(domingo, 26 de noviembre 2023)
2023年6月15日(木)・16日(金)
こくみん共済coopホール・スペースゼロ(東京・新宿)
主催:プリメラギター社
文/金子功子
Texto por Noriko Kaneko
『カンテ・ソロの一曲入魂』
2023年6月15日(木)
写真/川島浩之
Foto por Hiroyuki Kawashima
(写真)主催のプリメラギター社長チコさんを中心に、出演したカンタオーレスと伴奏したギタリストらとともに
毎年、様々な企画で私たちフラメンコ愛好家を楽しませてくれるプリメラフェスティバル。今年の主役のひとつは、カンテだ。「カンテ・ソロの一曲入魂」と題し、日本各地から実力・個性ともに際立つフラメンコの歌い手たちが集結した。その数なんと43名!
熱唱、名唱、ギター伴奏と共に歌い上げるオーソドックスなスタイルから、自らギターも奏でる弾き語り、さらには大勢のパルマとともにフィエスタ形式など、各出演者らの個性やこだわりがその一曲に詰まっている。ライブや公演でお馴染みの人から普段なかなかお目に(お耳に?)かかれない人まで、一人一人の素晴らしいカンテを堪能した。
終演後の挨拶で、主催のプリメラギター社長のチコさんこと吉田正俊氏は、日本におけるフラメンコの普及に大きく貢献した故・濱田滋郎氏がかつて「日本人にはカンテは難しいのではないか」と語っていたことに触れ、「今日のこの舞台を濱田先生に観てもらえていたなら、(その素晴らしさに)きっとビックリしたんじゃないかと思う」と誇らしさをにじませていた。
途中3回の短い休憩をはさみながらも、17時に開演したこの舞台が終わったのは22時目前! 通常の公演では考えられない長さだが、バラエティに富んだたくさんの歌が楽しめたので意外と長くは感じられなかった。やはり楽しい祭りはあっという間なのだ。
【出演】
齊藤綾子、笛田剛史、市川えり、柏山美穂、佐野三晴、鞍掛和子、室田恵、須田隆久、高橋愛夜、阿部真、三枝雄輔、大沢玉紀、大橋範子、佐々木紀子、濱田吾愛、元井祥雄、吉田光一、織田洋美、マヌエラ・ナランヒータ、福田加弥子、レイコ・シミズ・サンギット、近藤裕美子、土井康子、遠藤郷子、高岸弘樹、許有廷、小松美保、永井正由美、井上泉、チャチャ手塚、山田あかり、ダニエル・リコ、森薫里、大渕博光、川崎さとみ、永潟三貴生、水落麻理、有田圭輔、今枝友加、石塚隆充、川島桂子、三澤敦子、エンリケ坂井
『バイレ・ソロの一曲入魂』
2023年6月16日(金)
写真/松本青樹
Fotos por Aoki Matsumoto
今年のプリメラフェスティバルのもうひとつの主役は、ボリュームあるフリルと尻尾のように長い裾で大輪の花のように舞台を彩る、踊り手の憧れでもある衣装、バタ・デ・コーラだ。
今回の「バイレ・ソロの一曲入魂」では、様々な舞台で活躍中のフラメンコ舞踊家8名が、美しくデザインされた自慢のバタ・デ・コーラを身にまとい、その魅力を存分に発揮。時に愛らしく、時に妖艶に、そしてダイナミックに、美しく個性豊かな踊りで観客を魅了し、華やかな夢の競演を繰り広げた。
1.井口裕香里
アレグリアス
白系のマントンと水色の衣装で爽やかな印象。重心が安定していて、優美でいて力強い。ボリュームあるコーラ(長い裾の部分)を自在に扱い多彩な表現を披露した。
2.片桐美恵
シギリージャ
黒の衣装に赤のフレコが燃えるように揺れる。円熟味を増した佇まいには気迫がみなぎり、低くうねるように動くコーラが曲の重厚感を演出する。
3.公家千彰
ペテネーラ
山吹色の衣装に黒のマントンのコントラストが印象的。パリージョと足音のコンビネーションが絶妙。曲の緩急に合わせたマントンさばきも見応えがあった。
4.里有光子
マルティネーテ
黒の衣装に身を包み、ぶれない体幹と柔軟な身体使いで安定した踊りを披露。正確なコンパス感と丁寧なコーラさばきで、落ち着いた優美さを表現した。
5.EL CAYO 池本佳代
アレグリアス
黒地に赤の差し色を取り入れたコーラはやはりフラメンコらしくて魅力的。柔らかい身体を生かし演じるように踊る場面やオリジナリティに富んだ構成で、創作舞踊のような一面も楽しめた。
6.林順子
グアヒーラ
青地に白の水玉、ピンクの縁取りがなんとも愛らしいバタ・デ・コーラ。優雅な雰囲気が漂い、美しい身体使いや軽やかなパリージョの音色にもうっとり。
7.井上圭子
アレグリアス
淡いグリーンの衣装にオレンジのマントンがよく映える。キレの良い踊りはギターとの呼吸もピッタリ。コケティッシュな雰囲気も彼女ならではの魅力。
8.石井智子
シギリージャ
大トリにふさわしい圧倒的な貫禄と存在感を醸し出す。ダイナミックなコーラさばきや粒のそろったパリージョも、圧巻の一言だった。
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