第6回 和泉冴英香
【バイレソロ部門/奨励賞】
(viernes, 26 de mayo 2023)
フラメンコを志し、さらに高みを目指すために目標として掲げられる大舞台、新人公演。
昨年の入賞者に、挑戦へのきっかけや本番までの道のり、自身の経験や思い、これから挑戦する人に伝えたいことなどを語ってもらいました。
第6回目は、バイレソロ部門で奨励賞を受賞した和泉冴英香さんです。
編集/金子功子
Edición por Noriko Kaneko
今回は3回目の挑戦で、新人公演を一つの目標にして、自分の踊りともう一歩向き合いたいと思ったのが最初のきっかけです。
2019年にスペインへ1年間行ってきて、そこから3年くらいバイレに集中して向き合ってこなかったのですが、その分フラメンコをたくさん見て聞いて感じて吸収してきたあれやこれを、踊りに昇華できるよう挑戦してみたいと思いました。
本番を迎えるまでの期間は、自分の好きなフラメンコを大切にしながらも、新人公演という場で踊るに"ふさわしい"ものになっているかどうか、常に自問自答を繰り返しながら作っていました。ついつい自分の「好き」をフォーカスしすぎると、7分では収まらないしタブラオで踊るような構成になってしまいます。いかに7分で自分のフラメンコを一つのヌメロに投影するかは至難の業で、正解がないので構成や振りもギリギリまで変えていました。ただ、最終的には自分を信じて、「最後まで丁寧に踊り切ること」を一番に考えました。
本番前後の記憶はだいぶ薄れていますが(笑)、当日は割とリラックスしていました。バックのエミリオ(マジャ)、ディエゴ(ゴメス)、(三枝)雄輔さんのお三方は今回で3回目。普段もとても有難いことにライブで共演させていただいているので、絶大な信頼がおけるメンバーでやれたこともリラックスして挑めた大きな要因でした。
受賞を知った時は率直にとても嬉しく、安堵しました。3回目の挑戦だったので、今回は受賞したいと思っていました。
ただ、踊り切った後はやり切った感も多少ありましたが、それと結果がどう結びつくかは未知で、自信がなかっただけに結果を知ってとても安心しました。何よりも母や師匠、周りの人や応援してくれた人たちに良い知らせができるというのが嬉しかったです。
当日の舞台に立つまで、私も悩んだり色々とありましたが、それでも「大好きなフラメンコにこれだけ向き合えてる。そんな機会があって素晴らしい!!」と思えたら、悩んでいたこと全てが一旦チャラになりました。もちろん、またすぐに悩みは出てくるものですが(笑)
昨年の今頃、頭を抱えて悩んでいた自分に自分でエールを送って奮い立たせていたように、今年は新人公演の舞台に立つ全ての方々に、心からエールを送りたいと思います!!
(写真)Ⓒ大森有起
【プロフィール】
和泉冴英香(Saeka Izumi)/東京、門前仲町の下町育ち。母の影響で8歳の頃に曽我部靖子フラメンコ教室にて踊りを始める。その後、吉田久美子、森田志保に師事。2019年に1年間渡西、ヘレスを中心に滞在。2022年、新人公演奨励賞を受賞。
【新人公演とは】
一般社団法人日本フラメンコ協会(ANIF)が主催する、日本フラメンコ界の発展向上のため、次代を担うフラメンコ・アーティストの発掘および育成の場として、1991年から毎年夏に開催されている舞台公演。
プロフェッショナルへの登龍門として社会的に認知される一方、「新人公演は優劣順位をつけるためのものではなく、新人へのエールを送るために存在する」という当初からの理念に基づき、すべての出演者が主役であるとの考えから順位付けは行われません。
バイレソロ、ギター、カンテ、群舞の各部門に分かれ、若干名の出場者に奨励賞、またはその他の賞が与えられます。
(*一部、ANIF公式サイトより引用)
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