〜フラメンコに生きる〜
カデーナ フラメンカ創立30周年記念公演
(viernes, 29 de noviembre 2024)
2024年11月22日(金)
草月ホール(東京・赤坂)
写真/大森有起
Fotos por Yuki Omori
文/金子功子
Texto por Noriko Kaneko
高校卒業と同時にスペインへ渡り、以来40年以上にわたりフラメンコ舞踊活動を続ける鈴木敬子のスタジオ創立30周年という節目を記念する舞踊公演が開催された。
特別ゲストとしてカディス出身のギタリスト、ファニ・デ・ラ・イスラを招聘。その骨太で安定感のある力強いギターサウンドを公演の要とし、彼のアルバムの楽曲から4曲を採用した。
オープニングはファニの曲「エセンシア」を、鈴木とともに群舞で披露。舞踊メンバーにはスタジオのアシスタント講師らが出演。鈴木のソロとのコントラストを演出したり一団になったりと様々なフォーメーションを繰り広げる。熱いグルーヴを奏でるファニのギターにカンテが絶妙なハーモニーを重ね、奥行きのある音楽を会場に響かせる。
ギターソロでは、牧歌的で叙情的なフレーズから演奏が始まる。繊細な音色の中にもどっしりと芯が感じられる。優しい情景が感じられたり、時に激しさをのぞかせたりと、ずっと身を委ねたくなるような多彩な表情の演奏を聴かせた。
群舞はもう一曲、グアヒーラ。それぞれのカラフルな衣装が舞台を華やかに彩る。身のこなしや指先など細部にまで行き届いている美しさに、鈴木が日頃から大切に指導していることが感じられる。
タンゴではカンテのエル・プラテアオと、偶然にも来日中で出演が決まったマヌエル・デ・ラ・クーラ、そして遠藤郷子がそれぞれに迫力ある歌声を披露。三者三様それぞれの個性とともにカンテフラメンコの魅力を十二分に楽しませてくれた。
今回の公演の目玉のひとつともなった平松加奈の作品による「ブレリア・デル・ジャズ」は、いつものフラメンコ曲種とは一味違った素敵な作品。演奏が始まると照明演出も加わりジャズクラブのようなステージに。鈴木は赤のノースリーブのドレスで、妖艶にパリージョを奏でる。バイオリンとピアノ、パーカッションによるトリオにパリージョと足音のリズムが加わり、音楽的な一体感を醸し出す。
鈴木のソロ曲は、アレグリアスとシギリージャを披露。アレグリアスはバタ・デ・コーラの衣装で華やかさの中に凛々しさを、シギリージャでは鋭い眼光に気迫がみなぎり、熟練の技術で確かな足音とともに表現力豊かな踊りを魅せた。その姿には一人の舞踊家としての歓びや哀しみ、人生そのものが滲み出ていた。
最後の挨拶では、群舞のメンバーが紹介されると会場から声援が上がり、スタジオとしての活動を通して築き上げられた温かい絆のようなものが感じられた。
舞踊家としての長年の歩みを経て迎えた今回の公演。ここからまた新たな始まりが幕を開け、これからの進化が楽しみである。
【プログラム】
1. Presentación Esencias
2. Solo de Guitarra
3. Musical
4. Guajira
5. Tango〈Primo juani〉
6. Alegrías
7. Rumba〈Viva la vida〉
8. Bulería del Jazz
9. Bulerías〈A mi vera〉
10. Siguiriya
【出演】
バイレ:鈴木敬子
(群舞)岩佐紀子 小池ハルナ 伊藤佳子 高山亜紀子 尾崎俊子 藤岡素子 大塚淳子 関口佳代 チオキ真理 [11/24ガルロチ出演:武宮博子 吉本昌代 上妻真木]
ギター:ファニ・デ・ラ・イスラ(特別ゲスト)
カンテ:エル・プラテアオ マヌエル・デ・ラ・クーラ
コーラス パルマ:遠藤郷子 三枝雄輔
バイオリン:平松加奈
パーカッション:海沼正利
ピアノ:進藤陽悟
【公式サイト】
鈴木敬子フラメンコスタジオ
カデーナ フラメンカ
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