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Río Eterno 新春ライブ

  • norique
  • 1月25日
  • 読了時間: 5分

《Flamenco fan LIVE》

 

(sábado, 25 de enero 2025)

 

2025年1月11日(土)

高円寺タブラオ・エスペランサ(東京)

 

写真/田島聖一

Fotos por Holyone Tajima

文/金子功子

Texto por Noriko Kaneko

 

A_250111リオエテルノ_フィナーレ

 年も新たに迎えた1月の土曜、2025年第1弾となるフラメンコファン・ライブは、バイオリニスト森川拓哉さんをリーダーとするフラメンコユニット、リオ・エテルノが登場しました。このユニットはフラメンコ音楽のルーツとなる楽曲やオリジナル曲をレパートリーとしてライブ活動を行い、今回は中世時代のイベリア半島で広まっていたキリスト教やイスラム教、ユダヤ教文化の影響が色濃く残る音楽や、メンバーによる新作などが披露されました。

 

 始まりは、ユニットのレパートリー曲の中から古典作品を2曲。1曲目はガスパール・サンス作曲の「カナリオス」、ギターソロや舞曲としても親しまれる曲です。メンバー全員白系の衣装で揃え、クラシカルなギターメロディーの中、踊り手の本間さんが花かごを抱えて登場、メンバーの一人一人に花を配ります。中世の香り溢れる軽やかなバイオリンが奏でられ、曲の中盤には容昌さんが踊りに加わるなど楽し気な場面もあり、のどかなフラメンコの風景が味わえました。

 

 井上さんが歌うトリージャは、ストレートで素朴な歌声が魅力的。メンバーが鳴らす鈴や鐘が優しくリズムを刻み、あたたかい気持ちにさせてくれる一曲。

250111リオエテルノ_井上泉
井上泉さん

 3曲目は容昌さんの新曲。家族と海に行ったときに波の音を聴きながらメロディーが浮かんできて、それを森川さんが解読して菅沼さんが曲として仕上げたという、3人の共同作業で完成した曲だといいます。ゆったりとたゆたうメロディーに波の音のように聴こえるオーシャンドラムを加え、きらめく水面や波が静かに打ち寄せる穏やかな海のイメージが広がるような豊かな音楽に包まれました。

250111リオエテルノ_容昌
容昌さん

 サビーカス作曲のアラビアンダンスでは、妖しげなギターの演奏が奏でられる中、アラブの舞姫となった本間さんが登場。しなやかな身体使いに回転のキレも良く、妖艶な舞いを魅せてくれました。

250111リオエテルノ_本間静香
本間静香さん

 ラ・ビダ・ブレベでは今回のスペシャルゲストとして出演された本間牧子さんが、きれいな粒の立ったパリージョの音色を披露。歯切れの良いギターと流れるようなバイオリンとともに叙情的なメロディーを奏で、贅沢なトリオの共演を楽しませてくれました。

250111リオエテルノ_本間牧子
本間牧子さん

 休憩をはさんでの後半は、菅沼さんが作詞をしたというセビジャーナスを自身の弾き語りで演奏。人前でこの曲を歌うのは今回が初めてだと言います。スローな哀愁漂うメロディーに本間牧子さんと静香さんがしっとりとした踊りを合わせ、セビージャ留学時代の切ない想いが溢れるような歌を聴かせてくれました。

250111リオエテルノ_セビジャーナス

 続いても菅沼さんが作曲したファルーカ。セビージャ留学中に作った曲で、胸の内の深い想いが表れるようなギターとバイオリンのメロディー、終盤はカホンの力強いリズムと共に底力を感じるようなグルーヴに強い想いが感じられました。

250111リオエテルノ_菅沼聖隆
菅沼聖隆さん

 「Yerba」は菅沼さんが日本に帰国した時に大きな杉の木を見て、その存在の大きさに感動して作った曲。演奏を始める前に、曲の途中で観客の皆さんにもコーラスで参加してほしいということで、そのパートのメロディーをレクチャーしてくれました。演奏ではモダンさも合わせ持つメロディアスなブレリアのリズムの曲に、森川さんが壮大な広がりをイメージさせるモチーフのフレーズを奏でます。曲の後半からはお客様も一緒に合唱で加わり、会場全体があたたかい一体感に包まれました。

250111リオエテルノ_森川拓哉
森川拓哉さん

 ライブ最後の2曲は、フラメンコのルーツ音楽として知られるセファルディ(*中世スペインに住んでいたユダヤ人)民謡から披露。まずは「プンチャプンチャ」というセファルディ民謡の中でも有名な曲で、その民謡の持つ音楽的な味わいを井上さんがたっぷり聴かせてくれます。

 そして2曲目はメロディーがとてもアレグリアスに似ている明るい曲で、本間さんが白のマントンシージョとドレス姿で、可愛らしさの中にペジスコの効いた魅力的な踊りを披露。華やかな盛り上がりの中でライブを締めくくりました。

 アンコールの曲はファンダンゴ・デ・アルバイシン。その曲が育まれた土地の香りがする、フラメンコ好きにはたまらないアンコールとなりました。

 

 即興性を楽しむ通常のタブラオ・ライブとは一味も二味も違う、十分に準備を重ねてそれぞれの楽曲の魅力を観客に届けてくれたリオ・エテルノのライブ。悠久の川を遡るようにフラメンコのルーツ音楽を辿って、集めてきた魅力がぐっと詰まったライブを堪能させてくれました。その音楽文化の豊かさに触れ、ますますフラメンコが大好きになった一夜となりました。

 

[プログラム]

1.   Canarios /G. Sanz作曲

2.   Trilla(アロスノ村の麦こき歌)

3.   La Llave(鍵)

4.   Noches de Arabia /Sabicas作曲

5.   La vida breve(はかなき人生)~スペイン舞曲第一番より/M. De Falla作曲

6.   Sevillanas ~Me pega la lluvia

7.   絵画のためのファルーカ

8.   Yerba ~ジェルバ

9.   Puncha Puncha(セファルディ民謡)

10. Tres hermanicas eran(セファルディ民謡)

 

[出演]

バイオリン:森川 拓哉

ギター:菅沼 聖隆

カンテ:井上 泉

パーカッション:容昌

バイレ:本間 静香

スペシャルゲスト:本間 牧子


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