宮北華子、菊池和緒子、濵野紗帆 松下弘実、秋山千草、小黒瑞紀、井上亜紀、安藤麻紀子、田中英恵、井上洋子、平クリオ 須藤 絵里子、平野 聖美、杉島直美、後藤 雅枝、石谷 優枝、蓮池 良美、大貫 智子、星野 知恵、小山 真理子、鈴木 由香、海貝 佐和、松村 彩、村田 愛、飯森 詩織、照沼 かおり 【音楽家】 ミゲル・デ・バダホス[歌手]、石塚 隆充[歌手]、小松 美保[歌手]、徳永 健太郎[ギター]、福嶋 隆児[ギター]、橋本 容昌[パーカッション] 【プレトークショー】 スペシャルナビゲーター:石塚隆充 ゲストアスリート:ビーチバレー庄司憲右 [チケット料金] ●SS席:20,000円 (限定特典あり) ●S席:8,000円(小中学生:4,000円) ●A席:6,000円(小中学生:3,000円) ●B席(U-25限定販売):3,000円 [購入方法] ●イープラスhttps://eplus.jp/sf/detail/3935930001-P0030001 ●B席・小中学生チケットをご購入希望の方は、 girasolflamenco@gmail.com までご連絡ください。 [主催・問] 有限会社マジェスティック TEL.03-3905-7900(月~木 10-17時) Email: girasolflamenco@gmail.com URL: www.girasolflamenco.com >>>>>
- 第12回CAFコンクール二次予選通過者が決定
(jueves, 16 de noviembre 2023) 去る11月14日に行われた第12回CAFフラメンコ・コンクールの二次予選の通過者が発表されました。 <第12回CAFフラメンコ・コンクール二次予選通過者(出演番号順)> 2 河島 ティヤナさん/カーニャ 8 久保田 晴菜さん/アレグリアス 9 角谷 のどかさん/アレグリアス 10 稲田 晃子さん/ソレア・ポル・ブレリア 11 宮北 華子さん/アレグリアス 13 鈴木 時丹さん/ソレア・ポル・ブレリア 15 和泉 冴英香さん/ソレア・ポル・ブレリア 16 鬼頭 幸穂さん/シギリージャ 以上の8名が、今月末に行われる本選に出場します。 未来の日本のフラメンコ界を担う若きダンサーたちの雄姿を、ぜひ現地で応援してください! [日程] 本選:2023年11月30日(木)16:00~ 北千住Theatre1010 [チケット取扱] チケットぴあ [チケット代] 4,000円(全指定席) ※本選では、エキシビションも鑑賞できます。 ※本選の観覧チケットは、11月27日までチケットぴあにて発売中。それ以降は当日券をお求めください。当日券は開演1時間前の15時から劇場にて販売されます。 ※6歳未満のお子様は入場不可となります。 [主催] 公益財団法人スペイン舞踊振興MARUWA財団 住所:東京都港区芝3-16-13 MARUWAビル2階 連絡先:info@mwf.or.jp/ 03-5419-6513 財団サイトURL:https://mwf.or.jp コンクールサイトURL:https://mwf.or.jp/caf/1680 【観覧席から】 ビデオ審査による一次予選を通過した17名(内1名辞退、1名欠場)による二次予選が行われた。 アレグリアス系、ソレア系又はシギリージャ系の曲で5分以内という条件の中で、各参加者がこれまで磨いてきた技術と大事にこだわってきた舞踊表現、そしてそれらを生かすための構成を練って、己の全てを詰め込んだ作品はそのどれもが見応えがあった。 曲はソレア・ポル・ブレリアやアレグリアス、次いでシギリージャが多く、カーニャやソレアなど新鮮に映った。 参加者たちのレベルは総じて高く、劇場公演など大きな舞台の経験が豊富な人と、タブラオ出演などライブ感の強い舞台で腕を磨いた人とでは、その踊りのスタイルや雰囲気が異なっていてどちらも魅力的だった。 本選では二次予選とは異なる曲での出演となるので、それぞれどのような作品で勝負に出るのか楽しみにしている。(文/金子功子) >>>>>
- 軌跡 -trayectoria- ロシオ・モリーナ
