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- スペイン発☆フラメンコ・ホットライン
(miércoles, 4 de octubre 2023) 文/志風恭子 Texto por Kyoko Shikaze 9月になって気温が下がり、過ごしやすい日が続いているセビージャです。8月中は最高気温が40度を超える日も多く、日本に比べ湿度が低いとはいえ、気温が体温を超えると外に出る気はおきません。9月3日、4日はマドリード近辺ではサッカーの試合が予報で中止になるほどの大雨で、大きな被害が出るなどありましたが、アンダルシアにも久々の雨が。こちらでは水不足が心配されていることもあり、雨はうれしいのですが、度を越すことなくそこそこに降ってほしいところですが、なかなかうまくいきませんね。まだ野外公演も多いこの季節、公演を観に行く時は羽織るものを忘れずに。セビージャでは秋から冬にかけての季節は比較的雨が多く、この時期の野外公演は雨天中止になることもありうるので注意が必要です。 【カニサレスに音楽賞】 まずはうれしいニュースから。この夏、日本各地でも素晴らしいコンサートを聞かせたギタリスト、フアン・マヌエル・カニサレスが2023年の「プレミオ・ナショナル・デ・ムシカ」というスペイン文化スポーツ省が毎年、各分野の功労者におくるナショナル・プライズ、国民賞、国家賞とも訳される賞の音楽部門で、演奏者としての受賞が発表されました。フラメンコアーティストの受賞は2007年のミゲル・ポベーダ以来で、エンリケ・モレンテ(1994)、マノロ・サンルーカル(2000)、カルメン・リナーレス(2001)、ポベーダに次ぐ5人目の受賞となります。 受賞理由に「クラシックとフラメンコの壁を壊し、統合するだけの奏者としての実力」とあるように、その活躍はフラメンコにとどまらず、アルベニス、グラナドス、ロドリーゴとスペインを代表する作曲家たちの作品を演奏、録音し、ベルリン・フィルをはじめ、世界のオーケストラとも共演しています。フラメンコでも自分のソロアルバム以外でも100枚以上のアルバムに参加しています。 2007年 9月Málaga en Flamenco でのリサイタルにて ©︎ Kyoko Shikaze 1966年生まれというから今年57歳。近年はオーケストラとの共演曲を自ら作曲、上演するなど、今回は演者としての受賞でしたが、作曲部門で受賞してもおかしくないほどの活躍をみせています。今後の展開も楽しみです。 【舞踊賞はラファエラ・カラスコ】 音楽賞の発表から数日後、舞踊賞の発表が行われ、クリエーション部門でラファエラ・カラスコが受賞しました。「作品の独自性」「次世代への個性的なスタイル」がその受賞理由。かつて彼女の舞踊団メンバーだったマヌエル・リニャンやアナ・モラーレスがすでに受賞しているので遅きすぎた気もするが、ようやく正当な評価がされたということでしょう。 2018年ビエナル公演の公開リハーサル/記者会見にて©︎ Kyoko Shikaze ラファエラ・カラスコは1972年セビージャ生まれ。マティルデ・コラル門下で、後にマリオ・マジャ舞踊団で活躍。2013年から3年に渡りアンダルシア舞踊団監督をも務めました。現在は自らのカンパニーによる公演活動の傍、クルシージョなどで後進の指導にもあたっており、多くの若手が彼女の影響を受けています。おめでとうございます。 【夏のフェスティバルから秋のシーズンへ】 日本の進学は4月ですが、スペインは9月。6月からの長い夏休みを終えてようやく学校も始まりました。劇場シーズンもこれに準じて、10月からが新シーズンというところが多いようです。 いわゆる夏のフラメンコ・フェスティバルも、9月上旬までという感じ。8月下旬には今年で10年目となった北スペイン、パンプローナのフラメンコ・オン・ファイア、というフェスティバルも開催されました。歴史こそ新しいですが、一流のアーティストを揃え、またバルコニーから聴かせる無料公演やフュージョン系の公演などで注目されています。今やビエナルやヘレス、マドリードのスーマ、フランスのモン・デ・マルサンやニームのフェスティバルと同じように、フラメンコ界にとっても重要なフェスティバルと認識されるようになりました。今年も大劇場ではファルキートやトマティート、ジェルバブエナ、エストレージャ・モレンテらが出演。また若手ギタリストたちによる公演などの独自の企画もありました。 Tomatito のバルコニー公演 ©︎Flamenco on Fire 『アルサプーア』©︎Flamenco on Fire 歴史のあるヘレスのフィエスタ・デ・ブレリアも、以前のように一晩だけではなく数日間にわたって行われるようになりましたし、フラメンコのフェスティバルの形も時代につれ、世につれ、変わっていきますね。 Fiesta de la Bulería, Juana la del Pipa ©︎Tamara Pastora -Flamenco de Jerez そして9月。 セビージャのセントラル劇場ではフラメンコ公演も行われました。 ロシオ・モリーナによる『シクロ・フラメンコ、メランコリア・イ・アネロ』。哀愁と情熱というタイトルで、9月15日から17日の3日間に渡って行われました。初日はロシオとメネンデス・ペラジョ大学の生徒の対話、翌日はロシオがセビージャ郊外にもつスタジオで、アーティストや観客らとの対話、そしてロシオによる『講演のためのドラマツルギー Lo inefable(言葉にできないもの)』が上演されました。3日目はロシオがコミッショナーとして関わり、踊り手エル・チョロによる『講演のためのドラマツルギー アルサ、テオリア・デ・ロ・エスポンタネオ』。エスポンタネオは「自然発生的な、自発的な」という意味なので、そういったものの理論、ということになりますね。自然発生的な、即興的なものこそ自分のフラメンコじゃないか、と思ったということなのでしょう。いつもより肩の力も抜けてナチュラルに、同郷のヘスス・コルバチョ、フランシスコ・ロカと3人で、言葉で、リズムで、全身で、フラメンコで会話していく感じ。 講演/公演後に劇場のテラスで。