(lunes, 11 de septiembre 2023)
文/エンリケ坂井
Texto por Enrique Sakai
カンティーニャの乗り ~続き
カンティーニャの乗りと言っても、カンティーニャ族(属)のアレグリアス・デ・カディスは普通の12拍子乗りだし、他の多くのカンティーニャも12拍子乗りなので「カンティーニャ乗り」という言い方を私は便宜上使ってはいるが、正確なものとは言い難い。
それではもっと正確に言うにはどうしたら良いのか考えたが、例えば「12拍子の曲種のうち特にカンティーニャの限られた曲種において6拍目と12拍目の強拍にメロディーのアクセントを合わせて、より自由に歌う方法で特にヒターノ(ナ)たちにこうした乗りで歌う傾向が強い」。
しかしもちろんこれでは長過ぎるから、やっぱり「カンティーニャ乗り」と表現せざるを得ないという事だ。
さて、前回ロサ・ラ・パペーラのカンティーニャを娘のラ・ペルラ・デ・カディスが歌った録音を例に取り上げたが、今回はもうひとつの例としてカンティーニャ・デ・ピニーニをベルナルダ・デ・ウトレーラ(1927~2009)が歌った録音から取り上げる。
ピニーニはウトレーラのヒターノでベルナルダはその孫だから、直伝と言っていいだろう。
Letra
A Isabel en el baile
la vió el rey David,
se enamoró de ella
como yo de ti.
Coletillo
Se〈sacúen〉y luego cantan,
el que duerme en cama ajena
de〈madrugá〉se levanta.
※Se〈sacúen〉⇒sacudirse(払い落す)
※〈madrugá〉⇒madrugada(夜明け)
(訳)
イサベルが踊るのを
ダビデ王は見て
彼女の虜(とりこ)になった
私がお前にそうなった様に。
服の埃を叩(はた)きそして歌う、
他人のベッドで寝る者は
夜明けに起きねばならぬ。
このコレティージョの意味は恐らく大農場の雇われ労働者が仕事を終え、服の汚れを落として息抜きに仲間とフィエスタをし農場の小屋で寝る。当然朝は早くから仕事、という事。
伴奏の場合のコードを書いたが、ギタリストはメロディーがその和音に達したのを確かめてから切りの良い所で和音を変えるので、多少のタイムラグがあります。
【筆者プロフィール】
エンリケ坂井(ギタリスト/カンタオール)
1948年生まれ。1972年スペインに渡り多くの著名カンタオールと共演。帰国後カンテとパルマの会を主宰。チョコラーテらを招聘。著書『フラメンコを歌おう!』、CD『フラメンコの深い炎』、『グラン・クロニカ・デル・カンテ』vol.1~33(以下続刊)。
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