アーティスト名鑑 vol.5 (miércoles, 15 de noviembre 2023) スペイン在住30年以上、多数の一流フラメンコ・アーティストらとも親交のあるフラメンコ・ジャーナリスト志風恭子が、代表的なアーティストらのプロフィールをピックアップ。過去の取材で撮影した写真や、チェックしておきたい動画などもご紹介します。 今月は特別版として、世界のフラメンコファンを魅了し来日目前で注目を集めるロシオ・モリーナをフィーチャーします。 文/志風恭子 Texto por Kyoko Shikaze Rocío Molina Cruz “Rocío Molina” Velez Málaga, 12-9-1984 ロシオ・モリーナ 本名ロシオ・モリーナ・クルス 1984年9月12日 マラガ県ベレス・マラガ生 類まれな身体能力、卓越したテクニック。ひとところに留まることなく、感じ続け、考え続け、歩み続ける “今”のアーティストは勇敢で力強く美しい。幼い時から伝統的なフラメンコやスペイン舞踊をきちんと学び、舞踊団やタブラオも経験した上で、ロシオは枠にとらわれず、演劇やコンテンポラリーなど様々な要素も取り入れつつ、自由に自らの世界を表現していく。30代にしてすでに20作近くを上演し、中にはその先進的な表現で旧来のフラメンコ愛好家から批判を浴びたこともあったが、クオリティの高さは国内外での数々の受賞も保証する。フラメンコ本来の間合いの妙や形の美しさも素晴らしい、現代フラメンコを語る上で欠かせない存在だ。 【経歴 Biografía】 1987年 3歳 近所の教室で舞踊を習い始める。 1991年 7歳 公立舞踊学院に入学。 1992年 8歳 マラガ近辺のフェスティバルの舞台で踊るようになる。 1996年4月24日 12歳。カナルスールの番組に出演『カーニャ』を踊る。 https://youtu.be/3fHU3gtl3Ew?si=TSDUnWHYvWr5DwY1 この頃からヘレスやセビージャのクルシージョにも出かけていく。 1999年 15歳 マドリードに移り、公立舞踊学院で学ぶ。 ウブリケ、ラ・リネア、エステポナなどのコンクールで優勝。 2001年 17歳 マリア・パヘス舞踊団の一員となり『ラ・ティラーナ』などの作品に出演。イタリア、フランス、日本公演などに参加。 2002年 18歳 第11回マドリード、スペイン舞踊とフラメンコ振付コンクールに自らの振付作品『ウニコ・センティル』で共演のカルロス・チャモロらと共に最優秀舞踊家賞受賞。 2003年 タブラオ“ラス・カルボネーラス”に出演。 2004年1月 19歳 フラメンコ・フェスティバル・ニューヨーク『ガラ・デ・セビージャ』に出演し、マヌエラ・カラスコらと共演。 2004年 セビージャのビエナルの夏の若手公演に出演。 2005年2月11日 20歳 処女作『エントレ・パレデス』をスペイン北部ビトリアで初演。後、ヘレスのフェスティバル(3月1日)、フラメンコ・ビエネ・デル・スールなどでも上演(4月5日セビージャ、セントラル劇場で上演) 2005年5月14日 20歳 愛知万博に関連して行われたフラメンコ・フェスティバルの『ガラ・フラメンコ』出演のため来日。カルメン・コルテス、アレハンドロ・グラナドスらと共演。 2005年9 月18日 21歳『エル・エテルノ・レトルノ』をマラガ・エン・フラメンコで初演。翌年2月28日ヘレスのフェスティバルで上演。 2006年『トゥルケサ・コモ・エル・リモン』 https://youtu.be/qzZqo88To5Q?si=PcnkxaZcyj6Tpwqe スペイン文化省の舞踊WEBのチャンネルより 2006年 セビージャ県ロス・パラシオスの若手フラメンコ・アーティストに送られるベネンシア賞受賞。 2007年2月27日 ヘレスのフェスティバルでディエゴ・カラスコと共演の『パソス・コンタドス』を上演予定が『アルマリオ』に変更。 https://youtu.be/ZyjJqliHKGE?si=Mqq38x28MwhrERrq スペイン文化省の舞踊WEBのチャンネルより 2007年9月7日『ポル・エル・デシル・デ・ラ・ヘンテ』をマラガ・フラメンコ/マラガのビエナルの1公演としてアンテケーラのコレヒアタ・デ・サンタ・マリア教会で上演。 ギターなしのカンテ、トナーやロマンセ、プレゴンなどのみで踊る。 志風ブログ https://malagaen.exblog.jp/6135612/ 2007年9月15日 ロンダ闘牛場での公演『ア・ラス・セイス・イ・シエテ・エン・プント・デ・ラ・タルデ』に出演。ソロでロンデーニャを踊る。マノレーテらと共演。 2007年9月22日 マラガ闘牛場でのパコ・デ・ルシア公演のオープニングアクトでベルディアーレスの楽団で踊る。 2008年 マリオ・マジャ監督作品『ムヘーレス』でメルチェ・エスメラルダ、ベレン・マジャと共演。