左からヘスス、フランシスコ、チョロ、ロシオ・モリーナ、そしてアルゼンチン人のアーティスト、マティアス・ウンピエレスと一人置いてペドロ ©︎ Kyoko Shikaze 講演のためのドラマツルギーはアルゼンチン人のアーティストのプロジェクトで、アルゼンチン、ドイツと公演して、スペインでは長年イスラエル・ガルバンのブレーンとして多くの作品にも関わっているアーティスト、ペドロ・G・ロメロが協力して実現したとのことです。外からの力で新しい自分を自分の中に見つけていくという感じかもしれませんが、とても興味深く素晴らしい試みだったと思います。が、これはなんと22/23年シーズンのプログラム、という扱い。翌週のフラメンコ公演シリーズ、アンダルシア・フラメンコ(旧フラメンコ、ビエネ・デル・スール)も同じ扱いのようです。 セビージャのフラメンコの新年度は、マエストランサ劇場の10月公演からのようです。 【セビージャでの日本人公演】 シギリージャを踊る岸田瑠璃 ©︎ Kyoko Shikaze 9月15日、セビージャのペーニャ、セロ・デル・アギラで『シン・フロンテーラⅢ』公演が行われました。セビージャ出身で日本在住の歌い手、エル・プラテアオが日本人アーティストと共に行うペーニャ公演もこれが3回目。今年は全回出演の歌い手遠藤郷子のほか、セビージャ留学中の瀬戸口琴葉と岸田瑠璃、滞在中の出水宏輝の3人の踊り手たちが出演。ペーニャと縁の深いトゥデラの伴奏で、タイトル通り、フラメンコを愛する心に“国境はない”ことをアピールした公演だったと思います。 ソレアを歌う遠藤郷子 ©︎ Kyoko Shikaze 出水はタラント ©︎ Kyoko Shikaze パコはファンダンゴ ©︎ Kyoko Shikaze 瀬戸口はソレア・ポル・ブレリア ©︎ Kyoko Shikaze 【訃報/マリア・ヒメネス】 9月7日早朝に、歌手マリア・ヒメネスが亡くなりました。1950年セビージャのトリアーナ地区の生まれというから73歳。76年レコードデビュー。独裁政権終了後の自由な空気を象徴するような存在として人気が出ました。フラメンコ歌手ではなく、日本でいう歌謡曲の歌手的存在でしたが、元々はルンバなどを歌いタブラオ、ロス・ガジョスなどで活躍したフラメンカ。初期のアルバムはパコ・セペーロやエンリケ・デ・メルチョールらが伴奏しています。 遺骸は市役所に安置され多くの人が弔問に訪れました。翌日は馬車に引かれてトリアーナのサンタ・アナ教会に移され、ミサが行われた後墓地に埋葬されましたが、馬車がトリアーナに着くとブレリアのパルマになったのも彼女ならではのことでしょう。 【筆者プロフィール】 志風恭子(Kyoko Shikaze)/1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。 >>>>>
- ガルロチ公演:ロシオ・モリーナ グループ
(domingo, 1 de octubre 2023) 毎回スペインから素晴らしいアーティストらを招聘して開催される、東京・新宿ガルロチでのフラメンコ公演。 今年の締めくくりは、2010年にスペイン芸術界でもっとも栄誉ある国家舞踊賞を弱冠26歳で受賞し、優れた舞踊技術と高度な芸術性を武器に独創的な作品を発表し続けるカリスマ的ダンサー、ロシオ・モリーナが登場します。 共演にはエル・オルーコ、ペペ・デ・プーラ、ジェライ・コルテスと人気の高いメンバーを迎え、このグループでしか実現しない想像を超える舞台に期待が高まります。 一般予約開始は10月7日(土)朝9時から。 ぜひこの機会をお見逃しなく! 【出演期間】 2023年12月1日(金)〜12月10日(日) 【出演者】 Baile: Rocío Molina Guitarra: Yerai Cortés Cante: Pepe de Pura Compás y baile: José Manuel “El Oruco” 【場所】 Show レストラン GARLOCHÍ 東京都新宿区新宿3-15-17 伊勢丹会館6F 【予約開始】10/7(土)AM9:00~ WEB: https://t.livepocket.jp/t/rociomolina Email: garlochilive@gmail.com 主催/株式会社バモス 協力/Showレストラン「ガルロチ」・「ソニアジョーンズ 」Sonia Johnes >>>>>
- フアナ・アマジャ&エル・トロンボ グループ公演
(martes, 26 de septiembre 2023) 2023年4月21日(金)~5月8日(月) Showレストラン「ガルロチ」(東京・新宿) 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko 写真/渡辺格 Foto por itaru. watanave (写真)トロンボとフアナ(右)、2つの魂がぶつかり合う 今年のGW期間に開催されたガルロチでのスペイン人公演は、観客の心を鷲掴みにするような激しく真っ直ぐな踊りが魅力のフアナ・アマジャと、フラメンコのコンパスを自在に操り独自の世界観を醸し出すエル・トロンボによるグループ公演が行われた。 取材日の公演はAプログラム。オープニングはハレオ。舞台の中央に置かれた2つの椅子に座って向き合うフアナとトロンボ。2つの魂が放つエネルギーがぶつかり合い、絡み合う。その熱量が空気を伝って観客を圧倒し、序盤から舞台に釘付けになってしまう。フアナは自分が身に付けていたパニュエロ(スカーフ)をトロンボの首に巻き付け、次のステージを託して粋に舞台を降りていった。 トロンボのソレア・ポル・ブレリアは、静と動の芸術。歌に、そしてギターに耳を傾け、感覚を研ぎ澄ませて音楽のエネルギーを静かに内面に湛えていく。それが頂点に達すると激情のように踊りにあふれ出し、感情がそのまま凝縮されたようなサパテアードは凄まじい迫力だった。 ダビ・カロのギターソロは流れるようなメロディアスな旋律を奏で、豊かな響きを醸しながら美しい音色を紡ぎ出していく。それでいて、聴いていると素朴な情景が目に浮かぶようで、その音楽が描く景色に酔いしれた。 そしてフアナのシギリージャ。その爆発力に圧倒された。