(martes, 26 de septiembre 2023)
2023年4月21日(金)~5月8日(月)
Showレストラン「ガルロチ」(東京・新宿)
文/金子功子
Texto por Noriko Kaneko
写真/渡辺格
Foto por itaru. watanave
(写真)トロンボとフアナ(右)、2つの魂がぶつかり合う
今年のGW期間に開催されたガルロチでのスペイン人公演は、観客の心を鷲掴みにするような激しく真っ直ぐな踊りが魅力のフアナ・アマジャと、フラメンコのコンパスを自在に操り独自の世界観を醸し出すエル・トロンボによるグループ公演が行われた。
取材日の公演はAプログラム。オープニングはハレオ。舞台の中央に置かれた2つの椅子に座って向き合うフアナとトロンボ。2つの魂が放つエネルギーがぶつかり合い、絡み合う。その熱量が空気を伝って観客を圧倒し、序盤から舞台に釘付けになってしまう。フアナは自分が身に付けていたパニュエロ(スカーフ)をトロンボの首に巻き付け、次のステージを託して粋に舞台を降りていった。
トロンボのソレア・ポル・ブレリアは、静と動の芸術。歌に、そしてギターに耳を傾け、感覚を研ぎ澄ませて音楽のエネルギーを静かに内面に湛えていく。それが頂点に達すると激情のように踊りにあふれ出し、感情がそのまま凝縮されたようなサパテアードは凄まじい迫力だった。
ダビ・カロのギターソロは流れるようなメロディアスな旋律を奏で、豊かな響きを醸しながら美しい音色を紡ぎ出していく。それでいて、聴いていると素朴な情景が目に浮かぶようで、その音楽が描く景色に酔いしれた。
そしてフアナのシギリージャ。その爆発力に圧倒された。押さえても抑えきれずに溢れてくる生命のエネルギーを、ダイレクトに踊りへと昇華させる。本能のままに踊るその姿には、どう見られたいとかどう見せたいとか、そんな体裁や加減など微塵もない。ほとばしる情熱に身を委ね一心に踊る姿は観る者を感動させ、それがフラメンコなのだと教えてくれる。純粋で、潔い。踊るフアナは美しかった。
2人のカンタオールも、それぞれの個性が光っていた。来日回数が多く日本ではもうお馴染みのガジは、張りのあるいつもの歌声に熟練の渋さが加わり、今回初来日のイワンは前評判通りの軽快なソニケテと勢いのある力強い歌唱を楽しませてくれた。
後半の第2部はタンゴのカンテソロからスタート。3人の個性が絡み合いながら織りなす音楽に心も沸き立つ。トロンボのカンティーニャは、何者にも媚びない舞踊手としての気高さに満ち溢れ、フアナのソレアは髪を振り乱し全身全霊を捧げるかのような踊りから目が離せなかった。
圧倒的な存在感と個性が際立つ二人の踊り手によるステージが楽しめた今回の公演。本国スペインでも人気の高いアーティストらによるこのような見応えのあるライブは、やはりこのガルロチだからこそ実現できるものだろう。日本にいながら本場そのままの舞台を堪能できる幸せが、これからもずっと続いてくれることを願う。
【出演】
[バイレ]フアナ・アマジャ(Juana Amaya)/エル・トロンボ(El Torombo)
[カンテ]タビ・エル・ガジ(David El Galli)/ イバン・カルピオ(Ivan Carpio)
[ギター]ダビ・カロ(David Caro)
【プログラムA】
[1部]
・プレゼンテーション/ハレオス
・ソレア・ポル・ブレリア(エル・トロンボ)
・ギターソロ(ダビ・カロ)
・シギリージャ(フアナ・アマジャ)
・フィン・デ・フィエスタ
[2部]
・カンテソロ
・カンティーニャ(エル・トロンボ)
・ソレア(フアナ・アマジャ)
・フィン・デ・フィエスタ
【プログラムB】
[1部]
・プレゼンテーション/マルティネーテ
・ソレア(エル・トロンボ)
・ギターソロ(ダビ・カロ)
・カンティーニャ(フアナ・アマジャ)
・フィン・デ・フィエスタ
[2部]
・カンテソロ
・即興による演目(エル・トロンボ)
・即興による演目(フアナ・アマジャ)
・フィン・デ・フィエスタ
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