2月29日ヘレスのフェスティバルで上演。 https://youtu.be/8QIQtPnDI5U?si=IQ9ZaR_3KjFqQlgm 2008年『オロ・ビエホ』 記者会見写真 https://youtu.be/i0TEE6Ls4sA?si=Yyu8SPGRp9MRmhj7 プロモーションビデオ ヘレスのフェスティバルでは2009年3月7日上演。 2009年『クアンド・ラス・ピエドラス・ブエラン』 https://youtu.be/BPdFcGbhXTk?si=4rrFclBeFg04wE_b 演出家カルロス・マルキエリエの演出。2010年ビエナルでの公演に関して、文化番組での特集。 2010年 26歳 スペイン文化省舞踊国家賞受賞 2011年5月17日『ビナティカ』をセビージャ、ロペ・デ・ベガ劇場で初演。 志風のブログ https://noticiaflamenca.blogspot.com/2011/05/blog-post_20.html ニュースのビデオ https://www.youtube.com/watch?v=7nr0jDYh0WQ 2012年ヘレスのフェスティバルで上演。 志風ブログ https://noticiaflamenca.blogspot.com/2012/03/10_05.html 『ダンサオーラ』 https://youtu.be/-V7u2HffQAE?si=lH7RqCCH3rGxGSL8 プロモーションビデオ/オフィシャルチャンネル 2012年10月 『アフェクトス』バルセロナで初演 https://youtu.be/wU3zc28Fdm0?si=N3GoxmCcNy_mtvEx プロモーションビデオ/オフィシャルチャンネル 2013年2月23日 ヘレスのフェスティバルで上演 2014年 英国ナショナルダンスアワードにノミネート 2015年 『ボスケ・アルドラ』 2014年9月ビエナル公演志風ブログ https://noticiaflamenca.blogspot.com/2014/09/blog-post_30.html https://youtu.be/l8F0h66Qtgg?si=wlMwKHUf6GrNzR8h プロモーションビデオ/オフィシャルチャンネル 2016年10月 セビージャのビエナルで『ウナ・インプロビサシオン・デ…』を上演。ローレやラ・チャナ、エステベス&パーニョスらゲストを迎えた4時間にわたる公演。 2016年11月3〜11日『カイダ・デル・シエロ』パリ、国立シャイヨ劇場で初演。 https://youtu.be/h5csksCyhUM?si=zYClERxD4mTCcy87 プロモーションビデオ/オフィシャルチャンネル 2017年3月8日ヘレスのフェスティバルで上演予定が延期、2018年2月28日上演。 2016年 ヘレスのフェスティバル『インプルソ』でフェルナンド・デ・ラ・モレーナと共演。 https://youtu.be/JQpoEFuEQb0?si=ofovZt34IfoaDgGG プロモーションビデオ/オフィシャルチャンネル 2017年 上海 エルメスとのコラボレーション 2017年 ドキュメンタリー映画『インプルソ 衝動/世界で唯一のダンサオーラ』 https://youtu.be/gAFi0LHqEYg?si=k0hiJwE_MCUT_GzS 映画の公式予告編。 2018年7月『グリト・ペラオ』アビニョンで初演。 https://youtu.be/6dJzmXLOfWI?si=49CzXy9IAho5E60w プロモーションビデオ/オフィシャルチャンネル https://youtu.be/M1n9zIsl1NM?si=y23s0I_bDWwCYr81 9月ビエナルでのオフィシャルビデオ https://youtu.be/VPBwz9DhnXE?si=AZzuoZ4gXbOK4P22 2018年9月 ビエナルでラファエル・ロドリゲス公演にゲスト出演 2018年 英国オリビエ賞に『カイダ・デル・シエロ』でノミネート 2019年 英国ナショナルダンスアワード、コンテンポラリー女性舞踊家部門受賞 2020年3月 『カイダ・デル・シエロ』公演で来日予定がパンデミックで中止。 ドキュメンタリー映画『インプルソ 衝動/世界で唯一のダンサオーラ』日本公開(DVDは2021年7月発売) 2020年9月『イニシオ(ウノ)』 https://youtu.be/7WAV-KRd8f0?si=B1gQCzwh1qsDUsy6 『アル・フォンド・リエラ(ロ・オトロ・デル・ウノ)』セビージャ、ビエナルで初演。 