押さえても抑えきれずに溢れてくる生命のエネルギーを、ダイレクトに踊りへと昇華させる。本能のままに踊るその姿には、どう見られたいとかどう見せたいとか、そんな体裁や加減など微塵もない。ほとばしる情熱に身を委ね一心に踊る姿は観る者を感動させ、それがフラメンコなのだと教えてくれる。純粋で、潔い。踊るフアナは美しかった。 2人のカンタオールも、それぞれの個性が光っていた。来日回数が多く日本ではもうお馴染みのガジは、張りのあるいつもの歌声に熟練の渋さが加わり、今回初来日のイワンは前評判通りの軽快なソニケテと勢いのある力強い歌唱を楽しませてくれた。 後半の第2部はタンゴのカンテソロからスタート。3人の個性が絡み合いながら織りなす音楽に心も沸き立つ。トロンボのカンティーニャは、何者にも媚びない舞踊手としての気高さに満ち溢れ、フアナのソレアは髪を振り乱し全身全霊を捧げるかのような踊りから目が離せなかった。 圧倒的な存在感と個性が際立つ二人の踊り手によるステージが楽しめた今回の公演。本国スペインでも人気の高いアーティストらによるこのような見応えのあるライブは、やはりこのガルロチだからこそ実現できるものだろう。日本にいながら本場そのままの舞台を堪能できる幸せが、これからもずっと続いてくれることを願う。 【出演】 [バイレ]フアナ・アマジャ(Juana Amaya)/エル・トロンボ(El Torombo) [カンテ]タビ・エル・ガジ(David El Galli)/ イバン・カルピオ(Ivan Carpio) [ギター]ダビ・カロ(David Caro) 【プログラムA】 [1部] ・プレゼンテーション/ハレオス ・ソレア・ポル・ブレリア(エル・トロンボ) ・ギターソロ(ダビ・カロ) ・シギリージャ(フアナ・アマジャ) ・フィン・デ・フィエスタ [2部] ・カンテソロ ・カンティーニャ(エル・トロンボ) ・ソレア(フアナ・アマジャ) ・フィン・デ・フィエスタ 【プログラムB】 [1部] ・プレゼンテーション/マルティネーテ ・ソレア(エル・トロンボ) ・ギターソロ(ダビ・カロ) ・カンティーニャ(フアナ・アマジャ) ・フィン・デ・フィエスタ [2部] ・カンテソロ ・即興による演目(エル・トロンボ) ・即興による演目(フアナ・アマジャ) ・フィン・デ・フィエスタ >>>>>
- 恋フラ in アジア 〜番外編@ハワイ~
(lunes, 25 de septiembre 2023) 日本国内47都道府県をすべて巡り、各地で着物姿でのセビジャーナスを撮影した動画「日本に恋した、フラメンコ」をYouTube上で2019年に公開したフラメンコダンサー永田健さんが、今度は日本を飛び出しアジアで撮影を展開! 今回はさらにアジアも飛び出し、ハワイでの撮影の様子を番外編としてお届けします。 文・写真/永田健 Texto y foto por Ken Nagata 名所でセビジャーナスを踊る恋フラ、第2弾アジア編の連載をスタートした永田健です。 今回は連載2回目にして、番外編@ハワイです(笑) フラメンコとは関係ない用事で人生初のハワイへ行くことになり、せっかくの機会なので「ハワイの名所×セビジャーナス動画」も撮影してきました。 ハワイといえばフラ。 そのせいなのか、フラメンコはどこを探してもありません。教室を調べても出てこないし、Facebookでグループを見つけても何年も活動していない…。 ようやくたどり着いたのは、サルサなどのラテン系の踊り手さん。昔フラメンコを習ったことがあって、セビジャーナスなら踊れるとのこと。若干心許ないけど、他に誰もいないので彼女を頼ることにしました。 そしてギタリスト池川寿一さんにウクレレ伴奏のセビジャーナスを作ってもらいました。 これがなんともゆったり心地よく、聴いているだけで気分はハワイへ飛びます。 沖縄や香港もそうでしたが、いい曲ができるとテンションが上がるし、早く行きたくなります。 というわけで、8月末にハワイはホノルルへ到着しました。 撮影したい場所はいくつかありましたが、地理もよくわからないので、細かいことは現地で踊り手さんに会ってから話すことに。 打ち合わせ場所はサルサバー。 なぜかハワイへ着いた初日に、フラでもフラメンコでもなく、サルサを踊りました(笑) ちょっと踊って、翌日撮影する場所と集合時間を決めて、長い初日が終わりました。ちなみに日本との時差はマイナス19時間。金曜日の夜に羽田を出たのに、ハワイに着いたのは同じ金曜日の朝でした。 撮影したのは、ハイキングコースやカメハメハ大王像、ダイヤモンドヘッドという印象的な山を一望できるカピオラニ公園、そして最後はリゾート地のビーチ。 踊り手は一人、しかもセビジャーナスを踊るのが数年振りというので前日に復習。そして、通常は撮影担当の僕も、話の流れで一緒に踊ることに。 日本で恋フラを撮影した時、山形県では参加者が一人だったので、羽黒山で山伏姿でパレハで踊りましたが、今回はアロハシャツ+レイのハワイアンスタイルで踊りに参加しました。 二人で踊る時は、カメラ(携帯)は固定して撮影しましたが、風で三脚が飛ばされたり、一緒に来ていた子どもや犬が乱入したり(笑)、最後は電池が切れたり…(彼女の携帯を借りてワンカット撮ったので、色合いが違う映像が一箇所交じっています)など、いろいろとハプニングがありましたが、夕方に無事撮影が終了しました。 ハワイには絶景スポットがいっぱいあり、素敵なショットがいっぱい撮れました。 PV撮影するにはうってつけの場所かもしれません。ただ、渡航費と物価がすごく高いですが…。 その一方、旅行自体はトラブルの連発。 まずホテルをダブルブッキングしてしまい、しかも泊まったのは安いドミトリー(2段ベッド×4台)の方。後でホテルを予約したことをすっかり忘れていました。しかも1日予約が短くて最終日の夜に追い出され、あやうくハワイでホームレスか!?と焦りました。結局ホテルは最後の一泊のみ、しかもチェックインしたのが24時(涙)。 レンタルWi-Fiも不良品で使えず、でも調べたら僕が契約しているソフトバンクはハワイで「アメリカ放題」というサービスが使えたので、そもそもレンタルする必要がなかった(汗)。 