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小松原庸子スペイン舞踊団公演

フラメンコ 神秘と情熱

-杉並にフラメンコを-


(sábado, 9 de septiembre 2023)


2023年3月14日(火)・15日(水)

座・高円寺2(東京)


文/金子功子

Texto por Noriko Kaneko

写真/大森有起

Foto por Yuki Omori


取材協力 小松原庸子スペイン舞踊団

小松原庸子スペイン舞踊団公演 フラメンコ 神秘と情熱 -杉並にフラメンコを-2023.3.14-15
©Yuki Omori

 東京・高円寺を拠点に日本全国で活動を展開する小松原庸子スペイン舞踊団による劇場公演が2日間にわたり開催された。今回の公演は地元である東京都杉並区の助成を受けて行われ、代表の小松原は「私達のフラメンコを通して、コロナ禍の中、皆様に元気になって頂けたらと思っております」と地元開催への思いを語った。


 プログラムは2部構成で、第1部では色彩豊かな群舞を中心に、様々なスペイン舞踊やフラメンコの曲種を揃えた。踊り手には小松原舞踊団出身の鈴木眞澄が率いる舞踊団も出演し、ラ・ヴィダ・ブレベとアレグリアスで華やかな群舞を披露した。マラゲーニャでは現役団員の藤川と関がマントンとバタ・デ・コーラで、ギターの音色に合わせて優美で調和のとれたパレハを舞った。他にも、揃いのベージュのジャケットというマニッシュなスタイルの衣装とキレの良いステップが光ったサパテアード、オーケストラの華麗な音源とともにパリージョを軽やかに奏でて舞うソロのコルドバ、はつらつとした明るさが眩しかった白と赤のアバニコによるロメラの群舞と、多様なテイストの舞踊曲が楽しめた。


 第2部はギターソロからスタート。特別出演として招かれたクラシックギターの巨匠、荘村清志がスペインの作曲家たちの名曲を披露。熟練の技術と優しい音色が郷愁を誘い、スペインの旅へと誘ってくれる。続いて、荘村が演奏するファリャの楽曲「ダンサ・デ・モリネロ(粉屋の踊り)」による奥濱のバイレソロ。パリージョを奏でながらキレ良く美しく踊る姿に、日々の鍛錬により研ぎ澄まされた感性が溢れていた。

 舞踊団員によるアストゥリアスでは、小松原もパリージョ演奏で共演。軽やかで粒ぞろいの音色は今も健在だ。リベルタンゴではバイオリンの情感豊かな旋律が曲の世界観を形成し、入交と奥濱による完成度の高いパレハで観客を魅了した。

 公演の終盤は、小松原の新旧の弟子たちや現在活躍中の若手ダンサーによるクアドロ形式での競演。藤川のガロティン、石田のアレグリアス、松浦のグアヒーラ、関のソロンゴ、清野のバンベーラと、各々の個性が光るソロが披露された。中原は表現の凄みと切れ味の鋭さを増したソレアを踊り、草野のアレグリアスは多彩な表現が魅力的だった。トリを飾った鈴木は深みのあるタラントを舞い、貫禄ある踊りで最後を締めくくった。

 

 1969年に舞踊団を創設し、スペイン舞踊とフラメンコとともに半世紀以上を歩み続ける小松原。昨今のコロナ禍という未だかつてない苦難の時を乗り越え、ようやく少しずつ舞台にも観客が戻ってきた。今回は地元の劇場での開催という事で、仕事を終えて帰宅の途中で足を運んだ方も多く見受けられた。一般の人々にとって、日常の娯楽として劇場公演や、ましてやフラメンコの舞台を観る機会はそうそうあるものではないから、今回の公演は貴重な機会だったのではないだろうか。

 日本で恐らく一番有名であろう小松原庸子スペイン舞踊団が、これからも日本各地はもちろん地元でも多くの人に向けて、フラメンコやスペイン舞踊の魅力を発信し続けてほしいと願っている。



【出演】

草野櫻子(14日のみ出演) 松浦広美 鈴木眞澄 入交恒子 清野春美 谷 淑江 玉沖朋子

藤川淳美 関真知子

横山さやか 平林夏々子 藤丸莉沙  石田久乃〈特別参加〉

[鈴木眞澄スペイン舞踊団]

坂口真子 阿部麻実 佐藤陽美 大塚美杉 本田孝子 松本ともこ 小池麻希子 武田智子 市川真美子 駒崎万里世


奥濱春彦 中原 潤


荘村清志(特別出演)


小松原庸子


バイオリン:寺島貴恵

カンテ:ディエゴ・ゴメス 有田圭輔

ギター:高橋紀博 宇田川卓俊


【プログラム】

[第1部]

1. ラ・ヴィダ・ブレベ

2. マラゲーニャ

3. サパテアード

4. コルドバ

5. アレグリアス/ロメラ


[第2部]

1. グラナダ(アルベニス作曲)/アルハンブラの想い出(タルレガ作曲)

2. ダンサ・デ・モリネロ(ファリャ作曲)

3. アストゥリアス(アルベニス作曲)

4. リベルタンゴ(ピアソラ作曲)

5. クアドロ・フラメンコ

6. フィナーレ


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