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スペイン発☆フラメンコ・ホットライン

(miércoles, 6 de diciembre 2023)


文/志風恭子

Texto por Kyoko Shikaze


 久しぶりの日本は11月初めまで半袖で外出できるなど、気候の変化に戸惑いながら、日本のフラメンコを楽しませてもらっています。

 ところで 11月16日はフラメンコの日。ご存知でしたか? 2010 年、ケニアのナイロビで開催されたユネスコの会議において、フラメンコが無形文化遺産に制定されたことから、認定に尽力したアンダルシア州がフラメンコの日と制定したのです。現在では国際フラメンコデーとも言われ、スペイン国内では無料公演や学校行事など多彩なイベントが開催されていますが、日本ではまだ馴染みがないようですね。来年は誰か何かイベントやらないかなあ。


【フラメンコの日 en セビージャ】

セビージャでは市の主催による3つの野外無料公演が行われました。まずは13時、トリアーナ橋のセビージャ側のたもと、ムエジェ・デ・ラ・サルという昔、塩が積まれていたというところでエスペランサ・フェルナンデスとファミリーによる公演。トリアーナのベティス通りの家々をバックに、エスペランサのほか、息子の歌、叔母コンチャ・バルガスの踊りにミゲル・アンヘル・コルテスのギターらが共演。フラメンコ好きはもちろん、観光客らも多く足を止めて見入っていたようだ。

フラメンコの日enSevilla_202312志風恭子
(写真)Ayuntamiento de Sevilla

 17時からは市役所の横、街の中心サン・フランシスコ広場で、踊り手エル・トロンボ、ロレ・デ・ロス・レジェス、アントニオ・アマジャらが、エル・ガジやぺぺ・デ・プーラの歌、ラモン・アマドールのギターで。こちらもより多くの観客を集めたようですね。


フラメンコの日enSevilla_202312志風恭子
(写真)Ayuntamiento de Sevilla

 最後に行われたのはホセ・デ・ラ・トマサ、ナノ・デ・ヘレス、エル・チョサスという3人の歌い手たちのカンテ公演が、かつて歴史的なアーティストたちの活躍の場でもあったというアラメーダ・デ・エルクレスで。こちらもまた多くの聴衆を集めたようです。


【ラテン・グラミー賞】

 同じ日、同じセビージャの国際会議場で行われたのが第24回ラテン・グラミー賞の授賞式。ラテン・グラミー賞はアメリカでのラテン・ミュージックの台頭を受け、グラミー賞主催者が設けたもので2000年に始まりました。授賞式がアメリカ以外の国で開催されるのはこれが初めてとのこと。 当初よりフラメンコ部門が設けられており、これまでの受賞者にはパコ・デ・ルシアやトマティート、意外なところではチョコラーテの名前もあります。ただ、あくまでもアメリカ/世界から見たフラメンコなので、フラメンコ風味のポップスなどもノミネートされ、今年の受賞も、昨今スペインで人気のカンタオール、イスラエル・フェルナンデスを押さえ、フラメンコ・ポップ的なニーニャ・パストーリでした。


[動画]


 ただ、ガラではロサリアのバックで多数のフラメンコギタリストらが出演したのをはじめ、授賞式にさきがけてスペイン広場で行われたフラメンコ公演ではトマティートやマカニータ、イスラエル・フェルナンデスらが出演するなど、音楽業界にフラメンコをアピールしたことも記しておきましょう。


【新監督誕生】

 バレエ・フラメンコ・デ・アンダルシア、アンダルシア舞踊団芸術監督に、パトリシア・ゲレーロが就任することが発表されました。マリオ・マジャを芸術監督に、コンパニア・アンダルーサ・デ・ダンサという名前で誕生したこの舞踊団、これまでにマリア・パヘス、ホセ・アントニオ、クリスティーナ・オヨス、ルベン・オルモ、ラファエラ・カラスコ、ラファエル・エステベス、ウルスラ・ロペスが監督を務めてきました。マリオ以来のグラナダ出身の芸術監督。すでに自分のカンパニーの群舞も振り付けていますが、ここ数年、国立バレエにゲスト主演するなどして、最新作には男女の群舞を加えるなど、大掛かりな作品にも取り組んでいるパトリシア。どんなメンバーを集め、どんな作品を作っていくのか、とても楽しみです。

アンダルシア舞踊団芸術監督パトリシア・ゲレーロ就任

©Kyoko Shikaze /2022年ビエナルの記者会見で。左からロシオ・モリーナ、ラファエラ・カラスコ、パトリシア、トレメンディータ、アナ・モラーレス


 またマドリード州立スペイン舞踊団が創立され、ヘスス・カルモナが初代監督に任命されました。1985年バルセロナ生まれで元スペイン国立バレエ団の彼、身体能力の高さ、超絶テクニックで作り上げてきた舞台作品も素晴らしく、こちらも今後の展開にも期待しています。


【追悼アンヘリータ・バルガス】

 11月11日朝、セビージャの踊り手アンヘリータ・バルガスがセビージャ郊外ボルムホスにある病院で脳梗塞のため亡くなりました。

 1946年セビージャはトリアーナの生まれ。子供の頃からフラメンコを歌い踊り、セビージャの老舗タブラオ、ロス・ガジョスでも最初は歌って踊るフェステーラ “アンヘリータ・ラ・ヒタニージャ”として活躍していました。当時録音されたロス・ガジョスのレコードでもそのジャケットの真ん中で歌い踊る様子を見ることができます。バックのクアドロにマヌエラ・カラスコやローレ・モントージャらの顔も見えます。

アンヘリータ・バルガス

 ある意味、タブラオの黄金期だったのかもしれませんね。その後はフラメンコ舞踊家として、ビエナルやヘレスのフェスティバルなど数多くのフェスティバルなどで活躍。1992年のセビージャ万博ではアンダルシア館のタブラオに、長らくセビージャのタブラオ、パティオ・セビジャーノに出演していた踊り手、イシドロや姪マヌエラらと一ヶ月出演しました。


アンヘリータ・バルガス
©Kyoko Shikaze

 また何度か日本にも訪れ、クラスや公演を行いました。昔ながらの、古き良きフラメンコを感じさせる、奥深い表現で多くのフラメンコ・ファンの心をとらえました。2011年脳梗塞で倒れ、半身不随となり舞台からの引退を余儀なくされましたが、日本のファンの募金などの助けを得てリハビリを続け、近年は座ったままではあるものの、クラスを行うなどしていたのですが、再び脳梗塞が原因で亡くなったとのことです。遺骸は彼女が長く暮らしたセビージャ郊外、サン・フアン・デ・アスナルファラチェの劇場に安置され、多くの人がお別れに訪れたそうです。


 アンヘリータの十八番、ソレアのビデオで彼女を偲びたいと思います。

 2008年、カナルスールでのもので、歌はボケロンとフアン・ホセ・アマドール、ギターはラモン・アマドールとエウヘニオ・イグレシアス。パルマにボボーテと最強のバックと共にみせてくれました。


[動画]


【筆者プロフィール】

志風恭子(Kyoko Shikaze)/1987年よりスペイン在住。セビージャ大学フラメンコ学博士課程前期修了。パセオ通信員、通訳コーディネーターとして活躍。パコ・デ・ルシアをはじめ、多くのフラメンコ公演に携わる。


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