トラブル続きというか、ただの準備不足とケアレスミスでしたが、とりあえず無事戻りました。 フラの聖地ハワイで、ウクレレで踊るセビジャーナス。ぜひご覧ください。 『ハワイアンフラメンコ〜ホノルルの名所で踊るセビジャーナス』 https://youtu.be/HipnQ8NzuqY (追伸)年内は10月末に台湾(台北と高雄)、11月頭に韓国(ソウル)へ行く予定です。現地で民族衣装を着て一緒に踊りたい方、またはフラメンコの友人がいる方は、ぜひ永田までご連絡ください。 ( kennagata56@gmail.com ) 今後の活動についてはインスタグラム、永田健のSNSなどでも随時アップデートしていきます。 https://www.instagram.com/flamencoasia/ 【永田健 SNSアカウント】 YouTube https://www.youtube.com/c/KenNagataFlamenco Facebook https://www.facebook.com/ken.nagata.980 (友達申請される場合はflamenco fanを見たと一言メッセージください) 【プロフィール】 永田 健(Ken Nagata) 証券会社から社費でコーネル大学MBA留学するも中退してスペインに渡る。2013年新人公演にて満票で奨励賞受賞。2019年に日本を一周して撮影した「日本に恋した、フラメンコ」をYouTube公開。マールボロ公式サイト映像出演中。 >>>>>
- アーティスト名鑑vol.3
(miércoles, 20 de septiembre 2023) スペイン在住30年以上、多数の一流フラメンコ・アーティストらとも親交のあるフラメンコ・ジャーナリスト志風恭子が、歌・踊り・ギターそれぞれの代表的アーティストらのプロフィールをピックアップ。過去の取材で撮影した写真や、チェックしておきたい動画などもご紹介します。 文/志風恭子 Texto por Kyoko Shikaze Pastora María Pavón Cruz “Niña de los Peines” Sevilla, 10-2-1890 - Sevilla, 26-11-1969 ニーニャ・デ・ロス・ペイネス 本名パストーラ・パボン・クルス 1890年2月10日セビージャ生、1969年11月26日セビージャ没 あらゆる曲種を歌いこなすカンテの女王。子供の頃からプロとして歌い、櫛の少女という意味の芸名は当時よく歌っていた『私の櫛(ペイネス)で髪を梳いて』という歌詞に由来。20世紀前半を代表する歌い手で、当時の有名画家のモデルとなり、作曲家ファリャとも親交があったという。1910年からの40年間に258曲を録音。その歌声は2004年にアンダルシア州の肝いりで13枚のCD全集にまとめられている。兄アルトゥーロ、弟トマス、1931年に結婚したペペ・ピントも歌い手。 彼女の出生地とも目されるセビージャ県アラアルにあるパストーラの胸像。セビージャのアラメーダ、かつての住居のそばにも銅像がある。 [動画] 歌っている動画はなく、録音とその時代の動画などで構成されているカナルスールの短い番組を。生い立ち、愛、そして彼女の死についてのルポ。娘の話など。 https://youtu.be/GXnHYYcNLlE https://youtu.be/8wNDnwODxYQ https://www.youtube.com/watch?v=JV0JwdU8YG4 Ramón Montoya Salazar “Ramón Montoya” Madrid, 2-11-1879 – Madrid, 20-7-1949 ラモン・モントージャ 本名ラモン・モントージャ・サラサール 1879年11月2日マドリード生、1949年7月20日マドリード没 それまで伴奏が主であったフラメンコギターにソロの分野を確立し、また舞踊や歌伴奏でも時代を支えた、フラメンコギターの父とでもいうべき存在。タブラオの前身、カフェ・カンタンテで活躍。踊り手ファイーコ(Faico)とともにファルーカを生み出し、ギターソロのロンデーニャを作ったほか、彼が始めたテクニックは今も使われ続けている。アントニオ・チャコンやニーニャ・デ・ロス・ペイネスなど多くの歌い手への伴奏、またソロで非常に多くの録音を残し、後進のギタリストたちに多大な影響を与えた。 [動画] https://youtu.be/Dcah_LU7qhQ 歌手で女優のインペリオ・アルヘンティーナ主演の1938年の西独合作映画『カルメン・ラ・デ・トリアーナ』より。現在まで唯一知られるラモン・モントージャの映画出演でその演奏が垣間見られる。 2009年の展覧会Prohibido el canteのポスターより Antonia Mercé “La Argentina” Buenos Aires, Argentina 4-9-1890 – Bayona, Francia 18-7-1936 ラ・アルヘンティーナ 本名アントニア・メルセ・イ・ルケ アルゼンチン、ブエノス・アイレス1890年9月4日生、フランス、バイヨンヌ1936年7月18日没 スペイン舞踊とフラメンコ舞踊を舞台芸術として世界に知らしめた先駆者。舞踊家だった両親のツアー先のアルゼンチンで生まれたため、アルゼンチン女性という意味の芸名がついたが、スペイン育ち。14歳でプロとなり21歳でパリへ。欧州各国を経て南北アメリカでも名声を得た。1929年、スペイン人舞踊家として最初の日本公演を行う。この公演を見て大野一雄は舞踊の世界に進み、後に彼女へのオマージュ作品を発表している。カスタネットを得意とし、ロルカら知識人とも交友があり、カスタネットも聴かせる録音もある。 アルヘンティーナの大阪公演ちらし。書籍«Homenaje en su centenario1890-1990 Antonia Mercé La Argentina» Ministerio de Cultura(文化省)より。 [出所]フランス国立図書館、1930年スタジオ・ドーラ(パリ)制作、パブリックドメイン [動画] https://youtu.be/YjH5Tirus7k ピアノ伴奏のタンギージョを、カスタネットを使って踊るアルヘンティーナの非常に貴重な映像。 【筆者プロフィール】 志風恭子(Kyoko Shikaze)/1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。 >>>>>
