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スペインNews 3月号・2024

(miércoles, 6 de marzo 2024)

 

文・写真/志風恭子

Texto y fotos por Kyoko Shikaze

 

 フラメンコファンにとっては2月といえばヘレスのフェスティバル。今年も世界中からフラメンコたちがヘレスに集まってきています。パンデミックも落ち着き、日本からの参加者も従来通りになってきているようですね。


ビジャマルタ劇場 志風恭子連載2024年3月

ビジャマルタ劇場 初日の入場を待つ人たち/©︎ Kyoko Shikaze

 

【カルナバル】

 2月はまたカルナバル(カーニバル)の季節。アンダルシアではカディスのものが有名です。フラメンコ曲のひとつ、タンギージョはカディスのカルナバルで歌われたもの、という話は聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

 カディスのカルナバルでは、大人数の合唱団から3、4人のクアルテトまで4つのジャンルに分かれたグループで、タンギージョをはじめ、替え歌メドレーなど様々に工夫を凝らした扮装と社会風刺などを取り入れた歌詞と音楽でのコンクールがカルナバルに先立って開かれます。その模様は現在ではインターネット中継され、スペイン全国にファンがいます。今年はチリゴータというセクションで、フラメンコをテーマにしたグループが活躍しました。

 



 伝統的なソレアのメロディーの歌詞が童謡だったり、マヌエル・モリーナの歌真似があったり。このビデオは予選ですが、準決勝から決勝と順調に進み4位となりました。フラメンコに敬意を払いつつユーモアたっぷりで最高じゃないですか?

 なおこのグループは昔、酔っ払いという設定で日本でもよく歌われるタンギージョ『昔の銅貨』を逆さまに、後ろから歌うというのもやっています。



 コンクールが終わるとグループは街に出、フロートに乗ったり、街角の教会の前などで歌い ます。


カディス 志風恭子連載2024年3月号

2003年カディスのカーニバル/©︎ Kyoko Shikaze

 

 カルナバルの歌の歌詞の聞き取りは、早口のアンダルシア弁やローカルな話題が満載だったりで難しいかもしれませんが、わかると楽しいですよ。

 

【トマティート】

 2月17日、セビージャのマエストランサ劇場でトマティートのコンサートが開催されました。もうベテランという年代になった彼ですが、いつものように、第2ギターに息子ホセ、歌にモレニート・デ・イジョラとキキ・コルティーニャ、パーカッションにピラーニャというグループにパルマ二人を加えた構成で、ソロのロンデーニャからのエストレマドゥーラのハレオ、アレグリアスといつものようにスムーズに進んでいきます。


トマティート 志風恭子連載2024年3月号

Foto Guillermo Mendo-Teatro de la Maestranza

 

 トマティートが長年共演しているジャズピアニスト、ミシェル・カミロがアントニオ・バンデーラ主演の映画のために作曲したテーマ『トゥーマッチ』を息子とデュオで聴かせ、ブレリア、ルンバ。昔ながらの懐かしいメロディーが出てくるのが嬉しい。

 元々、10代で天才カマロンにみそめられ、パコ・デ・ルシアのあと、その伴奏を任されており、本人、ソリストになりたいなどとは思っていなかったのが、カマロンの急逝により、やむなくソロで活躍するようになったトマティート。最初の頃はすごくあがるんだ、などと言っていたのだけれど、今は昔。ゆったりナチュラルな感じで聴かせる演奏が心地いい。

 踊り手ナサレ・レジェスが少し踊ったのだが、これまた母フアナ・アマジャにふとしたところが似ている。と、ミュージシャンが退場し、ヘレスの歌い手、ラ・マカニータが登場。ソレア。久しぶりにトマティートの本格的な伴奏を聴くことができて嬉しかった。決して前に出過ぎることなく、しっかり歌をサポートしていく、お手本のような演奏。きちんと歌を聴く、真剣な姿勢が本当に素晴らしいと思います。


トマティート 志風恭子連載2024年3月号

Foto Guillermo Mendo-Teatro de la Maestranza

 

 続いて、フラメンコ・ポップ系の人気歌手ニーニャ・パストーリが登場。相次ぐ思いがけないゲストの出演に客席は沸きました。フィン・デ・フィエスタのブレリアでマカニータがナサレが踊り、パストーリが加わって一度締め、そして最後はトマティートもちょっと踊る、という特別感のある公演となりました。

 

【アンダルシア舞踊団のオーディション】

 昨秋、アンダルシア州が運営する、アンダルシア舞踊団監督に任命されたパトリシア・ゲレーロ。彼女による新体制の舞踊団メンバーを選ぶオーディションが2月、セビージャで行われました。

 アンダルシア舞踊団はスペイン国立バレエ団と違い、監督が交代するたびに、ダンサーはもちろん、ミュージシャンも全部変わり、作品もその監督によるものが上演されることとなっています。パトリシアは公募で選ばれました。なお、他の候補者はダビ・コリア、フェルナンド・ロメーロ、アドリアン・ガリアだったそうです。


アンダルシア舞踊団 志風恭子連載2024年3月号

©︎Ballet Flamenco de Andalucía

 

 舞踊は、なんと192人の応募があり書類選考で選ばれた女性71人、男性24人が参加。パトリシアがスペイン国立バレエ団監督のルベン・オルモ(アンダルシア舞踊団監督でもあります)、踊り手アルフォンソ・ロサ、アナ・モラーレスとともに審査し、その中から女性5人、男性4人が選ばれました。ミュージシャンは歌に26人、ギター38人、打楽器16人の応募者の中から、ダニ・デ・モロンらが、歌ギター2名ずつ、打楽器一人を選出しました。

 新メンバーは以下の通りです。

 

監督;パトリシア・ゲレーロ

リハーサル監督;エドゥアルド・レアル

ダンサー;アラセリ・ムニョス、クラウディア・カジェ、ルシア・フェルナンデス、マリア・カラスコ、ソフィア・スアレス

アルバロ・ガルシア、アンヘル・サンチェス、ウーゴ・アギラール、パブロ・エヘア

歌い手;アンパロ・ラガレス、マヌエル・ヘスス・ガルシア“ニーニョ・デ・ヒネス”

ギタリスト;ヘスース・ロドリゲス、ホセ・ルイス・メディナ

打楽器奏者;ダビ・ロドリゲス

 

 ダンサーは10代も多く、若い才能が中心だとか。元スペイン国立バレエ団で日本でも教授活動を行っていたパブロ・エヘアが最年長のようです。ミュージシャンはタブラオなどでも活躍しているギタリスト二人が中心なので安心感がありますね。


アンダルシア舞踊団 志風恭子連載2024年3月号

©︎Ballet Flamenco de Andalucía

 

 舞踊団のお披露目は7、8月にグラナダ、アルハムブラ内のヘネラリフェ野外劇場で毎年行われている『ロルカとグラナダ』公演での作品『ピネーダ』。この公演が終わると、パトリシアが監督に選出された企画『ベンディータ・ティエラ』の稽古に入るそう。

 若いメンバーが中心の新生アンダルシア舞踊団のこれからに注目です。

 

 

【筆者プロフィール】

志風恭子(Kyoko Shikaze)/1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。

 

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