(lunes, 10 de julio 2023)
文/エンリケ坂井
Texto por Enrique Sakai
カンティーニャの乗り
前回書いたように、カンティーニャの乗りと言ってもひと通りではない。
アレグリアス・デ・カディスのように、というよりは普通のソレアーのようにと言った方が解りやすいかもしれないが、12拍子の基本的な乗り方、つまり1拍目くらいから始まって10拍目くらいで終わり、2拍休む1コンパスの中に1行の歌詞を歌い込むという乗り方がひとつの方法だ。
これはフラメンコをある程度学んだ人には説明する必要も無いと思うが、もうひとつの方法は果たしてちゃんと書く事ができるのか、またそれを読んで理解してもらえるのかあまり自信は無いが、できるだけ解りやすく書いてみよう。
この乗り方はブレリア・ポル・ソレアー(ソレア・ポル・ブレリアも同じ)のひとつの型のように、まるで6拍子のように歌い進むやり方だ。
但し、ブレリアのように歌う時は完全に6拍子になるのではなく(12拍子で歌う場合もある、念のため)12拍子を不動の土台としながら、その12拍子の6拍目と12拍目を灯台の灯りのようにメロディーの強拍と合わせて歌い進むことになる。
我ながら解りにくい説明だと思うが、文章で書くとこうなってしまうから、実際にどうなるかもう少し詳しく書いてみよう。
12拍子の土台を足と手(パルマ)で刻む方法(マルカールする)は、以下の通り。
(図A)
歌う時(踊りのために歌う時ではなく、歌だけの時)のパルマは複雑なことはしないので、①か②が普通だろう。(♩♩)というカッコの部分は、カンテソロの場合は踊り歌と異なり強く叩く必要はない。昔は揉み手をするがごとくシャワシャワとやったものだ。
さて、以下に書くのはアレグリアスの現代風のサリーダで、カマロンの第1集レコードから採譜した。
(図B)
同様のサリーダの低音型を、ペルラ・デ・カディスはカンティーニャのサリーダで以下のように歌った。
(図C)
このサリーダを①のパルマの基本型、または②の変型のパルマと足を刻みながら歌ってみてほしい。最初は戸惑うかもしれないが、結局どちらのサリーダも6拍と12拍の強拍を基点としている事が体感として解ってくると思う。問題は、その乗りの感覚なのだ。
【筆者プロフィール】
エンリケ坂井(ギタリスト/カンタオール)
1948年生まれ。1972年スペインに渡り多くの著名カンタオールと共演。帰国後カンテとパルマの会を主宰。チョコラーテらを招聘。著書『フラメンコを歌おう!』、CD『フラメンコの深い炎』、『グラン・クロニカ・デル・カンテ』vol.1~32(以下続刊)。
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