- ★フラメンコnews☆
小林亮ファーストアルバム「Rio de la Frontera」発売記念ライブを福岡・大阪・東京で開催! (lunes, 31 de julio 2023) フラメンコ・ギタリストの小林亮さんが今年2月から3月にかけてスペイン・ヘレスでレコーディングを行い、それらの楽曲を収録したCDが今秋発売されることになりました。 その新譜発売を記念して、福岡・大阪・東京の3都市でライブが開催されます。共演には、レコーディングにも参加してくれたヘスス・メンデス、アンドレス・ペーニャ 、アネ・カラスコの3名を招聘し、ヘレスの雰囲気が存分に楽しめる公演になりそう。 なお、東京公演のS席は完売となってしまったので、A席で良い席をご希望の方はお早目のご予約を! 【新譜CD情報】 「Rio de la Frontera」 発売:2023年秋(予定) 参加アーティスト: 歌 ミゲル・フニ、ヘスス・メンデス、ダビ・パロマール 踊り(足音) アンドレス・ペーニャ パーカッション アネ・カラスコ パルマ マヌエル・カンタローテ、ディエゴ・モントージャ 【コンサート情報】 2023年 ★10月29日(日)福岡 ティエンポホール 開場17時 開演18時 全席指定 10,000円 CD付12,500円 ★10月31日(火)大阪 カサ・グロリア 開場19時 開演19時30分 全席指定 10,000円 CD付12,500円 ★11月3日(金・祝)&4日(土)東京 ガルロチ 開場18時 開演19時 全席指定 S席11,000円 CD付13,500円(※3日・4日ともに完売) A席10,000円 CD付12,500円 ※S席は中央4列目まで及び左右二列目まで。それ以外はA席です。 ※開演時間は変更の可能性があります。 ※CDは定価3,000円の予定です。 出演 ギター 小林亮 歌 ヘスス・メンデス (Jesús Méndez) 踊り アンドレス・ペーニャ (Andrés Peña) パーカッション アネ・カラスコ (Ané Carrasco) チケットのお申し込みの際は以下の内容をお知らせください。 ①会場&月日 ②席種&枚数 ③お名前 ④メールアドレス及び電話番号 ⑤チケットの送付先住所 [問い合わせ&申し込み先] Messengerもしくは、info@canasta-xeres.jp ※申し込み後3日経っても返信が来ない場合は、お手数ですが再度ご連絡をお願いします。 ※電話による問い合わせ&申し込みは行っておりません。 >>>>>
- ARTE Y SOLERA舞踊団 新作公演『恋の焔炎』
(sábado, 16 de septiembre 2023) 日本の代表的なフラメンコ舞踊団として舞台活動を展開する、鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団ARTE Y SOLERA(アルテ イ ソレラ)の新作公演『恋の焔炎(こいのほむら)』が東京・日本橋公会堂にて2日間3公演上演されます。 今回のテーマは「Flamenco×日本舞踊」。台本は歌舞伎の脚本家で演出も手掛ける今井豊茂氏が制作し、日本舞踊家で六代目吾妻流家元を務める二代目吾妻徳穂と鍵田真由美の双方が、互いに日本舞踊とフラメンコを教授し合った成果から生まれる重厚な舞踊作品です。 フラメンコと日本舞踊、女流義太夫、津軽三味線が織りなす全く新しい舞踊の世界を、ぜひ劇場でお楽しみください! ARTE Y SOLERA新作公演『恋の焔炎(こいのほむら)』 【主演】 鍵田真由美 【演出・振付・構成・主演】 佐藤浩希 【特別出演】 二代目吾妻徳穂(日本舞踊) 【出演】 義太夫 竹本越孝(浄瑠璃)、鶴澤三寿々・鶴澤賀寿(三味線) 浅野祥(津軽三味線) 斎藤誠(フラメンコギター) 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団 (工藤朋子、東陽子、柴崎沙里、小西みと、辻めぐみ、中里眞央、山﨑嬉星、小野寺麻佑、三四郎) 客演 権弓美、松田知也、矢野吉峰 他 ※やむを得ない事情により出演者が変更になる場合があります。 【日時】 2023年10月17日(火)14時/19時、18日(水)14時 (全3公演) ※開場は、開演の30分前です。 【会場】 日本橋公会堂(日本橋劇場) 〒103-8360 東京都中央区日本橋蛎殻町一丁目31番1号 日本橋区民センター4F https://www.nihonbasikokaido.com/shisetsu 【チケット料金】 全席指定(税込) SS席10,000円 S席9,000円 A席7,000円 U-25(学生)席3,000円 ※親子席、車椅子席あり(アルテイソレラのみ取扱い) ※U-25席は、入場時に年齢の確認できる証明書の提示が必要です。 ※未就学のお子様のご入場は親子室のご利用をお願い致します。 【チケット販売】 ・カンフェティ 0120-240-540(平日10:00〜18:00) http://confetti-web.com/koinohomura ・e+(イープラス) https://eplus.jp/sf/detail/3933100001-P0030001 【問】ARTE Y SOELRA (アルテ イ ソレラ) Tel & Fax:03-5453-0016(平日11:00〜17:00) E-mail:info@arte-y-solera.com 公式HP:http://www.arte-y-solera.com/ >>>>>
- 発表会ファッションSnap:SIROCO・奥野裕貴子フラメンコ教室
