(miércoles,7 de junio 2023)
文/志風恭子
Texto por Kyoko Shikaze
聖週間、セビージャのフェリアに続いてへレスやコルドバなど各地でもフェリアが開催、そしてロシオ巡礼とアンダルシアではお祭りが続きます。それらが一段落したかと思うと、あれよあれよと夏休みに突入。他の地方の人から「アンダルシア人は怠け者で遊んでばかり」などと言われてしまうのも理解できるような気がします。でももちろんしっかり仕事や勉強もしていますよ。聖週間もフェリアも巡礼も、楽しむためにはお金がかかるんです。聖週間の行列に出るための装束、フェリアのカセータと呼ばれるテント小屋、セビージャでは会員制のところがほとんどですがその費用や飲食代、衣装代、子供がいれば遊園地にも連れて行かなくちゃ、と出費がかさみます。巡礼も飲食、宿泊、衣装、なにかとお金がかかります。大金持ちなら問題ありませんが、セビージャの庶民の中にはお祭りに命をかける勢いの人も多く、お祭りを楽しむためにも稼がなきゃ、なのです。
【マノロ・サンルーカルに捧げる】
4月25日、ヘレスのビジャマルタ劇場で、2022年8月27日に亡くなったギターの巨匠、マノロ・サンルーカルへのオマージュ公演が上演されました。通常の歌や踊りの伴奏、ソロでのリサイタルなどだけではなく、ギター奏者、作曲家として、交響楽団とフラメンコギターの共演を実現させ、毎年7月に行われるコルドバのギター祭で長年後進の指導にあたるなど、多方面にわたり、フラメンコの地平を開き未来へとつなげていったその功績を讃えてのこの公演には、タブラオ時代にも共演し、曲を捧げた踊り手メルチェ・エスメラルダ、かつてマノロのグループで第二ギタリストを務めたフアン・カルロス・ロメロやダビ・カルモナ、ライブでも録音でも共演した歌い手カルメン・リナーレス、パーカッション奏者ティノ・ディ・ジラルド、名作『タウロマヒア』に参加した地元へレスのマカニータとディエゴ・カラスコをはじめ、名だたるアーティストたちが出演。マノロの名作を次々と演奏しました。スペイン国立バレエの公演で日本でもお馴染みとなった名作『メデア』の音楽で、ファルキートとパストーラ・ガルバンが国立バレエのホセ・グラネーロ版ではなく、新しい振り付けで踊るなど、亡くなってなお、フラメンコのクリエイティビティに貢献、というのが、フラメンコを愛し、フラメンコの未来を憂えたマノロならではのようにも思えます。
【ホセ・デ・ラ・トマサにセビージャ市のメダル】
セビージャでは毎年5月30日、市の守護聖人、サン・フェルナンドの日に市のメダルを功労者に贈っていますが、今年度、歌い手ホセ・デ・ラ・トマサが受賞者の一人となることが5月8日、発表されました。
ホセ・デ・ラ・トマサ、本名ホセ・ジオルジオ・ソトは、1951年セビージャはマカレーナ地区、アラメーダの生まれ。父はピエ・デ・プロモ、母はトマサ・ソトと、ともに歌い手。母方の祖父がペペ・トーレ、大伯父が歴史に名を残す巨匠マヌエル・トーレというフラメンコの名門出身。1976年にはコルドバのコンクールでマヌエル・トーレ賞を受賞するなどしました。その後はペーニャやフェスティバルを主な舞台として活躍。またクリスティーナ・ヘーレン財団フラメンコ芸術学校では創立当初より、カンテ科の教授を長らく務め、多くのアーティストの規範となりました。なお現在、スペイン国立バレエ団などで活躍している歌い手ガブリエル・デ・ラ・トマサは息子、若手のホープとして期待が高いマヌエル・デ・ラ・トマサは孫、とその伝統は次世代へと受け継がれています。
生まれ故郷のセビージャで、その功績が公に認められたことは嬉しい限りです。
©Bienal de Sevilla Antonio Acedo
【新譜】
カディス県アルヘシラス出身のギタリスト、ホセ・カルロス・ゴメスの新譜『ラス・ウエジャス・デ・ディオス(神の足跡)』は、郷里の先輩パコ・デ・ルシアの足跡を追いつつ作曲した曲で綴るオマージュ・アルバム。ソングライターとしても活躍する彼はパコその人を直接知っているだけに、強い思いが感じられる1枚となっています。
クラウドファンディングで実現したアルバムで、本人の公式ウエブ(https://www.josecarlosgomez.es)から購入が可能*です。
*現在はスペイン国内のみの販売ですが、近いうちに国外への販売にも対応予定、とのことです(編集部注/5月23日現在)
へレス出身で、現在は主にマリナ・エレディアやアルヘンティーナらの伴奏のほか、プロデューサーとしても活躍しているホセ・ケベド“ボリータ”のソロ・アルバム『フェルティル』。グループ、U.H.Fの仲間でパーカッションのパキート・ゴンサレスや、同郷の歌い手ロンドロが参加しています。YouTubeやSpotifyなどで聴くことができます。
【筆者プロフィール】
志風恭子(Kyoko Shikaze)/1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。
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