第4回 寺崎恵子
【カンテ部門/奨励賞】
(jueves, 7 de marzo 2024)
フラメンコを志し、さらに高みを目指すために目標として掲げられる大舞台、新人公演。
昨年の入賞者に、挑戦へのきっかけや本番までの道のり、自身の経験や思い、これから挑戦する人に伝えたいことなどを語ってもらいました。
第4回目は、カンテ部門で奨励賞を受賞した寺崎恵子さんです。
舞台写真/一般社団法人日本フラメンコ協会 提供
編集/金子功子
Edición por Noriko Kaneko
私はもともと踊りを長年やっていて、踊りで新人公演に挑戦したこともあったのですが、身体を壊して踊れない時期がありました。その時に踊りの師匠の吉田光一さんに勧めていただいて、本格的に石塚隆充先生にカンテを習い始めたのが約2年半前のことでした。
それから1年後、自分の教室の発表会で初めて人前でカンテソロを歌わせてもらいました。そのときに周りの皆さんから温かいリアクションをいただき、新人公演をモチベーションとして薦めていただいたことと、当時から歌っていたGranainaの魅力にハマり、この曲をあの舞台で歌いたい、という気持ちが強くなって今回の挑戦を決意しました。
地方在住のためオンラインレッスンでカンテを学んでいたので、周りにカンテ仲間がいなくて孤独だったことが、なにかと大変でした。
でも、同時に群舞部門にも挑戦したのですが、そこで一緒に出演した踊り手仲間のお二人にはいろんな面で大変支えていただきました。
また、フラメンコ以外での"推し活"で繋がってる皆さんにも、いつも私のフラメンコをあたたかく見守っていただいており、今回の新人公演への挑戦にも、とても心強く応援をしていただけたのが、大きな精神的な支えとなりました。多くの人のやさしさに大変感謝しています。
カンテを本格的に学び始めて1年で挑戦を決めたので、やればやる程、奥深さや難しさに打ちのめされる日々でした。でも、Granaina という曲の、自分が感じてる魅力をとことん突き詰めて考えたり感じるようにしたことと、それが会場の奥まで届くような気持ちの注ぎ方を心掛けて練習しました。
新人公演の当日は、本番に声のスタミナのピークを持っていけるよう、無駄に喋らず、声出し練習も極力抑えることを気をつけました。(それまでの練習で、自分のピークは2回目だと分かっていたので笑)
リハーサルでの音響がとても心地良く感じたので、力まずいつも通り歌って大丈夫、と言い聞かせて本番に臨むことができました。
受賞を知った時は恐縮しました。まだキャリアも少なく、まともに歌えるのはGranainaしかなかったので、この先のはるかな道のりを思い、不安が一気に押し寄せた気がしました。
それと同時に、私のGranaina を日本フラメンコ協会の先生方が受け入れてくださったことに、心から感謝しました。
今取り組んでいることは、とにかく歌える曲を増やすことと、Granaina をもっと高めていきたいという思いで、変わらずカンテに向き合う日々を送っています。
また今後は、踊り伴唱の経験も積ませていただき、三位一体のフラメンコの良さも追求し、地方フラメンコのお役に立てるようになりたいと思っています。
実は、今年もバイレソロ部門でまた新人公演に挑戦するのですが、本番当日に体力面や精神面でのピークを持っていけるような調整を心掛け、あとは曲への想いを、どこまでその一瞬一瞬に諦めずに込めていけるか、自分との闘いだと思っています。
孤独な挑戦をするお仲間として、共に高みを目指させてください。一緒に頑張りましょう!
【プロフィール】
寺崎恵子(Keiko Terasaki)/石川県小松市出身、富山市在住。
フラメンコ舞踊手、フラメンコ教室ADELANTE!主宰
1997年、運動不足解消の目的でフラメンコの踊りを始め、すぐにその魅力にハマる。
2007年、フラメンコ教室ADELANTE!を開講。
2021年、体調を崩したことをきっかけに、本格的にカンテを石塚隆充氏に師事。
2023年、日本フラメンコ協会主催「フラメンコルネサンス21新人公演・カンテ部門」奨励賞受賞。
【新人公演とは】
一般社団法人日本フラメンコ協会(ANIF)が主催する、日本フラメンコ界の発展向上のため、次代を担うフラメンコ・アーティストの発掘および育成の場として、1991年から毎年夏に開催されている舞台公演。
プロフェッショナルへの登龍門として社会的に認知される一方、「新人公演は優劣順位をつけるためのものではなく、新人へのエールを送るために存在する」という当初からの理念に基づき、すべての出演者が主役であるとの考えから順位付けは行われません。
バイレソロ、ギター、カンテ、群舞の各部門に分かれ、若干名の出場者に奨励賞、またはその他の賞が与えられます。
(*一部、ANIF公式サイトより引用)
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