(miércoles, 13 de septiembre 2023) フラメンコを楽しんで踊っている皆さんにとっての晴れ舞台、発表会。 どんな衣装を着ようかなぁ…と、踊り以上に(?)気合が入っている人も多いはず。 そんな皆さんの参考になればと思い、一足お先に発表会に出演した生徒さんたちの 衣装をご紹介します!こだわりポイントなども教えていただきました。 編集/金子功子 edición por Noriko Kaneko 写真提供/SIROCO・奥野裕貴子フラメンコ教室 第8回SIROCO・奥野裕貴子フラメンコ教室 カルメン大阪校発表会 [開催日]2023年5月20日(土) [会場]大阪・メルパルクホール大阪 1.カーニャ 「手作り衣装が素晴らしい!出演者5人のうち3人が手作り出来るので、全員分を手分けして皆さんで作っていました。手持ちの衣装と組み合わせて、ゴールド×黒2人、黄色×黒3人で何度もスタジオに持ち寄って、一体感を意識したコーディネートに仕上がりました。コルドベスは「ワンページ」という日本のサイトでオーダーしてお揃いに☆」 2.初級ソレア 「皆さんでそれぞれに手持ちの衣装で揃えたり借りたりして調達したようですが、黒×白×赤でバッチリまとまりました! お花はガロガロやイベリアなどで購入しました。」 3.アレグリアス con マントン 「白の衣装は皆さんバラバラですが、ソニアジョーンズのを着ている方が多いようです。マントンはマリキータさんで購入された方が多いですね。」 4.初級サンブラ 「elifというベリーダンス衣装専門サイトで揃えました。ベリーダンスのスカートはフラメンコにも使えるようなデザインもたまにあるので、お買い得なものもあるかも! ただ蹴回しがかなり広いのでお直しが必要な場合もあるかもしれません。アクセサリーもフラメンコに使えるのもありそうですね。」 5.オープニング タンゴ・アラベ 楽器チーム 「少し前の京都発表会はカホンクラスを受けている方がいるので、楽器を使ったオープニングという事でタンゴ・アラベをやりました。そこで、大阪発表会もやってみたい!との事で楽器を追加したり、また京都は白系でしたが今回はブルー系に。全然違う京都と大阪の個性の違いも出て面白かったです! 衣装は皆さんAmazonや楽天、普段着、アクセサリーを駆使して、素敵なアラブ感を出してお見事でした!」 【番外編】楽器隊のアラブな2人 「こちらのお二人は楽器隊に最終入隊なので、あまり音が出ず簡単に出来そうな鉄鍋を叩く…みたいな担当でした(笑) 衣装や付け髭、ターバンでやる気はバッチリ、インパクト勝負です!」 取材のご協力ありがとうございました! >>>>>
- カンテフラメンコ 奥の細道 on WEB No.28
(lunes, 11 de septiembre 2023) 文/エンリケ坂井 Texto por Enrique Sakai カンティーニャの乗り ~続き カンティーニャの乗りと言っても、カンティーニャ族(属)のアレグリアス・デ・カディスは普通の12拍子乗りだし、他の多くのカンティーニャも12拍子乗りなので「カンティーニャ乗り」という言い方を私は便宜上使ってはいるが、正確なものとは言い難い。 それではもっと正確に言うにはどうしたら良いのか考えたが、例えば「12拍子の曲種のうち特にカンティーニャの限られた曲種において6拍目と12拍目の強拍にメロディーのアクセントを合わせて、より自由に歌う方法で特にヒターノ(ナ)たちにこうした乗りで歌う傾向が強い」。 しかしもちろんこれでは長過ぎるから、やっぱり「カンティーニャ乗り」と表現せざるを得ないという事だ。 さて、前回ロサ・ラ・パペーラのカンティーニャを娘のラ・ペルラ・デ・カディスが歌った録音を例に取り上げたが、今回はもうひとつの例としてカンティーニャ・デ・ピニーニをベルナルダ・デ・ウトレーラ(1927~2009)が歌った録音から取り上げる。 ピニーニはウトレーラのヒターノでベルナルダはその孫だから、直伝と言っていいだろう。 Letra A Isabel en el baile la vió el rey David, se enamoró de ella como yo de ti. Coletillo Se〈sacúen〉y luego cantan, el que duerme en cama ajena de〈madrugá〉se levanta. ※Se〈sacúen〉⇒sacudirse(払い落す) ※〈madrugá〉⇒madrugada(夜明け) (訳) イサベルが踊るのを ダビデ王は見て 彼女の虜(とりこ)になった 私がお前にそうなった様に。 服の埃を叩(はた)きそして歌う、 他人のベッドで寝る者は 夜明けに起きねばならぬ。 このコレティージョの意味は恐らく大農場の雇われ労働者が仕事を終え、服の汚れを落として息抜きに仲間とフィエスタをし農場の小屋で寝る。当然朝は早くから仕事、という事。 伴奏の場合のコードを書いたが、ギタリストはメロディーがその和音に達したのを確かめてから切りの良い所で和音を変えるので、多少のタイムラグがあります。 【筆者プロフィール】 エンリケ坂井(ギタリスト/カンタオール) 1948年生まれ。1972年スペインに渡り多くの著名カンタオールと共演。帰国後カンテとパルマの会を主宰。チョコラーテらを招聘。著書『フラメンコを歌おう!』、CD『フラメンコの深い炎』、『グラン・クロニカ・デル・カンテ』vol.1~33(以下続刊)。 ※CD『グラン・クロニカ・デル・カンテ』シリーズを購入ご希望の場合は、アクースティカ(https://acustica-shop.jp/)へお問い合わせください。(編集部) >>>>>
- 小松原庸子スペイン舞踊団公演