https://youtu.be/I4HR5s4-iEU?si=X-jDAWVZuWho2sLv プロモーションビデオ 2021年5月16日ヘレスのフェスティバルで上演。 2021年『ブエルタ・ア・ウノ』 トレジャー https://youtu.be/BZ79DVkATbs?si=g-Opz1Mr-bcPcoBN リハーサル風景 https://youtu.be/tPs2YtOK1y8?si=y80FAgaIHCd8P-KW 2022年2月25日ヘレスのフェスティバルで上演。 https://vimeo.com/682114985 2022年 スペイン政府芸術功労金賞受賞 2022年 ヴェネツィア、ビエンナーレ 『カルナシオン』で銀獅子賞受賞 https://youtu.be/GC2UaoxiOEI セビージャのビエナル、オフィシャルビデオ https://youtu.be/Cnv3pzsrhx8 2023年 第1回タリア賞女性舞踊家部門で受賞(『ブエルタ・ア・ウノ』による) 【筆者プロフィール】 志風恭子(Kyoko Shikaze)/1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。 >>>>>
- カンテフラメンコ 奥の細道 on WEB No.30
(lunes, 13 de noviembre 2023) 文/エンリケ坂井 Texto por Enrique Sakai ミラブラーの続き 前回でも書いた、かつてサンルーカル周辺で歌われたというこの形式名のもととなったコレティージョ(お囃(はや)し)は以下の通り。 (Coletillo) ¡Ay! que mirabrá y qué mirabradito viene, mirabradito va. (訳) ああミラブラー! なんてミラブラーでやって来て ミラブラーしながら行くんだ! この詞が「アンダルシアの民謡」という雑誌に掲載されたのが1892年だったのですが、「なんてミラブラーでやって来て ~」という詞から分かるのはミラブラーという言葉が「粋な立ち振る舞い」「生きの良い男ぶり、又は女ぶり」というような意味に使われていたという事だ。 生きの良い物売りたちの姿や振る舞いから生まれたのだろう。そして前回の歌詞(当時の世相を反映したカンシオンから採られたという説もある)や、その他の歌詞をまとめてひとつの形式に作り上げたのです。 次の歌詞は恐らくプレゴン(物売りの触れ声、歌)から来たものですが、売る商品(果物や野菜など)の名前は入っていない。 4行詩プラスコレティージョと形は整っています。人の注目を集めるのが目的だから、商品はその後に来ればいいのかも。 (Letra) Hasta la cabeza de mi serrana huele a mosqueta y yo te quiero y de vergüenza no te lo peno. (Coletillo) Tiran bombitas de la cabaña, si será el rey de la Gran Bretaña. (訳) 俺のあの娘は髪にまで 野イバラの良い香りがする、 彼女を愛しているが 恥ずかしくて言えないんだ。 小屋から爆弾を撃ってくる あれは英国の王様かも。 このメロディーは最初ミの調性(つまりフラメンコのミの旋法)になり、その後は長調に戻るのですが、これによって曲にアクセントを与えアンダルシアの歌らしさを出しています。 カンティーニャス・デ・コルドバや他のカディスのカンティーニャでも時々聞かれるので、恐らく19世紀の後半から20世紀の前半にかけてこの手法が流行したのでしょう。 【筆者プロフィール】 エンリケ坂井(ギタリスト/カンタオール) 1948年生まれ。1972年スペインに渡り多くの著名カンタオールと共演。帰国後カンテとパルマの会を主宰。チョコラーテらを招聘。著書『フラメンコを歌おう!』、CD『フラメンコの深い炎』、『グラン・クロニカ・デル・カンテ』vol.1~33(以下続刊)。 ※CD『グラン・クロニカ・デル・カンテ』シリーズを購入ご希望の場合は、アクースティカ(https://acustica-shop.jp/)へお問い合わせください。(編集部) >>>>>