フラメンコ 神秘と情熱 -杉並にフラメンコを- (sábado, 9 de septiembre 2023) 2023年3月14日(火)・15日(水) 座・高円寺2(東京) 文/金子功子 Texto por Noriko Kaneko 写真/大森有起 Foto por Yuki Omori 取材協力 小松原庸子スペイン舞踊団 東京・高円寺を拠点に日本全国で活動を展開する小松原庸子スペイン舞踊団による劇場公演が2日間にわたり開催された。今回の公演は地元である東京都杉並区の助成を受けて行われ、代表の小松原は「私達のフラメンコを通して、コロナ禍の中、皆様に元気になって頂けたらと思っております」と地元開催への思いを語った。 プログラムは2部構成で、第1部では色彩豊かな群舞を中心に、様々なスペイン舞踊やフラメンコの曲種を揃えた。踊り手には小松原舞踊団出身の鈴木眞澄が率いる舞踊団も出演し、ラ・ヴィダ・ブレベとアレグリアスで華やかな群舞を披露した。マラゲーニャでは現役団員の藤川と関がマントンとバタ・デ・コーラで、ギターの音色に合わせて優美で調和のとれたパレハを舞った。他にも、揃いのベージュのジャケットというマニッシュなスタイルの衣装とキレの良いステップが光ったサパテアード、オーケストラの華麗な音源とともにパリージョを軽やかに奏でて舞うソロのコルドバ、はつらつとした明るさが眩しかった白と赤のアバニコによるロメラの群舞と、多様なテイストの舞踊曲が楽しめた。 第2部はギターソロからスタート。特別出演として招かれたクラシックギターの巨匠、荘村清志がスペインの作曲家たちの名曲を披露。熟練の技術と優しい音色が郷愁を誘い、スペインの旅へと誘ってくれる。続いて、荘村が演奏するファリャの楽曲「ダンサ・デ・モリネロ(粉屋の踊り)」による奥濱のバイレソロ。パリージョを奏でながらキレ良く美しく踊る姿に、日々の鍛錬により研ぎ澄まされた感性が溢れていた。 舞踊団員によるアストゥリアスでは、小松原もパリージョ演奏で共演。軽やかで粒ぞろいの音色は今も健在だ。リベルタンゴではバイオリンの情感豊かな旋律が曲の世界観を形成し、入交と奥濱による完成度の高いパレハで観客を魅了した。 公演の終盤は、小松原の新旧の弟子たちや現在活躍中の若手ダンサーによるクアドロ形式での競演。藤川のガロティン、石田のアレグリアス、松浦のグアヒーラ、関のソロンゴ、清野のバンベーラと、各々の個性が光るソロが披露された。中原は表現の凄みと切れ味の鋭さを増したソレアを踊り、草野のアレグリアスは多彩な表現が魅力的だった。トリを飾った鈴木は深みのあるタラントを舞い、貫禄ある踊りで最後を締めくくった。 1969年に舞踊団を創設し、スペイン舞踊とフラメンコとともに半世紀以上を歩み続ける小松原。昨今のコロナ禍という未だかつてない苦難の時を乗り越え、ようやく少しずつ舞台にも観客が戻ってきた。今回は地元の劇場での開催という事で、仕事を終えて帰宅の途中で足を運んだ方も多く見受けられた。一般の人々にとって、日常の娯楽として劇場公演や、ましてやフラメンコの舞台を観る機会はそうそうあるものではないから、今回の公演は貴重な機会だったのではないだろうか。 日本で恐らく一番有名であろう小松原庸子スペイン舞踊団が、これからも日本各地はもちろん地元でも多くの人に向けて、フラメンコやスペイン舞踊の魅力を発信し続けてほしいと願っている。 【出演】 草野櫻子(14日のみ出演) 松浦広美 鈴木眞澄 入交恒子 清野春美 谷 淑江 玉沖朋子 藤川淳美 関真知子 横山さやか 平林夏々子 藤丸莉沙 石田久乃〈特別参加〉 [鈴木眞澄スペイン舞踊団] 坂口真子 阿部麻実 佐藤陽美 大塚美杉 本田孝子 松本ともこ 小池麻希子 武田智子 市川真美子 駒崎万里世 奥濱春彦 中原 潤 荘村清志(特別出演) 小松原庸子 バイオリン:寺島貴恵 カンテ:ディエゴ・ゴメス 有田圭輔 ギター:高橋紀博 宇田川卓俊 【プログラム】 [第1部] 1. ラ・ヴィダ・ブレベ 2. マラゲーニャ 3. サパテアード 4. コルドバ 5. アレグリアス/ロメラ [第2部] 1. グラナダ(アルベニス作曲)/アルハンブラの想い出(タルレガ作曲) 2. ダンサ・デ・モリネロ(ファリャ作曲) 3. アストゥリアス(アルベニス作曲) 4. リベルタンゴ(ピアソラ作曲) 5. クアドロ・フラメンコ 6. フィナーレ >>>>>
- ★news☆第4回フラメンコWEBフェスティバル開催!
(domingo, 10 de septiembre 2023) フラメンコをもっと楽しむための視聴者参加型のオンライン企画、第4回フラメンコWEBフェスティバルがまもなく始まります! 参加費無料、動画作品は4分以内で編集自由、視聴者投票も楽しめる企画です。 エントリー受付は10/1(日)〜10/31(火)まで。 屋外で撮影するも良し。衣装や照明、フォーメーションにこだわるのもアリ。普段のライブではちょっと実現できないような自由なアイデアの動画作品を、多くの人に見てもらえるチャンスです☆ 興味のある方は、ぜひ専用サイトにアクセスを! ◎期間 参加申し込み期間:2023年10月1日(日)〜 2023年10月31日(火) 作品提出期間 :2023年11月15日(水)〜 2023年12月10日(日) 投票期間 :2023年12月25日(月)〜 2024年1月28日(日) 結果発表 :2024年2月4日(日) [専用サイト] https://flamenco2030.com/webfes4/ [問] 運営事務局 flamenco2030@gmail.com
- スペイン発☆志風恭子のフラメンコ・ホットライン
(miércoles, 2 de agosto 2023) 文/志風恭子 Texto por Kyoko Shikaze 暑いですね。最高気温が40度を超えることも珍しくないセビージャです。 気温は高くとも湿度が少なくて過ごしやすい、とはよく言われることですが、体温を超える暑さはやはりきついです。涼しい朝のうちに用事を済ませて、日中は鎧戸も降ろし陽光が入らないように家の中は暗くして過ごし、夜気温が低くなってきてから外に出る、という人が多く、一番暑い午後の14時から18時くらいまでの時間帯、街中はひっそり。反対に子どもたちは、一杯飲んでる親のそばで夜中の12時過ぎまで遊んでいたり。シエスタ、昼寝の必要性、アンダルシアの夏を体験すると実感すると思います。 【野外公演の季節】 5月の終わり頃から10月くらいまでの半年間、多くの野外公演が開催されます。この時期は雨も少なく、各地で開催される野外での公演はジャンルも様々。入場料だけで何万円もするイベントもあれば無料のものもあったりするので、好みと予算で誰でも楽しめる夏のお楽しみと言えるでしょう。 【イタリカ国際舞踊祭】 6月のグラナダ国際音楽舞踊祭、7月のコルドバのギター祭と、フラメンコに特化しているわけではないフェスティバルでもフラメンコ公演はあります。セビージャだと6月から7月にかけて行われるイタリカ国際舞踊祭。その名の通りダンスのフェスティバルで、今年のプログラムはコンテンポラリーとフラメンコ系が半々くらいの感じでした。「フラメンコ系」と書いたのは、伝統的なフラメンコ曲を踊るだけのものではない作品が多いから。フラメンコをベースとしているアーティストでも、その作品には伝統的なフラメンコ曲を一曲きちんと踊らない作品もあります。 今年の同フェスティバルの閉幕作品となったロシオ・モリーナ『カルナシオン』もそんな作品。本人もこれはフラメンコではない、パフォーマンスよ、と言っているくらいですが、昨年のビエナルで上演されて、ビエナルはフラメンコのビエナルとうたっているだけに、フラメンコじゃない、などとも評されたのですが、それ本人がもともと言っています。フラメンコ・アーティストの作品ということで広い意味ではフラメンコに入れてもいいのかも、と個人的には思いますが、伝統的なフラメンコが無いとフラメンコじゃないという人も多いのですね。その点、これは舞踊のフェスティバルなのでその辺の問題からも解放され、出演者はより自由に公演ができたのではないでしょうか。 Italica FestivalInternacional de Danza ©︎José Antonio de Lamadrid 今年のフラメンコ勢は、マヌエル・リニャン『ピエ・デ・イエロ』に始まり、 Italica FestivalInternacional de Danza ©︎Lolo Vasco フェルナンド・ロメロ Italica FestivalInternacional de Danza ©︎Lolo Vasco マリア・モレーノ Italica FestivalInternacional de Danza ©︎Lolo Vasco フロレンシア・オス Italica FestivalInternacional de Danza ©︎Lolo Vasco サラ・カレーロ Italica FestivalInternacional de Danza ©︎Lolo Vasco ダビ・コリア Italica FestivalInternacional de Danza ©︎Lolo Vasco そしてロシオという布陣。なかなか強力です。今回は既に見ていたリニャンやマリア・モレーノ、フロレンシア以外を観てきました。オヨス舞踊団やアンダルシア舞踊団などで活躍したフェルナンドはピカソの言葉にインスパイアされた作品。サラ・カレーロは有限/死を、コリアは舞踏伝染病をテーマにした作品。いずれも実力派による意欲作でありました。 フラメンコをベースに持っていながら、フラメンコの技術や要素を使いながらも、フラメンコを表現するのではなく、その先なのか後ろなのか、自分がイメージしたものを、フラメンコの決まりに縛られることなく、自由に表現していくという流れは明らかにあるのだけれど、その中で頭角を表すということは多彩な才能が跋扈する舞踊全体の世界だけに、フラメンコの世界で一歩抜きん出る以上に難しいと思います。やはりそこはフラメンコという唯一無比のアートを上手に使うのも戦略としてありじゃないか、他の舞踊の文法を借りてのフラメンコ表現という形はできないのだろうか、など色々考えさせられたことでした。 【コンクール】 フェスティバルのほか、各地でコンクールも開催されています。 マドリードでは歴史ある、スペイン舞踊とフラメンコの振付コンクールが開催されました。1992年に始まったこのコンクール、初期の受賞者にはアドリアン・ガリアやスペイン国立バレエ監督を務めたエルビラ・アンドレスらの名前も見え、若手の登竜門的意味合いもあります。今年の優勝はダビ・アセロ・デルガード、マドリードの舞踊学院出身。アイーダ・ゴメスなどの舞踊団で活躍した人だそうです。なお、ソロ振付2位のイレネ・モラーレスがヘレスのフェスティバル賞も受賞し、来年のフェスティバルに出演予定のようです。 先月カンテの結果をお知らせしたへーレン財団のコンクール。7月10日にはコルドバでギター伴奏の決勝が行われ、コルドバ県ルイシアナ出身のペドロ・ヘスス・ルナが優勝。2位はバダホス出身ホセ・アンヘル・カスティージョ、3位はマドリードのガブリエル・ゴンサレス・タピアとなりました。また、奨学金は1位のペドロ・ヘススとともに、ヘレス出身のホセ・ケベド“ボリータ・イーホ”に授与されました。名前の通りギタリスト、ボリータの息子で現在19歳。将来が楽しみです。 ©︎Fundación Cristina Heeren また舞踊の決勝は18日セビージャで行われ、優勝はグラナダ出身のノエリア・カルボ、2位はウトレーラ出身16歳のルシア・べナビデス、3位はセビージャ県アルカラ・デ・グアダイラのジャイサ・トリゴ、奨学金はノエリアとジャイサに贈られました。 ©︎Fundación Cristina Heeren なおコンクールの様子はYouTubeで視聴可能です。 ギター https://www.youtube.com/watch?v=HydT4PaZAZE 舞踊 https://www.youtube.com/watch?v=cfeRdZZmssc 【訃報】 ヘレス出身の舞踊家、フェルナンド・ベルモンテが7月19日亡くなりました。 ©︎Kyoko Shikaze 1942年生まれというから81歳。グラン・アントニオ舞踊団で活躍しマリア・ロサの相手役を踊り、1980年、あるバリスエラ少年少女舞踊団を設立。この舞踊団からはホアキン・グリロ、ミゲル・テジェス、エドゥアルド・クラビホ、ドミンゴ・オルテガなど多くの踊り手たちが世に出ています。それまで歌い手やギタリストは多数輩出していても舞踊が手薄だったヘレスを変えた人、と言ってもいいでしょう。2010年にはグリロがオマージュ公演をヘレスのフェスティバルで上演しました。 ©︎Kyoko Shikaze 今年のヘレスのフェスティバルではこれまでの功績を表彰されるなど、晩年に再評価されたことは幸いでした。 ご冥福をお祈り致します。 【筆者プロフィール】 志風恭子(Kyoko Shikaze)/1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。 >>>>>











